『リーサル・ウェポン4』:1998、アメリカ
マーティン・リッグスとロジャー・マータフは、ロサンゼルス市警のはみ出し刑事コンビ。火炎放射器を持った凶悪犯と対峙している最中、リッグスは恋人で同僚でもあるローナの妊娠、マータフは長女リアンの妊娠を、それぞれ相棒から知らされる。
9か月後、マータフの買ったばかりのクルーザーで遊んでいた2人は、近くを通った貨物船から銃声がするのを耳にした。後を追い掛けた2人だが、乗組員に発砲されたために反撃。リッグスは貨物船に飛び移るが、中国人船長にカンフーで叩きのめされ、逃げられてしまう。
その貨物船は、中国マフィア“蛇頭”が密入国者を運ぶ船だった。船内に潜んでいた人々が移民局に連れ去られた後で、マータフはボートに身を隠していたホン一家の姿を見つける。違法であることを知りながら、彼は自宅に彼らをかくまうことにした。
ロスのチャイニーズ・マフィアの元締めであるベニー・チャンが事件に絡んでいることを知るリッグスとマータフは、クーという男に出会う。彼は香港から渡ってきた秘密結社のメンバーで、貨物船から姿を消したホン一家の行方を追っていた。
クーは中国軍に逮捕された自分の兄を含む4人の長老を釈放してもらうため、将軍を買収しようとしていた。そのために中国紙幣の偽造を進めていたが、その作業にホンの叔父チュンが携わっており、チュンがホン一家に会わせることを要求したのだ。
マータフの家にホン一家がいることを知ったクーは、ホン一家を連れ去る。駆け付けたリッグスとマータフ、ローナだったが、クーのカンフーにノックアウトされ、手足を縛られて家に火を付けられる。なんとか脱出したリッグス達は、クーへの反撃を開始する…。監督はリチャード・ドナー、キャラクター創作はシェーン・ブラック、原案はジョナサン・レムキン&アルフレッド・ゴフ&マイルズ・ミラー、脚本はチャニング・ギブソン、製作はジョエル・シルバー&リチャード・ドナー、共同製作はJ・ミルズ・グッドロー&ダン・クラッチオロ、製作協力はスペンサー・フランクリン&ジェニファー・グワーツ&アイリス・リュートリンガー、製作総指揮はスティーヴ・ペリー&ジム・ヴァン・ウィク、撮影はアンジェイ・バートコウィアク、編集はフランク・J・ユーリオステ&ダラス・プエット&ケヴィン・スティット&エリック・ストランド、美術はJ・マイケル・リヴァ、衣装はハ・ニューエン、音楽はマイケル・ケイメン&エリック・クラプトン&デヴィッド・サンボーン。
出演はメル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジョー・ペシ、レネ・ルッソ、クリス・ロック、ジェット・リー、スティーヴ・カーン、キム・チャン、ダーリーン・ラヴ、トレイシー・ウルフ、エディ・コー、ジャック・ケーラー、カルヴィン・ジャン、デイモン・ハインズ、エボニー・スミス、メアリー・エレン・トレイナー、スティーヴン・ラム、マイケル・チョウ、トニー・キース、リチャード・リール、フィル・チョン、ロジャー・ユアン他。
シリーズ第4弾。
刑事アクション映画であると同時に、今回はファミリードラマでもある。
ここでのファミリーとは、リッグス&ローナとベイビー、マータフ一家というファミリーでもあり、レギュラー陣というファミリーでもあり、シリーズを支えてきたスタッフというファミリーの意味もある。「シリーズの4作目だから許される内容だ」という条件の付く娯楽大作。
キャラ設定や人間関係が前作までに説明されているからこそ、説明無しで突っ走るという内容が成立するのだ。
裏を返せば、シリーズ4作目であることを充分に生かした内容になっているわけだ。アクションシーンは満載。
火炎放射器を持った男との対決、タンクローリーの大爆発、車の大クラッシュ、燃え上がる家からの脱出、高速でのカーチェイス、猛スピードの中でのスタント、ビルに向かってのカージャンプ&ビルを突き抜けてのカージャンプなどなど。
リアンの恋人バターズが自分に媚びるのをマータフがゲイだと勘違いしたり、リッグスがバターズの名前を全く覚えなかったり、コメディーの要素が幾つも見える。
シリーズの中では最もコメディー色が強く、マジな部分がほとんど無いぐらいだ。
シナリオは弱いが、ノリの良さで引っ張っている。ただ、悪ノリが過ぎると思える部分も多い。
例えばリッグスが不必要に暴れるのは気になる。
ベニーの店をマジックミラーやスプリンクラーを破壊する行為は、全く必要性が無い。
誤ってクーの兄を射殺した後にリッグスとマータフがふざけた会話をするのもいただけない。クリス・ロック演じるバターズ刑事が新しいキャラクターとして登場するが、彼の存在は明らかに余計だろう。
バターズの出演シーンだけが妙に浮いている。
そもそも、お調子者で喋りまくるというキャラはレオ・ゲッツだけで充分だし、キャラがかぶっているのだ。クーを演じるジェット・リーは得意のカンフーを見せてくれる。
ただし、終盤でのメル・ギブソンとのバトルでは、メルに合わせるために動きを遅くしている。
その分はカット割りでスピード感をカバーしようとしているが、やはり急に弱くなったような印象は受ける。レオがリッグスに仲良くしてくれたことへの感謝を述べるシーンがあったり、主要レギュラー陣が揃って集合写真を撮影したり、これでシリーズ打ち止めという匂いがプンプンする。
リッグスが自分の衰えを自覚する場面もあるし、これをシリーズ最終作にするのは正しい選択だと思う。
ちなみに、スタント・コーディネイターの2人の内、コンラッド・E・パルミサーノはリチャード・ファーンズワース&マイケル・パレ出演作『プラネット・オブ・ファイヤー』、ミック・ロジャースはジャン=クロード・ヴァン・ダム主演作『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』で監督デビューしている。
第19回ゴールデン・ラズベリー賞(1998年)
ノミネート:最低助演男優賞[ジョー・ペシ]