『MEG ザ・モンスターズ2』:2023、アメリカ

白亜紀、6500万年前。トンボはトカゲに食われ、トカゲは水陸両用の巨大トカゲに食べられた。そこに現れた恐竜が巨大トカゲを食おうとすると、海から出現したメガロドンが襲い掛かった。現在のフィリピン海。ジョナス・テイラーは放射性廃棄物を不法投棄するタンカーに潜入し、証拠の資料を撮影した。犯人一味に見つかった彼は追い込まれ、海に飛び込んだ。そこへ仲間のマックとリガスが飛行機で駆け付け、ジョナスを救出して海南の海洋研究所へ戻った。
海洋研究所の創設10周年パーティーが開かれ、司会を務めるヒラリー・ドリスコルがジウミン・ジャンを紹介してスピーチさせた。2021年にスーインが死去した後、ジウミンは父の研究所を引き継いで自分の会社と統合していた。パーティーに参加したジョナスは、モンテスという見知らぬ男の存在が気になった。ジウミンはメグのハイチを育てて研究しており、多額の寄付を得て水深躍層を通過できる潜水艇や海底調査のためのパワードスーツを開発していた。
14歳になったメイインは深海に潜りたいと望んでいたが、ジョナスは危険だと考えて「マナ・ワンには連れて行くが見学だけだ」と告げた。ジョナスたちがマナ・ワンに到着した夜、ハイチは水槽を破壊して逃げ出した。翌日、ジョナスたちは潜水艇のダイブ1と2を使い、深海調査へ赴いた。ダイブ1にはジウミンと操縦士カーティスと乗組員ランス、2にはジョナスとリガスと乗組員サルが搭乗した。司令室ではマックと遠隔操作係のDJ、オペレーターのジェスが見守った。
ジョナスたちはマリアナ19と呼ばれる場所へ向かうが、潜んでいたメイインが途中で姿を現した。ジョナスは仕方なく、静かにしているよう指示して同行させた。ハイチが出現したため、ダイブ1と2は潜って逃げようとする。しかしハイチが付いて来ただけでなく、さらに巨大な2頭のメグまで現れた。ジウミンは計画を変更し、メグたちを観察することにした。ジョナスたちは海底に謎のステーションを発見し、調べることにした。
潜水艇で採掘の作業を監視していたモンテスは、ダイブ1と2の接近を知った。彼は証拠隠滅のため、大勢の作業員がいる現場を爆破した。ダイブ1と2は巻き込まれ、通信が途絶えた司令室ではマックがジェスに救難艇の用意を指示した。すると確認に行ったジェスはマックに、救難艇の制御盤が壊されていることを伝えた。ジョナスは通信が復旧したのでマックに連絡し、全システムが故障して酸素も少ないと知らせる。マックから救難艇を出せないことを聞かされた彼は、「潜水スーツで海溝を歩いて海底ステーションに行く。中に入れば浮上できる」と語った。
ジョナスたちは潜水スーツで海底ステーションへ向かい、無事だったダイブ1の面々と合流した。マックは救難艇を破壊したスパイを突き止めるため、DJにはドックの監視映像のチェック、ジェスには怪しい人間の身元調査を指示した。モンテスはヒラリーに連絡し、マナ・ワンの連中にバレたが始末したと報告する。ヒラリーは「死んでない」と言い、歩いてステーションに来ると教えた。ジョナスたちは途中でランスを見失うが、捜索を諦めて先へ進むことにした。
DJはマックに、監視映像が全て消されていることを知らせた。ジョナスたちは巨大トカゲの群れに襲われ、必死で逃げる。そこへ3頭のメグが現れ、一行は海底ステーションへ走るがサルとカーティスが命を落とした。ジョナスたちがステーションを調べると、10億ドル相当のレアアースがケースに保管されていた。マナ・ワンに通信が繋がり、ジェスが出た。ジョナスたちは3人が命を落としたこと、無人の海底ステーションにいることを知らせた。
ジョナスたちが海底ステーションの奥へ進むと、ジウミンが開発したパワードスーツが置いてあった。彼らは脱出ポッドを使おうとするが、シェスがハッチを封鎖した。ジェスは本性を現し、大金を手に入れるために協力するよう持ち掛けた。彼女は1つ目のポッドを発射し、リガスに「メイインを助けたかったら水中銃でジョナスを殺して」と要求した。リガスが逡巡した末に「出来ない」と断ると、ジェスは2つ目のポッドも発射した。
ヒラリーはジェスに通信を繋ぐよう指示し、ジウミンに「貴方の技術を使って、採掘作業は1週間で再開する。この先も研究所は海底資源略奪の拠点となる」と勝ち誇った様子で言い放った。彼女はジェスに、「マナ・ワンに掃討部隊を送った。始末して」と指示する。ジェスがステーションに注水すると、ジョナスは向こうからハッチを開けるために外へ出た。ジョナスは作業を急ぐが、途中で失神する。彼が目を覚ますとモンテスがいて、「お前ら環境派が俺の船を捕まえたせいで、2年も刑務所にいた」と恨みを口にした。
モンテスがナイフで襲い掛かると、ジョナスは反撃した。彼はモンテスを撃退し、ロックを解除してジウミンたちを救った。掃討部隊がヘリコプターでマナ・ワンへ向かう中、バックアップ映像を確認したマックとDJはスパイがジェスだと知った。ジョナスたちはモンテスの潜水艇を修理し、ライトでメグをおびき寄せてステーションから脱出した。モンテスはパワードスーツを着て、潜水艇を追った。マックとDJは掃討部隊を倒し、通信室へ向かう。ジョナスたちは浮上し、マナ・ワンの占拠を知った。ジョナスはリガスにメイインを連れて脱出用ボートを準備するよう頼み、ジウミンと共にマックとDJを捜索する…。

