もしも、字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは全画面表示して下さ れば宜しいかと存じます。

 このたび、これまで思いの丈ぶっちゃけコーナーに収録されておりました短編小説数編を、 このコーナーにてまとめてお読み頂ける様に致しました。


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  へび髪の吸血少女(前編)   .......2002.10.3(Vol.316)
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  ロングヘアのおにいちゃん   .......2003.3.10(Vol.363)
 
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  「私は髪を切らない!」
   山崎弘子さんの 長い髪を守ってきた記録
  .......2004.2.17(Vol.475)
 
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  第3種?接近遭遇   .......1999.8.10(Vol.22)
  お尻を超えた3つ編みの少女   .......2001.4.26(Vol.196)
 
 
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2002.8.30(Vol.309) 初出___Cont.No.kamin01    次の作品へ 目次へトップへ

snakeheart様、お待たせしました。 ちょっと、こんな内容はおぞましいかもしれませんが、以前から構成していたロングヘアのホラー小説が完成しましたので、ここに投稿いたします。 なお、お話はすべてフィクションで、その他もろもろ‥ということで、以前からホラーの世界にご関心のあった管理人様にはさぞや楽しくなる?お話と思います。ぜひご賞味くださいませ。


(もしも字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは画面解像度を変更して下されば宜しいかと存じます)
 皆様、はじめまして。ぼくの名は(ゆう)。いちおう、男の子です。えっ? ぼくのことを見て女の子じゃないかって?ええ、たしかにそう、見られてもしかたないんですけど。
 そしたら、さっそく、どういうわけだったのかを、これからお話いたしますね。

 それは、4月後半のある真夜中にとつぜん起きた出来事であった。
「ううっ、はー、あっ、夢か。また、いやらしい夢を見ちゃったな。」
 ぼくが見ていた夢は、クラスは異なるが同じ学年でいちばん髪の毛が長く、 ツインテールでお尻まで届いている女子生徒のその両方の髪の毛をじかに片手ずつ わしづかみにしているという夢だった。もう片方の腕では胸もつかんでしまい、 女子生徒がいやがるにもかかわらずむりやり襲って 思いきりちかんをしてしまおうというところで目がさめ、その時に興奮のあまり夢精をしてしまった。 うつぶせに寝ていたので、流れ出た大量の精液で、着ていた下着やパジャマのほかに ふとんをも汚してしまったのである。もちろん、夢の中に出てきたその女子生徒とは 実際に一度も話したことはなく、日頃からかたわらで見つめていていいなあと思っていただけだった。
「このごろ、どうして、女の子ばかり襲う、いやらしい夢を見るんだろう。」
 ぼくは、去年の春に引っ越して中学に進学し、二年生になっていた。前の住所のままであれば 同じ小学校の者といっしょに進学していたはずだが、家もかわって環境が大きく変わり、 ともだちもなかなかできない状態だった。
 小学校の時に比べてかわいい女の子が多いと思っていた。もちろん、学年が上がるにつれて 女の子の身体も発達しているということもある。
 時計を見るとまだ二時ごろだったので、ぼくは、夜明けまでに乾くかもしれないと かけぶとんをあげ、身体を半回転させて仰向けになろうとした。 まだ、ひざのあたりが濡れているのを感じた。
 からだをいったん起き上がらせたその時、ぼくは肩になにかおちてきたような強い衝撃を感じた。
「うっ、なんだろう。まあ、いいや。下着もぬいじゃおう。」
 ひざがべとべとと感じたので、はいていたパジャマとトランクスもぬいで 下半身をはだかで乾かしながら夜明けまですごそうとぼくは思った。
 下着をぬごうと起き上がったぼくだが、こんどはまた頭が重く なにかにひっぱられるように感じた。首をたてにふると背中でなにかがはっているように感じた。
「いったい…。」
 背中が気になったぼくは、首をうしろに向けて肩のほうを見たが、暗くてよくわからなかった。 暗くてもしだいに見えてくるのではあるが、別に何もないと思った。 しかし、向き直るとまた背中になにかがおちてきているような感触があった。 天井のほうも向いたが、何もかわりないという状況だった。
 濡れたパジャマと下着をそっとぬぎながらも、虫でもはっているような背中が だんだん気になってきた。
「まさか、へび?こわいな。」
 ぼくはおそるおそる、そっと背中のほうへかたほうの手を動かしてみた。すると、
「はっ、やっぱり背中になにか太いひもみたいなものが、ううっ、いたい。」
 ぼくが痛がったのは、頭をひっぱられるように感じたからである。
「もしかして、自分の頭につながっているんだろうか、もういっぽんのほうも。」
 ぼくは、背中の全部にまで手はとどかないので、こんどは首のうしろをさわってみた。 すると、かたほうの耳もとの下のあたりにたしかに少し太めの長い毛糸のような かたまりがあるのを感じた。それは曲げることもできたので、首のほうから前へおろしてみようとした。 するするっと、まるでへびがはうようにおりてきたので、 ほんとうにへびでも自分の頭にかみついていたのではと一瞬思ったが、それだったら もっと痛く感じるだろうと思った。
 だんだんと、真っ暗だった部屋のなかでも、外からさしていたあかりで少しずつ なにがあるか見えてくるようになった。ぼくは、その正体を見て思わず驚いた。
「こ、これは…。」
 ぼくの手にしていたものは、女の子がやるような黒い三つ編みの髪の毛のようであった。 きっちりときつく編まれた髪の毛先には、しっかりと黒いヘアゴムで固くしばりつけられていた。
「まさか、もうひとつのほうも…。」
 ぼくは、反対側の肩からもさすっておろしてみると、やはり同じような三つ編みの髪の毛らしかった。
「もしかして、ぼくは…。」
 ぼくはベッドから立ち上がって、下半身が裸のままあわてて洗面所の鏡を見にいった。 トイレの横にある洗面所の電気をつけて、自分の変り果てた姿にぼうぜんとした。
「ああっ、ああっ、こんな、どうしよう。女の子みたいなすがたに…。」
 まさしく、自分の両側の耳の下からはそれぞれきっちりと根元から直接編み込まれた、 昔の女学生のような三つ編みの二本のおさげ髪が垂れ下がっていたのである。 たしかに、後ろをふりむけば髪の毛もまた後ろにまわるから見えなかったはずである。
「いったい、いつのまに、こんなに、腰のあたりまで髪の毛が長く伸びていたんだろう。 べつに、なんかの薬でも頭にかけたおぼえもないし。 それにこの毛先にゆわえられた黒いヘアゴムは、誰のものなのだろう。 こんな髪の毛、すぐに切らなきゃ学校へいけない…。」
 ぼくは、まずゆわえられている黒のヘアゴムをはずそうとした。ところが、ただでさえ 力は女の子のように弱いぼくだが、ヘアゴムはゆるくなる気配さえなく、 固くてびくともしないという感じだった。
「いいや、はさみを使おう。」
 ぼくは、自分の学習机からはさみをとりだし、耳もとあたりからばっさり髪の毛を切ろうとした。 ところが、このはさみも通じなかった。三つ編みのまんなかあたりを切ろうとしてもだめだった。 頭の一番上のはえぎわをたんねんに切っていけばとも思ってやってみたが、これもだめだった。
「どうしよう、髪の毛を切ることができないなんて、それにこんな姿、学校どころか、 ママや妹に見られたら…、いいや。もういちどベッドに戻って寝ていれば、 これはきっとまた夢なんだ。こんな変なこと、現実にあるわけない。」
 ぼくは、洗面所の電気を消してベッドに戻っていった。長くなった髪の毛は 夢精をした下半身のそばへおろすと濡れると思い、とりあえず枕の横のほうへはらっておくことにした。

 夜が明けた。再びぐっすり眠ったが、特にどうという夢も見ずにその後は眠れたようだった。 ふとんの夢精のあともすっかり乾いていた。しかし、頭から伸びていた二本の三つ編みのおさげ髪は 夜中と同じようになったままだった。
 いつもより少し早めに目覚めたが、髪の毛をどうやって隠そうかと考えた。 帽子でもすっぽりかぶれば隠れるかもしれないが、ずっとかぶり続けているわけにもいかない。
 とうとう、ママが起こしに来ていた。ぼくはふとんのなかに隠れていた。 しかし、なかなか出てこないぼくにしびれをきらしたママが、とうとうふとんをはがしてしまった。
「いったい、なにをしているの?優、いいかげん起きなさい。学校があるんでしょ。」
 三つ編みの髪の毛をまるめて頭の上を抑えつけながら隠しているぼくを見て、ママは その腕を取り上げた。とうとう、はずかしい姿を、まずママに見られてしまった。
「うう、…。」
「まあ、優、その頭はなに?」
「わからないよ…。」
「どこでそんなかつら手に入れたの?そんなものかぶって、はずしなさい。 あさっぱらからそんなおかしなかっこう、あきれたわ。」
 ママは、ぼくの三つ編みの髪の毛をえいっとひっぱった。 かつらだと思ってはずれるだろうと考えたからである。
「いたあい、痛いよ、ママ、その髪の毛はほんものなんだよ。」
「なんですって?いいかげんにしなさい。急にこんな長くなるわけないでしょ。 しかも、女の子みたいに。加奈子だって、髪の毛長くすることを許していないのに、 男の子のあなたがこんな髪の毛していたら気持ち悪いでしょ。」
 加奈子はもちろん、ぼくの妹でおかっぱ。ママは絶対ショートカットがかわいいという主義である。 これに対し、ぼくの場合は、不美人でもいいから長い髪の毛の女の子が理想と思って逆の考えである。
「いたーい、いたい。」
「へんねえ。この髪の毛はほんとうに?」
「ほんとうなんだ。夜中に目覚めたら急にこんなになっていたんだ。」
 ママは、とうとうぼくの髪のはえぎわをたしかめた。たしかに、かつらではなく ぼくの頭から伸びている髪の毛だとわかった。
 後ろで、ぼくより六つ下の妹の加奈子の声がした。
「ママ、朝ごはん、まだ?」
「はっ、おにいちゃんの、こんな姿は加奈子に見せられないわ。」
 あわててママは扉を閉めた。ママも、ぼくが夜中にやっていたことと同じように、 勉強机からはさみを探してまずはえぎわから髪の毛を切ろうと考えたのであった。
「ママ、夜中にぼくもはさみを入れたんだけど、切れなかったよ。」
「じっとしていなさい。三つ編みでもおさげでもママは長い髪の毛が大嫌いなんです。」
 ママがロングヘア嫌いなのにはもちろん大きな理由がある。パパの浮気相手が長い髪の毛の女性で 現在行方不明になっているからである。学生時代にも、より好きだった男を やはりロングヘアの女性に奪われてしまったことがたびたびあったため、 ロングヘアに対する抵抗が異常に強いのである。ママ自身も髪の毛を伸ばそうという意識は全くなく、 女はショートに限るということで、友人関係でも長い髪の女性はひとりもいない。
 ママは、ぼくの髪の毛をはえぎわから切ろうとしたが、はさみがすぐに曲がってしまった。
「どういうこと?髪の毛を切ることができないだんて。」
 ママは、三つ編みのまんなかあたりにもはさみを入れてみたがびくともしなかった。 ぼく自身がやはり夜中にはさみを入れて切れなかったように、 ママもぼくの髪の毛を切ることができないのである。
「ママー、朝ごはんはやくー。」
「ああ、加奈子、わかったわ。おにいちゃんにつきっきりになって。優、もうあんたは病気よ。 きょうはどうせそんなかっこうじゃ学校にも行けないし外にも出られないんだから、 きょうは学校お休みにしなさい。加奈子が出かけた後病院に行って見てもらうから。」
 結局、ぼくの女の子のような恥ずかしい姿はママにだけ見られることですんだ。

 加奈子が登校した後、ぼくはとりあえず二本の三つ編みの髪の毛を丸めて帽子をかぶせられ、 近くの総合病院にママに付き添われて行った。まず、受付にママは相談した。 症状によってどの種類の医者のところへ見てもらえばよいかを決めてもらうためである。 受付の若い女子職員が応対した。
「髪の毛の病気ですか?たとえば、はげてきたりとか、色が変わったりしているとか。」
「それが、変な病気なんです。男の子なんですが、ちょっと恥ずかしいので、 女性のお医者さん、できたら紹介していただけないでしょうか。」
 応対した職員もけげんそうな様子だったが、神経科あたりがよさそうだろうと思って、 ママの依頼どおりただひとりの女性の医者を紹介することにした。
 帽子をかぶったまま、ぼくは医療室にママといっしょに案内された。女性の医者は30歳前後で 独身のようであった。ロングヘアではないので、ママは安心した様子だった。
「はじめまして。優くんね。頭の病気って、どういうのかしら。」
「先生、びっくりなさらないでくださいって言っても無理でしょうけど、とにかく この子の帽子をはずしてみますね。優、はずかしいかもしれないけれど、いいわね。 先生に見てもらうんだからね。」
「うん。」
 帽子をはずされたぼくの頭から、ぱらっと二本の三つ編みのおさげ髪が、 ぼくの立っていた上半身の前のほうに髪の毛がおりてきたのであった。 女医者も、驚きと同時に笑いをこらえきれずにはいられなかった。
「まあ、あなた、ちょっと。こんな子、初めて見たわ。頭にはげが出てきたりとか、 色が若白髪みたいなのが出てきているとかいった相談なら、 今まで子どもたちでも多く見たことがあるけど、髪の毛が長くなってしまってるなんて。」
「そうなんですの、この子の髪の毛はどこからはさみを入れても切れないんです。 しかも、ゴムもはずせないようなんです。」
「はさみを使ってもだめなの?いいわ。女性でもこんな長すぎる髪の人は私も あまり好きじゃないのに、男の長髪はよけい嫌いですから。」
「ですわね。先生。長い髪の毛なんてじゃまですし、勉強の妨げですものね。」
「わたしは、親が学校の校長をやっていたので、私立の女子校だったのですが、 みんな髪の毛を肩にかからない程度にするという方針でした。 私もその学校に通ってましたから。ほかのことはそんなに厳しくはなかったのですが、 髪の毛は短くするという校則だけはきっちり守られていたので。」
 教育ママとしての方針でも、髪の毛を気にすることは時間の無駄という考え方で、 この女医とぼくの母親は意気投合したようだ。
「優くん、そのベッドに寝なさい。髪の毛にメスを入れてあげるから。」
 ところが、はさみでもメスでもどの方向から切ろうとしてもだめであった。 ナイフも使い、へたすると肌に傷がつくおそれがあるような入れ方まで試み、 他の患者の予約さえキャンセルさせてぼくの髪の毛を切ることに一日じゅうかけた女医だったが、 どうやってもだめであった。
 ママは、この日は低学年である妹の加奈子が早く帰ってくる予定で、 昼食も作らなければならないということで、診療費だけぼくに預けて先に帰宅した。 女医は、自分のお弁当を持っていたがぼくにすべてあげてこの医療室のなかで食べるよう指示し、 自分は病院内の食堂で昼食をすませた。食後、診察を続けて夕方までかかったが、 もう病院も閉まるし、お手上げの状態となって、ぼくにまた髪の毛を丸めさせて帽子をかぶらせ、 そのまま帰宅するよう指示した。

 帰宅したぼくを見て、ママはすぐ部屋に閉じ込めた。
「結局、切ることができなかったのね。いいわ、もう寝ていなさい。」
「テレビは…。」
「だめです。帽子をかぶっていても加奈子に変に見られるし、 加奈子だってこんなおにいちゃんがいるなんて ともだちに笑われて恥ずかしい思いをするから、あんたは病気で寝ているということ以外方法がないのです。 パジャマに着替えて寝なさい。」
 そういって、ママは扉をピシャッと閉めてしまった。
「うう…。」
 まだ、寝ようと思っても寝つけなかった。
 ぼくは、自分の頭からどうしてこんなに長い三つ編みの髪の毛が伸びていたのか、 ふと一年前の出来事を思い出していた。
 ぼくの通う中学校のとなりに別の小学校があった。 この小学校は妹の加奈子が通っている小学校とは別の学区にある学校だった。 ぼくは、入学した中学校の通学路で、途中で重複している小学校の通学路でよく見かけるようになった、 一年下、つまりその当時に小学六年生だった少女を一目で好きになったのである。 その少女が、ぼくの好みどおりの髪の毛を長くした子で、 いつも二本の三つ編みにして黒いゴムでとめられた毛先がお尻の横にまで届いていたのである。
「なんてすごく長い髪の毛の子だろう、三つ編みをほどいてみたらどのくらいになるのかな?」
 だいたい、ランドセルを背負っているため、三つ編みのおさげにしていることが多かったが、 時には三つ編みをほどいて耳もとにかわいらしいリボンをとめたツインテールになっていたり、 また同じようにリボンを耳もとにしていて三つ編みにして別のゴムを毛先にゆわえていたり、 一本のポニーテールにしていたりと、髪形をいろいろ変えるので、その少女がどんな髪形をしているのか、 通学路でいつも気にしながら、特に帰り道では待ち伏せをするように電信柱の陰に隠れながら 少女が現われてくるのを待っていたのである。
「後ろから眺めるだけだったら、怪しまれなくていいかも。」
 ぼくは、少女の帰っていく方向までつけていた。少女の髪の毛をいつまでも見ていたいからと、 こっそり後ろをつけるような、ストーカーのような行動までするようになったのである。 そして、とうとう少女の住んでいる家までつきとめてしまった。ただ、家がわかると、 家には近寄らずにすぐ背中を向けて戻ってしまい、名前までは確かめず、表札も見ていなかった。
 日曜日にもぼくは少女の髪の毛を見たくなって、つきとめた少女の住んでいる家の近くまで わざわざ行くようになってしまった。さすがに、そんな追いかけかたをしていたのでは、 いずれ少女にも気付かれてしまう。
 今日は月曜日だったが、カレンダーでは同じ月日がだいたい翌年は次の曜日に、逆に一年前は 前の曜日ということになっていた。誕生日から考えれば、だれでもそのことがわかると思うが、 つまり、今日が月曜日なら、一年前は日曜日ということになり、 その、日曜日だった一年前に…
 少女の家から出てきたところを見つけてぼくは後ろからつけていた。最もよくやっていた髪形である、 二本の三つ編みのおさげだった。ところが、少女は一瞬後ろを向いてぼくの姿が目に入っていたようで、 とつぜん走り出したのである。ぼくは少女を追いかけ始めた。
 道が少し曲がっているところで、ぼくは少女の姿を見失いそうになった。その時だった。
「きゃーっ!」
 パーンという音がした。その後、自動車の走っていく音がした。ぼくは、 少女の走った方向へ行ってみると、少女がうつぶせになって倒れているのを見た。
「もしかして、くるまにはねられたのでは…。」
 ぼくは、倒れていた少女の身体をゆすって起こそうとしたが反応がなかった。
「ねえ、君、だいじょうぶ?はっ…。」
 少女の身体を起こそうとするうちに、自分の指が少女の長い三つ編みの髪の毛にふれてしまった。 ぼくは思わず少女の長い三つ編みの髪の毛をなかほどからつまみあげてしまった。 そして、自分の顔に近づけてその髪のなかほどから匂いをかぎはじめた。
「いいなあ、女の子はこんなに髪の毛を長くして三つ編みとかできるんだから。 自分も女の子に生まれていたら、いや、できれば男でも、 この子のように長くしてこんな女の子みたいな三つ編みがしてみたい。」
 そんなことまで、衝動的に考えるほど、ぼくは女の子の長い髪の毛に対して異常な妄想を抱いていた。 それは、ふつうの女の子に対するいわゆる恋心からのあこがれではなく、 ほとんど性欲からくるものであった。ヌード写真などでは興奮しないのに、 長い髪の毛や三つ編みの髪の毛で異常に反応するという、変質者のような少年であり、 また、ほとんど女性的な性格だった。
 ぼくは、少女のその長い髪を毛先までさすって、 ついに毛先にゆわえられていた両方の黒いヘアゴムにも指をひっかけてはずしてしまった。 少女の三つ編みの髪の毛がほどけてしまったが、 ぼくはもっと少女のしていたいろいろな髪形が見たいと思い、もういっぽうの三つ編みの髪も解いてしまい、 髪の毛を背中いっぱいに広げてみたり、また少女のうなじのあたりでひとたばに握ったり、 ふたつに分けたりしてまた毛先までなでたりしていたのである。 事実、三つ編みの編み方までは、さすがに知らなかった。また、少女が起きないのをよいことに、 髪の毛だけでなく、髪の毛先から、さらに少女のお尻や、 またうつぶせになって地面のほうに向いている胸にも手を入れたり、 少女の着ていた洋服のスカートにも手を入れて下着にも指をかけていた。あきらかに、ちかんの行為だ。 その時、遠くから救急車の音がした。
「いけない、女の子にこんないやらしいことをしてしまった…。」
 その時、誰も他に見ていなかったが、ちかんのようなことをしてしまったと思ったぼくはこわくなって その場から逃げるように走っていって、しかも少女が三つ編みの髪の毛先にゆわえていた黒のゴムも 手首にはめたまま持ち帰ってしまったのだった。
 少女は、事実、車道にとびだしたところを背中から車にはねられてうつぶせに倒れ、 ぼくにとってはわからなかったが頭を打った瞬間に意識を失っていたのである。 車道を走っていた自動車の女性の運転手はスピードを出し過ぎていたが、 少しこわくなってその先に車をとめて近くの公衆電話から少女をはねたことを警察に伝え、 そのためにいま救急車が来て少女は運ばれていったが、結局意識不明のまま少女は死んでしまった。 だが、もしぼくが、その場で通報するか、また倒れた少女をすぐ近くの医者にでも運んでいれば 一命は取りとめていたかもしれなかったところだった。そんなことも忘れて、 ぼくは自分の欲望にひたってしまったために、少女を死なせてしまうことになってしまった。 少女に思いきりいたずらをしても、少女が気付かないのは当然だった。 少女の意識がすでになくなっていたためである。
 事故のことは新聞にも載らず、妹の加奈子も別の小学校だったこともあって、 少女が死んだことはぼくはその時は実は知らなかった。しかし、そのことがあって以来、 少女の髪の毛を見るために待ち伏せしようということはやめた。もちろん、 少女もいなくなってるのだから、待っても永遠に来ないのであるが。
 それでも、自分の髪の毛が伸びていたのは、この後の夜中に夢を見るまで、 まだ少女の呪いだったことにぼくは気付いていなかった。

