椎名作品二次創作小説投稿広場


ドッグス オア ウルヴズ?

始まりはやっぱり家出から


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:03/11/21

「む〜〜…」

 ごろごろ…

 子狐形態のタマモが、眠そうに半分目を閉じてゆっくりと転がる。


「はふ〜〜…」

 ぱふっ…ぱふっ…

 同じくほとんど目を閉じたシロが、犬状態で寝そべってゆっくりとシッポを上下させる。シッポが床につくたびに気の抜けた音をたてて、それがさらに眠気を誘う。


「くわぁ〜〜〜……あふぅ…」

 それを何とはなしに眺めていた横島が、大きく伸びをしてあくびした。

 今日は美神除霊事務所は仕事が無く、休日なのだ。

 リビングで陽だまりの中、ケモノ状態でくつろぐシロタマと横島はまったりと、のんびりと午後の時間を過ごしていた。

 ……部屋に入ってきた美神がしみじみとこう言うまでは。



「そうしてるとあんたらってホンット…犬よね」



「犬ではござらん…狼でござるよ〜…」

 まったりとしていたせいか、いつものようにムキになって反論せず、気の無い返事を返すシロ。

 しかし、後ろの2人はそうではなかった。



 あんた『ら』?……ら?俺(私)も入ってるの!?



「ちょっと待ってください美神さん!誰が犬なんですか!?」

「アンタ」

 横島の反論に、これ以上無いほど簡潔に答える美神。

 それにさらに反論できる根性も無く涙する横島と、私は入ってなかったんだ、と安堵するタマモ。

「それにアンタもよ、タマモ」

 しかし横島に続いてビシ!と指差され、タマモは猛烈な勢いで反論を開始した。

「どうしてよ!私は金毛白面九尾の…」

「はいはい。でも、ウチでの立場的にはシロと一緒よねー」

「そ、そんな…それは…」

「だったら飼い犬でしょ?」

「「う…」」


 己の魂にかけて否定したいのに、反論できない横島&タマモ。彼らのどこかで見たような状態にシロはデジャブを感じた。

「「うわぁぁ〜〜ん!美神さんの」」

「いじめっ子!」「サド!」

「マザコン!」「雪之丞と一緒に叫んでろーー!!」

 そして横島とタマモは見事なコンビネーションで美神の悪口を叫びながら、どこかへと走っていってしまった。

「な、ん、で、す、ってぇぇ!!待ちなさい!!」

 そしてすぐさまそれを追っかける美神。



「………………見なかった事にするでござる」

「それがよろしいかと」

 後に残されたシロと人工幽霊壱号の意見は一致した。

 そして美神に捕まった2人がお仕置きされて、いつものようにこの一件は終わりかと思われたが…


 この日、2人は逃げ切ってしまったのだ。


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