『レッド・ドーン』:2012、アメリカ
ワシントン州スポケーン。高校のアメフト部員であるマット・エッカートは、“ウルヴァリンズ”のQBとして試合に出場していた。3点のリードを許す中、マットはコーチのドーレンから出た指示に逆らい、パスを出さずに自らランで突っ込む。彼はフィールドゴールも自ら狙うが、失敗して試合は終了した。海兵隊から戻った兄のジェドはドーレンの横で試合を観戦していたが、終了と同時に立ち去った。マットは恋人でチアガールのエリカから「もう忘れたら?今は楽しむ」と言われ、車で出掛ける。一方、バーで飲んでいたジェドは、旧知のトニー・ウォルシュから声を掛けられる。2人が話していると、マットとエリカがやって来た。トニーは友人のエリカに声を掛けられ、ジェドの元を離れる。バーにはマットの同級生であるロバートやダリルも来ている。突如として店は停電になるが、多くの若者たちは気にせずに盛り上がった。
マット、トニー、エリカは、同じ車で帰路に就く。先に帰宅したジェドは、警察の巡査部長をしている父のトムと話している。戻って来たマットと入れ違いで、トムは停電の原因調査に出掛けて行く。マットはジェドから話し掛けられると、反抗的な態度を示す。翌朝、マットとジェドは、騒音や激しい揺れで目を覚ました。ジェドが外に出ると大量の戦闘機が飛来しており、パラシュート部隊が落下するのが見えた。一機の戦闘機が撃墜されるのを見たジェドに、マットは父を捜しに行こうと告げる。
トラックに乗り込んだ2人は、バトカーに乗っているトムを発見した。トムは「俺の後に続け」と指示し、パトカーで先導する。しかしパラシュート部隊の銃撃を受け、パトカーは破壊される。トムは息子たちに、山小屋へ行けと告げた。マットが「エリカも連れて行く」と言うので、ジェドは彼女の家へと車を走らせる。しかし既に北朝鮮軍のチョウ大尉たちがエリカと家族を連行しようとしていたため、ジェドは逃亡せざるを得なかった。
トラックの荷台には、ロバート、ダリル、その同級生であるジョーが飛び乗った。ダリルの父である市長のジェンキンスも、敵に捕まっていた。一台の車が途中で合流し、チョウたちの追跡を撒いて山小屋に辿り着いた。車を運転していたピートはジェドに挨拶し、同乗しているグレッグとジュリーが兄妹であること、父親を殺されたらしいことを告げた。ジェドはピートに、みんなを中に入れて使える物を探すよう頼む。彼はロバートたちにも指示を出し、自分は発電機を回した。
一行は山小屋とRVを調べ、銃や食料を集めた。テレビを付けると、キャスターが「もはやアメリカはアメリカ政府によって管理されていません」と告げた。マットたちが不安げな表情を浮かべる中、ジェドは「デタラメだ」とテレビを叩いて映像を遮断した。夜、走って来る車の音が聞こえたため、ジェドは明かりを消して待機するようマットたちに指示した。彼は「俺が囮になって奴らを撒く」と言い、一緒に行くことを求めるマットに「言う通りにしろ」と命じた。
ジェドは木陰からライフルを構えるが、やって来たのはマットの友人であるダニーとトニーの車だった。しかしピートが勝手に発砲したため、ジェドは銃を渡すよう要求した。ピートが拒否すると、ジェドは彼を突き飛ばして銃を奪い取った。ダニーはマットに、トムから聞いて山小屋へ来たこと、トムが無事であることを告げるが、「だけど町は最悪だ」と言う。翌朝、ピートが食料を持って逃亡したため、ジェドはマットたちに「今から使えそうな物をトラックに乗せろ。森に隠せ」と指示した。
ジェドはマットを引き連れ、丘の上から町の様子を観察する。彼はマットに、北朝鮮軍に手を貸している国があるはずだと告げる。町は北朝鮮軍に制圧され、民間人は設置された施設に収容されていた。マットはエリカを助け出したいと考えるが、「警察さえ機能していない。ここで待機して、これ以上は悪化しないことを願うだけだ」とジェドは言う。そこへロバートたちが走って来て、小屋が敵に見つかったことを知らせる。ピートが密告したのだ。