 ぼくは、夢のなかでも長い三つ編みの髪の毛を背中に垂らしていた。 その髪の毛を両方からわしづかみにして後ろからひっぱっている者がいることにぼくは気付いた。
「いたい、いたいよ、だれ?」
「あたしを…、忘れているの?」
 不気味な、女の子らしい声が聞こえた。後ろを振り向くと、あの三つ編みの少女が、 しかも顔をぐちゃぐちゃにしながら立っていた。
「うわあーっ!」
「あたしは、おまえのせいで死んだのよ。おまえがあたしのことを追いかけたから、 あたしはにげておもてにとびだし、くるまにはねられて死んだのよ…。」
「ゆ、許して…。」
「許さないわ。そのおまえがしている長い髪の毛はあたしの髪の毛よ。 そのゆわえている黒いゴムも、もともとあたしのものでしょう。親が、 せっかくきれいな髪の毛だからといって火葬する前にはえぎわからあたしの髪の毛を切って かたみにとっているの。」
「君の、髪の毛だったの?」
「おまえに、一生取りついてやる!あたしは生きていた時、 この髪の毛を一生切らないで伸ばしつづけることにしていたんだ。 平安時代のお姫様みたいになりたいと思って。でも、おまえが殺したから、その夢もなくなったんだ。 あたしのかわりに、おまえの髪の毛を切らせずにずっと伸ばしつづけさせてやる!」
「いたーい!」
 夢のなかの少女の幽霊が、ぼくの髪の毛を強くひっぱった。
 真夜中にぼくはその恐怖の夢からさめた。髪の毛は依然として長い三つ編みのままだった。
 たしかに、自分が追いかけたせいで、この女の子は死んでしまったんだとぼくは思った。
「一年前のこの日が、あの女の子の命日だったんだ。だから、この髪の毛は急に伸びて、 ぜったい切ることができなくなったんだ。」
 ぼくは、発作的にベッドから起き上がって部屋をでて、玄関への廊下をこっそり歩き始めた。
「今なら、ママも加奈子も寝ているから…。」
 玄関に出て靴をはき、パジャマ姿のまま外へ抜け出していた。真夜中、つらい気持ちになって、 二本の三つ編みを大きくはねあげさせたまま、ぼくは目的もなく走り続けていた。
 いつのまにか来ていた場所は、少女がはねられて死んだ事故現場だった。そこへ、 一台の自動車が通りかかった。少女と同じように自分も事故で死ねばいいとぼくは一瞬思って、 道路のまんなかにとびだした。しかし、自動車は急ブレーキをかけ、 ぼくの身をよけるようにして傍らで停止し、ぼくの身体にはふれずにすんでしまった。 しかし、驚いたのはもちろん自動車の運転手のほうだった。
「危ないじゃない、こんな夜中に寝間着なんかで家をぬけだして、あっ。」
 運転手は、もちろん女性であるが、前日にぼくを診察していた女医だった。
「はっ、先生。」
「こんなところへ出歩いてもしょうがないわ。乗りなさい。わたしの車に。」
 ぼくを乗せて女医は自動車を再度発進させた。
「先生、ぼく、もう。」
「死にたいと思ったんでしょ。ここで死んだ女の子のことで。」
「えっ?どうして知っているんですか?」
「その女の子、わたしの姉の娘さんだったからよ。これから、姉の家へ行くから、 女の子の仏壇にお参りでもしてあやまれば呪いが消えるかもしれないから、つれていくわ。」
「娘さんって。じゃあ、先生は、その子のおばさんということ…。」
「そのとおりよ。さ、ほら、ここよ。」
「あっ。」
 たしかに、一年前に少女を追いかけていて、少女の入って出てきた家だった。
「まだ、日の出前だから朝が来るまで寝ていていいわ。私も休むから。」
「先生は、こんな時間に。」
「そりゃあ、医者は忙しいわよ。あなたのことをずっと長く見ていたから、 ほかの患者さんがみんな後回しになって、カルテも時間かけて作ってたのよ。 いつもなら、自分の家に帰るところだけど、遠いから、姉のところで休んでから私は帰るわ。」
「先生、すみません。」
「申し訳ないと思うなら、ここの家の死んだ女の子にみんなあやまっておいてね。」
「はい。」
 ぼくは、助手席でそのまま夜が明けるまで眠ってしまった。

 夜中に起きていたため、ぼくはだいぶ熟睡したようで、目がさめた時はすっかり明るくなっていた。 たしか、車の中で寝ていたと思ったが、眠っているうちに少女が住んでいた家の部屋に運ばれたようである。 しかし、前の日も自分の家で、自分の髪の毛が長くなって しかも三つ編みのおさげになっていたことに驚いていたが、この朝はさらにまたおどろいてしまった。 自分の着ていたものが、寝た時に着ていたはずのパジャマではなく、 女の子が身につけるネグリジェだったのである。
「や、やだあ。ぼくは、ちゃんとした男の子のはずなのに…。」
 あわててふとんをあげ、着ていた、というより、 いつのまにか着せられていたネグリジェをぬごうとぼくは思った。 ところが、そのネグリジェもぬいでみると、 明らかに女ものの下着がぼくの身体に身につけられていたのである。 まさか、あそこもなくなっているのではと思って、その下着もずりおろしたが、これはしっかりあった。 しかし、もとにはきなおすと、その下半身がさすがにきつく感じた。
「こんなもの、着ていられないよ。ぼくの着ていたものはどこへ持っていかれたんだ。」
 他人の家で、下着をぬいではだかになるのも恥ずかしいからと、ぼくはその下着姿のまま部屋をあけた。 廊下を走って、食堂に出てくると、まぎれもなく、夜中に自分を車に乗せて運んだ女医と、 死んだ少女の母親らしい者の姿があった。
「先生、ぼくのパジャマと下着は?」
 少したって、だまりっぱなしだった女医がようやく口を開いた。
「あなた、おはようございますのひとつのあいさつもできないの? それに、そんなかっこうで家のなかをかけまわって。」
「先生、だけど、きょうも学校があるんだし。」
「その、あなたの言っている学校に通う必要はないわ。」
「ええっ?」
 もうひとりの女も話し始めた。
「今日からあなたは娘の入るはずだった学校にあなたが通うのよ。」
「そのとおりよ、この制服を着るのよ。」
 死んだ少女の母親の妹という、女医がさしだしたのは、紛れもなくセーラー服であった。
「どういうことなんですか?ぼくに女の子のかっこうさせるんですか?」
「あら、どうやって自分の家に戻れるのかしら。そんな長いおさげ髪のままのかっこうじゃあ、 あなたのもとのおかあさまも怒って、もうあなたのこと、自分の息子じゃないって言って、 勘当ということを言ってたわ。けさ、あなたのおかあさまに電話したのよ。 そしたら、あなたをずっとこの家においていいって了解もとれたから。 だから、あなたはここのうちの娘さんとなって生きるしかないのよ。」
「そんな、女の子になるなんて。」
「あなた、名前は優っていうのね。ちょうどよかったわ。去年死んだ娘も同じ名前よ、ほら。」
「ええっ?ああ、ほんとうだ。」
 少女の母親に紹介されたように、その名前も優となっていた。これなら、女の子の名前として通じてしまう。
「それに、偶然ね。苗字も同じだわ。私はまだ結婚してないから違う苗字だけど、 姉が結婚した相手があなたと同じ苗字になって、しかも、カルテをとった時、 年が違っても、誕生日は同じだから、昨日最初に見た時ちょっとびっくりしたわよ。」
「ええっ?同姓同名で女の子がいたなんて。」
 そういえば、家に入る時、ぼくは熟睡したまま運ばれていたので、表札も見ずにいたが、 まさか苗字まで同じだったとは知らなかった。少女の家をつきとめた時も、表札は気にしていなかった。
「うちの優はね、去年のいまごろで、特に成績が優秀だからって、 この私立の女子中学校に推薦入学が決まっていたのよ。せっかく名門の女子中学に行けるからって、 死んだってことにはしてなかったの。だから、あなたがちょうどかわりに通うようにすればいいわ。 ただ、一年生のやり直しになるけれど。」
「ほほほ。その優ちゃんもね、あなたがしているような三つ編みの髪の毛、わたしも姉も、 長い髪の毛は好きじゃなかったんだけど、低学年の時に優ちゃんが学校で一番の成績になったので、 ごほうびになにかほしいものあるってきいたら、なにもいらないから髪の毛を長くしたいって 言い出したのよ。困ったと思ったけど、優ちゃんがそうしたいならしかたないと思って、 でも、もし次の年に一番から落ちたら髪の毛を切るのよって誓わせたわ。 そうしたら、次の学年でも、その次もしっかり一番になっていたから、 髪の毛は切らせないということになっちゃったのよ。でも、もう優ちゃんが喜んでるんなら、 しかたないと思って、もう一番じゃなくなっても切らせるのはやめたわ。」
 このことを聞いて、前日の診察で、女医もママと同じように長い髪の毛は好まなかったことを、 ぼくは納得していた。
「あの、先生、それに、優ちゃんという女の子のおかあさまという方ですか? 女の子の仏壇はどこにあるんですか?」
「そんなのないわよ。」
「ないって?」
「だから、死んだことにはしてないって言ったでしょう。」
「そんな、女の子にあやまって、呪いをといてもらおうと思ったのに。先生も、さっきそう言ってたし。」
「呪いをとく?おほほほほ。どうやって?」
「この三つ編みのおさげ髪、ぼくのせいで女の子が死んで、そのためにぼくはこんな髪の毛になってたんです。 ちょうど命日に一度に伸びて。だから、ぼくが女の子にあやまっておわびをすれば、 髪の毛を切ってもとどおりの頭に戻れると思って。それで、仏壇がどこにあるかきいたんです。」
 だが、女医たちは笑うだけだった。
「おほほほほ。いまさらじたばたしてもはじまらないわ。 そんなかんたんに、人のおかした罪が消えるわけはないでしょう。」
「そうよ、呪いの力は強いのよ。ほら、いろんな話を聞いたことがあるでしょう。 へびを傷つけたために自分のからだにへびのうろこがあらわれたり、 ねこを殺したためにねこの毛がからだにはえていたり、 みんなもとどおりのからだに戻らずに苦しみつづけているわ。 あなたも、もう、その髪の毛を切ることは一生できないのよ。もう、ずっとこのまま長く伸び続けるだけよ。」
「ええっ?」
「ねえ、優くん、もう、死のうなんて考えないことね。死んでも呪いは消えないで、 あなたは夢のなかで死んだ優ちゃんにそのおさげ髪をひっぱられて苦しむだけよ。 あなたが、ほんとうに優ちゃんに悪かったと思う、つぐなう気持ちがあるなら、 優ちゃんの身代わりになることね。」
「うう…。」
 とうとう、ぼくは泣き出していた。
「ほんと、女の子としてじゅうぶん通用するような泣き方だわ。」
「先生、それに死んだ女の子のおかあさま、もう今日からその女子学校に行かないといけないんですか。 ちょっと考えさせてください。」
「いいわ。あなたもとつぜんのことばかりで、とまどっているでしょうから。 そのかわり、あなたはきょう一日中は外へ出られないのよ。 わたしも、いちにちずっと家にいるから。あなたは優の部屋にいて、じっとしているのよ。」
 少女の母親が、ぼくに告げた。
「はい。」
 こうして、三つ編みのながいおさげ髪のすがたのまま、ぼくは、 その同じ名前である優という少女の部屋に戻り、またベッドに寝てふとんに入り、夜中の寝不足もあって、 下着姿のまま昼ごろまで熟睡していったのであった。

 ぼくは、昼ごろまでとくに、なんの夢を見たということもなく熟睡していた。 また夢のなかに少女があらわれてくることもなくなって、やや安心してきたという思いだった。
 この日の朝は晴れていたが、まもなく天気が悪くなってきて、ついに雨が降りはじめていた。 そのために、部屋のなかも暗く感じていた。
 もう、眠れないからとぼくは起き上がった。やはり、三つ編みの長い髪の毛は頭に残っていたままだった。
「ぼくは、どうしようか。このまま女の子になりきるしかないんだろうか。」
 死んだ少女が使っていたとみられる、三面鏡が部屋にあった。ぼくはその三面鏡を開いて、 少し自分の姿が見たくなっていた。雨が降ってきたために暗くなっていたので、部屋のあかりをつけて、 おそるおそる自分のうつっている鏡をのぞきこんだ。
 ぼくは、背中のほうへおろしていたふたつの三つ編みの髪を、両方の肩から前へおろしてみた。 そして、その毛先もつまみながら、鏡のなかの自分をながめていた。
「このすがたが、ほんとうに自分なの?よくみると、似合うなあ。 たしかに、こんな髪形をしている女の子にあこがれていたっけ。」
 ぼくは、だんだんとぼおっとなって、やや自分の姿に興奮さえもしてくるようになった。 もともと、長い髪の毛の女の子を見ると、その女の子とつきあいたいというより、 自分も女の子に化けてこんな髪形がしてみたいという思いがあったわけで、 むしろそうした女の子に呪われて自分が今のような髪形になったことは本望だとさえ思うようになってきた。
 しばらくすると、部屋をあける音がした。ぼくは、あわてて、三面鏡の前から立ち上がったが、 そこに訪れたぼくの母親には、どうやら心のなかを見透かされたようである。
「おほほほ、ほんとうは髪の毛を長くできてよろこんでいるんじゃないの?」
「えっ?あの…。」
「あなたがうちの優を追いかけていたのもよくわかったわ。 自分も髪の毛を女の子のように長くしておさげもやってみたいと思っていたんでしょう?」
 ぼくは焦りもしたが、どうやらその心を認めざるを得ないと思った。
「おかあさま、ぼく、いいえ、わたし、今日から女の子として、このうちの娘として生きます。」
「うふふふ。とうとう、覚悟を決めたのね。そう。すこし呪いをといてあげるわ。 髪の毛を切ることはできないけど、髪の毛先にゆわえていたゴムをほどくことができるわ。」
「えっ?ああ。」
 ぼくはふたたび三面鏡で自分の顔をのぞきながら、 片側の三つ編みをまとめていた毛先のゴムをほどこうとした。 すると、三つ編みの髪の毛もとかれ、両側の肩のうえにばさっと自分の黒髪がひろがっていって、 またその姿にぼおっとなるのであった。
「ふふふふ、おふろもわいているわ。ずっと髪の毛も洗ってないとくさくなるから、 念入りにシャンプーしなさい。」
「はい。」
 ようやく、ぼくは両方の三つ編みの髪の毛をほどくことができたのであった。

 ぼくは、とうとうこの長い髪の姿のまま女子中学に通ったり、死んだ少女の身代わりとなって この家で生活するようになった。少女の平安時代のお姫様のようになりたいという望みどおり、 ずっと髪の毛を切らずにいて、そのまま進学した高校を卒業する頃には床を引きずるくらいに伸びていた。
 その間、ぼくは自分の髪の毛を、ポニーテールにしてみたり、またこの家に来た時のように 三つ編みのおさげにしてみたり、髪形を変えるのを楽しむようになった。 学校の女ともだちやこの家の親戚という年下の女の子たちにも、髪の毛をよくなでられたりいたずらされたりしていた。
 ちなみに、ぼくが元いた家ではぼくが少女の代わりに死んだことになっているという。 その家には二度とぼくも近づかず、ママや加奈子にも、もとの学校のクラスメートや先生などとも一切会わずにいた。

<つけ毛くわえ>

 こんな奇妙な事件というのは、他でもやっぱり実際に起こっているようである。
 通学途中の電車のなかで、 やはり髪の毛を長く腰のところまでおろした女子高校生のその髪の毛にさわってしまったある男子高校生は、 翌日の朝になると自分の髪の毛も急に腰まで伸びていたというようなことがあった。
 また、ある小学校では隣のクラスの長い髪の女の子を、ずっとじろじろ見ていたために、 自分の髪の毛が急に伸びてその女の子と同じように腰まで長くなってしまったということがある。
 これらは、いずれも長い髪の毛の女の子が好きな男の子が片思いのあまり呪われてしまった例であるが、 逆に髪の毛が長い女の子に好かれたために災難にあったという例もある。
 ある中学では、その、腰まで髪の毛を長くした女の子の手紙をつきかえしたある男の子は、 やはり翌朝になると髪の毛が腰まで長くなっていたという。
 長い髪の毛の女の子とつきあっていた男の子がべつの、 それも決して長い髪ではない女の子にのりかえてしまうと、 デートの最中に髪が伸びて気持ち悪いとその子にふられてしまったという事件があった。
 ちなみに、女の子は自分の髪の毛先を机などに垂らしてその上から針を刺して呪いたい相手を念じると、 呪うことができてしまうのだそうだ。それはもちろん長い髪の毛の女の子でなければやれないが、 黒髪でなければ効果はないという。 長さが長ければ長いほど効果があり、また男に対してだけ呪うことができるという。 長髪の男性が同じように呪いを髪にかけることができるかといえば、これはできない。この呪いは、 長い髪の毛をした女の子だけに与えられた特権なのである。
 優の場合、すでに死んだ少女に呪われていたのであるが、死ぬ直前に優の姿を見て逃げ出していたことから、 すでに優が自分のことをいつもじろじろ見ていたということに気づいていて、 自分の編んだ髪の毛先に針を刺して、優のことを呪っていたという。 しかし、呪ったことによって自分も命を引き替えに渡さなければならない運命になっていたようだ。 この意味では、決して女の子にとってもいいことではないようである。

 優のように、髪の毛を切ることのできなくなった男の子は、こうして女の子に化けるか、 髪をいつも隠しておくようにするか、将来おかまバーに勤めるマダムになったりする者もいるが、 その将来はいろいろである。世の中にいるニューハーフといわれる類も、 こうして髪の毛を切ることのできなくなった呪いをかけられていたために、 その道を選ぶようになっていたのかもしれない。
 優は女子大学まで行ってしまったようだが、その将来はどうなったかわからない、ということで。
(おわり)

 いかがでしたか?次回は、へび少女ものをお届けしようかなと思います。



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感 想



 
 
 
2002.10.3(Vol.316) 初出___Cont.No.kamin02a    次の作品へ 目次へトップへ


Snake Heart様、お待たせいたしました。 「へび少女」と「トイレの花子さん」が組み合わさったような内容のお話、お届けいたします。 内容が長くなったのと、次回のお楽しみを持ち合わせても面白いと思うので、二回に話を分けてみます。題して…

です。

(もしも字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは画面解像度を変更して下されば宜しいかと存じます)
 日本の小学生だけをとりあげて、髪の毛の長い女の子というのは、だいたい平均して どのくらいの割合でいるのだろう。
 大人で髪の毛が長い人は珍しくないけれど、幼稚園の時や小学校の時はほとんど少数派で、 腰まで伸ばしていた子は一クラスにせいぜい一人か二人ぐらい。 あと、肩や胸のあたりまでだった子も二、三人いる程度だったと思う。
 そして、自分が好きになる女の子といえば、ほとんどがそうした長い髪の毛の子だった。 平安時代の女性のように背中に扇のように広がった髪を垂らして身長の半分をその髪で覆っている子、 おさげや三つ編みに結った子、リボンやヘアゴムなどいろいろなヘア小物を使って髪形を変えていた子など、 そういう女の子の後ろ姿を朝礼などで見つけると、よく見とれてぼおーっとなったりしていた。 特に、首を振るたびに超長い髪の毛や三つ編みの髪の毛もいっしょに揺れ動いたりすると、 まるでへびがくねくねと女の子の背中をはっているように見えて一瞬どきっとしたりした。 そんな男心をそそって狂わせてしまう女の子たちは、実は悪魔が乗りうつっている まさしくへび少女かもしれない。長い髪の女の子を好きになるというよりも、 自分もあんなふうに髪を長くしておさげや三つ編みがしてみたいという女性化願望もまた、 そんなへび少女が髪の毛からふりまく毒の香りをかがされたために起きているのだろう。
 このお話はまた、そういう長い髪の女の子を好きになって思い詰めた男の子が おそろしい運命におちいった、こわいお話である。


 この春、転校した伊久野良幸(いくの・よしゆき)は五年生となり、 ふたつのクラスがあるうちの二組のほうに入れられた。一組のほうを見ると、 腰以上に届いている長い髪の毛の女の子が二人がいたのに対し、良幸の入った二組には そこまでの子がひとりもおらず、せいぜい肩先ぐらいまでの子が何人かいるぐらいだった。
 一組にいた長い髪の二人のうち、ひとりは可愛由美(かあい・ゆみ)といって、 その学年では背もとびぬけて高く、ふたつの三つ編みにまとめた髪の毛先がお尻まであったから、 ほどくとスカートの裾より先まで、少なくともひざまであるのではと思うほどだったが、 一度もほどいた姿を見せたことがなく、一本の三つ編みにまとめていることが時々ある程度だった。 顔も面長でそんなにかわいいという感じではなかったが、きっちりと何本もさしこまれたピンで 前髪も切っていないようできつめに編まれ、先がだんだん細くなっていて、 お尻の上のところでそれぞれの毛先に黒いヘアゴムをいつもゆわえているところに良幸はそそられていた。
 もうひとりの子は向井昌子(むかい・まさこ)といって、やはり最初に見た時は 由美と同じようにふたつの三つ編みにしていたが、結んでいたヘアゴムは白い太めのものが多く、 由美に比べるとよく髪形やヘア小物をいろいろ変えて、三つ編みをほどいて ツインテールになっていたり、ヘアゴムをはずして背中にひろげておろしていたり、 えんじ色のヘアバンドで前後に分けて垂らしていたり、また ひとまとめのポニーテールなどをしていることもあった。身長は学年平均より少し高い程度で、 毛先はウェストのあたりでスカートの上裾に届く程度であった。 顔も丸顔で色白だったが、やせている由美に対して昌子は少し太めだった。 それでも昌子の三つ編みをほどいた時の毛先はきれいに揃っているので、長くはしていても まめに毛先を切りそろえているようで、編んでいる時もずっときれいな同じ細さになっていた。 これに対して由美の髪はちょっと枝毛も目立ち、切りそろえることもせずいつも伸ばしっ放しのようである。 良幸にとって、実はそのクラスの違うふたりの名前はだいぶ後になってわかるのだが、 いずれにしても朝礼の時にとなりで、 また自分の二組の教室に入る前に途中で横を通る一組の教室をときおりのぞき見して、そのふたりがいるのを確かめるたびに、 恍惚感にひたってたまらなかったのである。
 自分のクラスでは、せいぜい前の席にすわっていた川島奈津美(かわしま・なつみ)という子が、 後ろに白いリボンでひとまとめにいつもしばっていて 肩より下ぐらいまであった程度がいちばん長い髪の子だった。

 このように、女の子の長い髪の毛に関心を持っている男の子は、良幸の学年では ほかに見当たらないようだった。良幸が気にしているそれらの女の子たちには 仲のよい男の子もいないようで、男からみると近寄り難い雰囲気を持ち合わせ、 いずれも性格的におとなしく女らしい子であった。やはり髪の毛が長いせいもあって そう見えるのだろう。また男の子のあいだでもほかの女の子のうわさをすることはあっても、 昌子や由美の話はまず出ていない。そのかわり、女の子たちの間では人気があるようで、 彼女たちの髪の毛をさわりに女の子が集まってくるという感じであった。 良幸もいっしょになってあの子たちの髪の毛をさわりたいと思いながら、 良幸は遠くからいつも眺めるだけであった。どちらかといえば、 女の子の恋人になりたいというよりは、自分もあの女の子みたいに髪の毛を長くして また女の子たちに髪をなでられたり編んだりしてみたいという妄想のほうが強かったのである。


