
第二十二夜 ころがる石のように
先日新聞で大和都市管財の抵当証券で被害にあった人の談話が出ていた。
「近所の人に会うと、大変やったねえ、ウチは余分なお金がないので大丈夫やけど、あったらあったで苦労するけど元々無かったと思てがんばりやと言れました。まるでギャンブルでお金を使った人のように見られて・・・銀行に預けたようなつもりやったのに・・・」
こういう事が起こると毎度のように出てくる話しです。一番勘違いしてんのは、ギャンブルでお金を使うイコール負ける、バカ、等の意識です。どうせなら「まるでギャンブルのへたな人のように」といってもらいたいですわ。
まぁ、この手のことはギャンブル以下です。だまされてる訳ですから自業自得です。はっきり言うて。 少しでも目端の利くギャンブルする人間ならその辺のリスクに気付かないはずはありません。
結局、まじめにコツコツやってきたのにとか、何も悪い事してないのに何で?という考え方があるんでしょうね。というか、そうやって修羅場といえばおおげさですが、自分がギリギリのとこで物事を決めたりしたことなくやってきたツケが出たんだと思いますわ。
金は金で、使いかたの生き死にはありますが、恵まれない人に寄付しても新地のおねえちゃんに貢いでも、馬券や船券へと消えても、あるもんが無くなるということでは一緒です。
逆に実際はパーフェクトリスク・ノーリターンみたいな商品に手を出した自分の見識の無さを責めるべきで、ギャンブル云々という話しはもうウンザリです。甘すぎですわ。
簡単には言いたくない部分ですが、例えば善悪というふうに便宜上2つに分けると、世の中には悪と呼ばれる部分が現実に存在している以上避けては通れません。
「悪魔はもっとも親しく、親切な仮面をつけてあなたに近づいてくる」ということです。
例えば、あなたがお金に困って、明日から詐欺師になろうと思っても、なれるもんではありません。踏み倒すつもりで友達に嘘ついて金借りるいうようなのは詐欺でもなんでもありません。
手形のパクリ屋で企業から手形を騙し取ろうと思えば、それなりの舞台装置も用意しなければならないし、持っていく話に信憑性がないとあきません。まして、どこにその話しを持っていくかというカンというか嗅覚みたいなものもいるでしょう。
商売してても、金に困ったときはこういう手合いが「ええ話し」をまことしやかに持ってくるんです。食虫植物に捕まるハエみたいなもんで、なくなりません。ただ、おいしそうなもの、きれいに見えるものの中には食虫植物もいるということを知らないと食べられてしまいます。
抵当証券ではないが社債でもそうです。マイカルが破綻するのがわかってて社債を出したのは詐欺行為だと訴えている人がいます。また、そのときの格付がB++だったのにいきなり破綻するのは格付会社にも責任があるとか。これも同じ次元の話しです。ダイエーの格付もB++です。ダイエーだって銀行が支援を打ちきると言えば今すぐにでも破綻します。結局自力で立ってない会社で、ダイエーの社債を持ってる人はたまたま会社がまだある程度にすぎないだけです。
自分が安全なところに立って確実なリターンだけを取ろうなんて事はないわけです。それにはそれなりか又はそれ以上の隠されたリスクがあるはずです。特に何千万というお金を運用するのであればなおさらです。
別の言い方をすれば、緩慢な長い勝負をしていることと一緒だと思います。
まかせといたのに、とか信用してたのに、とか言ってると、折り紙のだまし船を持たされて目をつぶっててねといわれてるようなもんです。
人生の土壇場でころがっていってしまうわけです。
ながながと書きましたが、今回のメインテーマはコロガシです。最近、あちこちの掲示板等でコロガシをする人が増えてきていろいろと話題も豊富なので、考えてみたいと思います。
以前、馬券の種類についてルールが違うということを書きましたが、もう一度書くと
馬連ははずれる事を前提にした馬券である。
複勝ははずす事ができない馬券である。
これはもう買い方を見れば一目瞭然で、馬連は1点買いでなければ、必ずはずれる馬券も一緒に買っています。つまり、それだけ的中させるのも難しいし、逆にその分を補う配当が見込めるハイリスク・ハイリターンである。
複勝はほとんどが1点以上は買えない馬券であり、あえてローリスクとは言いたくないのでミドルリスク・ローリターン位としておきたい。
ローリスクとしたくないのは、やはり確実に的中させる事が難しいからです。
これも以前書きましたが、複勝の回収率100%UPを考えた場合。130〜140円の配当で3勝1敗でチャラである。100%UPとなると、4勝1敗とまでは言わないが、7勝2敗はできないと勝てない。
ここから先は的中率の問題になるが、200円の配当が的中させられるんであっても50%の的中率がいる。チャラの3勝1敗でも75%の的中率がないと複勝では負けてしまいます。
で、コロガシがうまくいかないとお嘆きの貴兄に。
コロガシとは何か?要は、勝ったら全額スックリと次のレースに投入してより多くのリターンを得ようというまことに気色エエ話しである。ただし、ドボンというリスクも大きい。ハイリスク・ハイリターンである。
本当か?