ジェドたちが木陰から様子を見ていると、チョウはトムとジェンキンスを車から引っ張り出した。チョウはジェンキンスに拡声器を渡し、「このチョウ大尉が地域の新しい責任者だ。おとなしく出て来れば誰も傷付けない」と喋らせる。ダリルは出て行くべきではないかと言うが、ジェドは「じっとしてろ」と命じる。次に拡声器を渡されたトムは、「置かれている状況は厳しいが、勇気を出して戦え。このクソ野郎どもを倒せ」と息子たちに告げる。チョウがトムを銃殺したのでマットが飛び出そうとするが、ジェドが制止した。チョウたちは無線で指示を受け、町へ戻った。
ロバートとダリルは親のことが心配になり、町へ戻りたいと言い出した。ジェドが自分で選択するよう促すので、2人は戻ろうとした。するとトニーは、ロバートの両親が死んでいることを打ち明けた。ジュリーが「もう帰れない。でも逃げ切ることも無理でしょ」と言うと、ジェドは「俺は戦う。俺は慣れているが、みんなには難しい選択になる。だが、国や家族のために戦っていると思えば、少しは楽になるだろう。俺たちには大事な故郷だ」と語った。
ジェドは戦う意志を固めた仲間たちに、武器の扱い方や応急手当の方法などを教えた。彼の指示を受けた一行は町で情報を収集し、協力者も確保した。もっと武器が必要だと感じたジェドは、そのための作戦を立てた。トニーが町に出て囮となり、不審な動きで警備している兵士たちをおびき寄せて逃走した。待ち伏せていたジェドたちが敵を銃殺し、銃と弾薬を奪い取った。さらに一行は別のグループも襲撃し、C4爆薬を手に入れた。
ジェドとマットはロバートに、鹿を撃つよう指示した。ロバートは怯えるが、ジェドに促されて発砲する。ジェドたちは彼に、仕留めた鹿の血を飲ませた。ジェドたちは手に入れた爆薬を使い、町を支配している兵士たちを次々に殺害して現場に「ウルヴァリンズ」と書き残す。北朝鮮軍に入っていたピートも、彼らの作戦によって爆死した。ロバートとダリルは食料を手に入れ、仲間たちの元に持ち帰った。
マットはエリカのことが気になり、収容施設の観察に出掛けた。マットが戻って来ると、ジェドは仲間を危険にさらしたことを批判する。マットが「エレカは家族同然だ。兄貴より大事だ」と反発すると、ジェドは「その行為が仲間を危険にさらす」と腹を立てる。マットは携帯電話を投げて兄を睨み付け、「そうかよ。チョウを倒せるぞ」と吐き捨てて立ち去った。その携帯電話には、敵軍の様子を撮影したデータが入っていた。
ジェドは仲間たちに、広場で開かれる式典を狙う計画を説明した。翌日、広場の近くから様子を観察したジェドは、ロシアの特殊部隊がいることに気付いた。ダリルは式典参加者の中に父がいるのを発見し、顔を強張らせた。マットは所定の位置に爆弾を仕掛けて待機していたが、スクールバスでエリカが連行されるのを目撃した。マットは予定時刻を待たずに爆破し、そのせいでジェドの計画は狂った。マットはスクールバスを襲撃し、エリカを助け出そうとする。しかし足に鎖が付けられており、その鍵を見つけるのに手間取った。マットの元へ走ったグレッグは、敵の銃撃を受けて死亡した。
マットはエリカをスクールバスから連れ出し、敵の捜索を撒いてアジトへ戻った。エリカはジェドたちに、ロシアの兵士が数日前に収容所へ来たこと、ウルヴァリンズの協力者について質問して来たこと、リストまで持っていたことを話す。ダニーから「協力者を巻き添えには出来ない」と言われたジェドは、「しかし全員を救うことは無理だ」と告げる。マットとエリカの逃走を手助けした女性が処刑されそうになるが、ウルヴァリンズが現れて敵軍を始末した。ロバートは勇ましく「ウルヴァリンズ!」と叫び、市民の気持ちを高めた。