 学校が休みのある日曜日の夕方のこと、おそろしいことが起った。
 宿題をやっていてノートがたりなくなってきた良幸は、文房具屋へ新しいノートを買いに行っていた。 その帰りに良幸は、となりの一組にいるあこがれている少女のうちのひとりである 向井昌子が通りかかっていたのを見たのである。 しかも、また今まで見たことのない髪形だった。頭の上に少し大きめの赤いリボンをつけており、 その下には三つ編みの輪になった髪の毛が二組ずつ見えている。あとでわかるのだが、 最初は二本に分けた髪の毛をそれぞれ編んでリボンにまとめていたのかと思ったが、 片方の髪の毛がもう一方に比べて少し細くなっており、太めの三つ編みのほうには 留めているヘアゴムや毛先なども見られなかったため、どうやら一本にまとめた髪が肩にかからないように いったん折り返してふたたび下げてまた折り返しているようで、 その最初に折り返してまた下げるあたりと毛先をリボンでまとめているようだった。
 良幸は昌子のしている髪形をもっとよく見たいと思ってしまい、こっそり後ろから まるでストーカーのようにつけてしまった。もし、同じクラスの子なら話しかけてもいいと思うし、 向こうから自分にも気づいてくれるだろうと思うけれど、しゃべったこともない違うクラスの子になど とても話しかけることはできなかった。同じクラスでもだめだろう。 そんなに男の子と女の子が仲がいいわけでもなく、まして転校生の良幸が 男のくせに髪の毛のことを聞いてくるなんて、よけい気持ち悪いと思われるかもしれない。
 (「ねえ。」「なにかしら、良幸くん。」「初めて見た君の髪形ってすてきだね。」 「ええっ?まあ、男の子なのに、髪の毛なんかに興味あるの?」 「いつも、二本の三つ編みにしてたでしょ、この髪の毛も二本でまとめてるの?」 「いいえ、今日は一本にしているのよ。背中にかかると今日は暑くなるから、 こうしてリボンでまとめてるの。」 「一本にしてるの?ちょっとリボンをはずしておろしたところみたいけどいい?」「いいわよ…ほら。」 「わあ…やっぱり、こんなに長いのね。おろしたほうがずっとすてきだな。」 「うふふふ、そんなに長い髪の毛が好き?」「え、うん。」 「よかった、わたし、切りたくないと思っているのに、ほかの女の子なんかからみんな、 短くしたらって言われてるの。あなたはそうは思わないでしょ。」 「うん、もちろん。ぼくは君に切ってほしくないと思ってるよ。」 「じゃあ、わたし、あなたのためにずっと伸ばすわね。」) …こんな会話の妄想を抱きながら、昌子の後を歩き続けていたが…。 そんな甘い夢などとはうらはらに、恐ろしいことが待っているとは良幸には思いも寄らなかったであろう。

 まもなく、昌子が、途中で田畑の間のあぜ道に入っていった。まだ良幸のことに気づいていない感じで 一度も後ろを振り向かなかったが、その道のかたわらから、一匹のへびが出てきて、 昌子の歩いている足にからみついてきた。
「や、やだ、あの子の後ろにへびが…。」
 へびは、昌子の背中まではいあがってきて、やがて首のあたりに巻きついてこようとしていた。 昌子は気づかないようである。良幸は、近づいてへびを取り払おうかとも思ったが、 自分もへびはすごく苦手だったので、先へ歩いて行く昌子のうしろ姿を見送っていくしかなかった。
「はっ、なあに、わたしの首に、あっ、きゃあーっ!」
 昌子の背中からはいあがってきたへびは、肩の上までこえて前のほうに出てきたため、 やっと昌子も気づいたのであるが、その時だった。
 昌子の左足から、うろこにおおわれた人間の両腕らしいものがあらわれて、 それぞれの手で昌子の両足をつかまえ、昌子が悲鳴をあげる時には その腕があった穴のなかに引きずられていた。昌子の身体をはっていたへびは、 うなじから三つ編みの髪の毛にまでからんできて、とうとう昌子がまとめていた赤いリボンもはずれて 傍らに落ちてしまった。
「え?あの子の身体が、いったい…。」
 良幸は、そのリボンがはずれた後にまたひろげられた一本の三つ編みの髪の毛が、 最後にひきずられてすばやく穴のなかにはいっていくのを見届けたのであった。 へびも昌子の身体から降りていつのまにかいなくなり、昌子の赤いリボンだけが残っていた。 そのリボンには、髪を留めるための金具がはめられていたが、その金具が開いた形で、 リボンが落とされていたのであった。
 良幸は、その赤いリボンを拾って、こともあろうにその場でリボンの匂いをかいでいた。
「うーん、あの子の長い髪の毛の香りが、はっ。」
 穴へ引きずられていった昌子はどうしたのだろうと、リボンを手にしながらその穴をのぞいて見た。 すると、穴の奥からは怪しい光があらわれた。それは、さきほど昌子の身体にはいあがってきた蛇の両眼だった。
「うわあーっ!」
 良幸は驚いてすぐ走っていった。昌子のことを助けようと思えばできたのを 傍観してしまったことに対しても申し訳なく思いながら、こわくて誰にも話すことができず、 帰宅してすぐ寝込んでしまった。


 翌日の月曜日、良幸は特に気分も悪くなかったから学校に行くことにした。 昌子の赤いリボンを持っているわけにもいかないからと、ランドセルに隠しながら登校していた。
 この学校では、月曜日は朝礼がなかったので、昌子はどうしたのだろうかと良幸が確かめるのも 彼女のいる一組の教室をのぞくしかなかったが、その教室に入る前に、 昨日穴にひきずられていったはずの昌子が入っていく姿がしっかり見えていたのである。 今日は三つ編みもほどいていたが、それぞれ耳より少し下の位置でいつも使っていた白いヘアゴムを束ね、 そのまま流れるような感じの黒髪を両肩より前に垂らしていた昌子の姿だった。
「ええ?あの女の子は助かってたのか。リボンを拾ったんだから、あとで返さなくては。」
 ひと安心して昨日のことは夢だったのではと思うようにもなったが、もしかして リボンを返す際に初めてあの昌子としゃべることができるかもしれないと思うと また胸もときめいてくるのだった。もうひとりの由美のほうは いつもの二本にまとめた三つ編みのおさげである。
 そして、自分の二組に入って自分の席に着くと、前にすわっていた川島奈津美が また良幸をそそらせてきた。奈津美は、いつものポニー・テールだった髪形を初めて変えて、 ふたつに分けた三つ編みのおさげの姿で通学してきたのだった。昌子や由美ほど長くないが、 奈津美が首をふるたびにひとりでに動く髪の毛先にゆわえられたピンク色のヘアゴムが 肩の上をなぞってくるといった感じで、その髪の毛のようすにまた、 良幸はどきどきとなってしまった。三つ編みにも特にまたあこがれがあるためである。 奈津美は身体も小柄であまり目立たないが、胸が比較的大きいちょっとした美少女タイプだった。

 二時間目の授業の途中、奈津美のおさげ髪を眺めてぼーっとしていた良幸は 急にトイレに行きたくなり、あわてて教室を出て、かけこんでいた。
「はあ、はあ。」
 用足しをすませて良幸は、男子便所内であるはずのこのうちの大便用の一室で、 なぜか女の子の声がするのを耳にしたのである。
「うふふふふ。さあ、いくわよ。」
「いいわよ。」
 その方向を見て、大便用の老朽化して壊れていた小さな穴からこっそりのぞくと、 良幸は驚いた。ふたりの女の子は、日頃から良幸があこがれていた、となりのクラスにいる 可愛由美と向井昌子だったのだ。けさ教室で見た時と同じ、 由美はいつものふたつの三つ編み姿、 昌子は白いヘアゴムを耳より少し下の位置で束ねた髪の毛を垂らした姿だった。
 しかも、なにをしているのだろうと思っていたら、由美が首を伸ばして昌子の顔に近づき、 目がつりあがって光りだし、大きく口をあけてなかから牙をはやし、 昌子ののどに突き刺せようとしていたのである。そして、由美の口からはまた へびのような舌がすばやく出てきて、昌子の首から流れ出てきた大量の血を 一瞬のうちになめあげていたのである。
「や、やだ。もしかして、あの子は吸血鬼、それともうわさのへび少女? 昨日、もうひとりの子にへびが絡みついていたのは…。」
 事実、由美はへび少女だった。由美の首にはへびのうろこに覆われた模様が見えていた。 そして、昌子に噛みついて血を吸い、昌子を仲間にしようとしていたのである。 というより、昨夜に穴に引きずられていた時に昌子はすでにへび少女にされていたようである。 昌子の両足を引きずっていたへびのうろこの主が実は由美だったようだ。 事実、由美が昌子の両方のおさげ髪をわしづかみにして引っぱると、後ろの髪が分かれたうなじからも 皮がビリビリとはがれ落ちてうろこの模様が現われていた。
「たいへん、このトイレから逃げなければ、あっ。」
 扉が、どうやっても開かなくなっていたのだ。へたすると、自分はふたりのへび少女から、 もう逃げられなくなる。
 トイレの扉をあけるのに四苦八苦しているうち、大便用の扉が開いて、由美と昌子が出てきてしまい、 良幸は姿を見つけられてしまった。さきほどはへび女に変身した姿になっていたが、 この時はもとの姿に戻っていた。
「あなた、そんなところにいて何をしているの?」
 その声は由美のようであったが、良幸は答えられなかった。恐ろしいへび女の相手なんて できないと思ったからである。
「どうしたの?ドアがあかないみたいね。手伝いましょうか。」
 こんどは、昌子が自分の背中から近づいて、良幸の右腕をつかもうとした。 良幸はすぐ、その手を振り払った。
「あなた、女の子に暴力をふるう気なの?」
「なあに、この子。なにもしゃべらないで、なんとか言いなさいよ。」
 ふたりの少女にすごまれて、良幸は、こわくて何も話すことができなかった。 しかし、トイレのドアをあけることができないのだから、ふたりから逃げることもできないのである。
「ふふふふ。いくら男の子でも、女の子ふたりの前ではかなわないわよね。」
「あなた、逃げようとしているわね。けれど、もう、あなたはここから逃げられないのよ。」
「えっ?」
 とうとう、彼女たちは正体を現わそうとしているようすだった。

「あなた、見たんでしょ、わたしたちがなにをしていたかを。」
 事実、昌子の首には、はっきり歯型のあとが見えていた。
「うふふふ、あなたはいつも、わたしたちのクラスをのぞき見してたじゃない。 とくに、わたしと昌子ちゃんのことを、いつもじろじろ見ているのがわかっているのよ。 わたしたちがいるのをたしかめたら、あなたは廊下を出ていっていたわ。」
「ええっ?」
 たしかに、彼女たちの長い髪の毛見たさに、となりの一組の教室をよくのぞいていたのはたしかだった。 もう、こうなったら謝るしかないと思った。
「ごめんなさい。」
 良幸は頭を深々と下げた。
「そう、自分のしたことを認めるのね。でも、すごく迷惑だったのは事実よ。 もし、許してほしければ、わたしたちのいうことに従うのね。」
「ええっ?」
 由美が、良幸にまたすごむように話しつづけた。
「まず、頭を上げて、昌子ちゃんの顔をよく見るのよ。」
「ああっ。」
 由美に言われたように、昌子のほうを見ると、昌子の目が赤く光りだし、 まともにその光を見つめてしまった良幸は、ついに身体が苦しくなって、その場に動けなくなった。
「うふふふ。」
 由美も良幸の背中にまわって、良幸の胴体を両腕で巻きつけて抱きしめ始めた。 しかも、由美は自分の三つ編みにしている長い二本の髪を、 良幸の首の両側から肩の上に垂らしてきた。 その髪の毛先がひとりでに動きだして、良幸の肩から胸の上をはっていき、 それぞれの毛先がへびの顔に変わり始めていた。
「うわあーっ!髪の毛がへ、へびに…。」
「くくくく。」
 昌子の二本に束ねていた長い髪の毛もだんだん舞い上がるようになり、 三つずつに分かれたそれぞれの毛先がへびの顔になっていった。そして良幸の首にとびついてきて まきつこうとしていたのである。ふたりの美少女はメデューサのようだった。
「うわっ、こ、こっちも…。」
「おほほほ、おくびょうね。へびを見てこわがってるようじゃ。」
「ほんとうに、いやらしい子ねー。男の子の風上にもおけない。あんた、女のくさった子よ。」
 後ろから、由美にも言葉攻めを容赦なくあびせられていた。すると、今度は昌子が 前日に自分の後をつけていたことを責めだした。
「そのくせ、きのうわたしのことをあなたは追いかけていたわね。しかも、わたしが へびに襲われた時、あなたは助けないでずっと見ているだけだったわ。ひどい人ね。」
「う、ううっ…。」
「それに、わたしのリボンを勝手にもってったでしょう。」
「あ、あの、それは今日届けようと…。」
 もはや、自分の彼女たちに対する行為が、すべてお見通しのようで、 良幸はなにも抵抗することができなかった。
「さあ、昌子ちゃん、この子の首にかみついて血を吸うのよ。」
 とうとう、由美の、毛先がへびの姿になっているふたつの三つ編みの髪の毛が 良幸の首の両側から巻きついてしまった。昌子は口を大きく上下にあけ、 なかからへびの長い舌と鋭い二本の牙をとがらせて出してきたのである。
「うわあーっ!」
 昌子は、その牙で良幸の首にかみつき、流れ出てきた血を長い舌でけんめいになめて吸いあげていた。
「おほほほほ、あなたもへびになるのよ。うふふふ、あなたは、 わたしたちの長い髪の毛が好きなのでしょう。この髪の毛であなたは、 わたしたちの思い通りに動くようになるの。あなたの身体はわたしたちが支配するのよ。」
「ええっ。」
「くくくく。」
 全身に痛みが走った。昌子の舞い上がった長いおさげ髪が良幸の顔にばさっとかかってきて、 良幸は香りをかがされ、もうろうとしてきて、もはや抵抗もできなくなっていた。 それより、由美が言ったように長い髪の香りに吸い込まれるようになっていった。 へび女の髪の毛には、こうして相手を自分の思い通りにあやつってしまう魔力が備わっているのである。 もちろん、髪の長さが長いほど魔力は強くなっており、 それも黒髪の女だけが持っていることのできる魔力なのである。 また、最低でも三つ編みができるぐらいの長さがなければ、その魔力は備わない。
「う、ううっ、ああ…。なんてきれいな長い髪の香り…。」
「うふふふ。」
 昌子に動かされるようにして、いつのまにか自分の意志と関係なく良幸は昌子の髪の毛を じかになでさせられていた。あこがれの少女の腰までとどく長いおさげ髪、 いつもうらやましがって見ていた三つ編みをほどいた黒髪、 だが、その毛先はおそろしいへびになっているのだ。後ろから由美も良幸の首に流れている血をなめている。
「はあ、はあ。ぼくは、この女の子のもの…。身も心も…。髪の毛に巻かれてしまいそう…。」
「くくくく。」
 こうして、ふたりのへび少女にはさまれた良幸は、ついに気を失っていた。昌子は、 かまわず良幸の首をぴちゃっ、ぴちゃっとなめ続けていた。
 そして、昌子の牙に噛まれた良幸の首筋からは、皮膚がベリベリとはがれ落ち、 由美や昌子の首と同じようにへびのうろこが…。
(「下」につづく)



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2002.10.30(Vol.323) 初出___Cont.No.kamin02b    次の作品へ 目次へトップへ



(もしも字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは画面解像度を変更して下されば宜しいかと存じます)

前 編
「うう…ああーん。はっ。」
 良幸は、気を失って目がさめたが、ここはまた良幸が入ったはずの便所とは別の一室らしかった。 洋式便所のふたをしめた便器の上で、壁にもたれながら良幸は眠っていたようだった。 そして、白いヘアゴムを両耳の少し下でそれぞれ束ねた髪の毛を前に垂らしている向井昌子と、 ふたつの三つ編みに結った髪をスカートのそれぞれのお尻のあたるところに毛先をはわせている可愛由美のふたりが目の前に立っていた。 へび少女に変身していたふたりとも、いまは人間の姿に戻っていた。
「おほほほ、気がついたわね。」
「ぼ、ぼくは、どうしてたんだろう。ここは…。ううっ。」
 便器の上から降りて立ち上がろうとしたが、うまく立てないのである。 それより、床から壁のほうをはっているようであった。
「うふふふ、あなたの腕をよーく見るといいわ。」
「あっ。」
 良幸の両腕がむずむずしてきて、皮膚がベリベリとはがれ、まさしくへびの模様が現われていたのだった。
「鏡も見たら?」
 昌子が手鏡を良幸の顔にさしだしてきた。
「ああっ!」
 良幸の顔も昌子に噛まれた首のほうから皮膚がベリベリとはがれ、へびのうろこで覆われていたのである。 しかも、口をあけると自分のその口のなかには牙が光っており、へびの長い舌もあらわれている。
「うふふふ、これをあげるわ。」
 由美がこんどは一個のゆで卵をさしだしてきた。良幸は、その卵を舌ですくって、 そのまま丸のみしてしまった。
「うう、うぐ…。」
「おほほほほ。これであなたもりっぱなへびになったわね。」
 とうとう、良幸は由美や昌子と同じ、へび少女の仲間になってしまったようである。

「へびって、ぼくは…。」
「そうよ。わたしたちと同じよ。」
「いったい、ぼくは、たしか授業中にトイレにかけこんで…。」
 その時、学校内のチャイムが鳴った。
「おほほほ、この扉からは出られないわ。いま、二時限目の授業が終ったところよ。 ここは女子便所よ。あなたのような男の子がいたら、みんなびっくりするわよ。」
「ええっ?たしか、ぼくは男子トイレで…。」
「うふふふ。あなたが気を失っている時に、わたしたちは運んできたの。」
「そんな、ぼくを女子便所に連れてきて…。」
「おほほほ。もうすぐ、このとなりにあなた好みの女の子が入ってくるわ。 その子を襲ってへびにするのよ。」
「ええっ?あっ。」
 昌子の目が光りだして動けなくなり、髪の香りをまたかがされて良幸はまた意識がもうろうとなり始めた。 そして、壁に正面からばたっと身体をもたれさせ、いつのまにかその壁をはいあがっていたのである。 そして、その壁の上からとなりの便器室に移ろうとしていた。 その便器室には、けさ自分を興奮させた川島奈津美が、さきほどと同じ三つ編みのおさげの姿のまま入ってきて、 扉にかぎをして閉めると、スカートと下着をおろして用足しをしようとしていた。
「うふふふ、背中のほうから襲って噛みつけばいいわ。あなたの姿を見られないよう にね。」
 昌子のおさげ髪にあやつられた良幸は、とうとう壁をのりこえて、用足しをしている最中の奈津美の背中にとびつき、 髪の分け目をまず舌でなめ始め、それから両側の三つ編みにした髪の毛先をそれぞれの手でわしづかみにして髪を引っぱった。
「きゃーっ!だれ?」
「くくくく。」
 女子トイレの密室でしかもかぎをかけてしまったため、奈津美も助けを求められなかった。 良幸は大きく口をあけて牙をとがらせ、うなじに噛みついてしまった。そして、奈津美の血を吸っていった。

 一瞬、気を失って倒れていた奈津美もすぐ目覚めたようで、 良幸が噛みついたおさげ髪のあいだのうなじからもベリベリっと皮膚がはがれてうろこが現われていた。 奈津美の首がとつぜんろくろ首のように伸びた。そして、身体をはわせながら良幸のほうを振り向いて、 目をつりあがらせ、口から牙を光らせて長い舌を出していた。
 上から一匹の蛙が、となりの便室にいた由美によって投げられてきた。 それを奈津美は長い舌ですばやく受け取るとすぐにまた丸のみしてしまった。良幸はおどろいてしまった。
「ああ、この女の子がかえるを…。」
「くくくく。」
 奈津美は内かぎをしていた便器室の扉をあけ、さらに開いていた窓から外へとびだしていった。 そして、隣にあるやはり窓の開いていた男子便所の窓に侵入していったのである。 そして、別の男の子の悲鳴もすぐ聞こえてきた。
 奈津美の出ていった窓から良幸も顔を出したが、後ろから、由美や昌子もとなりの便器室から現われて 良幸に声をかけていた。
「うふふふ、これであなたもひとりの女の子をへびにできたわね。」
「はあっ。」
「あら、涙が出ているわ。男の子のくせに、しかももう、あなたはへびになっているのよ。 泣いていたらよけいおかしいわよ。」
「だって…。」
 良幸は、奈津美がへび少女になったばかりなのにあんな簡単に恐ろしい心になりきれるのかと驚き、 しかも奈津美のようなかわいい女の子を身も心も恐ろしいへび少女にしてしまったことに、 ぼうぜんとしているところであった。
「おほほほ、ばかね。あの子はもうすっかり、自分がへびになったことを喜んでいるのよ。」
「ええっ?よろこんでいるなんて…。」
「あなたのクラスの川島奈津美ちゃんって女の子、かげではけっこう好きだと思っている男の子も多いわ。 でも、奈津美ちゃんはね、そんないやらしい男の子たちに追いかけられるのがいやだったのよ。 ちかんにあったこともあるしね。だから、これからは自分のことを追いかけにくる男の子を ひとりずつ誘ってみんなへびにしていくわ。」
「あなたが、わたしや昌子ちゃんのことをしつこく追いかけて、へびにされたようにね。」
「う、うう…。」
「わたしたちがへびになっているのも、もとはみな、あなたのせいなのよ。」
 実際には、追いかけたのではなく、ただ、いるのを確かめて見つめ続けていただけなのだが、 たんに好きになっただけなのに、こんな恐ろしい目に合わなければならないなんてなぜなのか、 そんなに迷惑なことだったのかと思った。たしかに、好きじゃない異性に好かれるのは、 特に女の子のほうはいやだという子が多いかもしれない。しかし、そうした心のうちも へび少女たちには読みとられている。
「奈津美ちゃんも、あなたのことなんか相手にする気などないから、あなたの片思いね。 それなら、襲ってもかまわないはずよ。」
「由美さん、この男の子、まだじゅうぶんへびになりきってないみたいね。 ひとり血を吸っていることだし、もういちど思いきり血を吸いとったほうがいいんじゃないかしら。」
「そうね、じゃあ、もういちど、こんどはわたしが襲うわ。」
「えっ?」
 由美が、両方の三つ編みの髪をまたへびのように舞い上がらせ、不気味に笑いだしながら、 しだいに正体をあらわしていくのだった。
「うふふふふ。」
 由美の目がまた赤く光りはじめ、良幸は身動きがまたできなくなった。 そして、すぐに良幸の首に由美がかみついてきた。由美の長い三つ編みのおさげ髪がとびはねるように 良幸の両肩にかかり、また良幸の意識はもうろうとなっていったのである。 由美の黒いゴムで三つ編みの黒髪をまとめた毛先はまたへびの顔に変わっていた。
「ううっ、うう…。」
「くくくく。」
 由美に血をたっぷり吸われてしまった良幸は、また由美の三つ編みの毛束を顔になでさせられ、 髪の香りをかがされてまた由美の命令どおり動かされた。そしてまた壁をはい上がって、 さきほど奈津美が出ていった窓から身を乗り出していた。
「うふふふ、ほら、こんどはあそこを歩いている体操服の一年生の女の子がいるわ。 あの子にとびついてへびにするのよ。」
 自分のいる便所は校舎の二階で、裏側は塀にはさまれた狭い道になっていたが、 そこをなにかの係でもしているのだろうか、次の授業が体育らしい一年生の女の子がひとり歩いていた。 女の子は、それぞれ耳の上のほうに水色のリングのゴムをゆわえていたいわゆるツインテールのおさげで、 毛先がはいていた黒いブルマーのなかほどまで届いており、身長も一年生の平均に比べてだいぶ高く、 一年生ではいちばん髪の毛が長い子のようだった。
「うふふふ、さあ、あの子を襲いに行くのよ。」
 由美の髪の魔力に引き続き動かされている良幸は、窓をとびだして外の壁を頭を下にしながらはっていた。 そして、女の子の後ろから背中にとびつき、ツインテールの髪の毛をそれぞれわしづかみにした。 すると、女の子はその場で前のめりになって倒れ、良幸はまた髪の分け目をなめた後、 うなじのところに噛みついて、女の子の血を吸いだしたのだった。
「きゃあーっ!」
「くくくく。」
 その一年生の女の子もへび少女になり、同級生の男の子のほか、上の学年の男の子も次々に誘って へびにしていった。やはり、髪の毛が長い女の子を好む男の子が一学年にひとりずつおり、 そうした男の子が狙われてまた髪の毛が長い女の子を狙ってへび少女にしていったのである。 男の子はつねに長い髪の女の子に支配されて、女の子が男の子の好みを見抜いて用意した女の子を襲わせていたのであった。


