
第十三夜 遺伝子の記憶
仕事もせず、ぶらぶらしていると、何気なくテレビなんか見ていることがある。先日、NHKの朝の連ドラを見ていてびっくりした。川谷拓三がいる。本当にそう思った。なんの先入観も無く、何気なく見ている目の端に映ったので非常に驚いた。よく見ると違う事は分かるのだが、次の瞬間、絶対息子に違いないと確信した。
娘さんは役者さんになっているのを知っていたが、息子がいるという事は知らなかった。翌日タイトルロールを確認すると仁科とあったので、息子だとわかった。これが、顔といい、しゃべり方、しぐさともう瓜二つだ。瓜二つという言葉をここで使わなかったら何処で使うというくらい瓜二つである。
川谷拓三といえば「仁義なき戦い」だが、わたし達の世代ではもう一つ「前略、おふくろ様」の利夫さんである。息子の方が目つきがやさしい分少々マイルドだが、もっている若さが利夫さんなのである。
翌日もう一度見たとき、不覚にもウルウル来てしまった。同時代というとおかしいが、リアルタイムで好きだった役者が早くに死んで、その息子が頑張っている姿を見るとこちらには必要以上にいろんな物がぶら下がって見えてしまう。そして自分が高校生だったころのいろいろな事が無理やり蘇ってくるのである。
なるほど、うちの母親なんかが2世俳優のことを特別な感情で見てしまったりするのはこいうことかと、はじめて実感した。やはり、年取ったということかもしれません。
本人はどうか知らないが、あそこまで似ていたら、まわりが自然と比較してしまうだろう。本人にとっては、いやな事も多いのかも知れない。役がまた撮影所の大部屋のうれない役者という、親父の若い頃そのままのような役なのである。意図的なキャスティングなのだろうが、はまってしまうのだ。これが。
かつて東映の大部屋出身で映画の主役を撮ったのは川谷拓三だけだ。地方馬が中央でG1を勝ったようなものだ。異論はあると思うが、クラシックに出れなかった親の子供にという気持ちに近いものがあると思う。
でも、松田優作や関口宏の息子を見てもなんとも思わないのだが。自分勝手な思い込みだと思います。
葬式や結婚式など身内が集まったときなど、並んでいる顔を見ていると、端と端は似てないのだが、順番に見るとグラデーションのように少しづつ似ていくようで不思議だ。親と瓜二つというような友達の1人や2人はいるだろう。そういうのを見るたびに遺伝というものの凄さを感じる。
競馬で言うと血統ということになるのだろうが、わたしはもともと競馬予想に関しては血統というものは全然考えてませんでした。なぜなら、すべての馬が良血だと思うからだ。なんか馬体が小さいなと思ったら3代前が木曾馬だったとかそんなことはないからです。血に関しては、ある意味レベルの高い戦いがずっと続いてきてると思うので、予想に加えるほどのファクターはいらないと考えていました。ですから血統に関しては今でもほとんど知りません。
そして、おっさんおばはんオフをしたときのことでした。いつものようにアホバカエロ談義に花が咲きっぱなしの中、ふと競馬のお話しに。スピード指数系の予想が行き渡ってしまった結果、オッズの妙味が薄れてきているというよな話しでした。
その中で師匠がちらっと、「違う切り口で考えないと、回収率は確実に落ちてきている例えば、くわしくは知らんけど亀谷君の馬場ビームなんかは違った切り口ちゃうかな」と言ってはりました。
その場はそれだけで、ただわたしの頭の片隅に馬場ビームのことが残ってただけした。それから何日か後、本屋で血統ビームの本を見つけ、さっそく買いました。
最初に、言っておきますが、わたしは血統ビームを使って終始予想をしようとか、血統ビームにとてもくわしいというようなことはありません。ただ、本に書いてある事だけをベースにして、1つのファクターとしてなんとか取りいれることができないかと、検証している最中です。それと、今だかって競馬予想TVも見たことないので、生亀谷君も、そのしゃべりも聞いた事がないのです。最近できた競馬予想TVのHPに出ているビームは本より細分化されていて、そちらと結果が違うときもあります。というよなことで、ここからは完全に個人的に使えるかどうかという話しになります。
まず本を一通り読んだ感想から言うと、これは普及するのは難しいなというのが第一印象でした。なぜなら、とにかくめんどくさい。種牡馬のビームを本で調べて書き出さなければなりません。
もちろんお目当てのレースだけでもいいんですが、そんなにパチパチと決まらないのはやってみれば分かると思います。
わたしはターゲットに入力していますが、最初は東西2場だけで280頭位入力しなければなりません。ターゲットだと段々減ってきますが新聞に直接書いていたら毎回莫大な量を調べなければなりません。まぁ、ここらへんはヒマと好き嫌いの分かれ目でしょう。
種牡馬辞典のようなソフトかデーターを売って、ターゲットに流せるようにでもすれば普及するかもしれません。
