『ロスト・イン・スペース』:1998、アメリカ

2058年の地球。文明の発達は環境をすっかり破壊してしまっていた。人類の滅亡を防ぐためにも、他の惑星への移住が必要だと考えられていた。この移住計画に携わっていたジョン・ロビンソン博士は深宇宙への旅を可能にするタイムトンネル“ハイパーゲート”の開発に成功する。
博士はアルファ・ケンタウリの惑星“アルファ・プライム”へ探査旅行に向かうことになった。それには彼の家族も同行する。妻モリーン、長女ジュディ、次女ペニー、末っ子のウィル。さらにロボットのフレンディと、地球連合軍のパイロットであるダン・ウエスト少佐が同乗することになった。
いよいよ宇宙船ジュピターに乗り込むロビンソン一家。しかしそこにはロビンソン一家の主治医であるドクター・スミスの姿があった。実は彼は移住計画を妨害しようとする、反乱軍のスパイだったのだ。プログラムを書き換えてジュピター号の破壊を目論んだスミスだが、脱出し損ねてしまう。
プログラムの書き換えによって未知の空間に迷い込んでしまったジュピター号。幽霊宇宙船を発見したり、宇宙蜘蛛に襲われたり、様々な出来事に遭遇していく。やがてジュピター号は未知の惑星に漂着してしまうのだが…。

監督はスティーヴン・ホプキンス、脚本はアキヴァ・ゴールズマン、製作はマーク・W・コッチ&スティーヴン・ホプキンス&アキヴァ・ゴールズマン&カーラ・フライ、製作総指揮はメイス・ニューフェルド&ボブ・レーメ&リチャード・サパースタイン&マイケル・デ・ルーカ、撮影はピーター・レヴィー、編集はレイ・ラヴジョイ、特殊効果はアンガス・ビッカートン、特撮監督はニック・アルダー、音楽はブルース・ブロートン。
出演はウィリアム・ハート、ミミ・ロジャース、ゲイリー・オールドマン、ヘザー・グラハム、レイシー・シャベール、ジャック・ジョンソン、ジャレッド・ハリス、マット・ルブランク、マーク・ゴダード、ジューン・ロックハート、マータ・クリステン、アンジェラ・カートライト他。


1960年代に放送された人気TVシリーズ『宇宙家族ロビンソン』をリメイク。
ノーマン・ガーウッド(『未来世紀ブラジル』などのプロダクションデザイナー)やヴィン・バーナン(『バットマン』シリーズなどの宇宙服デザイナー)が作り出す未来世界の風景やコスチュームは美しい。100億円の制作費を投じただけあって、CG技術も立派なものだ。これがMTVだったとしたら、文句無しに賞賛できるだろう。
しかし、今や特撮の素晴らしさはハリウッド映画では当たり前であり、それ以外の部分でのプラスアルファが必要なのだ。そして、この映画にはそれが無い。

映画として見てみると、これは宇宙の中で繰り広げられるチープな家族ドラマだ。しかも、ものすご〜くダラダラしたドラマ。未知の物体や機械が登場しても、味付けにすらなっていない。広い空間を使って狭い物語を作ったという印象が強い。

メインのロビンソン一家は、個性に乏しく、「別に誰でもいいんじゃないの?」と思ってしまう凡庸さ。中身を地球に忘れてきたのかと思わせるほど、人物の薄っぺらいこと。
ということは、つまり彼らによって展開されるドタバタ家族ドラマも薄っぺらいのである。

せっかくゲイリー・オールドマン演じるドクター・スミスのキャラが面白いのだから、もっと彼を生かすべきだった。チンケな小悪党のキャラはもっと全面に出てくると思ったのに、刺身のツマ程度の扱い。最もキャラが立っているのはドクター・スミスなのだが。


第19回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低リメイク・続編賞


第21回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の助演女優】部門[レイシー・シャベール]

ノミネート:【最悪の作品】部門
ノミネート:【最悪の演出センス】部門[スティーヴン・ホプキンス]
ノミネート:【最悪なTV番組の映画化】部門
ノミネート:【最悪の歌曲】部門「Lost in Space」[スペース]

 

*ポンコツ映画愛護協会