 三時限目の始まるチャイムが鳴った。良幸はようやくふらふらと立ち上がって、やっと自分の教室に戻った。 良幸が襲ってへび少女にしたはずの川島奈津美も、なにごともないように戻って、 良幸の前の座席にすわっていたが、二本の三つ編みの髪の毛の間にあるうなじには、 自分の噛みついたあとが良幸には見えていた。
 給食の時間、良幸はへびの舌が出ないように、ふつうに食べていた。 一年生の少女を襲った後は血も吸い尽くして、由美や昌子からも離れることができて、 気持ちは落ち着いたように見えた。
 ところが、給食が終って男子便所にかけこむと、そこにはやはりあの由美や昌子、それに川島奈津美も加わって、 三人でかえるを集めておいしそうに食べていたのである。
「あっ、へび少女たちが…。」
「おほほほほ、あなたもへびでしょう、おいしいわよ、このかえる、いっしょに食べるといいわ。」
 良幸は由美にかえるを差し出された。
「あの、ぼくは給食をとったからいいです。それに…。」
「ばかね、この便所から逃げられると思う?」
「ああっ!」
 昌子が目から光線をすばやく光らせて、また良幸を動けなくしてしまった。
「うふふふ。」
 今度は、昌子はおさげ髪にまとめていた白いヘアゴムを、それぞれ髪からほどいて手首に巻き、 前髪だけを前に垂らして、後ろの髪を背中にはらうなどして良幸を挑発していた。
「うっ、う…。」
「また、わたしが血をいただくわ。」
 髪形を変えた昌子に、良幸は迫られていた。昌子の髪の毛先がまたへびの顔に変わって、 良幸の顔をなで始めていた。そして、良幸の首にさっと昌子が牙をさして噛みつき、 ばさっと昌子の黒髪が良幸の顔を覆って、良幸の意識はまたもうろうとなっていた。
「あ、ああ、血、血がほしい…。」
「おほほほ、それなら今度はあそこへ行ってみるといいわ。」
 後ろから由美が良幸を誘い、窓から指差した先は、この小学校とははす向かいにある私立の女学校だった。
「ほら、いまはお昼休みよ。あなたの好きそうな長い髪の女の子がたくさんいるわ。 だれでもお好みの子にとびついて血を吸ってくるのよ。」
 昌子の髪の香りをまたかがされた良幸は、その命令通りに塀をこえてとなりにあるその女子校にまで、 ずずずっとはいあがっていった。この女学校は中学と高校の両方があるので、女子生徒ばかり数多くいた。

「くくくく。」
「きゃあーっ!」
 何人かの女子生徒がいるうちで、良幸が後ろから襲った少女は、身長の高い大柄の女子高校生で 顔はそれほどかわいくはないが、良幸の目にとまった女子生徒のなかで最も髪の毛を長くしていた。 ツインテールでまず両耳のところを黒いリングのヘアゴムでとめて さらにルーズな感じの三つ編みをしており、またそれぞれちょうちょ結びの黒いヘアゴムでとめた毛先が スカートの下裾をも超えていた。ほどけば1メートルぐらいはありそうな長くて多い髪の ある年上の少女の背中に良幸はとうとうはい上がってしまい、両手でそれぞれの三つ編みの髪のなかほどを わしづかみにして、すぐにうなじをなめて牙をさしだした。
「ひひひひ、ひひ。」
「うう…。」
 周囲にはほかに女子生徒も何人かいたが、もちろんみんな気持ち悪がって誰ひとり良幸が襲った女子生徒を助けようとせず、 逃げまどうだけだった。
「ほら、おまえをみんな見殺しにする気だ、ふくしゅうして他の女の子たちをみんなへび少女にするがいい。」
 良幸は、また校舎の裏手から壁をずずずずとはい上がっていった。 そしてまた二階にあるあいていた便所の窓に侵入していた。もちろん、これは女子便所であるが、 ちょうど入ってきた女子生徒の背中に飛びかかっていた。こちらは由美や日頃の昌子と同じように 直接髪をきつめにした三つ編みの髪形で背の低い中学生だったが、髪の毛も太めに編んでいて、 身体も完全に太った、いわゆるデブであり、足もいわゆる大根足だったが、 やはり二つにまとめられた髪の毛先は腰までかかっており、良幸の好みであった。
「きゃあーっ!」
「ひひひ。」
 その状況を、遠くから口をあててにやにやと不気味に、由美と昌子が笑って眺めていた。
「うふふふ、あの女のくさった男の子は顔や体型に関係なく、やっぱり髪の毛がいちばん長い人にとびついたわね。
「ほんとね、ふつうの男の子なら、顔のかわいい子とか、スタイルのいい子を狙うのにね。」

「あっ、ほら、戻ってきたわ。」
「わたしたちの姿を見つけたようね。髪の毛を前に垂らしたから。」
 良幸が、ふたりのいる女子便所にはいあがって窓から戻ってきた。
「なあに、わたしたちはとっくにへびになっているのよ。なんの用かしら。」
「女王様…。」
「まあ、女王様だって。すっかり、わたしたちの奴隷になりきったようね。」
 良幸は、彼女らの名前をそういえば知らなかった。
「血をたっぷり吸いました。どうぞ、ぼくにまた噛みついて吸ってください。」
「おほほほほ。わたしと昌子ちゃんのどっちがいいのかしら。」
「あの…、これ。」
 良幸は、昨日昌子が三つ編みの髪の毛をまとめていた赤いリボンをさしだしていた。

「あら、わたしが昨日つけていたリボンね。いらないわ。」
「この男の子の頭につければ?性格は女の子みたいだから。髪の毛にあこがれてるな んてね。」
 そう言うと、由美が良幸の持っていたリボンを取り上げて、良幸の頭の上に金具を挟 んでとめたのであった。
「う…うう。」
 良幸は、また手を上にあげて昌子に用があるようなしぐさをしていた。昌子のおろし ている髪の毛に手をかけようとしていた。
「昌子ちゃんの髪の毛、さわろうとしてるわ。」
「わたしの髪の毛、さわりたいの?ほほほほ。さわらせてもいいけど。」
「あの…、それを、毛の先に…。」
 良幸は、昌子の手首に巻いていた白いヘアゴムを指差していた。
「わかったわ。昌子ちゃん、この子は昌子ちゃんに、わたしと同じ三つ編みのおさげ にしてほしいみたいよ。いま、女学校で襲った人もみんな三つ編みだから、三つ編み がいちばん好きみたいね。」
「おほほほほ。やっぱりそうね。そうだわ。後ろにまわって、由美ちゃんといっしょ にわたしの髪の毛、編んでみたら。」
「えっ?」
「うふふふ、喜んでるわ。この子、やっぱり。」
 良幸は、言われたように由美といっしょに昌子の背中にまわった。由美が昌子の髪の 毛をふたつに分けて、左側の髪の毛を良幸に握らせていた。
「いいわね。まずこういうふうに、三つに分けて、まずいちばん外側の髪を上にして 一番下にまんなかの髪を、そう、そうやって…、うふふふ、じょうずだわ。」
 由美の編み方を見ながら、良幸は昌子の左半分の髪をぎこちなくも三つ編みに結って いた。そして、手首に巻いていた白のヘアゴムを毛先にとめた。良幸に編まれたその 髪の毛を、昌子は前に垂らして毛先をつまんだ。
「ほんとうに、うまく編めているわね。うふふふ。」
 良幸が最初に昌子をひと目で見て好きになった時はたしかに、この三つ編みのおさげ の姿だった。その姿で昌子はまた良幸の首に牙を近づかせていた。
「くくくく。」
「ううっ。」
 良幸の結った昌子の三つ編みの髪が、良幸自身の肩にかかっていた。そして三たび良 幸は昌子に首を噛みつかれ、血を吸われていったのである。良幸の頭には昌子の赤い リボンがとめられたままだった。
「うふふふ、長い髪の毛の女の子を好きな男は、性格も女の子みたいな子が多いの よ。このまま自分も髪の毛を切らないでわたしたちみたいになりたいと思ってるで しょう。そうすれば、そのリボンが役にたつわよ。」
 こうして、長い髪の毛を持つ少女は男の子を狂わせ、その毒牙にかかった男の子は、 少女の奴隷となる髪フェチとなって一生抜けられなくなるのである


 へびになった良幸は、そのまま小学校を卒業した。良幸の両親も、由美と昌子が家に来て襲われ、 へびになっている。
 そして、中学生に進学し、小学校の時は同じクラスではなかった可愛由美と、とうとう同じクラスになってしまった。 向井昌子は引っ越してほかの中学に行ってしまい、川島奈津美も私立の女子中学に行っていたので、 同じ学校にいる少女で、いまの良幸があこがれている長い髪の子は由美だけである。 たとえ、へび少女になっていても由美の長いおさげ髪にはそそられ続けていたのであった。
 入学式が終った後、由美の家に良幸は初めて呼ばれ、儀式がおこなわれた。 へびにされてから二年近くたったが、その時もひざまで髪の毛が長かった由美はすでに身長をこえて 床をはうくらいの髪の長さになっていた。ずっと三つ編みにして輪にして上で結んでいたことがほとんどだったため、 そのくらいまで長くなっていたのを知らなかった。 良幸は初めて由美の三つ編みをほどいた黒髪の姿を見てまた興奮していた。 ただ、両サイドには細く三つ編みをした部分があって、毛先を黒いリングのヘアゴムでそれぞれとめていた。 いつもは輪になっていない太めの黒いヘアゴムをちょうちょう結びにしてゆわえていたが、 いま由美の三つ編みの毛先にあるのは最初から輪になっているヘアゴムである。
 へびになると、髪の毛を切ることができないようになっている。 そう、良幸もへびにされてから髪の毛を切っておらず、いまはとうとう肩先を覆うところまで伸びている。 ずっと束ねもしないでいたが、今日はじめて由美に髪を束ねて編んでもらった。 由美がずっと使っていたちょうちょう結びの黒いヘアゴムやピンを良幸に貸して、 良幸はきっちり髪の根元から両側の頬の後ろでそれぞれの髪の束をきつめに交差させた 女学生のようなふたつの三つ編みのおさげ髪になった。 ずっと由美の髪にゆわえられていま自分の髪に結んでいるヘアゴムの切れ端が ちょうど良幸の肩をなぞるぐらいの位置になったため、由美に肩をさすられているのと同じような気持ちになった。 良幸が川島奈津美を襲ってへびにした時の奈津美と同じぐらいの感じだった。
 制服姿でたがいに向き合い、由美はセーラー服を着ていたが、服が上下に分かれて胴体を上下に伸ばしはじめ、 へびのうろこだらけの肌をあらわした。小学校の時に良幸がへび少女にした川島奈津美は首を伸ばすことができたが、 由美は胴体を伸ばすことのできるへび少女だったのである。 髪の香りで他人をあやつることのできる魔力に加えて、こうした魔力を持てるのも女の子だけに実は限られていた。 髪の毛をへびに変えられるのも、やはり女の子だけに与えられた特権である。
 そして、良幸は上半身を裸にされ、その身体に由美のへびの胴体がぐるぐる巻きついて、 最後に顔を向き合わせた。由美の両サイドの三つ編みに結った髪もくねくねと曲がり始めてへびの姿に変わってきた。 そのへびの顔になった毛先が良幸の両肩をまたなで始めていた。 良幸は由美に上半身をしめつけられ、また首をかみつかれて声をもだえさせた。
「くくくく、くくくく。」
「ああっ、ああっ、ああ…。」
「うふふふふ。」
「ううっ…。」
 良幸がうめき声をあげるたび、由美が不気味な笑い声をささやいていた。
「うふふふ。おいしいわよ、おまえの血…。」
「うう…、うう…。」
 良幸の首すじに牙をとがらせて突き刺し、流れ出た良幸の血をさかんにぴちゃぴちゃと舌でなめてすくう由美。 良幸の肩にばっさりと黒髪をかけてくる由美。恐ろしい形相で良幸をにらみつける面長の顔の由美。 良幸の編まれた髪の毛先をそれぞれの手でわしづかみにして引っぱる由美。 そんな由美の行為に良幸はこうふんして思わず声を上げてしまった。
「うふふふ。」
「ああーっ!。」
 良幸はすっかり色白になっていた。また、小学生の時はたしかに肥満児のようだったが、 いまはすっかりやせてきている。
「さあ、中学でへび少女をふやすのよ。おほほほ。小学校の時に襲ってへびにした時のあなたは 醜男だと思ってたけれど、こうして髪の毛を長くしたら美男子に見えてきたわね。 あなたのことを好きになっている女の子もいるわよ。」
「えっ?」
「ただし、あなたの好みではない髪の毛は長くない子だけれど、いままであなたが好きな女の子に襲われてきたのだから、 今度は自分のことを追いかけてくる女の子を襲ってみるといいわ。」
「はい。女王さま。」
 良幸は、おさげ髪の姿のまま自分の家に戻り、母親が玄関に出迎えていた。すでに述べたように、 由美によって良幸の母親もへび女になっている。
「まあ、良幸、おさげなんかにしたの?でも、似合うわ。 お部屋にあなたとおつきあいしたいっていう女の子が待ってるわよ。」
「ええ?」
 良幸の部屋には、由美が言っていたように、髪はショートだったが、 顔は今大人気のアイドルによく似たかわいい少女が待ち構えていた。 それも、クラスは違う良幸の知らなかった少女である。 良幸のいつもおろしていた長髪の姿にやはり一目ぼれしていたのだが、 三つ編みの姿にはまた少女はどきっとしていた。かつて、川島奈津美の三つ編みの姿を見て良幸がどきっとさせられたように。
「あの、とつぜんですみません。わたし…。」
「わかった。ちゃんとお相手するから。」
「ほんと?うれしい。」
「ふふふ。じゃあ、さっそく。」
 良幸は、その少女に顔を近づけはじめた。背中に垂らしていた両方の三つ編みの髪の毛も首を前に振ったことで、 前に垂れてきた。
「まあ、三つ編みなんかするんですか。初めて見たわ。」
「毛先、かいでみる?ほら。」
 良幸は少女に、かたほうの髪の毛先をさしだし、少女がその編まれた髪の毛先をつまみはじめた。 そして、毛先の香りをかぎだした。
「いい香り、男の子なのに、きれいな髪の毛。」
「うふふ、君は髪の毛長くしないの?」
「わたし、親に髪を伸ばすの、許してもらえないんです。」
「そう、でも、もしぼくが髪の毛切らなければずっとおつきあいするって言ったら。」
「やっぱり、女の子は髪の毛を長くしたほうが好きですか?わたしがもし、髪の毛を 切らないって言ったら、好きになってくれますか?」
「うん。でも、絶対に君の髪の毛、切らせないようにしてあげるよ、ふふふふ。」
 まもなく、少女はとつぜん苦しみ始めた。
「う、うう…。」
「ふふふふ。さあ、君もへび少女にしてあげる。そうすれば、僕みたいに髪の毛を切ることができなくなるからね。」
 少女の肩にかたほうの三つ編みの髪の毛をばさっとはわせながら、良幸は少女の首に噛みつき、 血を吸いはじめていた。
 ショートの女の子も、こうしていずれは髪を伸ばすようになり、 へび少女にされる可能性はじゅうぶんにあるのである。
(終わり)



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感 想



 
 
 
2003.3.10(Vol.363) 初出___Cont.No.kamin03    次の作品へ 目次へトップへ



(もしも字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは画面解像度を変更して下されば宜しいかと存じます)
 ロングヘアの人が大好きなみなさん、はじめまして。わたしの名は絵里香といいます。 わたしは、残念なことに、みなさんのお好みとは全然違うショートカットなの。
 じゃあ、帰れなんて言わないで下さいね。これから、すてきな人を紹介してあげます。 わたしにとっては、ほんとうはすてきなのかどうかわからないけれど、ほら、 もういつもわたしより早く起きて洗面台の前にいる、いま、ゆっくりとヘアブラシで自分の黒髪をとかしているわ。 あ、首をあげてその髪の毛を背中にはらった、ね、腰のところまで届いているでしょ。
「おにいちゃーん、絵里香ちゃーん、朝ごはんできたわよー。」
「はーい。」
 ママに呼ばれてすぐに振り向いて返事をした、わたしでなければ「おにいちゃん」というのが、 いま洗面台で長い黒髪をとかしていたわたしの兄なの。ええっ? そんな髪の毛を長くしている男の子ですって? うふ、だれだってびっくりするでしょうね。 でも、そうなの、わたしの兄は、女の子顔負けのきれいなロングヘアの持ち主なのよ。
 前髪もカットせずに、両側の額にヘアピンをきっちりとめていて、 うなじのところで黒いヘアゴムで一本に束ねると、やっと洗面台から離れてわたしが使えるようになるの。



 朝食が終ると、兄はもう一度洗面台に行って、歯を磨いた後に自分の束ねている髪の毛をチェックしているの。 手鏡も使って後ろも見られるように、髪の毛にはすごく気を使っているわ。 そのうち、玄関のベルが鳴って、これは、兄のことをお迎えに来た、兄のクラスにいるふたりの女の子で、 ひとりはセミロングの弓子さん、もうひとりがショートカットの美也子さんっていって、 こうして毎朝通学の途中だからって寄ってくるの。
「おばさん、おはようございます。」
「あら、あなたたち、いつもごくろうさまね。」
「あの、あけみちゃん、用意できてます?」
「ちょっと待ってね。おにいちゃん、美也子ちゃんたち、来たわよ。」
「はーい。」
 ああ、そういえば兄の名前ね、阿毛男(あけお)っていうんだけど、あけみちゃんって 女の子みたいな呼び方をされているの。 あんなに髪の毛が長くてしかもおとなしくて色白だし、女の子に見えてもおかしくないからでしょうね。 でも、兄はそれでも構わないつもりで、むしろ女の子よりきれいになりたいらしいの。
「行ってらっしゃい、じゃあ、あなたたち、今日も阿毛男のこと、お願いね。」
「はい、おばさん、任せて。」
 毎朝、兄を迎えるクラスメートの女の子たちは、もちろん兄のボディガード。 兄には、男の子どうしでまず親しい友達がまずいない。 あんな、女みたいなやつなんかって感じで男の子はだれひとり相手にしたがらないの。 ただ、力は弱いわけではないから、べつにいじめられることもないけれど、 いじめの対象にもならないほどみんな近づいてこないみたい。

 いっぽう、女の子たちのあいだでは好き嫌いがはっきりふたつに分かれていて、やっ ぱり男の子たちと同じ意見で、女の子みたいな男は気持ち悪いと思ってしゃべりたが らない子もいれば、すごくきれいな髪の毛だからって兄の長い髪を支持する子もいる の。
 そのひとりが、いま兄の右側を歩いている美也子さんで、兄のことをすごく気に入っているけど、 兄はそんな美也子さんの好意にはあまりこたえていなくて、 やっぱり髪の毛が長い女の子のことを好きなんだけれど、あいにく、 兄の長い黒髪を支持している女の子たちのあいだには、なぜか髪の毛が長い子がいない。 ちなみに、隣のクラスにいる京子さんという背の高い女の子がお尻の先まであるいちばん長い髪の人で、 よく二本の三つ編みにしているけど、兄はずっとその京子さんが好き、でも、 京子さんも兄のことは好まない、やっぱり片思いね。兄も背は高いから、 兄のクラスではいつのまにか兄がいちばん髪の毛が長いということになっているけど。
 美也子さんと反対側で兄のとなりを歩いている弓子さんは、少し太った体型だけど 力が男勝りの強さで、これならボディガードとして充分ね。 美也子さんと幼稚園の頃から仲良くしていて、美也子さんが兄を慕っている気持ちももちろん知っている。 でも、兄は美也子さんとふたりきりになるのは恥ずかしいからということで、 弓子さんも一緒にいるというわけ。美也子さんは兄の気持ちを理解しているけれど、 絶対いつかは自分のものにしてやるんだといって、片思いでも兄から離れたがらない。
 ところが、実は美也子さんは男の子にすごく人気があって、低学年のわたしたちのクラスでも、 おねえさんにしたい人ナンバーワンという人気投票に選ばれているの。 たしかに、ある人気アイドルに似ているたしかにすごくかわいい人だけど、 兄はなぜかそんなことも関心がないみたい。美也子さんに髪を伸ばすようにすすめてみたらといったら、 似合わないだろうっていう返事を美也子さんも聞いているので、 美也子さんは兄の好みにあわないけれどショートのままだ。 もともと、弓子さんが兄と一年生の時から同じクラスで、 美也子さんは途中のクラス替えでいっしょになったけれど、最初は美也子さんも兄には関心がなくて、 兄が髪の毛を伸ばすようになってから近づきだしたというから、 美也子さんの好みがもともと長い髪の男性なのかも。


 ところで、兄がどうして髪の毛をあんなに長くしているかといえば、 ママがもともと自分の子供には髪の毛を長くさせようと生まれる前から思っていたわけ。もちろん、 女の子が最初に生まれればという希望だったけど、兄のような男の子だった。でも、 幼稚園に入るまでなら三つ編みできるぐらいになるからと、構わずに髪を切らせなかった。 ところが、いざという時に髪の毛を切るのを兄はいやがって、 もうこれは親のエゴでそうなったのだからしかたないとして、そのまま伸ばさせた。 わたしが物心ついた時でも、すでに肩の先まであって、家ではよく二本の三つ編みにしていたわ。
 ただ、小学校にあがる時に一度おかっぱまでしたことはあったけど、二年生が終った時に、 学校の成績がクラスで一番になった時に、ほしいもの何かあるってママがきいた時、 「何もいらないから髪の毛また長くしたい」と言い出したことで、兄がそういうならと、 ママはあっさり許してしまった。 逆に妹のわたしは暑苦しくって長い髪の毛なんかいやだといつも言っていたため、 ママの自分の子供に髪の毛を長くさせたいという願いをかなえてくれるのはもう兄しかいない と思ってしまい、とうとう四年生になる頃にはまた三つ編みをやるようになり、 最初はいつもママが兄の髪の毛を編んでいたけれど、しばらくして自分で編むようにもなった。 もちろん、三つ編みの姿は家にいて寝る時だけ。学校へはさすがにそんな姿はしていられないけど、 女の子たちのあいだでは束ねている兄の髪の毛をよくいたずらして三つ編みを結ったりしていることがある。 家に女の子たちが遊びに来た時にも。

 わたしの学年でも、兄の髪の毛のことはよく話題になり、おにいちゃんがいる時に遊びに行きたい なんていう女の子たちがいて、家で兄の姿を見つけるとさっそくさわりに行ったり、 なかには束ねている髪の毛の先をわしづかみにする女の子もいて、 でも、おとなしい兄は女の子たちにおこったりすることがまずないから、 女の子たちの間でもやさしいお兄さんとして評判は通っている。 そのなかには、兄のまわりにはいない長い髪の毛の女の子もいて、 自分では三つ編みできないからやってっていう子もいる。 ちなみに、男の子たちのあいだでは、やっぱり女みたいだから気持ち悪いという。 よろこんでいいのか悲しんでいいのかわからなくなってくる。
 学校の先生たちはといえば、ここの小学校は女性上位で、校長も教頭も兄の担任の先生もみな女性。 茶髪やパーマはだめだけど、髪の毛を長くすることはいくらでも構わないということで、 いちど先生たちに兄も呼び出されたことがあるけど、きれいな黒髪を見てもったいないから そのまま切らないようにって言われてしまったとか。
 時々、女性の先生たちにも兄は髪の毛をツインテールや 三つ編みにさせられたりリボンをつけられるなどしていたずらされているそうよ。
 じゃあ、わたしは兄の髪の毛をどう思うかって? たしかに、髪の毛の長い男は基本的には好きじゃないけど、兄がもう気に入って伸ばし続けているのだから それでいいと。それでね、実はね、みんなわたしが兄の秘密を知っているの。 夜中に兄が日記をつけているのをふとんのなかから隠れて見たことがあってね、 暗証番号もひそかに知っているので、わたしは兄がいない時にこっそり日記をあけて読んでいるの。 だからみんなわかるわけ。わたしも悪い女ねー。うっふふふ。
 ちょっと紹介してみましょうか。ほら、こんな詩も書いてるわ。


