ロンドン紀行2(1998年10月)


 今回、宿泊したB&Bは、ロンドン地下鉄で行ける範囲外にある。ウォータルー駅からBritish Railに乗って、ロンドン西南部のストロベリー・ヒル駅に降りる。ここから歩いて5分程度。B&Bは、テームズ河の近くにあった。

 今回は、テームズ河畔、トイックナム(Twickenham)、ブシィ公園、ハンプトン・コートなどへ散歩に出かけた。ただ、雨が多いのには弱った。この季節の旅行は考え物である。
 十一月に入ると、シーズンオフとなり、ハムハウスに行ってみると、春まで閉館された直後であった。
 ガイ・フォークスの日(Guy Fawkes day)には、各所で大きな花火が上がっていた。そのせいか、地下鉄ウォータルー駅は閉鎖されていた。そこで、その一つ手前のエンバンクメント(Embankment)駅で下車、鉄道線路の併設された歩道橋を歩いてテームズ河を渡って、ウォータルー駅に辿り着いた。同じ運命にある多くの通勤客で、道は南へ北へと混雑していた。テームズの上からの眺めは素晴らしく、無数の照明が夜空に映えて、印象深い夜景であった。近くでは、花火も高く上がって、その音が大空に鳴り響いた。昔は、子供が作ったガイ・フォークスの奇妙な人形を乳母車に載せているのを見たことがある。しかし、今回は、見かけなかった。花火は、この翌日の夜にも、さかんに上がっていた。


 ストロベリー・ヒルから北に歩くと、やがてトィックナム(Twickenham)に入る。ぶらぶら散歩していると、The Richmond Adult & Community Collegeという建物の前を通りかかった。この中に入ってみる。このカレッジのProspectusは興味深かった。実際に役立つ実技を修得するためのコースが並んでいること、日本のカルチャー・センターのようである。コースは、バラエティに富み、例えば、絵画修復、製本、家具修理など、職人養成するようなコースもあり、コースの数が多い。また、コースによって、教室の場所は、幾つも地理的に離れたところにある。いかにも、地域カレッジというに相応しい。日本では、一カ所にまとまっているのが普通で、バラバラに場所が離れているのは、蛸足と云って、芳しくないイメージを受ける。
 トイックナムのこの(Clifden)校舎は、地域の活動にも活用されいるように見える。インターネットでみていたら、Twickenham Choral Societyのリハーサルの場所として、ここが指定されていたからである。
 我々が、たまたま、教室のドアにある小窓から覗いたところ、お年寄りがボールを操っているのを見かけた。思わずドアを開けて、断ってから、撮った写真を左に掲げておく。恐らく、これもカレッジのコースではあるまい。
 ドアに開けられた小さい透明なガラス窓が、日本の小学校にどれだけあるのか、私は知らない。後で述べるように、小学校の授業風景を撮ったが、その写真も、ドアの外側から、この小窓を通して撮影したのである。
  1970年のイギリス映画、「小さい恋の物語」は、少なくとも、その音楽は知っている方々が多いことだろう。この映画の終わり近く、校長先生が、廊下から授業中の先生に対して、急いで出てくるように合図するシーンがある。これも、ドアにこの小窓があるお陰である。


 B&Bの近くの小学校では、学校の写真を撮らせていただいた。我々が小学校に出かけた朝は、ちょうど保護者の集会があって、校長先生は保護者との応対で、とても多忙であった。秘書さんには、私はいつも忙しいと云われてしまった。校長先生は、どこかブレア首相のような方で、素早い身のこなしで、テキパキと指揮されていた。そのような状況であったが、我々の希望を聞いて下さったことに感謝します。
 授業風景は、日本と違って生徒同志が向き合っている。スペースは、ゆったりしている。色々、日本の小学校と違うように思われるが、私には充分両者の違いを知る手がかりを持たないのが残念である。差異は、校舎や生徒数など、ハード的なものだけではない。多くは、歴史や文化に根ざしているのである。そこで、ちょっと視察に行ったのでは、よく分からないのでないかと思われる。
 例えば、この学校のProspectusには、
 Scondhand uniform sales are held twice a term.
と書かれている。質素を旨とする生活態度が現れているが、このようなセールを実際に見てみたいものである。
 先方は、日本の小学校に興味を持っておられた。そこで帰国後、近くの小学校の校長先生に御願いして、写真を撮らせて戴いた。当日はちょうど、授業参観日で、多くの保護者が熱心に授業を見て居られた。私は、そのときの写真を、ロンドンのこの小学校にお送りした。その後、この写真を使って小学校を紹介することについて、了解を求めるメールが、ロンドンの小学校から届いた。もちろん、我々に異存はない。


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Last updated on 13 April 1999.