一冊の本から始まる物語
                  飛鳥ロマン旅            「第弐話」

 

ある日、東京の仲間から「山辺の道を歩き、飛鳥を歩きたい」と言ってきた。
一冊の本が古代飛鳥ロマンを駆り立てたようだ。 
話が広がり希望者が一人増え,二人増えて12人の参加が決まった。
小説の力って凄い・・・ と、あらためて驚く。
「東京からだと、二泊三日の行程。 

飛鳥の里より多武峰を望む、その向こうは談山神社


    友、遠方より来る・嬉しからずや

早速迎える準備。
旅行は自然の中にどっぷり浸かるのが一番と思い行程を組む。

「覇王・不比等」の文中

朝の陽光を受けて,甍の大屋根が幾つも光輝いている。
新しく出来た浄御原宮であった。他に、一塔三金堂の飛鳥寺の甍も光っている。
その西隣は、不比等には見慣れた風景であった。蘇我宗家の宮殿のあった,甘樫丘である。
飛鳥の神奈備でもある。間を、飛鳥川が北へ向かって流れている。
その先には、大和三山の天香具山・耳成山・畝傍山がある。陽光を浴びて、三山は大海に浮かぶ小島となっていた。
西に葛城山が霞んでみえる。

蘇我宗家跡

天武天皇・持統天皇 御陵

第参話に続く 

     祝戸橋                      飛鳥川
     (
多武峰から流れ出でし細川は祝戸橋付近で飛鳥川に合流する)

作品社「覇王・不比等」第1部、文中より抜粋  葛城山麓

玉奈が立ち上がって、小袖の紐を解いた。
普通遊女は小袖の上に、うちぎという重ね着を羽織るのだが,今は夏である。
玉奈は、小袖に緒太(草履)だけの軽装であった。
玉奈は、身につけていたものを全て脱ぎ去った。
長い下げ髪の丈長も解いた。 玉奈が首を振った。
黒髪が白い裸身の背中でうねり、舞った。
・・・・・・・・・・・・・
「お前と心から情を交わした女と、その直ぐ後、お前を殺そうとした女が、同じ女と思えるかえ?」
不比等は答えられない。
「でもね、それが女なのさ、お前に抱かれて声をあげた。
あれも本当なら、お前を殺そうとした、それも本当なんだよ」
「いいかえ、これで女に惚れちゃ駄目ってことが判っただろう。
女は惚れさせるもの、決して惚れたりしちゃ駄目だよ」

「覇王,不比等」 二部へますます面白くなる。