『モッド・スクワッド』:1999、アメリカ

犯罪歴のある若者ジュリー・バーンズ、ピート・コクラン、リンク・ヘイズの3人は、犯罪を見逃してもらう代わりに、バッジを持たない警官として警察に協力するという取り引きに応じた。こうして、3人はグリア警部の部下として働くことになった。
ジュリー達はグリアの指示を受け、エックフォード刑事とレニエ刑事と共に、レッド・ウィルソンの営むクラブの捜査をすることになった。バーテンとして潜入したジュリーは、元恋人ビリーと再会する。ピートは、女とセックスしている現場を用心棒に見つかり、追い出される。
リンクは、先週のガサ入れでグリアが逃がした男ギルバートを目撃する。リンクはギルバートが警官と会う情報を入手し、ジュリーとピートを連れて現場に向かう。そこで3人は、グリアの死体を発見する。死体の近くには、警察が証拠品として押収したコカインが落ちていた。3人は、内務調査部のブリッグス刑事に尋問を受ける。
リンクとピートは、ギルバートを探し始めた。一方、ジュリーはビリーが麻薬商ハワードと手を組み、警察と取り引きしていることを知る。やがて3人は、グリアの同僚マザーシェッド、エックフォード、レニエ、トリッキーが麻薬を横流ししていることを知る…。
監督はスコット・シルヴァー、キャラクター創作はバディ・ラスキン、脚本はスティーヴン・ケイ&スコット・シルヴァー&ケイト・ラニアー、製作はベン・マイロン&アラン・リッシュ&トニー・ルドウィグ、共同製作はマイケル・ベネット&リチャード・ステンタ、製作総指揮はアーロン・スペリング&デヴィッド・ラッド、撮影はエレン・クラス、編集はドリアン・ハリス、美術はパトリック・シャーマン、衣装はアリアンヌ・フィリップス、音楽はB・C・スミス、音楽監修はランディー・ガーストン。
出演はクレア・デーンズ、ジョヴァンニ・リビーシ、オマー・エップス、マイケル・ラーナー、デニス・ファリーナ、ジョシュ・ブローリン、スティーヴ・ハリス、エディ・グリフィン、リチャード・ジェンキンス、ラリー・ブランデンバーグ、ライオネル・マーク・スミス、サム・マクマレイ、マイケル・オニール、スティーヴン・T・ケイ、ボーディー・ピング・エルフマン、ホームズ・オズボーン他。


1968年から1973年まで放送されたアメリカの同名TVドラマをリメイクした作品(日本では『モッズ特捜隊』というタイトルで第1シリーズのみ放送された)。『潜入特捜隊モッド・スクワッド』という別タイトルもある。ジュリーをクレア・デーンズ、ピートをジョヴァンニ・リビーシ、リンクをオマー・エップス、ハワードをマイケル・ラーナーが演じている。
他に、グリアをデニス・ファリーナ、ビリーをジョシュ・ブローリン、ブリッグスをスティーヴ・ハリス、マザーシェッドをリチャード・ジェンキンスが演じている。また、リンクの友人で情報屋のソニーを、エディ・グリフィンが演じている。

冒頭、ジュリー達3人の紹介がグリアのナレーションによって行われる。しかし、そこで語られるのは「クズ野郎」とか「ろくでなし」といったアバウトな情報だけで、性格や犯罪歴など、具体的な情報は皆無に等しい。おまけに、既に警察の犬になっているところから話は始まっている。つまり、不良から警察の犬になる下りはカットされているわけだ。
最初のシークエンスはジュリー達の潜入捜査が描かれているはずだが、やたらゴチャゴチャしているばかり。ジュリー達が、元不良という立場を利用して上手く捜査しているようには見えない。それぞれの特技や才能らしきモノも描かれていない。

最初のつまづきは後にも大きく響き、他の刑事が言うように「ガキの警察ごっこ」にしか見えない。実際、クラブの捜査になってもジュリーは元恋人とイチャ付いているし、ピートは女とセックスして立ち入り禁止になる。ちゃんと仕事に徹しているのはリンクだけだ。
こんな連中を、なぜグリアが使っているのか全く分からない。マトモに捜査せずに遊んでいるのなら、普通の刑事に任せた方がいい。ガキだというのを逆手に取って軽妙に進めるのも1つの方法だが、雰囲気はハードでシリアスにやっている。だから、やたらとドジを踏むピートの軽薄さは、ただ軽薄で唾棄すべき奴としか映らない。

最後まで見ても、ジュリー達の各人の特技や才能は全く分からない。分かるのは、ジュリーがバカでピートがドジだということぐらいだ。やっぱり、ガキの警察ごっこに相違無いのである。ガキの遊びをハードでシリアスに描かれても、困ってしまうのである。
グリアが殺された後は、「犯人として疑われ、潔白を証明するために捜査に乗り出す」という流れになるのかと思いきや、ジュリーはビリーとイチャ付いている。グリアとの関係が薄いから、「彼を殺した犯人を探す」というところにモチベーションを置くことも出来ない。

その後も、ピートが殺人を目撃してショックを受けたり、ジュリーが失恋して落ち込んだりで、まるで捜査が進まない。で、みんなが勝手にフラフラしている間に、何となく成り行きで事件の真相に迫って行くという形になっている。ドタバタ喜劇じゃあるまいし。
そんな散々な状態になったのは、致命的にシナリオが悪いのである。そもそも、警察内部の犯罪にしたのが間違いの元だろう。外部の犯罪にしておけば、「ジュリー達が事件を解決し、バカにしていた刑事達の鼻を明かす」というスカッとした話に出来ただろうに。

3人合わせてモッド・スクワッドなのに、皆で協力して何かをすることが無い。それぞれバラバラに行動しているので、チームプレーの面白さは全く無い。
で、困った時には音楽を流して時間を潰すという、「お前のファースト・ネームはスコットじゃなくてジョエルなのか」と監督にツッコミを入れたくなるような演出。
でも、そんなのでは誤魔化しきれない。


第20回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低脚本賞


第22回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の作品】部門
ノミネート:【最悪の主演女優】部門[クレア・デーンズ]
ノミネート:【最悪の助演男優】部門[ジョヴァンニ・リビーシ]
ノミネート:【最悪なTV番組の映画化】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会