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昔、NHK−TVの日曜の昼下がりに「アンディ・ウイリアムズショー」というのがあったのを、ご存知でしょうか?(ご存知の方は同世代ですね)。

高校時代、既にギターを始めて、フォークバンドを作っていた私は、毎週楽しみに見ていました。

ある週に、ゲストとして「アントニオ・カルロス・ジョビン」が出て、「イパネマの娘」をギター片手にポロポロと歌ったんです。それに感動してこれをやりたい!!

で、これは何だ?えっ、ボサノバというブラジルの音楽。で何語?ブラジル語?
いやそれは、ポルトガル語ていうのだ。へえーー。そんな感じでした。 
今思えばそれが自分の人生を変えてしまった瞬間だったのですね。

ビデオもない時代でしたから、この瞬間は脳裏にきちんと焼き付けて心の奥に大事に取っていましたが、

今の時代すごいですね。

最近知ったんです「youtube」というサイトがあり、そこでは世界中の人が自分の持っているビデオをアップロードして、誰でも無料で見れるということを。(著作権の問題は大丈夫なんでしょうか?)
捜したら何とありました。その時の「アンディ・ウイリアムズショー」が、興味のある方は見てください。
http://www.youtube.com/watch?v=lKfl15c-Kh0&feature=related
ジョビンも当時は文学青年みたいでカッコ良かったですね。魅かれたのも良く分かります。
でも脳裏に焼き付けて取っておくしかないと思っていたものが、こうやって見れるというのも不思議な気分ですね。感激と同時に
大事にしまっておいた心の中の宝物がなくなったような気がして。
このサイトでは、ジョビンのみならず、ジョアン・ジルベルト他めずらしい昔のビデオが見れますよ。
また、しばらくしてジョビンは「フランク・シナトラショー」にも出ました。これもありましたよ。
http://www.youtube.com/watch?v=B2UYVvkpYRo&feature=related
その内兄がボサノバのレコードを持っているのを偶然発見。

それがこの「ジョアン・ジルベルト」の初期のレコードです。
それまではジョアン・ジルベルトの存在すら知りませんでした。

若々しい声と内に感じさせる激しいリズム感に聞き入ってしまいました。今でも一番好きなレコードです。
 
このレコードにめぐり会わなければ、本格的にボサノバを始めることはなかったでしょう。
何という偶然の重なり合いでしょうか? 

そして、何としても原語で歌いたいという思いがますます強くなりました。
大学に入って、ポルトガル語を勉強? フォークグループをやりながら、ボサノバに挑戦。

しかし、当時は楽譜も解説書もなくレコードを擦り切れるほど聴きコピーしました。

実際、上記のレコードは今はボロボロです。フォークもろくにギター譜は出ていない時代でしたので、スリーフィンガー奏法などレコードを聴いてコピーしていたのですがで、それがボサノバギターの習得にもとても役立ちました。

歌詞はブラジル帰りの同級生に聞き取ってもらい。何とか弾き語りが出来るようになりました。

当時は大学も優雅だったですね講義の時間を丸ごともらって、ミニコンサートをやらせてもらったり、NHKの国際放送でブラジル向けに歌ったり。やがて店で歌うようになっていました。
ボサノバの魅力って何でしょうね。

さりげなく心の中に入ってきて、爽やかな気分にさせる音楽。一言で言えば、これがボサノバなんでしょうね。

メロディーとリズムと和音の心地良い調和がこれをもたらすのだと思いますが、ボサノバというのはサンバから派生した音楽ですから、その静かな中にも激しいリズム感がエキサイトしていますし、サンバの曲をボサノバ風にアレンジしたものも多数あります。
また、ジャズでいうスイング感たっぷりのところもとても魅力です。


また、歌心にはポルトガルの影響が色濃く現れていますね。
ブラジルというのはポルトガルを宗主国として生まれた国。
そのポルトガルの歌といえば、何といってもファド。そしてファドの歌心は「サウダージ」です。

「サウダージ」とは、「せつなさ」「悲しさ」「淋しさ」「懐かしさ」すなわち「恋人と離れた淋しい想い」「故郷を恋しく思う」「人を懐かしむ」など、日本語にはないいろいろな想いを表現する言葉なんです。

「サウダージsaudade」いい言葉ですね。

サンバの歌心がこのサウダージであるように、当然ボサノバの歌心もサウダージなんです。

でもボサノバの場合は決して、「悲しい」「淋しい」と強調して歌っている訳ではありませんよね。
あくまでもさりげない歌い口の中に、その気持ちを表現する。これってすごく難しいですよね。

何とかその魅力を表現したいと思っています。すこしでも感じられるでしょうか?
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