人は所詮、自らと異質なものを排除しようとする。それは確かだ。
泣いている声が聞こえる。
いつものことだ。
ボクは泣いている声の主に声をかける。
真っ黒な髪をした子供だった。
「……泣くだけじゃ駄目だ」
「……だれ?」
「……泣いても何も変わらない」
泣いても変わらない。それは確かだ。
小さな子供にボクは声をかけた。
それはかってのボクを見るようだったから。
「化け物じゃない……僕は」
「ああそうだね」
でも普通の人はそう思ってはくれないよ。と思う。
だって彼らはボクらを恐れる。それは確かだ。
泣いている小さな子供の頭をボクはなでた。
そして……小さくボクは笑った。
子供は泣くのをやめて、ボクをみた。
遠い昔のことだ。
そしてボクは思う。今、現在のことを。
追憶をやめた。
そしてボクは窓の外を見る。
そこあるのはただの闇だった。
「少佐、どうされました?」
「いや、昔のゆめを見ていてね」
昔のゆめをみた。
小さな子供が泣いているゆめだった。
声をかけた男をボクは見る。
もう小さな子供じゃない。
ボクは遠い昔のことを思う。
救えない、エスパーは普通の人では救えない。
それはボクの持論だ。
女王もボクらのところに遠い未来にやってくる。
でも少しだけ心が痛む。
もしあいつが小さい頃のこの子のそばにいれば。
違う未来もあっただろうか?
考える。考える。
「……ねえ、ボクのところにきたこと後悔してない?」
「いいえ、それが多分……」
選んだ道ですからね。あの時の……子供の。
そういって彼は笑う。
ボクがつれてきた子供達はみんな大きくなっている。
でも違う未来もあったんじゃないかと思う。
いつか……後悔する日がくるかもしれないと思う。
彼らが……。
でもボクはあいつのやっていることは間違ってると思う。
だからボクは抗う。
運命に抗い続ける。