『私が愛したグリンゴ』:1989、アメリカ
1913年、ワシントン。自分の生活を変えたいと願っているハリエット・ウィンズローは、メキシコのミランダ家で家庭教師として働くことにした。老作家アンブローズ・ビアスの挑発的な演説を聞いて勇気付けられた彼女はメキシコのチワワに向かった。
メキシコは革命の真っ最中。ミランダ家からの迎えだという男達に連れられ、屋敷へ向かうハリエット。しかし彼らは革命軍のトマス・アローヨ将軍と仲間だった。ミランダ家は政府軍が占拠しており、アローヨ達は屋敷に乗り込むためにハリエットをオトリに使っったのだ。
ミランダ家の人間は既に屋敷から逃亡しており、家庭教師の話は完全に消えた。行く当ても無いハリエットは、やむなく革命軍と行動を共にすることになった。革命軍の子供達に勉強を教えたりする内に、彼女は彼らとの生活に慣れていく。
一方、ビアスは執筆に明け暮れる生活に疲れてメキシコにやって来た。彼は酒場でアローヨと知り合い、革命軍と行動を共にするようになる。ビアスはハリエットに惹かれるようになるが、アローヨもハリエットを愛するようになっていた。ハリエットは両方に心を惹かれていたが…。監督はルイス・プエンゾ、原作はカルロス・フエンテス、脚本はアイダ・ボートニク&ルイス・プエンゾ、製作はロイス・ボンフィグリオ、製作総指揮はデヴィッド・ウィズニエヴィッツ、撮影はフェリックス・モンティー、編集はファン・カルロス・マシアス&ウィリアム・アンダーソン&グレン・ファー、美術はスチュワート・ワーツェル&ブルーノ・ルベオ、衣装はエンリコ・サバティーニ、音楽はリー・ホールドリッジ。
主演はジェーン・フォンダ、共演はグレゴリー・ペック、ジミー・スミッツ、アン・ピトニアック、ジェニー・ガーゴ、パトリシオ・コントレラス、ジム・メズラー、ガブリエラ・ロエル、ペドロ・アルメンダリスJr.他。
オールドミスのジェーン・フォンダが、自己満足のために作ったとしか思えないような映画。だってフォンダ・フィルムが製作に絡んでるし。
簡単に説明すると、「二股かけた女の話」である。これで説明は終わり。
それ以上の内容は無い。いきなり政府軍と革命軍が入り乱れてドンパチをやらかすが、説明が無いので何がなんだか良く分からない。で両軍が争ってるところへノコノコ現れ、大声を上げて撃たれそうになるビアス。単なるボケ老人じゃねえか。
ビックリ顔とオロオロ顔を繰り返し、ベッドシーンまでやらかしてしまうジェーン・フォンダ。最初から最後まで酔っ払って訳の分からないことを喋ってるグレゴリー・ペック。冴えないオバサンと酔いどれジジイのメキシコ珍道中。
ハリエットやビアスがメキシコに来た理由に説得力が無いし、アローヨやビアスとハリエットが恋に落ちる過程はゴッソリ抜け落ちている。ハリエットの語りが入ったりするが、それが状況説明の役目を果たすわけではない。
終盤、ビアスとアローヨを死刑にする同意書にサインするハリエット(なぜ?)。そのくせ、「死んではイヤ」とか言うし。そんで間接的に2人を殺しておきながら、「2人を胸に抱きながら私は生きていく」だってさ。メチャクチャな女だな。
メキシコの革命運動を絡ませた大河ロマンみたいな作品にしたかったのかもしれない。しかし、ハリエットが革命に対して完全に傍観者の立場なので、そりゃ無理ですぜ。革命運動をボーッと眺めてるだけで、本人は何もしてないんだから。
第10回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低主演女優賞[ジェーン・フォンダ]