椎名作品二次創作小説投稿広場


ドッグス オア ウルヴズ?

続きは公園で


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:03/11/22



これは逃亡者になってしまった者たちのお話。





「…この後どうしよう?」

「…どうしようか…とりあえず俺のアパート…は美神さんにすぐバレるし…」

逃げ切った後、とある公園で今後どうするか途方に暮れる横島とタマモ。

ベンチに並んで腰掛け、暗い雰囲気で話し合う2人はどっからどう見ても、別れ話を切り出す寸前のカップルのようだった。

「とりあえず…2〜3日野宿でもしてほとぼりを冷ますか」

横島が消極的な結論を出したが、タマモは何か考えていて、それには頷かなかった。

「…タマモ?」

不審に思った横島がタマモに呼びかけたが、それでも反応は無い。

「おい、タマ…」

横島が肩を掴んで揺さぶろうと手を伸ばした時、唐突にタマモがつぶやいた。



「横島…」



「な、なんだっ?違うぞっ!この手はお前が返事をしないから、ちょっと揺すろうとしただけで…変な事をしようという気はこれっぽっちも…」

思いっきりうろたえて、かえって怪しい反応をしてしまう横島に、呆れた顔をするタマモ。

「ハァ?何言ってんのよ。それよりも聞いて。いい?美神が私達を何て言ったかおぼえてる?」

「…え〜っと…なんだっけ?」

マジで忘れている横島。



「忘れたの!?あの女は犬呼ばわりしたのよ!この私を!!」



聞き様によってはヤバいセリフを大声で叫ぶタマモ。

それに対して横島は…

「お〜そうだった、そうだった」

と、やたら暢気な反応を返す。



「犬呼ばわりされたのはアンタも一緒でしょうが!何和んでんのよ!!」



「いや…だってそれくらい、いつもの事だし」

さらに叫ぶタマモだったが、暖簾に腕押し、糠に釘。打てど響かず、笛吹けど踊らない横島。

「…くやしくないの?見返してやろうとか、いっぺん痛い目見せてやろうとか思わないの?」

一応は自分が惚れた男だけに、横島にシャキッとして欲しいタマモが泣きそうな顔でそう聞いた。

そこまで言われれば、横島も呆けてはいられない。

「そらまー、思わんでもないが……無理だろ。だって美神さんだし」

心底美神に服従を刷り込まれている横島ならではの反応といえよう…

しかし、横島をこのままにしておく事はシロと横島をくっつけて、自分もその傍で楽しく暮らすというタマモの当面の人生設計にとって好ましくない。

タマモはこの際、横島に精神的に美神に対するコンプレックスを越えてもらおうと企んだ。



「……大丈夫よ、横島。私がついてるから。一度だけ、そう、一度だけよ…美神に仕返ししてみたいと思わない?」



しばし迷った後、横島は首を縦に振った。


今までの評価: コメント:

この作品はどうですか?(A〜Eの5段階評価で) A B C D E 評価不能 保留(コメントのみ)

この作品にコメントがありましたらどうぞ:
(投稿者によるコメント投稿はこちら

トップに戻る | サブタイトル一覧へ
Copyright(c) by 溶解ほたりぃHG
saturnus@kcn.ne.jp