チョウは司令官から失態を責められ、「ウルヴァリンズのアジトは特定しました」と告げる。マットはジェドから勝手な行動を非難されると、「エリカを助けたかった。他にどうすりゃ良かったんだよ」と開き直る。「これは戦争なんだ」とジェドが言うと、マットは「母さんが死んだ後、6年も放っておいたくせに」と告げる。「そうだな、一番大事な時に傍にいてやれなかった。俺たちだけだ。今は誰よりお前の力を借りたいのに」と泣きそうになる。彼は「もういい、勝手にしろ」と告げ、アジトに戻った。
その夜、アジトは激しい爆撃を受け、ジュリーとダニーが死亡した。残った面々は逃亡し、元海兵隊員タナー、ホッジス、スミスと出会う。彼らはアメリカ解放軍というレジスタンス組織を作り、北朝鮮軍と戦っていた。タナーたちはウルヴァリンズに、まだ降伏していない地域があること、市民が奮起して互角に戦っている場所もあることを教え、敵に関する有益な情報も提供した。ウルヴァリンズは彼らと協力し、北朝鮮軍を祖国から追い出すための作戦を開始する…。監督はダン・ブラッドリー、オリジナル版原案はケヴィン・レイノルズ、オリジナル版脚本はケヴィン・レイノルズ&ジョン・ミリアス、脚本はカール・エルスワース&ジェレミー・パスモア、製作はボー・フリン&トリップ・ヴィンソン、共同製作はジョン・スワロウ、製作総指揮はヴィンセント・ニューマン&ケヴィン・ハロラン、撮影はミッチェル・アムンドセン、美術はドミニク・ワトキンス、編集はリチャード・ピアソン、衣装はキャサリン・ジョージ、音楽はラミン・ジャヴァディー、音楽監修はデイナ・サノ。
出演はクリス・ヘムズワース、ジョシュ・ペック、ジョシュ・ハッチャーソン、エイドリアンヌ・パリッキ、イザベル・ルーカス、コナー・クルーズ、ジェフリー・ディーン・モーガン、アリッサ・ディアス、ブレット・カレン、エドウィン・ホッジ、ジュリアン・アルカラス、ウィル・ユン・リー、マイケル・ビーチ、マット・ジェラルド、フェルナンド・チェン、ケネス・チョイ、マイケル・A・ナイト、スティーヴ・レンツ、ノア・スミス、ルーカス・カー、リンダ・ボストン、ニコラス・ユー、スペンサー・ストロング・スミス、ラスティー・メファ他。
ジョン・ミリアスが監督を務めた1984年の映画『若き勇者たち』のリメイク。
脚本は『ディスタービア』『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-』のカール・エルスワースと、2006年の『Special』に続く長編2本目となるジェレミー・パスモアの共同。
これまでスタント・コーディネーターや第二班監督として数多くの映画に携わってきたダン・ブラッドリーが、初監督を務めている。
ジェドをクリス・ヘムズワース、マットをジョシュ・ペック、ロバートをジョシュ・ハッチャーソン、トニーをエイドリアンヌ・パリッキ、エリカをイザベル・ルーカス、ジェンキンスをコナー・クルーズ、タナーをジェフリー・ディーン・モーガンが演じている。そもそも『若き勇者たち』をリメイクするという企画の段階で、「なぜ?」と疑問を抱かずにいられない。
『若き勇者たち』は決して傑作とは呼べない映画だし、っていうかハッキリ言ってポンコツ映画だ。
傑作じゃないからと言って、必ずしもリメイクに不向きというわけではない。むしろ、傑作ではないからこそ、改善の余地があるという考え方も出来る。
ただし『若き勇者たち』の場合、そのタイトルに強い訴求力があるとも思えないし、そこに手を付けようという感覚は理解し難い。
幾らハリウッドが脚本不足でリメイクや続編に頼ってばかりという状況とは言え、もっと他に使えそうな旧作品はあるんじゃないかと思うんだけど。『若き勇者たち』は、冷戦真っ只中という時期にタカ派のジョン・ミリアスが撮った反共プロパガンダ映画だった。
だからアメリカを占領する敵はソ連、キューバ、ニカラグアという共産国の連合軍になっていた。
2012年のアメリカが同作品をリメイクしようとするのなら、やはり敵として真っ先に考えられるのはロシアってことになるだろう。