内容は簡単に言うと、種牡馬の血統により、ラップ、距離、系統の3つのカテゴリーそれぞれの分類に分けたものが、巻末に載っている。これが血統ビーム。別に、競馬場のコース毎にそのコース、馬場によく連帯するビームが載っている。これの適性を見て第一段階の馬をピックアップするのである。
わたしは、この第1段階のピックアップまでが自分の予想作業に組み込めるんじゃないかと思ってる訳です。ですからそれ以上知りたい方は本を買って読んでください。
それぞれの馬の血統特性というものをラップ、距離、系統といった要素のフィルターを通して分類することで、ある種の傾向があぶりだされる訳です。それをコース特性にもあてはめてみた結果よりはっきりとした傾向が出てきたりします。これは、前回、前々回とデーターの事を書いた話しと一緒で、血統特性というものを重層的フィルターを通したものと並列のデーターを組合せているわけです。
ですから、本をよく読めば分かると思いますが、コース適性についても、はっきりと出ているコースとそうでないコースがあります。もちろん、商業的な本ですのである程度すべてに通用するというように書かなければならない部分はあると思いますが、使うほうとしては、それが幾つかのコースだけであったとしても、よりはっきりとした傾向が出てるほうがファクターとして重視できます。
ただ、わたしが不満なのと検証しなければと思うのは、本の中に、どういう根拠でビームの要素を設定したかということと、コース連帯率の母数がないことです。これではどこまで信用して言いかというのが分かりません。
しかし、それを差し置いても顕著に傾向が表れるビームとコースがあるのは確かなので見ていく価値は十分にあると思います。
スピード指数系と血統ビームの切り口の違いを例えて言うなら、10人のデーターがあったとき、1つは身長だけで全員170センチ+−5センチとします。もう一つは体重だけで40キロ〜100キロまでとします。50mを走るとしたら、身長データーだけでは絞れませんね。 でも体重を見れば100キロの人は消しというように、少しは絞れます。
おおざっぱな例えですが、切り口の違いとはこういうことではないでしょうか。
例えば師匠の出馬表で真赤や黒ばっかりのときなんかは、指数的には横並びです。これをビームを通したときになんらかの絞込みができれば、高配の穴狙いという予想方法に使える可能性があります。それと、同じコースのレースが2〜3レースあるとき、その入着場のビームを見て当日の傾向が読めたりします。最後のそのレースで紐の取捨てなんかで迷ったときにビームで優先するというようにも使っています。
スピード指数を使う前はみなさんは何を元に予想していらしゃったんでしょうか。
わたしの場合はやはり新聞の印ですよね。機械じゃないですから、そうそういろんな予想ファクターをその時々に応じて最良の割合で使いこなすなんて事はできません。いまでは予想の中心というか、大部分は師匠の出馬表です。そういう意味で言えば、馬を見れるでもなく、新聞から出馬表に替わっただけで、わたし自身はなんの進歩もしてないのかもしれません。
血統というものも、パターン化して分類する方法がある程度正確なら、遺伝子の記憶が、親やあるいはそれ以上の結果をだしてくれるかもしれません。まだ、血統ビームの利用法については思考錯誤中です。でも、なんらかの役に立つファクターにはなると思っています。
以前、リクローン牛の記事がでたとき、真っ先に思いついたのが名馬を何頭でも作れるというものでした。
競馬界というのは、けっこうお互いの信用がなく、例えば種付けでも肌馬をわざわざ外国に連れていって種付けしたりします。いまの人工授精の技術をもってすれば、精液を持ってきたほうが安上がりなんですが、種牡馬の側は1回分で2頭されてはかなわないとか、肌馬の方は直接でないと他の馬の精液を持ってこられてもわからんとか、基本的な信頼関係がありません。
そんなことを思えば、スペシャルウィークとかグラスワンダーなんかの細胞からリクローン馬を作り、なんかの子馬とすり返ればいいだけのことなんで、だれかやってそうなんですが。某○○イチのオーナーなんか真っ先に考えそうなことですがね。
すでに水面下では行われてたりして。
最初に言ったNHKの連ドラだが、いまは出てないが藤山直美も出ていたようです。彼女も好きな役者だが、やはりお父さんにそっくりである。顔とかそう言うことでけではなく、演技力とか芸人としての力がである。
でも、彼女もお父さんにそっくりだと言われるのだろうが、この場合は複雑な気持ちだろう。でも、川谷拓三の息子の場合は本当に物まねしてるんじゃないかと思うほど似ている。
物まねで思い出したが、昔、森昌子が森進一が家で森進一の物まねをしてくれると言っていた。絶対聞いて見たいと思う。森進一が「こんばんわ、森、進一です」とやるそうだ。
家の娘もすでに気の強さと頑固さを表している。はたして良血なのかどうか・・・う〜ん。
第十四夜