黒髪のぼく

今夜も寝床に入る前、
ぼくは、三面鏡の前にすわって、
おふろ上がりで乾かした自分の髪の毛を、
女もののヘアブラシで念入りにブラッシングする。

すっかり長くなっちゃったな、ぼくの髪の毛。
小学校低学年の時から伸ばしはじめて、
六年生になったいま、腰までとどくぐらいある。
同じ学年の女の子でも、こんなに長い髪の毛の子はいない。
背も高いほうだから、よけいに長さがめだっている。

両方の手首に黒い太めのヘアゴムを巻いて、
頭にはピンを何本もさし、
右半分の髪の毛を三つ編みのおさげに結いはじめる。
幼稚園の時に好きになった女の子がいつもしていた、
腰までとどいている二本の、三つ編みのおさげ髪みたいにするために。
その女の子はほかの小学校に行って、
いまはどうしているかしらないけれど。
その女の子を好きになるというより、
その女の子に化けられたらとか、
魂をのりうつらせたらとか、そんな思いばかりしていたっけ。

その編んだ髪の毛の先に、
手首に巻いていた黒いゴムをはめて、背中にはらいのける。
もういっぽうの髪の毛を編もうとすると、
後ろからママと妹がやってくる。
ママは、編んだばかりのぼくの髪の毛の、
ねもとのあたりをなではじめる。
妹はゴムで巻いた毛先をつまんで、
ぼくの髪のにおいをかぎはじめる。

でも、髪の毛を長くできてうれしかった。
肩までとどいて、おさげに分けたり、
三つ編みができた時もこうして鏡をながめていたし。
毛先が脇のしたまでとどいて前のほうからひっぱってみたり。
いまはこうして、腰からお尻に近くなるまで。
もういっぽうの、左半分の髪の毛先にも黒いゴムをとめて、
ぼくは幼稚園で好きになった女の子のように、
三つ編みのおさげ髪のすがたになった。

かがむと前に垂れ下がって、
床にべっとりついた右側のおさげ髪を背中にはらい、
たちあがってママと妹におさげ髪の後ろ姿を見せながら、
ぼくは自分のベッドに入ってゆく。
横になる前にもういちど、両方の三つ編みの髪の毛を、
首から前のほうにおろしてふとんに入る。
黒髪の編んだ毛先にそれぞれキスをして眠りにつく。
「おやすみなさい。」
なによりもたいせつな、この長い黒髪はぼくの恋人…。

 わたし、兄の髪の毛にめったにさわったことないし、そんないたずらをした覚えもないけど、 でも、後ろ姿を見た時にやっぱり兄の三つ編みしている髪の毛をひっぱってみたくなっちゃう。 そんな意味では、ちょっと興奮しているのかも。ほんと、三つ編みのおにいちゃん、 おさげ髪のおにいちゃんなんて、なんかおかしな感じもするけれど、よくにあうし、きれいだから、 女のわたしでもジェラシーを感じちゃう。
「鏡よ鏡、わたしは顔やスタイルは自信ないけれど、髪のきれいさだったら、誰にも負けないわ。 さあ、この世でいちばん美しい髪の持ち主の名前をあげてちょうだい。」
「はいはい、女王様。それは、なんといっても阿毛男くんでーす。」
「や、やだあ、どうしてこんなおカマが…。」
なーんてね。
 兄のことを、そういう目で見る女の子たちもいるため、美也子さんたちが兄の黒髪を 守ろうと必死になっているわけ。特に、美也子さんの場合はさきほども言ったけど、 兄にものすごく熱を上げている。どうしたって、こんなきれいな髪の毛の男の子なん てめったにいないから、絶対自分のものにしたいと自分でも異常に感じるほどつきま とっている。だから、兄もちょっとたまらなくなって、逃げたいと思う時があった の。

 そんな時、美也子さんは焦って、実際に兄にラブレターを出したのね。 兄はその手紙を受け取った次の日、髪形を変えて登校したわ。 いつも一本に束ねていた髪の毛を、ふたつにわけて三つ編みして 後頭部にうなじのほうから互いに巻きつけて重ね、まとめ髪にしていたの。 いくらなんでも女っぽすぎるからよしなさいとママもとめようとしたけど、 兄は急いで振り切ってひとりで出ていったわ。美也子さんの告白がどんな内容だったのかもしれないけど、 ショックを感じていたらしいの。
 その日、兄はいつもの女の子たちに囲まれて、巻きつけた三つ編みの髪をなでられていた。 でも、その輪に美也子さんは加わってもさわろうとしなかった。 いちばん親しい弓子さんがうすうす感じて、美也子さんが手紙を出したことを知った。 それで、弓子さんが兄に気持ちをきこうと、家に来たの。 それで、兄はほかの女の子が好きなのでそれを隠したまま美也子さんと一対一になるのは気がひける と言ったわけ。それを伝えられた美也子さんはまた兄のところへ押しかけてきた。 兄はまた三つ編みのまとめ髪をほどいて今度は左右の前髪だけを三つ編みにして、 頭の上にヘアバンドのように互いに重ねあわせて巻きつけ、 他の髪は前後に垂れさせるというように髪形を変えたわ。そこへ、美也子さんがやってきたの。
「私、ストーカーと呼ばれてもいいから、あけみちゃんにずっとつきまとうわよ。 絶対いっしょになってやるんだ。」
 とうとう、兄の背中におろしている髪の毛ごと抱きついてしまった。 そして、前に垂れている左右の前髪も両方のそれぞれの手でわしづかみにしていた。 兄は、怒る気にもなれず、そのままじっとしているままだった。
「ねえ、美也子ちゃん、もうそろそろ離れてね。いままでどおり、友達として相手になるから、 その、恋人というのはすぐには無理だけど。それに、ストーカーだなんて思わないし言わせない。」
 とうとう、泣いたことのない美也子さんが泣いてしまったけど、 やっと兄の頭の上に巻きついている三つ編みの髪の毛にさわると、すぐまたほほえむようになった。 こうして、兄は自分の髪の毛をもっと大切にしていたの。
 それにしても、たしかに美也子さんはいまいちばん人気のあるアイドルによく似ているわ。 そんな美也子さんのことを絶対にもてあそんだりしないようにと、わたしも兄にきつく言っておいた。 気の弱い兄はけっこう泣きそうになるの。


 日曜日の今日、やっぱり、美也子さんと弓子さんがやってきたわ。 今日の兄はいつも束ねていた髪はほどいて後ろにおろした姿のままで玄関に顔を見せる。 すぐに美也子さんがその髪の毛先をなでている。 兄はまた女の子のようなしぐさをして口に手をあてて笑っている。
 三面鏡の前にすわっている兄の後ろにふたりが立って、兄の長い黒髪をていねいにブラシでとかし、 半分ずつに分けてふたりが兄のそれぞれの髪を三つ編みに結いはじめている。 兄の髪の毛をいたずらしに来る女の子たちの楽しみのため、当分このまま兄は髪の毛を切るつもりはなさそう。
 もし、兄が髪を短くしちゃったら、美也子さんはどうするのって聞いてみると、 絶対にそんなことはしないという自信を持った返事だった。 それだけ、兄の心をよく知っているということね。妹のわたしよりもずっと。
 兄はもちろん、自分でも三つ編みを結うけれど、やっぱり女の子たちが後ろで編んだほうがよりきれいに見える。
 ああ、だけど、ほんとうは男なのに、あんなにきれいな髪になって、 このままおとなになったらどうなるのかしら。美也子さんも髪を伸ばすかしら。 美也子さんの髪が腰ぐらいまでになったら、兄はもう床について平安時代のお姫さまみたいになるかもね。
(おわり)



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感 想





以降は、正確には小説ではありませんが、ストーリー仕立てのかなり長い投稿文ですので、 ここに入れさせて頂きました。

   
< 最 新 投 稿 >

2004.2.17(Vol.475) 初出___Cont.No.yuzon01    次の作品へ 目次へトップへ


(もしも字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは画面解像度を変更して下されば宜しいかと存じます)
1)女性にとって断髪とは

女性が髪を切るという行為は 今も勇気のいることとされている。平安〜鎌倉期の日本では夫が死んだ時に 女性は膝より長く伸ばした髪を 肩の辺りで切って出家した。近代以前の西洋においても キリスト教の聖書にある 女性にとって長い髪は‘神様から与えられた女性の誇り(新約聖書)‘との教えを女性達は守り、長い髪を大切にしていた。故に髪を切るという事は 西洋においても女性の誇りを捨てる行為であった。20世紀にショートカットが全世界的に一般化し、女性にとっての髪が持つ重要性は減退した。したがって今の女性にとって 断髪は前々世紀ほどには深い意義を持たなくなってはいる。しかし今でも 多くの女性達にとって髪を切る事は 大いなる勇気を以って望まなければならない行為と聞く。一つの例として 結婚を期に 背丈ほどの長さのあったブロンドの長い髪を あごの位置まで短く切った 米国を代表する髪長美女だったCindyさん。長い金髪に鋏が入る直前 大粒の涙を流してられた。日本を代表する髪長美女であられる かの山崎弘子さんも 何回となくあの御自慢の美しく長い黒髪を 「バッサリと短く切ろう!」と思われた。でもその都度 髪を切る事を思いとどまった。そして山崎さんは黒髪を長く伸ばし続けた。そして栄えある世界一長い髪として ギネスブックに登録されるに至った。ここで 山崎さんが‘髪を切る‘と言う行為をせず、いかにして長い髪を守られたかを テレビ・雑誌等で公表されている山崎さんに関する事と 当ホームページに諸兄様が提供していただいた情報を元に、小生の推測をかなり交えながら 髪に対する山崎さんの心境・心理、特に‘髪を切りたい!‘と言う欲求と ‘長い髪を大切にしたい‘と言う心との葛藤について重みを置いて 文章にしました。


2)髪を切りなさい!

山崎弘子さんは 10代中頃から髪を伸ばし始めた。短かった髪も次第に長く伸び、背中・腰に届くようになった。学校を卒業する頃には 髪の長さが膝上までに達した。山崎さんは就職した。入社してしばらくの間、長い髪をお下げにしていた。そんな時 仕事中に長い髪が機械に引っ掛ってしまい とても危険な思いをした。その時周囲の人達から「髪の毛が長すぎるよ。危ないから髪を切れば!仕事もやり易くなるよ。」と勧められたかもしれない。でも 山崎さんは「髪を切るのは嫌だ!それなら髪をアップに結い上げよう」と考えた。そして髪をアップにセットする為 少し重い足取りで美容室に向かった。山崎さんは髪を切る為の店である美容室の扉をゆっくりと開いた。 中に入り 室内に貼られてある髪をショートカットにしたヘアーモデルの写真を見つつ、「私は髪を切りに来たのではない!」と心に強く言いながら 美容師に案内された大きな鏡の席に座った。隣席に座っている女性達が 決して長くはない髪を 更に短く切ってもらっているのを見ながら、「私も美容師さんに髪を切る事を勧められるだろうな。でも絶対切りたくない!どのように断り続けようかな・・」と不安になった。美容師が来た。鏡の前に座った山崎さんの首から下にシーツが被せられた。山崎さんの首の辺りで 美容師が丁寧に両手を髪に入れた。そしてその両手で 山崎さんの髪を束ねる様に優しく握った。美容師はその握った髪を 少し持ち上げてきれいに流すように扱った。そして束ねるように持っていた髪をパラッと放ち、山崎さんを被っているシーツの上に 黒髪を長さいっぱいに広げた。その頃 膝上まで伸びていた山崎さんの髪は シーツの裾を越え 美容室の床近くまで髪先が届いた。その髪は 清らかな水の滝の様に シーツの上に美しく映えた。「いよいよ私の髪に手が加えられる・・。美容師さんはどの様な髪にしようとしているのかな?‘バッサリと私の髪を短く切りたがっている‘のではないだろうか?」不安で緊張した面持ちになった。美容師は櫛を手にしてきた。その櫛を山崎さんの髪に入れた。美容師の鮮やかな手さばきで 美しく長い髪が 舞うように梳かされていった。髪を充分に梳り 踊るように靡かせられた髪を今度は、美容師が山崎さんの頭上に 髪を梳きながら結い上げていった。髪が結われていくのを見つめながら、次第に変化していく自分の髪形をじっと見つめていた。しばらくして長い髪がアップに仕上げられた。髪形が変わった山崎さんは、それまで首・肩・背中・腰・尻に長く流れていた髪が すっきりと纏められて、顔の印象・全身のシルエットも随分と変わった自分の姿を見つめていた。首・頭が動かし易く楽になったが、それまで首からお尻にかけて長く美しく垂れ下がっていた 髪の毛の優しい感触がなくなった事をさみしく感じた。山崎さんは 髪形が変わって印象がサッパリとした感じになり 随分変わったけれど、長い髪を切らずにイメージチェンジできたことを ほっとしていた。そして 長い髪を結い上げられ スッキリと変化した自分の髪形に 少女から女になっていくのを実感されていた。美容室通いは 山崎さんが 自分で髪をアップにする技術を習得するまで続いた。その間 美容師達に「思い切って 髪を切ってみませんか?」と勧められた事もあったかもしれない。時には美容室内のモデル写真を見ながら 「こんなヘアースタイルも悪くないな〜」と思うこともあったかもしれない。でもそれも一瞬であり「長い髪を切るのは嫌だ!」と言う気持ちにすぐ立ち返った。山崎さんは‘髪を切りたくなる誘惑の巣窟‘とも言える 美容室に通いつめ、美容師に髪に鋏を入れさせず 見事に長い髪を切ることなく守りきった。髪をアップにする技術を習得してからは、美容室にその後10数年行く事は無かった。

髪を切る事を真剣に迫られた事もあった。山崎さんの髪が切られそうになった大きな危機である。髪がようやく膝の下に達した頃、お母様に「何!その髪の毛 いくらなんでも長すぎるわ!切りなさい!」と髪を切る事を強く言われた。この時は お母様に言いつけを無視できず、長い髪を切ろうと決めた。切ると決めたからには バッサリと首の辺りで髪を短く切り落とし パーマネントを掛けた髪型にしようと、どの様なヘアースタイルに切るかも考えていた。しかし いざ髪を切ろうと美容室に足を向けようとした時、涙が出てきた。自分が美容室の鏡の前に座らされ 美容師が手にしている鋭く光った鋏の刃が 首筋の所で長く美しい髪に入り、大切にしていた黒髪がザックリと音を立てながら切り離され、切り落とされた1m近い長さの髪の毛が 床に散乱していくのを考えただけで 悲しさがこみ上げてきたのであった。一度は髪を切ると決めた山崎さんだったが どうしても髪を切ることが出来なかった。お母様も 娘の涙ながらの‘断髪拒否‘に根負けされた。こうして長い髪を切られそうになった危機も回避できた。


3)髪を切ろうかな〜

髪を切ろう!と考えた事は 他にも何回もあった。毎日1m数10cmに達する長さの髪を 梳り結い上げると言う 日常の髪の手入れを億劫に感じる事もあったであろう。夏の暑い日には長い髪が 暑苦しく感じる事もあったであろう。髪を櫛で梳きながら「面倒くさいな〜 髪を切って短くしたら楽かな・・」と思うこともあったかもしれない。しかし 山崎さんはご自分の長い髪を愛していた。黒髪の長さと美しさを誇りに思っていた。髪を切りたい気持ちより 長い髪への愛着心がいつも勝った。

山崎さんは髪に挟みを入れることなく 長く伸ばし続けた。やがて 髪は山崎さんの背丈より長くなった。でもその頃はまだ「髪を切るとしたら いつにしようか?」と言う事を考えてられた。一度はお母様から髪を切る事を強要され、涙を以って断髪を逃れた山崎さんだったが、「いつかは髪を切ろう!」と考えてられた。その頃は自分の身長より髪の毛が長くなったら 「髪を切りたい!」と山崎さんは考えてられた。でも髪が背丈よりも長くなっても 髪を切る事は出来なかった。「やっぱり長い髪を切りたくない 短い髪になるのは嫌だ!愛情を持って大切にしてきた髪を これからも長く伸ばし続けよう!」と言う意思の強さは並大抵のものではなかった。そして‘髪を切れ!‘と言う周囲からの(時には強い)圧力からも ‘髪を短く切ったら楽かな?‘と言う自らの誘惑からも 負けることなく 髪に鋏を入れずに 長く伸ばし続けた。

しばらくして 山崎さんの髪が一段と長くなった。でもこの頃には長くなった髪が 鬱陶しく感じるようになっていたのだろうか、再び髪を切ろうと言う気持ちが芽生えてきた。「髪の毛 随分長く伸びたわ、手入れが大変だから 思い切ってこの長い髪を短く切ってしまおうかな!」と考えるようになってきた。でもどうせ髪を切ってしまうならば、切る前に「テレビに出演してみたいな〜」と思う様になっていた。そして山崎さんは 髪の毛コンテストにて念願のテレビ出演をされる事になった。山崎さんの長い黒髪が全国に放映されることとなった。そしてテレビ収録が終わったら「髪をバッサリと切る!」と決めてられた。テレビ撮影が始まった。山崎さんは 髪の長さ部門で優勝された。山崎さんは撮影中 スポットライトが当てられた自分の髪に「撮影が終わったら私は髪を切る!この長い髪とも間もなくお別れね・・」と思いながらテレビカメラを見つめていた事であろう。そしてテレビの収録は無事に終わった。山崎さんが 髪を切る予定を立てていた時になった。テレビ局からの帰りに 「髪をどれ位短く切ろうか!」と考えながら 髪を短く切った自分の姿を想像し家路に向かった事だろう。「この長い髪を切って短い髪型にしたら 髪の手入れも数段楽になって、真夏も暑苦しくなくなってサッパリして涼しくなるかな」と考えてられた事であろう。山崎さんは この時点では‘長い髪を切る!‘と決心していた。しかし いざ美容室のガラス扉を開こうと思った時、長い髪への未練心が湧き上がり 山崎さんの心を突き動かした。「髪を短く切るのは嫌だ!」と言う気持ちに立ち返った。この時も山崎さんの長い髪への愛着心が 髪を切りたいと言う欲求を上回った。結局山崎さんは テレビ出演後も黒髪を切らなかった。

やがて 更に髪は長くなり2mを超える長さになった。髪をアップに結い上げても きれいに纏まらなくなった。鏡に映った自分の顔・髪を見ながら、「髪が長くなりすぎてアップにしてもきまらなくなった この髪をどうにかしたい!どの様にしたら髪をスッキリと出来るかな?」とあれこれと考え込んだ。そこで 思い切った方法でイメージチェンジすることにした。その日 山崎さんは‘髪の長さが肩までしかない髪型‘に変身した姿で登場した。その新しい髪形を見た周囲の人達は 山崎さんが‘ついに長い黒髪をバッサリと切った!‘と驚いたことだろう。「あら山崎さん、髪切ってしまったの!背丈より髪が長かったのに 肩までの長さにしてしまって、随分髪を短くしてしまったのね。あんなに大切にしていた長い髪 どうしてこんなに切っちゃったの?何か悲しい事でもあったの?」と同僚や友達に聞かれた事だろう。でもその髪型は アップにした長い髪の上に被った セミロングヘアーの鬘であった。山崎さんは たとえ髪のアップがきまらなくなっても 長い髪を短く切りたくなかった。「いいえ この髪の毛は鬘です。髪がとても長くなったので 結い上げても纏り切らなくなったの。でも髪は切りたくないから 結った髪の上にセミロングの鬘を被っているの。髪は1mmたりとも切っていませんよ!」と山崎さんは 明るく答えた事だろう。山崎さんは髪をアップに結い上げた時以来 久しぶりに髪形を変えたが、今回も髪を切ることなくイメージチェンジする事に成功した。

山崎さんの髪は 更に長くなっていった。そして 山崎さんはついに1981年ギネスブックに 栄えある‘世界最長の髪(2.6m)‘として登録されるに至った。山崎さんは 一躍時の人となられた。テレビ出演、雑誌の取材が相次いだ。あるテレビ番組では 山崎さんが美容室に連れて行かれた。美容室に入るのは10何年振りである。多くの視ている人は 山崎さんが髪を切られてしまうのでは?とハラハラ・ドキドキであったであろう。でも嬉しい事に この時も髪を切る為ではなかった。山崎さんが憧れていた ブルボン王朝期貴婦人の‘髪を頭上1mの高さに結い上げた髪型‘にする為であった。鏡の前に座った山崎さんに 美容師が髪を丁重に解き始めた。山崎さんの髪は左右に 髪の長さいっぱいに伸ばされた。美容室のシャンプー台を5つほど使って 丹念に洗った。何人もの美容師の手により 美容室狭しとばかりに 山崎さんの髪が長さいっぱいに広げられ乾かされた。今回美容室にてセットする山崎さんの髪は 10数年前美容室にて髪を結ってもらった時より 倍以上の長さになっていた。髪の広がりは 前回美容室に行った時より 何倍もの広さになった。そして髪の毛が乾かされ 沢山のヘアピンを使って、世界一長い髪が結い上げられていった。地毛でフランス・ブルボン王朝期貴婦人の髪型を結えるのは 山崎さんぐらい髪の長さがなければ出来ないとの事であった。改めて 山崎さんの長い髪が貴重なものである事を 多くの人が知る事になった。あるテレビ番組では 某出演者に「髪を切るとしたら、いつ切りますか?」と意地悪な質問をされた事もあった。その時山崎さんは「髪の長さが3mに達したら 切ろうと思います。」と返事された。それを聞いた人の多くは 山崎さんの髪が伸びるのが290cm位に長さがとどまって「髪を切りたい!」と言う気持ちを起こさないで欲しい!と思ったことであろう。

山崎さんは 数年間ギネスブックで世界一長い髪の座を維持した。その後 インドの修行者にその座を譲ってしまったが、日本の髪長美女としての伝説的カリスマ的存在となられた。


4)今度こそ 髪を切ります!