だから、ロシアを中心とする連合軍が襲ってくる形にするのかと思いきや、実際には北朝鮮軍という設定になっている。北朝鮮もアメリカに敵対する国ではあるから、「敵国」としては間違った設定ではない。ただし「アメリカ本土を占領する敵国」としては、大きな間違いだと言わざるを得ない。
「なぜ敵国を北朝鮮にするのが間違いなのか」という問い掛けに対する答えは簡単で、「北朝鮮にアメリカ本土を占領するような軍事力があるとは到底思えない」ってことだ。
さすがに製作サイドも北朝鮮だけでは厳しいだろうと思ったのか、一応は「ロシアがバックに付いている」という設定が用意されている。
しかし、たとえロシアがバックについていても、やはり無理があると言わざるを得ない。
「だって北朝鮮だもの」というのが、無理を感じる理由だ。実のところ、敵が北朝鮮軍になったのには事情がある。
当初は中国人民解放軍が攻めて来る設定で、映画の撮影も進められていた。それに合わせて、ポスターやパンフレットも作成されていた。
しかし、その情報が流出し、強烈なクレームが入った。そのため、製作会社であるMGMは敵を中国から北朝鮮へ変更し、撮影した映像にも修正を施したのだ。
たぶん以前であれば、仮に抗議されたところで、それを無視して公開ことも出来ただろう。しかし最近のハリウッドは、中国資本や中国市場を軽視することが出来ない状態に陥っている。
特にMGMは財政的にそれほど余裕があるわけじゃなかったので、中国資本の圧力を受けて簡単に屈したってことなんだろう。敵を中国から北朝鮮へ変更したことで、中国市場での公開が難しくなる状況は回避できた。
しかし皮肉なことに、メインである北米の市場で受けるために最も肝心な、「映画としての質」という部分に大きな欠陥を持ち込んでしまう結果となった。
「敵軍がアメリカ本土の大半を制圧する」というプロットの根幹となる部分に、何の説得力も無くなってしまった。
ただし、じゃあ敵が中国だったら映画が傑作に仕上がったのかというと、その答えはノーだと断言できるけどね。『若き勇者たち』には、幾つもの欠陥や問題点があった。
主な例を挙げると、
「アメリカが連合軍の国土潜入を易々と許している」
「連合軍は核爆弾を撃ち込まず、大量の部隊を突入させる」
「重要拠点でも何でもない田舎町を敵軍が制圧する」
「戦闘機による爆撃も展開せず、徹底して歩兵を中心とした攻撃で制圧しようとする」
「米軍が出動する様子は、ほとんど見られない」
「共産国軍がアメリカを制圧したのに、ヨーロッパ諸国が動かない」
「メインとなる若者たちのキャラ描写が薄っぺらい」
「若者たちが隠れて一緒に暮らす中で起きるであろうドラマが描かれない」
「ただの高校生が、あっという間に戦士に変貌する」
「ただの高校生が、殺人行為への迷いや恐怖を見せない」
「短期間でアメリカ本土の大半を制圧した敵軍が、ウルヴァリンズとの戦いではボンクラっぷりを見せる」
などだ。このリメイク版でも、やはりアメリカが連合軍の国土潜入を易々と許しているし、敵が町を制圧しているのに全く出撃していない。
それに関しては「米軍は新種の電磁兵器で兵力を無効化された」という説明があるが、何の説得力も無い。
ヨーロッパ諸国が動かないってのも、まるで理由が語られない。ウルヴァリンズが数日で戦士に変わるのも同様。
今回は鍛えてくれる海兵隊員がいるけど、だからって数日で巧みに銃を扱い、確実に作戦を遂行できるように変貌するのは無理がある。
「ただの高校生が、殺人行為への迷いや恐怖を見せない」という部分も、ロバートは最初の殺人で嘔吐するけど簡単に慣れるし、他の連中は最初から平然と人殺しをやってのける。「連合軍は核爆弾を撃ち込まず、大量の部隊を突入させる」という部分に関しては、北朝鮮がマトモな核爆弾を持っていないだろうから納得できないこともない。
