『メン・イン・ブラック2』:2002、アメリカ
地球には多くのエイリアンが亡命し、人間の姿で生活している。自らの素性を隠し、エイリアンが犯罪や侵略行為を監視するのがMIBエージェントの仕事である。かつてKというエージェントにスカウトされたJは、今やMIBでも後輩を指導する立場になっている。しかしKが記憶を抹消して引退した後、彼は相棒に恵まれていなかった。新人のTは失敗をやらかしてダイナーで泣き出したため、Jは彼の記憶を消去してMIBを辞めさせた。
カイロシアン星人のサーリーナが、地球に現れた。彼女は、かつてザルタの王女ローラナがMIBに保護を求めた「ザルタの光」を探し続けていた。サーリーナはエイリアンのスクラッドとチャーリーに会い、ピザ屋の主人ベンがザルタの光の隠し場所を知っていると聞かされる。サーリーナはベンを詰問するが、答えが得られなかったために殺害する。その様子を、従業員ローラが物陰から見ていた。
Jは上司Zから事件の捜査を命じられ、新しい相棒である犬のフランクと共にピザ屋へ出向いた。ローラを見たJは彼女に惹かれ、事情を説明した後に記憶を抹消するルールを守らなかった。本部に戻ったJは上司Zから、かつてローラナからザルタの光を求められた際の担当者がKだったことを教えられる。
Jは当時のことを聞くため、今は郵便局長になっているKに会いに行く。JはKを本部に連れ帰り、記憶復元装置を使わせようとする。だが、そこへサーリーナが現れ、本部を占拠してしまった。本部から脱出したJとKは質屋ジーヴスの元へ出向き、手製の記憶復元装置を使う。2人はビデオショップの店長ニュートンの協力を得て、Kが自ら消していた過去の記憶を蘇らせる…。監督はバリー・ソネンフェルド、原作はローウェル・カニンガム、原案はロバート・ゴードン、脚本はロバート・ゴードン&バリー・ファナロ、製作はウォルター・F・パークス&ローリー・マクドナルド、共同製作はグラハム・ピアース、製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ、撮影はグレッグ・ガーディナー、編集はスティーヴン・ワイズバーグ&リチャード・ピアソン、美術はボー・ウェルチ、衣装はメアリー・E・ヴォクト、視覚効果監修はジョン・バートン、エイリアン・メイクアップ効果はリック・ベイカー、音楽はダニー・エルフマン。
出演はトミー・リー・ジョーンズ、ウィル・スミス、リップ・トーン、ララ・フリン・ボイル、ジョニー・ノックスヴィル、ロザリオ・ドーソン、トニー・シャローブ、パトリック・ウォーバートン、ジャック・ケーラー、デヴィッド・クロス、コロンブ・ジェイコブソン、ピーター・スペロス、マイケル・リヴキン、マイケル・ベイリー・スミス、レニー・ヴェニト、ハワード・スピーゲル、アルフェウス・マーチャント、ジェイ・ジョンストン、ジョエル・マッキノン・ミラー他。
ローウェル・カニンガムのコミックを基にした1997年の映画『メン・イン・ブラック』の続編。Kのトミー・リー・ジョーンズ、Jのウィル・スミス、Zのリップ・トーン、ジーヴスのトニー・シャローブは前作から引き続いての出演。他に、サーリーナをララ・フリン・ボイル、スクラッドとチャーリーをジョニー・ノックスヴィル、ローラをロザリオ・ドーソンが演じている。
さらに、MIB志願者としてマイケル・ジャクソン、MIBのパスポート担当者として特殊メイクのリック・ベイカー、KとJが武器を取りに行く家の父親役でバリー・ソネンフェルド監督が出演している。スタッフ&キャストの家族も、何人か出演している。郵便局でスタンプを買いに来る少女はソネンフェルド監督の娘、前述した武器を取りに行く家の少女はトミー・リー・ジョーンズの娘、空飛ぶKとJを見上げる2人の少年はウィル・スミスの息子である。前作をコメディーたらしめていた要因の1つは、「新人Jがボケをカマし、熟練Kが仏頂面で受け流す」という掛け合いにあった。ところが今回はKが引退しているため、復帰するまでは同じパターンが使えない。
そこで何を考えたのか、Jに「すました顔でボケを受け流す」という前作のKと同じ役割を与えてしまった。Kが登場しても、しばらくは記憶を失ったまま。だから、「生意気な後輩Jのボケを、熟練のKがスカす」という上下関係は、その時点では復活しない。
パート2だから前作と違ったテイストを加えようとする考えは、悪いことではない。
ただしJに貫禄を持たせて、Kの貫禄を消すというのは、触るべきポイントでは無かっただろう。記憶が消去されているKだが、エイリアンを見たりMIB本部に連れて行かれたりしても、ビックリしたり焦ったりという態度は無い。何があっても、リアクションは薄い。そこだけは、前作の彼と同じなのである。
しかし前述したように、JはJで既に落ち着きのあるエージェントになっている。
そうなると、2人のコンビでボケを担当する者がいなくなってしまう。それではマズいということなのか、Kの記憶が戻った後、Jは前作の頃に戻ったかのように、貫禄や落ち着きが消えてボケをカマすようになる。
ハッキリ言えば、途中でキャラが変わっているのである。
最初から、そういうキャラにしておけば良かっただけのことなのだが、
どうやら全体的なバランスの計算を上手く出来ていなかったようだ。この手のVFX多用映画が続編において陥りやすいのは、「前作よりもVFXを増やせば面白くなるだろう」という勘違いだ。
そう、それは大きな勘違いである。
VFXを増やせば、それだけ見た目の派手さはアップするかもしれない。
しかし、それは装飾がきらびやかになるということに過ぎず、それだけでは箱の中身に何の影響も与えないのである。
第23回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低助演女優賞[ララ・フリン・ボイル]
第25回スティンカーズ最悪映画賞
受賞:【最も気が散るセレブのカメオ出演】部門[マイケル・ジャクソン]ノミネート:【最悪の助演女優】部門[ララ・フリン・ボイル]
ノミネート:【最悪な総収益1億ドル以上の作品の脚本】部門
ノミネート:【最悪の続編】部門
ノミネート:【最悪の歌曲・歌唱】部門
「Black Suits Comin' (Nod Ya Head)」(ウィル・スミス)