コロガシといえば複コロと言われるのはなぜか?
もちろん馬連コロガシでも単コロでもいいわけだが、どうしてやらないの?
答は複勝コロガシの仕組みを見るとよくわかるのだ。
転がすことの絶対条件は続けて勝つ事である。たとえコロガシの回数が2回であっても。単純に複勝で勝とうと思ったら75%の的中率がなければ勝てないのである。もちろん200円の配当をコンスタントに的中できるというなら50%でもいいのだが、それがどのくらい難しいかという事が分からない人はすでに複勝で勝つことは無理である。
ここである。4勝1敗以上の勝率があれば転がさないほうがおかしいのである。もちろん転がす回数の問題はついてまわるが、2回転がすだけでも普通に複勝を買うよりはるかに回収率はアップする。
では馬連コロガシはどうだろう。いま、的中率が33%回収率が300%あって、1勝2敗ペースでやっていれば転がす事がどれだけ無謀かわかるというものだ。
短期的に数レースするわけではないので、長く、たくさんやれば必ず一定の勝率に収束していく。もし馬連で3勝1敗、75%まで的中率を上げれたとしたら、ドボンのリスクと天秤にかけると普通に買っていたほうが全然いいのである。
もうひとつ、3勝1敗の3勝に秘密がある。どこで負けても2回連続は勝つということである。当然100%UPの4勝2敗なら完全に転がしたほうが良いに決まっているのである。
つまり、複勝で勝ち組にいる人は転がしてもある程度は勝てる人たちなのである。
いま、複コロでうまくいかないと言ってる人達は一度、転がさないで1月あるいは2月くらい複勝を買ってみて100%UPしなかったら、もう一度的中させると言うところからやらないと一生勝てないと思います。
師匠やイナフさんが複勝コロガシに到達するのはある意味自然なことだと思います。馬券スタイルというものが進化していった過程というか、最終地点が複勝じゃないかと思います。あえて転がすかどうかは最終的なリスクヘッジの微妙な問題になるのでここでは複勝ということにしておきます。
ここから先は究極な姿の話しになるので、試験問題を解くように1Rから全部買うような人や、楽しみだけで馬券を買っているというスタイルの話しは含みません。
馬券で生活あるいはそれなりの負担のかかる金額で勝負していると、馬連で月の収支がプラス計上していても、負けレースの数の方が多いわけです。いくら負けるレースも織り込み済みといっても心理的にはいやなもんです。
相撲取りと同じで白星が一番の薬です。複勝のほうが勝利条件としての勝数が多くなければいけなし、勝っているほうが心理的にも負担軽減ができる。なにより原資というか、元金の負担も軽減できる。
当然転がす金額の増加や回数を決める意志など要求されるメンタル面でのレベルは高いが、そういったいろんなことを差し引きした上で少しでもリスク回避できる方に進化していくのではないだろうか。
競馬の勝ち負けということについてもだいぶ以前に書きましたが、単に競馬をした場合、1レース毎に当然勝ち負けがあるのだが、複勝コロガシを考えた場合、転がすスパンが当然勝負になるし、完全に長い勝負になる。
複勝コロガシと言えば、金額が大きくなってきたときのメンタル面のことばっかりが言われるが、本質的にはそんなことより、1日のレースでどういうレースを選ぶか、流れもあるし、ドボンしたり連敗したりした時の立て直し方というか、じっくり構えることができる余力みたいなもののほうが必要なんじゃないでしょうか。
ながながと書いてきましたが、自分はどうかと言うと、わたしにはまだ複勝で勝ちきるだけの力はありません。いつも書いている通り基本的に出馬表の指数に素直に従う買い方なので、自信を持った1頭を選ぶことができませんし、なにより馬を見る事がまだできていません。
馬連で的中しそうな部分に網をかけているというような買い方でなんとかやっているわけです。最近、馬を見ることを始めたので、わたしにも進化していく力があればいつの日にか複コロか複勝だけになっているかもしれません。
元にもどりますが、世の中の金融商品でリスクが少なく10%以上回るものはそうありません。本当の資産家と言われる人達はギャンブラーに近いです。ハゲタカのように1%の違いとリスクを見ぬきます。それだけ巨額なお金を動かす覚悟ができています。
中途半端な小金で目先の利回りに引かれているとその裏に隠れているリスクを見逃すことになります。
複勝コロガシも、一見、間口が広く、リスクも少なく、誰でも始められそうに見えます。事実その通りですがただひとつ、誰でも気軽に参加できてリスク少なく勝てそうにみえますが、誰でもが勝てないということです。
複勝コロガシで勝つには相当な力がないと、魚のいない池で釣りをするようなことになりかねません。
転がすつもりが、自分がころがる石になっていないことを祈ります。
第二十三夜