ギネスブック登録時 ある週刊誌に山崎さんが、髪を長さいっぱいに垂らして、髪先を手に持ち 世界一長い髪を誇らしげにされている写真記事があった。記事の文に 気になる言葉が有った。「この長い髪の手入れするのは 並大抵ではありません。髪を洗うのにシャンプー1本全部使ってしまいます。髪を乾かすのに 何時間もかかってしまいます。今の長い髪を肩の辺りで切って、髪の長さが8分の1になり サッパリとした髪の毛が風で靡く様に 髪先を軽やかに切り揃えた 今流行りのサーファーカットにしたいのです!」との内容の事を山崎さんの言葉として載せられていた。‘山崎さんが髪をバッサリとサーファーカットに切りたがっている‘ 我々の胸に突き刺さる 山崎さんの断髪意向発言であった。又その頃、別の雑誌インタビューで「結婚したらこの長い髪を首の辺りで切って 短くオカッパ髪にします!」と宣言されていた。前の週刊誌記事での断髪意向発言における「サーファーカットに髪を切りたい!」の時より 更に髪を短く「オカッパに髪を切りたい!」との発言に、この記事を読んだ多くの人は 山崎さんの幸せを願いつつ ‘素敵な長い髪を切って欲しくない!オカッパなどに髪を短くして欲しくない!‘と思ったことであろう。

その後 山崎さんは素敵な男性とめぐり合い 結婚される事になった。ついに‘大切にしていた 世界一の長さにもなった この黒髪をバッサリと短く切って 長い髪とお別れする!‘と 山崎さんが心に決めている時が訪れた。その時の「髪を切りたい!」と言う意志は 過去「髪を切ろう!」と考えた時よりはるかに強い断髪の意向だったかもしれなかった。どの様に髪を切るかも 山崎さんは考えていた。前髪を眉毛の辺りで 横髪と後ろ髪は首の位置で それぞれバッサリと短く切った ボブカットにしようと決めておられた。鬘を被る度に 「もうじき私は この髪型くらい地毛の髪を短く切るのだ」と思っておられたであろう。

山崎さんは真剣に「この髪を切ろう!」と思っておられた。手入れの掛かる長い黒髪を切り落とす事で 今まで髪にかけていたエネルギーを家事に向け 愛する人のよき妻になろうとされていた。髪を切るならば 「どの美容室で髪を切ろうか?」と言う事も 考えてられたことであろう。長い髪を手入れする度に 自分の髪を切られる時の事をも 想像されていた事だろう。美容室の重いガラス扉を 山崎さんはゆっくりと開いた。美容師が案内する鏡の前の席に座らされた。山崎さんにシーツが被せられる。美容師が丁重に山崎さんの髪を手に持ち 2m60cmの長さの黒髪を長さいっぱいに 両手に力を込めてゆっくりと広げた。長い髪は座った山崎さんの背丈を優に越え 髪の先部分3分の1は床に届き 1mほど美しい黒い曲線を床に描き流れた。美容師は長い髪に櫛を入れる。2m60cmの髪が 波うねる様に大きく舞った。山崎さんは これで髪を梳るのが最後と思うと 鏡に映った長い黒髪を梳かされている自分の姿をじっくりと見つめるのであった。美容師が前髪を手に取った。丁重に前髪が顔の上を覆い 長さいっぱい床までおろされ 山崎さんの顔がノッペラボウになった。美容師が手にした キラリと光る鋭い髪切用鋏が近づいてくる。その刃が自分の前髪の眉毛の辺りに当たる。ステンレスの冷たい感触が心にグッと突き刺さる。次の瞬間‘ジャキッ‘と言う音が鳴り響き 2m50cmほどもある前髪が 髪切用鋏のひとはさみづつ 長さ5cm程に短く 前髪を切り落としていく。パラッパラッと軽い音を立て 切られた前髪が美容室の床に落ちていく。切り落とされた黒髪は書道家が書いたような 美しく長い曲線を描いた。前髪に覆われて良く見えなかった目の視界が 長い前髪が眉毛の位置で切り落とされ 片方の目から明るくなっていく。鏡を見ると 前髪を目の上で切られ 短くなってしまった前髪で額が覆われた自分の姿が映る。前髪を切り終われば 次に切るのは横髪と後ろ髪である。首の位置に鋏が近づいた。耳を蓋っている髪にステンレス鋏の刃が光った。髪を切るザックッと言う音が 前髪を切られたときより 強く耳に響く。髪があごの線で切り離される。パッサッパッサッと2m以上もある髪が床に落ちていく。鏡に右の横髪が 首の位置でバッサリと切られてしまった自分の姿が映っている。右横髪は長さ25cmに短く切られてしまった。まだ切っていない左横髪は2m50cmの長さを辛うじて保っている。山崎さんは 左右の髪の長さが1対10と言う、見事な左右非対称の髪になった。でもこの非対称の髪形も一瞬であった。程なく後ろ髪にも鋏が入り ザッキッと言う音が響き 髪が切られた。首にスーと空気が通るのが感じられた。残る左横髪にも鋏が入る。ザックッと挟みが髪を切る音が強く耳を突く。最後に2m60cmの長さを保っていた左横髪も バッサリと10分の1の長さに 短く切り落とされた。山崎さんは急に頭が軽くなったのを感じた。鏡を見るとそこに映っているのは 長かった2m60cmの黒髪がもはやなく、前髪が目の上で切揃えられ 両方の横髪・後ろ髪も首の位置で切り落とされ 肩に触れないほどに髪が短くなった自分の姿である。床には 切り落とされた2mを超す長さの自分の髪が 墨で描かれた前衛芸術の様に 黒く床に横たわっていた。その切り落とされて床に落ちていた長い髪を 美容師さんは丁寧に一束一束集めていた。切り落された2m数10cm長さの黒髪を 山崎さんが家宝として持って帰る事が出来る様に 束ねて半紙に包んでくれているのであった。

山崎さんは自分の髪が切られていく瞬間を この様に頭に思い描いておられたことであろう。そして山崎さんが断髪を実行されていたら この様に長い黒髪が切られていた事であろう。


5)やっぱり髪は切りません

「結婚したら私は この長い髪を切ります!」と心に決めていた山崎さん。髪を愛する気持ちが強く、20年以上も髪を切らずに 世界1の長さ2m60cmにまで髪を伸ばされた。その様に 意志の強い山崎さんだからこそ 結婚と言う 人生の重要な節目を迎えるに際しては、断髪の決心も強いものと思われた。

やがて ギネスブックの記録は外国の髪長美女に更新されて、山崎さんの情報についてマスコミを通じて知る事は 殆ど無くなった。「結婚する時が髪を切る時です」と宣言されていた山崎さん、「しばらく山崎さんをテレビ等で見ないけれど どうされているのかな?おそらく結婚されて 長い髪を短く切ってしまわれたのだろう」と思っていた。時は流れ 昭和から平成になっていた。そんなある日 弘子さんと言う日本一髪の長い女性をテレビで見た。苗字は山崎さんではなかったが、顔・長い髪の先端部を持つときの仕草、紛れも無く山崎弘子さんそのものであった。山崎さんは結婚されたけれど‘髪は切らずに あの長い髪を維持されていた‘のであった!しかも ギネスブックの時より10cm長い2m70cmに髪が伸び、黒髪の美しさ・艶も以前より増していた!

山崎さんは「髪を切りたい!」という気持ちと「長い髪を切らない方がいいかな?」と言う心の間で 今までになく大きな葛藤があったことだろう。でも 「髪を切りたくない!」と言う心が今回も勝った。山崎さんは 「髪を切る!」と心に強く心に決めていた結婚に際しても、長い髪に刃を入れられなかった。これまで髪について周囲から「その髪長すぎる 切りなさい!」と何回も言われた。自らも「髪を切ってしまいたい!」と幾度となく思った。この髪が切られる危機にさらされる事は数知れずであった。そして最大の‘長い髪を短く切り落とされる危機‘が 山崎さんの結婚の時のはずであった。でも山崎さんは結婚しても 長い黒髪を切らずにいて下さった!その時の私の歓びは 天に昇るが如くであった。

その番組では 山崎さんが 背丈の倍近い長さになった美しい黒髪を 長さいっぱいに靡かせ、山崎さんの髪の長さ美しさを堪能できる様に撮影された。2m70cmに伸びた長い髪を披露した後、山崎さんはレポーターに「思い切って その長い髪をバッサリと切ってみませんか」と意地悪な事を言われるのであった。そして レポーターは山崎さんを美容室に連れて行くのであった。渋々山崎さんは美容室についていった。10何年か振りに美容室に入った山崎さん、美容師に髪が洗われ 洗い髪で大きな鏡の前に座らされ シーツを被せられた山崎さんに レポーターが「さあ 髪を切りましょうか?」と問いかける。答えは勿論「やっぱり髪は切りません!」であった。髪を切る事をきっぱりと拒否した山崎さんに レポーターがもう一つ意地悪な質問を投げかける。「旦那さんと 髪かどちらが大切ですか?」と言う質問であった。山崎さんは すかさず「やっぱり髪の毛です!」と答えるのであった。この言葉に山崎さんの 長い髪への強い愛着のみならず、ご主人への愛の絆の強さと深さが表れていた。愛の有る家族に恵まれ 幸せにされている事を知り、本当に嬉しく思ったであった。



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'99.8.10(Vol.22) 初出___Cont.No.snaken1    次の作品へ 目次へトップへ


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 私の中学時代は、全学年が6クラスでして、そして当時の多くの中学校がそう であったように、長い髪の女の子は校則で3つ編みにするきまりでした。ちなみに 男の子は坊主頭が校則でして、ほんとに嫌な3年間でした。ただこの3つ編みの校則 が嫌だったのか心機一転のつもりか、小学時代は長い髪だった女の子はほぼ全員、 中学進学時に髪をバサバサ切っていました。別に同じ義務教育で単に学校が変わるだ けなのにね−。

 さて、そんな中学時代の2年生の時の話です。私は2年6組で、隣の教室は 3年1組だったのですが、その3年1組に学校で1番髪の長い女の子がいたのです。 その女の子のイニシャル文字を取ってTSさんと呼ばせて頂きます。そして、この TSさんが私の初めての「第3種?接近遭遇」の相手だったのです。
 そのTSさんの髪の長さは、もちろん校則により2本の3つ編み( たまに1本 の3つ編み) にしていましたが、セ−ラ−服の上着の丈から5cmほど下、腰の真ん 中少し上あたり、計測して80cm弱といったところでしょうか。今思えば( もちろんか なり長いのですが) びっくりするほどの長さではないのですが、この時点では、腰 まで髪を伸ばした女の子が近くにいて、定期的に会えていたことは初めてでしたので 、毎日学校へ行くのに張り合いがありました。。

 1980年代や1990年代初めは長い髪の女子中高生は多かったようでしたが、この 時期は( 私の学校が特別だったのかも知れませんが) 長い髪の女子中学生はあまり いなかったのでした。それだけにTSさんの長い髪は学校内で目立ちましたし、TS さんのトレ−ドマ−クのようでした。休み時間に廊下に出ると、TSさんのクラスメ −トの女の子がTSさんの長い3つ編みをつかんで引っ張ったりして遊んでいる光景 をよく見かけました。2本の3つ編みを1本ずつ両手に持って電車ゴッコのような ことをしていたり、長い3つ編みで首を絞める真似をしたり、どの光景を見ても私に は官能的なものばかりで、この時は( 今もそうですが) 、まったく女の子に生まれた かったなぁと思ったもんでした。私の友人はその光景を見て、「あいつら、アホ ちゃうか」と言っていましたが、私は友人に同意するフリをして、その官能的な光景 をチラッと見てその瞬間に瞼の裏にその光景を焼きつけ、そして平静な顔と声と態度 を装い、家に帰って1人になった時にその光景をプレイバックさせて悦に入るという 超高度な技を編み出さなくてはならなかったのでした。

 ある大雨の日の下校時でした。私の10数m先をTSさんが歩いて下校していま した。当然TSさんは傘をさしていたのですが、傘だけでは防ぎきれない大雨のため にTSさんの腰まで伸びた長い3つ編みはグッショリ濡れてセ−ラ−服の上着とスカ −トにベッチョリと貼り付いていたのです。そのセ−ラ−服とそしてスカ−トを介し てお尻にベッチョリと貼り付いた長い濡れ髪を見て私はとても興奮してしまいました 。「髪はカラスのぬれ羽色」とは、このことを言うのでしょうか、水分を十分に含ん だ長い3つ編みはいつもの乾いた時よりも一層黒々艶々と輝いて見えましたし、この 雨粒になりたいとその時思いました。
『この髪の毛、家に帰ってどうするのかなぁ。やっぱり即乾かすんだろうな。でも濡 れた3つ編みって、ほどく時大変だろうな。それとも今日髪を洗う手間が省けたなん て喜んでたりして....』なんて、長い濡れ髪の処置方法を想像すると更に興奮も高ま りました。ちなみに、私はこの10数年後「髪長少女由香ちゃん」の1エピソ−ドに 「由香ちゃん夕立で髪がグッショリ濡れる」というのを書いたのですが、それはこの 時のTSさんの濡れ髪がヒントになったのです。

 このTSさんは時々、風紀委員として登校時間に校門の前で風紀チェックをし ていたことがありました。ある日TSさんはいつもは3つ編みにして腰まで垂らして いる長い髪を頭の上のほうでくるくる巻いたお団子アップヘアにして、風紀チェック をしていたことがありました。その時です、私と同級生のという奴が、TSさんの 後ろを通り際になんとTSさんの頭の上のお団子をつっついていったのです。
 びっくりしたTSさんは「なにすんの!」と怒っていましたが、Hは知らん顔して 歩いて行きました。実はこのHと私は同姓でして、同姓のよしみで、小学時代から 割合よく話をした奴でしたが、そんな大胆な奴とは思えなかったので、このHの行動 は見ている私もビックリしました。と同時に、TSさんの長い髪に注目していたのは 私だけじゃなかったんだなぁとこの時思いました。それとも、このHも同姓というこ とで私と同じロングヘア−フェチだったんでしょうか?。それで我慢しきれなくなっ て手が出たんでしょうか?。少なくともHとTSさんの接点はそれ以前も以降も見れ ませんでしたので......。

 さて、ここまではせいぜい「第1種接近遭遇」といったところでしょうか。H にとっては「第2種」だったかもしれませんが。問題の「第3種」について話させて 頂きます。中2のある日の休み時間のことです。トイレに行こうと廊下に出た時なぜ か3年1組の生徒が多数廊下でたむろしていたのでした。その中にはTSさんもいま した。下級生の私は仁義( ?) を重んじて、腰を曲げて体勢を低くして3年1組の 人込みをくぐり抜けようとしました。その私の目の前にTSさんがいました。私は 腰を屈めた体勢のままでTSさんの背後をくぐり抜けようとしました。

 その時でした、TSさんの真後ろをくぐろうとした瞬間、TSさんの長い3つ編みの 髪先の房がなんと私の顔にふれ、私の鼻先をくすぐったのでした。なんとも言えない 柔らかくてふわふわっとしたきもちのいいふれ心地で、ほんの1秒弱の出来事で したが、まるで天国にいるような気持ちでした。"髪が顔にふれる" ということは、 第3種くらいの接近遭遇とみてもよいのではないでしょうか。とにかく私にとっては 生まれて初めての官能体験でした。その日家に帰って、当然、1人でアレを.... コホン!....失礼しました。
 習字の時間なんかで、友達と筆で顔をくすぐり 合ったりしてふざけ合ったことは何度もありましたが、筆の毛の束よりもずっと長い 毛の束で、ずっと柔らかくてふわふわっとしていて、それより何より、既に7年も憧 れ続けていた、女性の長い髪で顔をくすぐれたという事実は、馬か羊の毛なんかと 比較になろう筈がありません。

 その光景を見ていた、TSさんと話をしていた3年1組の女の子が「わっ、いやらし −!」と言いました。TSさんは少しびっくりしたみたいでしたが、前のHがお団子 をつついた時のように怒りもせず、再び友達と談笑を始めました。まぁ状況が状況で すからTSさんにも誰にも私を非難する道理はない訳でして、冷静に思い返せば私が 背後をくぐり抜けようとした瞬間TSさんも少し後ろに下がってきたようにも感じま したので、TSさんも反射的に私に髪をすりつけたのかなぁ、なんて感じもしたので すが....。ただ、当時私は身長が165cm ほどだったと思いますし、TSさんは155cm ほどだったでしょうか。いくら腰を屈めたとはいえ、10cmも背の低い女の子の腰の あたりに顔があるというのは......やっぱり、不自然には違いないですよね。
 本当に意図的ではなかったのです。ですが、彼女の髪に触れてみたいという普段から の願望が、より腰を屈め顔を低くさせてしまったのでしょうか?。それとも彼女の髪 から磁力が発生して私の顔を引き付けたのでしょうか?。それとも陳腐な言い回しで すが、神の導きだったのでしょうか?。とにかく私はこの出来事に対し、何かに感謝 したい気持ちでいっぱいなのです。

 そんなTSさんの髪の長さが学校内で2位になった時期が短期間ありました。 私が中2の11月か12月のことでした。2年の別のクラスに腰の下の方まで髪を伸ばし た女の子が転校してきました。明らかにTSさんよりも7〜8cm ほど長い髪でした( 当 然3つ編みにしていました) 。名字のイニシャルを取ってさんと呼ばせて頂きます 。そのKさんの後ろ姿を見た私は当然のごとくハッとなりました。
 ところがほんの1週間ほど後でしょうか、そのKさんの腰の下のほうまであった長い長い髪は、肩の少 し下あたりのセミロングになっていたのでした。明らかに50cmくらい髪をバッサリ切 ってしまったのでした。別に3つ編みにさえすれば長い髪厳禁でもないのに、なんで ここまで伸ばした髪をバッサリ切ったのか......私は、何か外部圧力がかかったんじ ゃないかと今でも思っています。そしてその疑いを実は......間違っていたら申し訳 ないのですが、TSさんに向けているのです。Kさんの自分よりも長い髪を見たTS さんが、ある日校庭のすみにKさんを呼んで、
「あんた、この長い髪切りな!。この学校で1番長い髪は、アタシでないとダメなん だよ。何なら、今ここでアタシがその髪切ってあげようか。」
なんて、ハサミをちらつかせて脅したんじゃないかなぁって本気で想像したのでした 。TSさんはそんなに性格は悪そうに見えませんでしたが、まぁ、女の子の裏の世界 なんて判りませんもんね。
そのKさんは、まるでコアラかナマケモノみたいに生きてるのか死んでるのか判らな いような異常におとなしく無口な女の子だったので、このくらいの脅しなら簡単に屈 すると思われたのでした。とはいえ、そんな脅しがあったなんて証拠はどこにもあり ませんし、あったとしても軽い冗談で、Kさんが過剰反応したのかも知れませんし.. ....証拠もないのに人を疑うなんて良くないことですよね。TSさん、ごめんなさい 。ただ、やはりKさんが髪を切ったのは残念な出来事でした。

 実は、私が中2の2月に私のクラスの2年6組 にも長い髪の女の子が転校してきま した。なぜか、この時期やたらと転校生に長い髪の女の子が多かったのでした。イニ シャル文字を取ってKTさんと呼ばせて頂きます。KTさんは2本の長い3つ編みを 体の前方に垂らしていまして、その髪先はちょうどセ−ラ−服の上着の丈と同じ長さ でした。TSさんよりは3cmほど髪は短かったんじゃないでしょうか。間違いなく 同級生で1番長い髪で、学校でも2番の髪の長さになりました。このKTさんは、 Kさんと違い、来てすぐ髪を切るということはありませんでした。私はこの時、TS さんも卒業間近だったので、大目に見てあげたのかなぁ、と思いました( なんだ、 やっぱりTSさんを疑ってるんじゃないか!) 。ほんの1ヵ月ほどで、会話もなかっ たのでしたが、今までで1番長い髪の女の子のクラスメ−トができたのは、とても 楽しい日々でした。ちなみに期末テストの数学で私は100 点を取りまして (えっへん!)、数学の先 生がそのことを公表してくれましたので、私が真っ先に期待したことは、" KTさん が私に注目してくれるかなぁ" でした。ですが残念ながらKTさんは3ヵ月後( クラ スは分かれてました) に、髪を胸の上のところで(30cm ほど) バッサリ切ってしまい まして、卒業写真集にはその髪を切った後の写真しか写っていないのです。

 さて、話を再びTSさんに戻させて頂きます。私よりも1つ年上のTSさんは 私が中3になる時に、当然卒業して、高校に進学しました。そんな中3の6月頃だっ たでしょうか、TSさんが高校の制服を着て、中学校に遊びに来たことがありました 。その中学時代には腰の真ん中まであった長い髪は........健在でした。TSさんは 高校進学を期に髪を切るなんてことはしなかったのでした。ただ、髪型は、中学時代 と同様の2本の3つ編みでした。このTSさんの高校も又長い髪は3つ編みにする 校則だったのでしょうか( 私の高校はそんな校則なかったんですがね) 。それとも 中学校に遊びに来るので、急きょ3つ編みにしたのでしょうか。まぁ、ほどいた髪も 見たかった私にとっては少々残念でした。結局TSさんを見たのはこれが最後でした 。私がこれまで思いを寄せてきた長い髪の女性達は、タレント素人含めて、結局最後 は髪を切るという悲しい結末に終わった人が大半でしたが、このTSさんは長い髪の イメ−ジで終わった希有な女性ということです。

 何だか、肝心の「第3種接近遭遇」の部分はちょっとで、大半が私の中学時代 の思い出話という本末転倒な内容になってしまいました。最後に匿名の世界とは言え 、変な疑いを抱いてしまったTSさんにはもう1度お詫びをさせて頂きます.... ごめんなさい。m(_ _)m



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2001.4.26(Vol.196) 初出___Cont.No.snaken2     目次へトップへ


(もしも字が読みづらい場合は、フォントを調節もしくは画面解像度を変更して下されば宜しいかと存じます)
 昔、高校時代の3年間、「わぁ、可愛いなぁ」と思い続けた女の子がいたので す。その女の子は通学のバスでよく乗り合わせたのですが、私より5つ年下で、その 間小学生から中学生だったのです。5つの年齢差って大人になるとどうってことない んですが、10代の少年少女にとっては結構大きくて、高校生と小学生なんて2世代ほ ど違う様なもので、興味をもつことすら不浄な物な気がして(何とも純情な)、とて も告白なんてできずに3年間を過ごしたのです。

 で、どういう風に可愛かったのかと言うと、顔は確かに美形の方だったけれど 年の割に大柄で大人っぽく見えましたので、そっちの方ではなくて、実は「髪の毛」 だったのです。両耳の下から2本まっすぐ下ろした長〜い3つ編みは最長で下ろした 手の指先とほぼ同じ長さ−−お尻を超えて太股にかかり始めるあたりまで伸びていま した。計測すると1mほどだったでしょう。当時ほぼ毎朝、通学バスの中でこの長〜 〜い3つ編みを見て胸をときめかせていたのですが、同時に、大人っぽい容姿とこの 2本の長い3つ編みの少女っぽさのアンバランスさが何となく面白くて、可愛いなぁ と思っていたのです。
 この後、もっと長い髪の女性を何10人も見かけましたが、この 時点では(肉眼で見た)もっとも長い髪がこの女の子の3つ編みだったのです。 だから毎朝、通学バスで会えるのが高校時代の1番の楽しみでした。それまでも、 同級生や上級生でも長い3つ編みの女の子は何人かいましたが、そのどの娘よりも 20cm以上は長かったのです。(申し遅れましたが私の小中学時代は長い髪の女の子は 校則で3つ編みにするのが慣わしだったのです)
 長い夏休みが来ると、うれしい反面その女の子に会えないつらさもありました 。それ以上に「あの子、休みの間に髪の毛切ってないかなぁ」と不安になりました。 休みが明けて再会して、長い髪が無事なのを確認して、ホッと安堵に胸をなで下ろし たものでした。でもこの子は3年間私のことに気が付いていたのでしょうか?。

 見つめているだけの3年間でしたので、ドラマチックな出来事はありませんで したが、印象的なシ−ンはいくつかありました。先ず1つめは、その女の子の3つ編 みを最も至近距離で見た時です。私がバスの通路側に座り、その女の子が斜め前に 背中を向けて立った時でした。それまでも3つ編みの女の子は何人も見てきましたが、 じっくりまじめに3つ編みを観察したことなんて生まれて初めてでした。

