椎名作品二次創作小説投稿広場


絶対可憐チルドレン短編集

闇の中の子供(兵部過去編?)


投稿者名:ルカ
投稿日時:08/12/ 1

 お父さん、お母さんごめんなさい。
 ボクはもうおしゃべりしません。
 ボクはもう、何も考えません。貴方たちを苦しませることはしないから。
 お願いだから……お願いだから、ボクの名前を呼んで。
 お願いだから、お願いだから、お願いだから、ボクを……。


「……どうしたの、京介?」
「あれ……えと不二子さん?」
「もう姉さん、でしょ? もうぎゅっとしたげるわよ。不二子の朝のスキンシップ!」
「うわあああああ、やめて姉さん」
 ゆめを見てた、とても悲しいゆめを。
 悲しくて切なくて、涙がでてきた。
 もう、京介ってば、と不二子さんが、いや姉さんがボクの名前を呼んでいた。
 とても心が温かくなる。
 ボクはベッドから身を起こす、そして抱きついてくる姉さんを見る。
「……朝のスキンシップはいいよ」
「もう不二子、京介のためにしてあげてるのに!」
「……もう十分だよ」
 ものすごく抱きついてくる不二子さんはちょっとだけうざい。
 でもちょっとだけうれしいのも確かだった。
「うなされてたけど、またいやなゆめみたの?」
「……ちょっとね」
 化け物、と叫ぶ両親たち、そしてボクは捨てられた。
 憎しみの瞳でボクを見るオトウサンとオカアサン。
 お願い、もうおしゃべりしないから、お願いだから、お願いだから、貴方たちの望む普通の子供になるから。ボクを……愛して!
 ボクは何度も叫ぶ。ゆめのなかで。
 ゆめはとても悲しい。
 現実はとても温かい。
 不二子さんの温かさを感じるけど。
 でも今はとても切ない。
 悲しいゆめを見る。
 とても悲しいゆめを。
 切なくて悲しくて、ただ悲しい。
 悲しいゆめを僕はきっと、永遠に見る。
 この生が有る限り。


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