椎名作品二次創作小説投稿広場


初恋…?

そのはち。(前日)


投稿者名:hazuki
投稿日時:10/ 7/13

(そうえいば、あの日から夏子の難癖のつけ方がひどくなたったんだよなぁ、銀ちゃんや加賀の視線も何故か冷たかったし)


と横島はその時に受けた理不尽な言いがかりを思い出し左右に首を振ってため息をついた。

更にいうなれば自分の初恋の相手は、その理不尽な言いがかりをつけ続けた相手………




(おれって………)


なぜだろう?すさまじい敗北感にがくっと横島の両肩落とさせた。


普段どつかれ、難癖をつけらる相手に好意を持っていたなんて。
更にいうなれば、そんな理不尽大魔王(夏子は女性でしかも初恋の相手だが、それが横島の嘘偽りのない形容詞であることがまた悲しい)にその好意すら告げられず、どきどきと胸を高鳴らせていたなんて………




(もしかしてマゾなんじゃ……)


右手で顔を覆いながらそんな自分性格的嗜好に絶望しそうになるが、ふるふるを顔を覆ったまま左右に振り


(いや違う!!俺はそこまで落ちてはいない!!)


っとそのような性格的嗜好の方にどつかれそうなことをを心の中で大きく叫んだ。


だがしかし


今現在働いている所の雇用主は

我侭(程度で抑えていいものが疑問が残る)で自分勝手で自己中心で言葉より先に鞭か花瓶が飛んでくる。

更につけ加えるなら大酒飲みで人命よりお金(金塊等でも可)が大事で金の為ならどんな手でも使う容姿以外に長所を上げるのが非常に難しい美女である。

そして、その美女をモノにしようと狙っている自分。

なんだかもういわずもがなである。

そんな自分の気持ちに思い至り振り続けていた頭をぴたっと止め、ふうっとため息をついた。

(…………おれって)

このままほおって置いたら、軽く数時間横島は自分の絶望的な性格的嗜好について考えざるをえなかったであろうが、ここは事務所である。

先ほどまで、ひんやりと不穏なオーラをかもし出していたおキヌだが根(いや根どころか全て)やさしい少女である。

横島の不審としかいい様ない表情にちょっと眉を寄らせ


「横島さん?」


と先ほどとはまっったく違う優しいあたたかな声音で横島を呼ぶ。

そして横島もそれはわかったのであろう。

「ん……あ、なんでもないよ。おキヌちゃん。あとそういえば夏子何で来てたんですか?」


と横島は苦笑しつつ美神に問いかけた。




「仕事にきまってるでしょ」


ぴしっとまたまた夏子という言葉に米神をひきつらせながら美神。

書類をめくる手は止まらないものの、その表情は険しい。

 
「え……なんかあったんですか?」

仕事と言った瞬間横島の顔色がさっと青くなった。

仕事とうことは霊能関係で何か困ったことでもあったのであろうか?

そういえば、今日ここにいた時も元気そうではあったが、少しやつれている様に見えた。

もしかして夏子の友人でも今なにかに憑かれたりしているのであろうか?



「ええ……お話によると、彼女のおねえさんが、悪い霊に憑かれたみたいで除霊してほしいとのことでしたよ。ご本人も衰弱されているようで……本当にご心配されてました。おねえさん横島さんもお知り合いのですか?」

おキヌも依頼時の夏子の様子を思い浮かべているのだろう
瞳に憂いの光を浮かばせ、労る様な声音でいう。






「…………え」




と、そのおキヌの言葉に顔を上げ横島。

その顔色は白を通して青い。



「みっ美神さん!!そのし、仕事っていつですかっ?いまからいくんですかっ!!」






「明日の朝一で向かうけど何?」


早く行ってどうしようって言うの?と言わんばかりの美神。




「だ、だってゆうねえ悪霊に憑かれるんですよねっ!!憑依体質でもなけりゃそんなっあんなきついもん普通の女性だったら半日だって持ちませんよっ!! 少しでも早くいったほうがっいいじゃないですかっ!!」




「それが?」


書類から目を離さずに美神。

その声音には感情は一切見えない。



その言葉に知らず絶句した横島に美神は、バインダーに挟んである書類から目線を上げひたりと目を合わせた。


「明日の昼にきてって言う依頼人からの要望なのよ。それにあんたの可愛い夏子ちゃんに状況はよおっく聞いてるし、これは明日行っても充分に大丈夫な依頼なの。あんた早く早くって言う前に他に聞くことはないの?」


口調こそ柔らかいが、その声音の温度としたら氷のような冷たさである。




「………明日の集合時間とリュックに準備する道具の確認です」



びくっとその声音の冷たさにびくっと身を引いてこわごわと震える声音で横島。

情けなさ全開である。




「じゃあ、早くその準備をしなさい。そして明日は6時半に事務所集合ね」


とその言葉と同時にぱしんっとB5サイズのノートが横島の頭にヒットし床に落ちた。




「はい!」


と横島は床に落ちたノートを受け取り、ばたばたっと大きな音を立てて道具部屋へと立ち去っていった。




「ああもう、あの馬鹿は」


と横島が立ち去るのを見て美神はその艶やかな髪をかきあげてため息をついた。

がその口元は笑みの形を作っている。



「おつかれさまです」



おキヌは苦笑しながら、美神にそっと労りの声をかける。




「ほんっとに、おキヌちゃんもだけどあのボケも知り合いやら友人やらが関わっちゃうと見境っつーか正常な判断ができなくなっちゃうのよね」



ったくこっちはプロなんだからとつぶやきながらもその声音はどこか優しい。



「あはははは……」


横島といっしょに軽く状況判断のなさを言われたおキヌは、苦笑を更に苦味のあるものに替えながらもそっと美神のテーブルの上にハーブティを置き



「明日は早いんですから、美神さん区切りのいいところで休んでくださいね」


柔らかな笑顔で言った。



「ん、ありがと。」


おキヌちゃんも早く休んでねと美神も笑う。


はい。とおキヌは答えながら窓から東京の空を見た。





明日も。いい天気になりそうな星空を。





つづく。





























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