 それまでに見た1番長い3つ編みの印象は........根元から髪先に伸びるにつ れて徐々に3つ編みは細くなり、まだ伸びきっていない髪の毛が3つ編みの縄から うぶ毛の様にはみ出しており、編み終わった腰の真ん中あたりでさくらんぼ型の髪止 めをして、そこから15cmくらいの髪の房が仲良く並んでお尻の上に乗っかっていまし た。髪先の房は使い古した筆の様で、先は揃ってなく1番長く伸びた毛がヨレヨレと 突出していましたが、この不完全さが前述の縄からはみ出した毛とともにこの女の子 の髪の成長記を物語っている様で、ほほえましくも妙にリアルさを感じました。

 大人っぽい容姿と不釣り合いなさくらんぼ型の髪止めも何となく面白くて可愛 いなぁと思ったのでした。規則正しく編み込まれた編み目1つ1つにも、そこに込め られた手間ひまと愛情を感じる様でした。ほどけば上半身を包み込むであろう1m以上 ものボリュ−ムのある長〜い髪のたば、それが目の前にある2本の細長い縄へと変身 している訳で、その変身の過程で、何年もかけて伸ばしてきた長〜い髪に小さな編み 目が1つ1つ丁寧に編み込まれていく様子を想像すると、その3つ編みを手に持って 撫でてあげたくなる衝動が沸き上がってくるのでした。その髪先の房の先端がお尻の 山のふくらみを越えているのが判った時、「わぁ、長くなったなぁ......お尻超えた なぁ」とうれしくなり、「どこまで伸びるかなぁ」と期待に胸は膨らむのでした。

 もう1つ強く印象に残っているシ−ンは、その女の子がバスに乗り遅れまいと 一生懸命走っている後ろ姿をバスの窓から見た時です。
 その姿は........80cm以上はあろう2本の3つ編みの縄が、まるで蛇の様に うねうねとなまめかしくうねり、その2つの髪先の房がその女の子のお尻を片側ずつ交互 に叩いてたのでした。あの妖艶な姿は今も脳裏に焼きついて離れません。まだ 10を少し超えただけの少女の無意識に走る姿が高校生だった私の心をこれほどまでに 昇天させてくれたのでした。あの時の2本の3つ編みはまるで生きた動物の様でした 。
 思えば頭頂からつやつやと輝きながらまっすぐにさら−っと下りる長〜いワンレン グスが1番好きな私ですが、2本の長い3つ編みというのも本能的な何かをくすぐ る物があったのかも知れませんね。長く細く伸びた3つ編みの弱々しさ が何とも言えないいとおしさを感じさせたのかも知れませんし、それが2本あるとい うことも−−人間の体の主な器官が2つずつあることと何か関係があるのかも−− 何か生理的にソソる物を呼んだのかも知れませんね。これが太い1本編みとか、ウィ グル族の様に極細の3つ編みを沢山編んでいたりでは、これほどまでにソソられなか ったのではと思います。

 そんなこんなで楽しくも素朴な3年間が過ぎ、私が大学生になって、バスも 違う路線を使うようになったのですが、幸いにもその女の子の乗る駅も通過するので 、窓から可愛い姿を時々見ることができました。そんな大学1年の6月のある日、少 し気になる姿を見かけたのです。その日の女の子は何か物思いにふけった様な、疲れ た様な雰囲気で停留所のベンチに腰かけていました。その3つ編みはベンチの腰かけ まで届いており、髪先の房が腰かけの上に可憐に横たわっていました。
 「わぁ、長いなぁ......座ったらイスに届くんだぁ」とその時は単純に喜んだ のですが、それからなぜかこの女の子を見かけない日が1ヵ月ほど続きました。
そしてついに運命のあの日が来たのです。

 大学1年の7月12日午前8時すぎ、いつものようにバスの窓から女の子の姿を 捜していた私はショッキングな光景を目にしたのです。

 向こうから歩いてくる見覚えのある顔をした、だけど見たことの無い姿をした 、耳の少し下で髪を切り揃えた1人の女子中学生。その女子中学生こそ、あの女の子 の変わり果てた姿だったのです。そう、彼女は私が3年間思いを寄せてきた、お尻を 超える長い長い髪を耳の下の所で切ってしまったのです!。

 その時の私の受けたショックは言葉で上手く説明できません。その日は前期試 験の化学のテストの日でしたが、とてもテストどころでなく惨憺たる出来でした。 そして、私の高校時代はこれで完全に終わったと思いました。
 その時の女の子は何か気まずそうに短くなった髪をふわっふわっと右手でさわ っていました。もしかしたら髪を切ったばかりでまだ頭の軽い感触に馴染んでなかっ たのでしょうか?。それとも、もしかしたらバスに乗っている私の姿を見て気まずくな ったのでしょうか?。そして、6月のあの日の物思いにふけった姿は、髪を切るか どうかの狭間で揺れていた姿だったのでしょうか?。

 女の子が切った髪の量は80cmはあったでしょう。私は何度も両手を80cmの間隔 に広げたり30cm定規をつなぎ合わせたりして80cmもの切り離された髪のたばを思い浮 かべ、あの印象的ないくつものシ−ンを思い返しました。
 「もう、毎朝3つ編みを編むこともなくなって......まぁ、楽になっただろう けど、寂しくないのかなぁ?........あの蛇のように活き活きと動いていた長〜い 髪......あの元気な髪が切り取られたなんて........あのさくらんぼ型の髪止め.. ....何年も何年もあの子の髪を止めていただろうに......もうあの子の髪を止められ なくなって寂しく感じてないかなぁ?........否、ひょっとしたら、もう不要物とし て捨てられてしまったかなぁ?........それより何より切り離された80cmの髪のたば ........何年も何年も伸ばしてきて、何100 回も洗われて、手入れされてきたろうに 、そんな愛情が込められてきたはずの髪なのに、もう捨てられたんだろうか?...... それともタンスの中にでも保存しているんだろうか?」なんていろんな思いをめぐら せると一層切なくなってきました。

 以上が私の高校時代の甘くも少しほろ苦い思い出です。今でも長い3つ編みの 女子中高生を見かけると、あの女の子のことを真っ先に思い出します。
 1番の心残りはやはりあの子の髪に1度でもいいから触れてみたかったことですね。 あとやはりあの子の3つ編みをほどいた姿を見たかった......実は真面目な話、 私が「ひみつのアッコちゃん」を羨ましく思い始めたのはこの頃からでした。あの 魔法のコンパクトがあれば、「テクマクマヤコン、蚊にな−れ」と言って蚊に変身し て、あの子の部屋に忍び込めれば..........家に帰ってきたあの子が、鏡の前で 3つ編みをほどいて、背中と腰を完全に包んだ長い長い髪に丁寧に櫛を入れ、食事の 時、畳に座った長い髪のすそが畳の上に可憐に横たわっていて、 食事が終わったあの子が風呂に入って長い髪を丁寧に洗い、洗い終えた濡れ髪を乾か し、そのドライヤ−の熱風に長い髪が舞い、お手入れを終えて綺麗になった長〜い髪 をゆっさゆっさと揺らしながら寝るまでの時間を過ごし、寝る時にはあの髪をどの ように処理して眠るのか、そして朝起きて、あの長い髪を3つ編みに編み上げる (自分で編むのか?、それともお母さんに編んでもらうんだろうか?)までのあの子の髪 に触れる行動の一部始終を見ることができたらどんなに素晴らしいだろうか...... ホントに自分のこんな大きな体、無い方がマシだと何度も思ったことがありました。 盗撮する奴の気持ち、判りますね......それを公開するのは良くないことだけど。

 この女の子を最後に見たのはいつだったかは覚えていませんが、もしかしたら この後再び髪を伸ばし始めたのでしょうか?........もしこの後もずっとショ−トヘアを通し たのだとすれば、私にはその気持ちは理解できませんし、延いてはそれは女と男の 埋め切れない溝と言うべきかも知れませんね。



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小説コーナー短編集(ご感想)パート
ぽん さん  2001.5.3(Vol.199) 初出___Cont.No.pon01    
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SNAKEHEARTさんの「三つ編み少女」 のほろ苦い青春時代の思い出を読ませて頂きました。
何事も「初めがあれば終わりもある」と言ってしまえばそれまで ですが、青春の最も輝いている時期に長〜〜〜〜〜い髪を 切り落としてしまうなんて、実に残念ですよね。若くて美しい時代 だからこそ、髪もキラキラと輝き、最も美しく生き生きとしている というのに。もっと輝き続けてほしかったですよね。

私もそのような経験がありますが、長〜〜〜〜〜い黒髪が、ある 日突然短くなっているのを知ったとき、まさか、人違いであってく れと強く願うとともに、次の瞬間、その事実を受け止めざるを得 なくなり、奈落の底へ突き落とされたような失意に見舞われるわ けですよね。
髪を切るのは本人の意志もありますが、その行動の 直接、あるいは間接的な要因として、周囲の長い髪に対する偏見 、即ちみんなと同じでないといけないというムラ意識があると思い ます。大人たちが若者に対して「個性がない」と言いながら、 「個性的になる」とそれを叩き潰すという不合理な面がまだまだ 日本の社会全体を覆い尽くしているように思います。


<編集・発行者からの御礼>
ぽんさん、私の投稿に対するレス、まことにありがとうございました。
やはり、ぽんさんも同様の経験をお持ちなんですね。おそらく このHPをご覧の方々なら、(程度の違いこそあれ) あの「三つ編み少女」のようなほろ苦い経験を殆どの方が持ってらっしゃる でしょうねーーー。
実はあの投稿は2年前に作ってまして、イラスト付きで発表しようと思って たんですけど、色々忙しくってイラストを描く時間が無くて、それで イラスト無しで発表することにしたのです。 もっともイラスト付きにしたら、私の正体がバレテしまうかもしれませんので、 この方が良かったのかも。(^_^ )
> 「個性がない」と言いながら、「個性的になる」とそれを叩き潰す .... そうですよね、私、大人も勝手だと思います。ワガママだと思いますね。 若者のことを「無個性だ」と言うのは自分のことを賢者ぶりたいために 若者のことをクサシてるんでしょうし、 「個性の芽を摘み取る」のは自分が生き残るために極度に複雑化させた 都合の良い社会を作り変えられたら困るからでしょうし、とにかく 大人が自分の都合で若者を振り回しているということですよね。
だから若者達が荒れる原因の1つは、大人の勝手に振り回されて 一体全体どう生きれば良いのか訳が判らなくなっていることも挙げられると 思いますね。 勝手な大人達はそれを若者の食生活だとか前頭葉の未発達にカコツケテますけどね。
> 髪を切るのは・・・・直接、あるいは間接的な要因として、周囲の長い髪に 対する偏見 .... ですよね、何度か申しましたけど、今年の1月の2つのヘアカット番組でも、 その偏見が垣間見られましたよね。9日の生まれてから20年間髪を 伸ばし続けた女性の場合は「いつかは切らなければならない」と言ってましたし、 5日の13年間髪を伸ばし続けた女性の場合は出てきた時に「君、ヘンやで!」 とリポーターが言ってましたもんネ。
私に言わせると、 「誰が決めたのそんなこと!?。」 「いつからそんな法律が出来てしまったの!?。」 「何でロングヘアーを忌み嫌う発言ばっかりが、TVで流されるの!?」 です。ですから私は、本HPはそんな世間のロングヘアーへの偏見 に抗議し戦うことをも目的として作っているのです。 (まあ、投稿者の方々にそれを強制しているつもりはありませんが)
ですので、ぽんさんのようにそういう(ロングヘアーに偏見を持った) 社会に対するご不満を、こうして投稿していただけますと、個人的にはたいへん嬉しい です。
ご投稿、本当にありがとうございました。
小説コーナー短編集(ご感想)パート
SNAKEHEART  2002.8.30(Vol.309) 初出___Cont.No.snake01    
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編集・発行者からの御礼−−「呪いのロングヘア」

髪 伊良さん、ロングヘア・ホラー小説 「呪いのロングヘア」ご投稿ありがとうございました。
いや〜〜〜なんと申しますか....もう、スゴイ!と言う他なくって ....呆気に取られてしまいました、私。
まさか、これほどのボリュームの大作小説を一度で完結して頂けるとは 想像していませんでした。かなり以前から構想を練られて書き溜められてたのでは??? ....それ程の大切な作品を本HPにご投稿頂きまして光栄至極にございます。

それにしても奇想天外なストーリー....まるで楳図かずおさんのホラー漫画と 土曜ワイド劇場とそして「夜にも奇妙な物語」を同時に見ているかのようでした。 ですが我々ロングヘアーLOVERにしか分からないであろう独自の世界でもありますヨネ ....でもホラーでは寧ろその独自性・マニアック性こそがかえって 恐ろしさ・猟奇性・リアリティを感じさせてゾクゾクする所ですよね。
全体の構成も所々のツボの押さえ方も盛り上げ方も “さすがにホラー漫画にご精通なさっている髪 伊良さんだなぁ” と 感じましたし感心いたしました。更に所々笑える箇所まで有って.... 『もしかしたらご本職はホラー作家では??』とまで思えましたが(^_^ )。
この小説を目に留めたホラー漫画家か映画監督あたりが 漫画化・映画化してくれれば面白いでしょうネ〜〜。今回読ませて頂いても 優君の困惑ぶりや、三つ編み少女の髪をいじりまくっている光景などが 本当に目の前に浮かんでくるようでした。でももし映画化されるとしたら、 優君役は....女の子がするのかなぁ?....それとも少しナヨナヨとした男の子が?

最初の方では、夜中に目覚めた優君がいつの間にかくっ付いていた三つ編みに 違和感を感じそして気が付くまでの様子が、まるで自分がそうなってしまったかのように 本当に手に取る様に明確に丁寧に描かれてましたね。 『急にこんな事になったら、ビックリするやろし困るやろなァ』とわが事のように 思えました
その後登場したママと女医....ともに揃ってガチガチのアンチロングヘアー派で、 執拗なまでのロングヘアーバッシング談義で盛り上っている様子がなにか可笑しくて 笑えましたし、 パパの浮気相手が長い髪の毛の女性・・・ 学生時代にも好きだった男をやはりロングヘアの女性に奪われてしまった という設定もケッサク中のケッサクでした(^_^ )。

そして謎が解き明かされる1年前の出来事....ここからは3つの意味で 更に一層ゾクゾクっとしましたね〜〜。
1つのゾクゾクは“怨念の恐ろしさ”....これはまあホラーの本質でしょうが、 死んだ女の子の怨念が優君の髪を伸ばさせ夢の中にまで出てくるという 幽鬼的な恐ろしさ(でも何となく笑える所もあるんですヨネ ^_^ )と、 更にはその母親と叔母が優君を死んだ娘の代わりにしようとする 狂気じみた(娘への)偏愛ぶりの猟奇的な恐ろしさ。
で、その叔母さんが先の女医だったとか死んだ女の子が同じ優という名前だった という強引さがまたケッサクですが、 でも、その偶然さ(それが謎を解く鍵でもある)というのもホラーの醍醐味ですヨネ〜〜〜。
で、2つめのゾクゾクは“ストーカーのスリル”.... 先日も申しましたけど、ストーカーって本来は良くない行為なのですが、 でも『してみたい』という思いは多くの方が持っていると思いますし、 こうして小説や映画で読んだり見たりするのって、自分の願望を叶えてくれるし でも罪悪感を突かれる様で、そこにえも言われぬゾクゾク感を覚えるんですよね。
そして、3つめのゾクゾクは“女の子の髪をいじりまくるシーン”.... いや〜〜〜悪いですね〜〜優君。でも....優君に自分を投影して 楽しくゾクゾク興奮させて頂きました。
まあ私ならばこの場合はいくらなんでも直ぐに病院に連絡を入れると思いますが、 でも.... 動けない状態のロングヘアー美人さんの髪の毛を思う存分触りまくりたい! という願望は私も勿論普段から強く持っております!(^_^ )  まあその方法は例えば、 時間を止める事が出来るストップウォッチを手に入れて....とか 想像するんですけど、でも、この事故で動けない方が現実的ですよね。
でもこういう “若気の至り” とか “心の弱さ” がこういったホラー事件の 原点になったりしますよね。

いや〜〜〜まったく、ホラーの本質と思われます幽鬼性・猟奇性に加えて、 ロングヘアーLOVERのマニアック心までゾクゾクさせてくださいます 素晴らしい作品でした。
> 次回は、へび少女ものをお届けしようかなと思います .... いや〜〜〜是非ともお願いします。期待しておりますので(^_^ )。
大作小説「呪いのロングヘア」....本当にありがとうございました。

小説コーナー短編集(ご感想)パート
SNAKEHEART  2002.10.6(Vol.317) 初出___Cont.No.snake02    
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編集・発行者からの御礼−−「へび髪の吸血少女(前編)」

髪 伊良さん、またまた素晴らしいロングヘア・ホラー小説の新作 「へび髪の吸血少女(前編)」まことにありがとうございました。
いや〜〜〜またまたコワイお話ですね〜〜〜、先ずタイトル(「へび髪の吸血少女」)からして恐怖のエッセンスを目いっぱい詰め込んだ事が分かりますが。
> 「へび少女」と「トイレの花子さん」が組み合わさったような内容 との事ですが、 実は「トイレの花子さん」って私見た事がないのですが、でもトイレってのは 一種無防備になってしまう場所ですもんね。そこにもしも “へび少女” が現れたら? ....そりゃあやっぱコワイですよ。そういった題材の選び方は流石 ホラーSpiritsが染み付いてらっしゃる髪伊良さんですね(^_^ )。
「へび少女」に関しては、楳図さんや杉戸さんの漫画を髣髴させるような 不気味なシーンが出てきましたね〜〜。でも、ロングヘアとへびを ここまで直接結び付けている作品は楳図さんや杉戸さんには無かったのでは?  このあたりはロングへアサイトに於けるホラー小説ならではですね。 是非とも漫画化か映画化されてほしいです。

それにしても凄まじい展開ですね〜〜。ロングヘアの女の子を後ろからつけていたら、 その女の子にへびが這い上がって巻きついてきて、続けて地面からうろこの手が伸びてきて その女の子を穴の中に引きずり込み、翌日へび少女になっていたなんて ....凄い発想力に感心します。この破天荒さもまたホラーの醍醐味ですよね。
ところで前回の「呪いのロングヘア」も今回の作品も共に、 どちらかと言えば気の弱い内気な(ロングヘア好きの)少年が、 自分の思いや願望を打ち明けられなくって、でも自分が傷つかないように 願望・欲望を満たそうとやや陰気な行為(軽いストーカー)をした事が 事件の発端になってますね。
このあたり前回の優君といい今回の良幸君といい、 そのちょっとした不健康さ(考え方・行動共々)もまたホラー小説の主人公らしいですし、 それに加えてなんだか感情移入ができて親しみが持てるキャラクターでもあるんですよね〜〜、私には。
口八丁手八丁でロングヘア女性と付き合い放題なんてキャラだと とても感情移入なんて出来ませんもんね〜〜というかそういう奴はコテンパンに やっつけられる事を期待してしまいますが(でも、そういう小説もまた面白いかも ^_^ )、 優君や良幸君だと『大丈夫かな?』と心配もしてしまい、尚更読んでいてもハラハラしてきます。
まあでも、本HPの読者の方々ってどちらかと言えば優君や良幸君TYPEの人が 多いんじゃあないでしょうかね〜〜?.... で、しかも一応は幽霊とかへび少女とかに呪われて恐ろしい目に遭いながら、 それでもちゃっかりと長〜〜い髪を思う存分触りまくったり、 髪の臭いを嗅いだりしてして結構良い思いもしてるんですよね(笑)。
その意味からも、髪伊良さんの小説って読者の方々にも親しみが湧くんじゃあ ないでしょうかね〜〜? 自分の思いを代弁してくれてる所も有って。
優君にしても良幸君にしても、 長〜〜い髪を見て興奮している様子とか、 自分に都合の良い想像をしてニタニタしている様子とか、 そして実際に髪に触りまくって悦に入っている様子とか心理描写がとても丁寧で、 読んでいても『わかる、わかる、その気持ち』って感じがして とても楽しくなってきます。

それと髪の毛の描写が丁寧ですよね。(三つ編みとかお下げとか)まとめ髪の描写ってのは なかなか文章で表現するのは難しい(というか面倒)と思うんですけど、 本当に丁寧に几帳面に表現してくださってますね。
それにしてもこの2人のへび少女が何故か男子トイレに居たというのも 面白い(不思議)ですが、そこに入って来たのが良幸だというのも面白いですね。 このあたりどう解釈したら良いんだろうなぁ??...... 全くの偶然だったのか? 2人のへび少女は良幸の行動を全て予測できるのか?  2人のへび少女の魔力が良幸をトイレに呼び寄せたのか?  2人のへび少女のロングヘアーに夢中になった時点で良幸は既に 異次元空間(あるいは魔界)にでも迷い込んでしまったのか? ....それとも逆に考えれば、良幸の願望が2人をへび少女に変えてしまい、 そして自分の願望を満たすように2人を動かしているのか? ......あまりにも奇抜で不思議な世界ですので色んな想像が出来ますよね。
この前の「呪いのロングヘア」も最後のほうで意外などんでん返しがありましたが、 今回の作品も次の「後編」で色んな謎が明かされそうな予感がしますネ〜〜.... と言ってもこれは私が勝手に想像しているだけですので、どうか髪伊良さんは 私の言葉など気になさらずに現在ご検討中のシナリオにてお進めくださいませ。

また「後編」の方もとても期待しております。 先ずは大作小説「へび髪の吸血少女」の前編、ご投稿まことにありがとうございました

小説コーナー短編集(ご感想)パート
SNAKEHEART  2002.11.3(Vol.324) 初出___Cont.No.snake03    
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編集・発行者からの御礼−−「へび髪の吸血少女(後編)」

髪 伊良さん、ロングヘア・ホラー小説の力作 「へび髪の吸血少女」ご完結下さいまして まことにありがとうございました。この後編、私も蛇のように首を長くしてお待ちしておりました(^_^ )。
いや〜〜凄いお話ですネ〜〜。コワイですね〜〜、でもとても面白くて笑わせても頂きました。
でももうノリノリで絶好調ですネ〜〜。 こう言うともしかしたら髪伊良さんの御本意でないのかも知れませんが(その場合はスミマセン) “怖い” というよりも “面白くて面白くて”、読ませて頂きまして爆笑の連続でした。 良幸君も被害者なんでしょうけど寧ろ楽しんでるという感じで。
私、髪伊良さんの小説によく出てくる「う〜〜〜ん、良い気持ち、はっ」って 急に我に帰るところが好きなんですヨ(^_^ )。 それと「おほほほ」という笑い方も。
しかしこういう男子をいたぶるへび少女って、もし自分が被害者になったら さすがに『嫌な女だなぁ』と思うでしょうけど、こうして小説とかドラマとかの フィクションで読んだり見たりする分には面白いですよね。 それもただのへび少女でなく、髪の毛の臭いをかがせたり髪で顔を撫でたり (男にとって)嬉しい事を沢山してくれる訳ですもんね〜〜。
私、楳図かずおさんのへび女物を幾つか読みましたけど (少女フレンドに連載されてた物や「口が耳までさける時」「へびおばさん」等)、 いずれも可愛い女の子がへび女にどどど!と追っかけられる物で (ただし、へび女は超ロングヘアーが多く、追いかけてる最中に髪がバラける事が多い)、 男子は出てこないんですよね。杉戸さんのへび少女物も1本読みましたけど、 優等生タイプの男子が出てきただけで......でも髪伊良さんの作品に出てくる 男子は一癖二癖あって本当に味がありますし、あくまでその男子が主人公ですもんね。 本当に親しみが湧いてきます(勿論、自分と同じ髪フェチという性格が第一に共感する点です)。
楳図さんや杉戸さんの作品が “女の子の為のホラー漫画” って感じなのに対して、 髪伊良さんの作品は “男性の為のロングヘアーホラー小説” という感じがしますね。 そこが同じへび少女を題材にしても違うところですネ、勿論これは私感ですが。