ただし、「戦闘機による爆撃も展開せず、徹底して歩兵を中心とした攻撃で制圧しようとする」という部分は、理由が良く分からない。
あと、『若き勇者たち』の場合は連合軍の主力がソ連軍だったので、兵力の部分では米軍に対抗できるモノがあると言えた。しかし今回は北朝鮮なので、そもそも兵力が圧倒的に劣るわけで、あれだけ大量のパラシュート部隊を送り込むのは無理だろ。
何とか兵士の数をかき集めたとしても、あれだけの人数を送りこんだら本国の防衛はスッカスカになってるぞ。このリメイク版は、なぜかオリジナル版にあった欠陥や問題点まで、ことごとく踏襲している。そこを何よりも改善すべきだろうと感じるポイントを逐一拾って、そこを模倣するのだ。何の意味があるのか、ぞういう狙いがあったのかはサッパリ分からない。
オリジナル版の要素を踏襲することに、リスペクトを感じさせるケースもある。しかしダメなトコをそのまま放置し、何の改善もせずになぞるってのは、ただの阿呆にしか思えない。
そこを手抜きするなら、なんでリメイクしたんだよ。
そういう欠陥も含めて、製作サイドは「面白い要素」とでも思ったのか、
いや、ある意味では面白いけど、それは本来の映画が提示すべき面白さとは別物だぞ。ポンコツ映画としての面白さでしかないぞ。
まさか、最初から「ポンコツ映画としての評価」を狙っていたわけでもあるまいに。裏切り者のピートと同じぐらい、マットが不愉快な奴になっているってのが困ったトコロだ。
裏切って密告したピートはもちろん悪党だけど、勝手な行動で仲間を危険にさらしているマットも相当に嫌悪感を抱かせるキャラだ。
しかも、そのことを彼は全く悪いと思っておらず、「エリカを救うため」と正当化する。スクールバスでもエリカを助けることしか考えておらず、他の連中は完全に無視しているし。
たぶん彼はスクールバスの連中が皆殺しになっても、何とも思わないだろう。「みんな大事な友達が殺されている。辛いのはお前だけだと思うのか。これは戦争だ」とジェドから責められると、マットは「たった3日だけだろ。母さんが死んだ時は6年間も放っておいたくせに」と言う。
だけど、それとこれとは全く別問題だろ。
「母が死んだ時は6年間も放っておかれたから、勝手な行動で仲間を危険にさらしても構わない」ってのは、何の筋も通っちゃいないぞ。
それは、女性が交際相手の男性や夫を責める時に、「3年前の、あの出来事は許せない。まだ覚えてるわよ」と言い出すのと似たようなことで、「それは別の問題だから、そこを一緒にするなよ」って話だわ。マットはジュリーに謝罪もしていないのだが、なぜかジュリーは許している。ジェドに「もういい、勝手にしろ」と言われた後、アジトに戻ってエリカたちと抱き合い、フニャフニャした笑みを浮かべているだけなのに、なぜか「マットは許された」みたいになっているし。
いやいや、どういうことだよ。
兄弟の不和も、避難した後の「痛みは忘れるんだ」という言葉だけで仲直りってことになってしまうし。なんか色々と処理が軽いなあ。
マットがエリカのことばかり考えて勝手な行動を取るってのはオリジナル版からの改変なんだけど、なんでダメな方向に内容を変えるかね。
ダメな要素は全て踏襲し、さらにダメな要素を付け加えるって、どういうセンスなのよ。ジェドが急襲を受けて死亡するという展開も、「誰が得をするんだよ」と言いたくなる改変だ。
それが「無駄死に」であることは、何の迷いも無くハッキリと断言できるぞ。どう考えたって、最後までジェドをリーダーとして動かすべきなんだよ。
「頼りなかったマットが、兄の死を受けて変化し、新たなリーダーとなる」という展開なんて、ちっとも歓迎できねえよ。
むしろ、マットの犯した罪の重さからすると、「誰かを助けるために命を落とす」ということで罪滅ぼしに変えてほしいと思うぐらいなのに。(観賞日:2015年3月15日)
第33回ゴールデン・ラズベリー賞(2012年)
ノミネート:最低序章&リメイク&盗作&続編賞