そんな男性が活躍する(主人公の?)ロングヘアーホラー小説ならではの名シーンが続出ですネ。
> 用足しをしている最中の奈津美の背中にとびつき、 髪の分け目をまず舌でなめ始め、それから両側の三つ編みにした髪の毛先を それぞれの手でわしづかみにして髪を引っぱった。 .... いや〜〜〜こんな大胆なシーンを書いてしまって良いのでしょうか?(笑)  何て卑怯な奴なんでしょう、良幸ったら.... 良い子はくれぐれも真似をしないように(^_^ )....でも面白い!  『もし自分が被害者になったら』と思うとトイレ入るのが怖くなりますね。
で、更には.... > 女の子の後ろから背中にとびつき、ツインテールの髪の毛をそれぞれ わしづかみにした・・・良幸はまた髪の分け目をなめた後、 うなじのところに噛みついて、女の子の血を吸いだしたのだった。
とか> ほどけば1メートルぐらいはありそうな長くて多い髪のある 年上の少女の背中に良幸はとうとうはい上がってしまい、 両手でそれぞれの三つ編みの髪のなかほどをわしづかみにして、 すぐにうなじをなめて牙をさしだした。 .... どんどん大胆になっていきますね〜〜。 しかも遂には日中に公衆の面前で.... そして最後はもうジェイソン状態になってますね〜〜(^_^ )。
でも必ず、襲われる女の子はツインテールか2本の三つ編みで (血を吸われる前に)両手で1本ずつわしづかみにされるお約束がケッサクですし、 この“ツインテールわしづかみ”ってホントぞくぞくしますよね (勿論、吸血よりもこちらの方がメインなのですよね?)。
1本の三つ編みとか1本の(それも頭の上の方で纏めた)ポニーテールって 私あまりソソられないんですよ。やっぱり2本がイイ!!  勿論個人的にはフリーが1番良いですが。
楳図かずおさんのホラー漫画でも大体1作に付き1回は髪をむんずとつかむシーンが 登場しますが、いずれも(殆んどは)片方の手だけでつかむんですよね。 髪伊良さんの作品はちゃんと2本の手を使って片手に1本ずつつかんで下さる (ロングヘアーLOVER 心を察しておられる)丁寧さが好きですネ〜〜、私。

> たしかに、好きじゃない異性に好かれるのは、特に女の子のほうは いやだという子が多いかもしれない。しかし、そうした心のうちも へび少女たちには読みとられている。 .... いや〜〜、へび少女って情け容赦無いんですネ〜〜、 「見るくらいやったら許したってぇ〜〜なぁ」(笑)。 まあもっとも、“情け容赦が無い” のは今の女性たち全般に付いて 言えることですけどね
更には.... > 「うふふふ、あの女のくさった男の子は顔や体型に関係なく、 やっぱり髪の毛がいちばん長い人にとびついたわね。」 「ほんとね、ふつうの男の子なら、顔のかわいい子とか、 スタイルのいい子を狙うのにね。」 .... いや〜〜、この冷たさと毒舌....でもフィクションで読む分には なにか小気味よさが有りますネ。 もっともそれはロングヘアー女性だからこそなんですけどね。 もしこれがショートヘアー女性ならばフィクションでもムカっ腹たちますけど。
なにか自分の心の内を突かれたようで、読んでいて一種自虐的でマゾ的な快感を感じます (ただし、私はマゾではありませんけどね。痛い事は大嫌いですから ^_^ )。 でもこの髪伊良さんの小説によく出てくる「女の腐ったみたいな男ね」のセリフ ....本当に面白いです。
> ショートの女の子も、こうしていずれは髪を伸ばすようになり、 へび少女にされる可能性はじゅうぶんにあるのである .... いや〜〜こうして髪長の輪がどんどん広がっていくわけですネ〜〜、 めでたしめでたし.... んっ、でもその代わりみんなへびになってしまうんだよなァ.... う〜〜〜んっどっちが良いのやら?.... まあ自分もへびになってしまえば良いのか.... でも血を吸われるのは嫌だなァ、なにせ私、献血も怖くて出来ないくらいですから(^_^ )

それにしても、先日の「呪いのロングヘアー」といい今回の「へび髪の吸血少女」といい、 “ロングヘアー小説” をホラーという手法で見事に纏め上げられた素晴らしい作品でした。
大作小説「へび髪の吸血少女」のご完結、まことにまことにご苦労様でした。ありがとうございました。

小説コーナー短編集(ご感想)パート
SNAKEHEART  2003.3.15(Vol.364) 初出___Cont.No.snake04    
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編集・発行者からの御礼−−「ロングヘアのおにいちゃん」

髪 伊良さん、 「呪いのロングヘア」 「へび髪の吸血少女(前編)」 「へび髪の吸血少女(後編)」 に続くロングヘア小説の第4弾 「ロングヘアのおにいちゃん」....またまた楽しませて頂きました。 この前の「へび髪の吸血少女」から5ヶ月ぶりだったんですね、またまた凄いボリュームの大作小説でしたネ〜〜。
「おにいちゃん」というのがとっても可愛いですよね、そのタイトルからも分かるとおり 今回は全編、妹の絵里香ちゃんの独白という構成で進行していた点がこれまでと異なった斬新さですし、 ホノボノとした可愛らしさでした。
そして、その今回の「ロングヘアのおにいちゃん」ですが、 最初に絵里香ちゃんが語るイントロというか前置きが少し有って、 そしてタイトルが出て来て、本編が始まるというまるで映画かコミックを見ている ような構成もまたとてもイキですね。
そして本編が始まるとまたまた摩訶不思議な “髪伊良さんワールド” が 展開されました。 前3篇のホラー物とは今回は違いますが、それでも何か不思議な感覚を抱かせてしまう 独特の世界観は共通ですよね。
でも今回は現実に存在しえる話ですもんねぇ、それを摩訶不思議と感じてしまうのはつまり 私はまだ男性のロングヘアーに違和感を感じている訳でしょうねぇ ....やっぱりそのあたり私も考え方を改めて行った方が良いのかもしれませんね。

さて、男子ロングヘアーものとしては、以前に「呪いのロングヘア」が有りましたが、 あちらは望まずしてそうなってしまった男子中学生の困惑でしたけど、 今回は自ら望んでロングヘアーになった小学6年生の男の子の自己陶酔ぶりが 対照的で面白いですネ。以前あの「投稿 特ホウ王国」というTV番組の中で、 髪をずっと伸ばし続けている(腰あたりまで有ったかな??)小学生の男の子が出てましたが、 なんとなくあの男の子の事も思い出しました。
そして特に....
> 黒髪のぼく ....で始まり、 > なによりもたいせつな、この長い黒髪はぼくの恋人…。 .... で終る日記のパートは、その阿毛男君の自己陶酔ぶりが目に浮かぶ様で、 その徹底したのめり込み度の描写がホント絶品ですね。
でもそのTVに出てた男の子も含めて この阿毛男君の小学6年生という設定がまた微妙な面白さなんですよね、大方の男の子はまだ第2次成長期 (この場合、性徴と言うのでしょうか?)に入る少し前 ですものね(今の子供達の事はよく分かりませんが、私の当時はそうでした)。
ですから、阿毛男君はまだ男としての自我が目覚める前なのかな? とか  物心つく以前から親から受け続けた洗脳故なのかな? とか  日記に書かれていた幼稚園時代に好きだったロングヘアーの女の子への強い想いからなのかな? とか  阿毛男君はもしかしたら(今話題の)性同一性障害の気が有るのかな? とか 様々な想像が出来る年頃でもありますよね。 またそういう様々な想像力が掻き立てられるのは、やはり その年齢設定(子供とも大人とも言えない様な微妙な年齢)や本文中の阿毛男君の心理描写(日記に書かれた心の声)や 周囲の人物設定のリアルさ(幼稚園時代の憧れの娘とか) がちゃんと丁寧に描かれ・盛り込まれている故なんでしょうね。

それと、阿毛男君が様々にヘアースタイルを変えていく様子は、 以前に髪伊良さんが投稿くださいました 「男でも許される長髪のヘアスタイルは?」(思いの丈ぶっちゃけコーナーPART4に収録)の内容を補足 して下さっている様にも感じましたです。
ところで....
> 学校の成績がクラスで一番になった時に、ほしいもの何かあるってママがきい た時、「何もいらないから髪の毛また長くしたい」 .... ここのフレーズを読んだ時、思わずニタっと笑みがこみ上げてきました。 確か「呪いのロングヘア」でもよく似たフレーズが有りましたね〜〜〜 (低学年の時に優ちゃんが学校で一番の成績になったので、 ごほうびになにかほしいものあるってきいたら、 なにもいらないから髪の毛を長くしたいって言い出したのよ) ....なにか髪伊良さんの専売特許のようですね(^_^ )、 とても面白いです。こういう風に自分から髪を伸ばしたいと言い出す子供が 増えてくるとホント良いですよね(おっと、勿論、女の子がですが ^_^ )。

さてさて、今回もまたまた、主人公の男子は気弱でおとなしくて、 そしてその周りの女子たちが積極的で個性がギラギラしている点が これまでと共通で面白いですよね、結局は男子が振り回されているという展開が。
小学6年生といえば、女子の方がむしろ先にそろそろ第2次成長期に入ろうかという 年頃ですよね(これまた今の子供達の事はよく分かりませんが、私の当時はそうでした)、 今回の作品でもそれが現れている感じですね、性への固執の強さが。
それにしても、こういう阿毛男君の様なロングヘアーの男の子が本当に居たら、 その周りの女の子達って本当にどう感じ・どう反応するんでしょうねぇ???  以前アンルイスが「ロングヘアーの男がタイプだ」と言ってたのを聞いた事がありましたが、 こういう男の子が周囲に居なかった私としては想像がつかないですネ。
でも、今の10代の女の子達が浜崎みたいな同性のタレントが出てきた時に キャーキャー騒いでいる(私の目から見れば)異常な現実の姿は、 阿毛男君のロングヘアーを触りたがる女の子達や阿毛男君に熱を上げている 美也子さんの姿に何か相通ずる物を感じてしまいましたねぇ。 やっぱ、これまで通りの単純な “女らしさ” “男らしさ” が崩れ始めている時代なのかなぁ、現代は? (まあもっとも、そんな破壊をしているのは殆んどが女性達であって、男性達はそのために迷惑を被ってるんですけど) ....それも感じてしまいましたネ、今回の「ロングヘアのおにいちゃん」には。

でも、繰り返させて頂きますが、阿毛男君は今小学6年生ですよね.... ふふ〜〜〜ん、何となくこれからの阿毛男君が気になると言うか楽しみでもありますね。
私は中学2年生の時だったんですが、第2次成長期になって声変わりし 喉ぼとけが出てきて鬚も生えてきて顔の骨格もゴツくなってきて.... 女子との違いが顕著に外見に表れて来ても、それでも阿毛男君は今の ロングヘアーを続けていられるのだろうか???....ってね。 更に30代に近づけば男ゆえに頭髪が薄くなる場合も有りえましょうし....。
まあそういう後々の事までも気になってしまう今回の大作小説 「ロングヘアのおにいちゃん」でした。

本当にご執筆・ご投稿ありがとうございました。 いつもそうですが、これだけのボリュームの作品を作り上げるのはたいへんな労力でしょうね ....“作品を作り上げる” という事は本当に素晴らしい事です。
感想が遅くなって申し訳ございませんでした。 それから、少し日にちを頂きましてこれまで通り、本文の方ももう少し小説らしく フォーマットし直そうと思っております。
繰り返させて頂きますが、本当にありがとうございました。

小説コーナー短編集(ご感想)パート
SNAKEHEART  2004.2.19(Vol.476) 初出___Cont.No.snake05    
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編集・発行者からの御礼−−「私は髪を切らない!」

長 友三 さん、超力作のご投稿−−「私は髪を切らない!」山崎弘子さんの 長い髪を守ってきた記録 −−まことにありがとうございました。
なにかまるで、山崎さんご自身が“自叙伝” を投稿されてきたみたいで、とてもリアルで丁寧で読み応え万点でした。 もし、山崎さんがご覧になっておられたら感激に涙されるのではないでしょうか??
このHPでもこれまでしばしば山崎さんの話題が出てきましたが、彼方此方のコンテンツに散乱していましたねぇ。 今回のご投稿はその山崎さんの話題を1つに纏めてくださいました上に、(主に仮想だとは思いますが)心理描写まで描かれていましたので、 “決定版” ともいうべき山崎さん読本じゃあないでしょうかネ。
で、その過去の山崎さん投稿群の中では、捜し物コーナーのビロウ・ニーさんのご投稿(「微笑」の「ヘアカタログ」)が とても丁寧で細かくてよく纏まってましたので(今回、長友三さんもかなりご参考にされたのでは?)、 読者の皆さんは今回の長友三さんのご投稿と併せてそのビロウ・ニーさんのご投稿も再読されたら良いんじゃあないかなと思います。

さて、今回の力作投稿「私は髪を切らない!」ですが、長友三さんは先日も 尋ね人コーナーに山崎さんに関するご投稿をして下さいましたが、 きっと長年に渡って(四半世紀以上?)山崎さんの髪への思いを募らせて来られたんでしょうネ??
> キリスト教の聖書にある 女性にとって長い髪は‘神様から与えられた女性の誇り(新約聖書)‘との教え .... 洋の東西を問わず、古来より、それだけ女性の髪は尊ばれて来たと言うことですね。でも....
> 20世紀にショートカットが全世界的に一般化し .... 20世紀に入ってからになるんですかぁ....この20世紀ってのは、 地球の数十億年の歴史に於いても実に異常な100年間ですよね。 世界の人口が(そして日本の人口も同時に)一気に3倍か4倍になり、 それに伴い、多くの動植物が急激に滅びまして....つまり人間が地球上で我が物顔に暴走しまくった100年間だったわけですが、 この “ショートカットの一般化” もその “人間の暴走” の一部と言えましょうネ(人間ってのは、そんな生物です)。 で、その被害者が我々ロングヘアーLOVER達と言う事ですネ。 (まあもっとも私に言わせると、ロングヘアーLOVER達ってのも、他人への気配りや思いやりを 持っていないエゴイストが多いから、ある意味では自業自得とも言えるけどね)
> 仕事中に長い髪が機械に引っ掛ってしまい とても危険な思いをした .... これは先述のビロウ・ニーさんのご投稿内でも触れられてまして、 “10円玉くらいのはげができてしまったのである” の件には慄然としましたが ....まあでも、工場内なのにそんな長い髪を解いて下ろしたままで仕事してた ご本人も少々不注意ではありましたよね(これは防ごうと思えば防げた)。
> 山崎さんは髪を切る為の店である美容室の扉をゆっくりと開いた ・・・しばらくして長い髪がアップに仕上げられた .... いや〜〜〜この長い髪がアップに結上げられるシーンの情景と心理描写(心の声)は、 おそらく想像で書かれたんだろうと思いますが、まるでその場に居るか映画でも見ているかのようで、 実にリアルで丁寧で臨場感バッチシですね。
きっと長友三さんは『山崎さんが髪を切らないでいてほしい!』と長年願い続けて来られて、 その中でこういう状況も何度か想像して来られたんじゃあないですか??  我々漫画や小説を作る者たちにとっても、この的確な描写は勉強になりますヨ。
> 髪の毛コンテストにて念願のテレビ出演を・・・テレビ収録が終わったら「髪をバッサリと切る!」と決めてられた .... これも、先述のビロウ・ニーさんのご投稿内にも 書かれてましたので、その決意は真実だったようですね。
そーー言えば、「ワイワイサタデー」のロングヘアー美人コンテストに 出場された超ロング女性の中でも「切る前の記念に、これに出場した」旨の事を 言ってた方が(私の知っているだけでも)3人は居ましたし、 「第11回髪長美女大会」の野村姉妹の姉さんももう切るつもりで出場した 様な気がしますし....TV出演とは、人によっては決意の表れとも言えるんですね。
ま、もっとも、山崎さんは並みの髪長女性ではなかったので、ここでもまた踏み止まれたのではございますが。
> 「髪の長さが3mに達したら 切ろうと思います。」と返事された .... この発言は知らなかったですね〜〜私は。う〜〜んっどの番組に出られた時かなぁ?
> 「今流行りのサーファーカットにしたいのです!」 .... これも私は知らなかったですね〜〜。で、その後「結婚したら切ります」とも 発言されてたんですよね....私は幸いにもこれらの発言をリアルタイムでは 聞いてなかったのでしたが、当時リアルタイムで聞いておられた(読まれた)方々は本当に 体に鉄棒を突き通されたみたいな大ショックを受けられたでしょうネ?? でも....
> 時は流れ 昭和から平成になっていた。そんなある日・・・ 紛れも無く山崎弘子さんそのものであった・・・あの長い髪を維持されていた .... おそらく1994年(平成6年)秋の「ルックルック」だと思いますが、 この時に久々に山崎さんを見られて、そしてその髪が健在だった事を知ったロングヘアーLOVERの方々の 感激たるや、もう言葉に言い表わせないほどだったでしょうネ(私は実は見逃したのでしたが)
> 美容室の重いガラス扉を 山崎さんはゆっくりと開いた・・・ 切り落された2m数10cm長さの黒髪を・・・ 束ねて半紙に包んでくれているのであった。 .... この想定断髪シーンは、ある意味では今回のご投稿(「私は髪を切らない!」)のハイライトのような 凄まじくリアルな描写でしたね。1986年のCindyさんの断髪シーンをビデオで 見ているかのような一部の漏れも無いような完璧な描写でした。圧巻でした。
> 長い髪への強い愛着のみならず・・・ 愛の有る家族に恵まれ 幸せにされている .... おそらく(野球などで)名選手になれた人は、才能だけでなく周囲の環境・人々や 運にも恵まれた人たちだろうと私は思うんですけど、 その意味では山崎さんも、髪長世界一になられ更に50歳を過ぎても髪を長〜〜〜く伸ばされてた というのは、ご主人を始めとして周囲の人たちや運に恵まれた所も有ったのかも知れませんね。 (もっとも先述のビロウ・ニーさんのご投稿によると、結婚相手を募集したそうですから、 最初からロングヘアーの好きなご主人だったのかも知れませんが)
ま、それに加えて山崎さんもとても性格の明るい方のようですから、そういったご本人の性格的な資質も そして当然髪質の良さも大きかった訳ですヨネ。

山崎さんは“日本人の髪の歴史上に於いて、永遠に記録される女性”と言えましょうネ。 もし千年前ならば特別な存在ではなかったのでしょうけど、 ショートカットが全世界的に一般化した20世紀に於いて平安女性に近い程まで髪を伸ばして “世界一” の称号まで得たというのは特筆すべきことです。 ただ山崎さんに続く女性が現れないのは残念ですね(中国と大違い)。
大作投稿−−「私は髪を切らない!」山崎弘子さんの 長い髪を守ってきた記録−−本当にありがとうございました。

小説コーナー短編集(ご感想)パート
長 友三 さん  2004.2.24(Vol.478) 初出___Cont.No.yuzo01    
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「snakeさんからの質問について」

ホームページでの 御返事有難うございます。

山崎さんが ギネスに登録された頃、出演されたTV番組で「髪を切るとしたら いつ切りますか?」と意地悪な質問をされた番組は 日本テレビ系の「本物は誰だ・司会者故土居まさる」です。質問したのは春風亭小朝師匠です。山崎さんが「長い髪をバッサリとサーファーカットに切りたい」と発言されていたのは、週刊誌の記事です。どの週刊誌かは記憶が確かでありません。

健志郎さんの進学(註:漫画・イラストコーナー)については 小生が入試で苦労したのでエールを送っております。十二単は 大学で保管は無理かもしれませんが、教授に協力を惜しまない同大学卒業生の呉服屋さんが提供する事で考えました。

由香さんシリーズの続きを楽しみにしています。

<編集・発行者からの御礼>
長 友三 さん、ご投稿と申しますか、私の疑問へのご返答まことにありがとうございました。

> 日本テレビ系の「本物は誰だ・司会者故土居まさる」です。質問したのは春風亭小朝師匠です .... ああ〜〜この番組ならばビデオ持ってると思いますので、また確認しておきます。 それにしてもこの当時、土居まさる氏は何度かTVで山崎さんとご対面してますよね ....「第10回髪長美女大会」は言うまでもなく、この番組と.... 顔見知りだったはずなのに、その都度初対面であるかのように演じてた訳ですかね(^_^ )。
その数年前の1977年1月5日に「特ダネ登場」に出た時は司会は押坂忍氏だったカナ??  で、その後の「ルックルック」といい、とにかく日テレ系での出演が圧倒的に多い!!
> 「サーファーカットに切りたい」と発言されていたのは、週刊誌の記事です .... そうですかァ、長 友三さんは当時相当山崎さんをチェックされてたんですね?
> 十二単は・・・教授に協力を惜しまない同大学卒業生の呉服屋さんが提供する事で考えました .... アハハそうですか(^_^ )。呉服屋さんならばきっと由香さんを気に入ってくださるでしょうネ?  というか呉服屋さんって仕事柄ロングヘアー女性好きの方が多い様な気もしますネ。
昨今茶髪で振袖とか浴衣を着ている若い女性を見て、さぞ嘆いてる呉服屋さんも多いのではないでしょうか??

本当にご投稿ありがとうございました。
<最新投稿>
小説コーナー短編集(ご感想)パート
長 友三 さん  2004.4.9(Vol.497) 初出___Cont.No.yuzo02    
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第三種接近遭遇 への感想

この文を読み 小生の中学高校時代を思い出しました。その頃の女学生 達の間では ショートカットが多く、大半の女学生は 制服(女性警官風の紺色 スーツが主流でした)の襟に髪がかからないように 首の辺りで短く切ってまし た。体育系クラブの女子生徒は 髪を更に短く刈上げに切っていました。髪が肩 より下まで長い女の子を捜すのが 困難な状態でした。髪の短さに反比例するよ うに長かったのが、制服のスカートの長いことでした。基準は膝頭の下、ツッパ リの女の子は かかとの辺りまで長いスカートを穿いていました。懐かしき頃を 思い出さして下さりありがとうございます。

<編集・発行者からの御礼>
長 友三 さん、ご感想まことにありがとうございました。

> 女性警官風の紺色スーツが主流でした .... そうですかァ、なんだか制服と言うより戦闘服という感じですね、ショートヘアも多いということで尚更に。 女学生の可憐さへの認識が薄い学校のようですねぇ、なんとなく聞いた感じでは。
私の所の女子生徒の制服は、中学校はセーラー服、高校はブレザーだったカナ。
> 髪の短さに反比例するように長かったのが、制服のスカートの長いことでした ・・・かかとの辺りまで長いスカートを .... ああ〜〜〜イヤですよね、こういう女学生ってホント。“かかとあたりまで” 垂らすのならば、 スカートじゃあなく髪にすれば良いのにね。
> 懐かしき頃を思い出さして下さりありがとうございます。 .... いえいえどういたしまして(^_^ )。まあ私め、あの作品(?)は記憶内の情景をそのまま文章にしただけなのですが、 その率直さが、当時(1970年代前半)の中・高校の雰囲気を醸し出せていたのカナ?? ....ま、長友三さんと同時代なのかどうかは分かりませんが、そうして懐かしい思い出が蘇ってくださったのでしたら、 私も光栄でございます。

本当にご投稿ありがとうございました。