監督はベン・ウィートリー、原作はスティーヴ・オルテン、原案はディーン・ジョーガリス&ジョン・ホーバー&エリック・ホーバー、脚本は ジョン・ホーバー&エリック・ホーバー&ディーン・ジョーガリス、製作は ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ&ベル・アヴェリー、製作総指揮はジェイソン・ステイサム&ケイト・アダムズ&リ・ルイガン&キャサリン・シュージュン・イン&ウー・ジン&フー・ルオシン&ジェリー・リー&E・ベネット・ウォルシュ&エリク・ハウサム&ランディー・グリーンバーグ&ジェラルド・R・モーレン、共同製作はミン・ヴィーヴァー・クウェイ&リウ・カイルオ、製作協力はスティーヴン・ヒュイ&ケン・アッチティー&ウォン・チーリー、撮影はハリス・ザンバーラウコス、美術はクリス・ロウ、編集はジョナサン・エイモス、衣装はリンゼイ・ピュー、視覚効果監修はピーター・ベブ、音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ。
出演はジェイソン・ステイサム、ウー・ジン、クリフ・カーティス、ソフィア・ツァイ、ペイジ・ケネディー、セルヒオ・ペリス=メンチェータ、スカイラー・サミュエルズ、シエンナ・ギロリー、メリッサンティー・マハウト、ウーピー・ヴァン・ラーム、キラン・ソニア・サワル、フェリックス・メイヤー、タオ・ガオ、ロビン・ヒル、ダイ・レレ、スイ・フォン・アイヴィー・ツイ、スチュワート・アレクサンダー、ション・ジンジ、アベル・ウォナマコック、カイ・ジンジン、リー・シン、ケネス・ウォン他。
声の出演はサラ・ディー。


2018年の映画『MEG ザ・モンスター』の続編。
監督は『レベッカ』『イン・ジ・アース』のベン・ウィートリー。
脚本は前作に続いてジョン・ホーバー&エリック・ホーバー&ディーン・ジョーガリスが担当している。
ジョナス役のジェイソン・ステイサム、マック役のクリフ・カーティス、メイイン役のソフィア・ツァイ、DJ役のペイジ・ケネディーは、前作からの続投。
ジウミンをウー・ジン、モンテスをセルヒオ・ペリス=メンチェータ、ジェスをスカイラー・サミュエルズ、ヒラリーをシエンナ・ギロリー、リガスをメリッサンティー・マハウト、カーティスをウーピー・ヴァン・ラーム、サルをキラン・ソニア・サワル、ランスをフェリックス・メイヤーが演じている。

前作のヒロインを演じたリー・ビンビンは続投していないが(理由は不明だが、体調が良くないので自らセミリタイアを選んだという噂もある)、中国資本の映画であることは変わらないので、そこを意識した出演者は必要だ。
ってなわけで、今回はウー・ジンが出演している。
ウー・ジンと言えばアクション俳優であり、ジェイソン・ステイサムとの共演となれば「肉弾対決」とか「肉弾共闘」を期待したくなる人もいるかもしれない。しかし何しろサメ映画なので、ウー・ジンの得意分野である格闘アクションは見られない。
そんな彼が演じるジウミンは序盤でヒールっぽいムーブも見せているが、そこは中国市場を意識した作品なので、ちゃんと善玉として扱っている。前作と同じく、中国人ではない別のキャラにヴィランを担当させている。

冒頭で描かれる白亜紀のシーンは、「弱肉強食の食物連鎖の頂点にメガロドンが位置している」ってことを示したかったのかもしれない。
ただ、そんなに大きな効果は期待できないし、別に無くてもいい。
その後には、タンカーに潜入したジョナスは犯罪グループの格闘が少しだけ描かれる。
海中でメガロドンを相手にするシーンではジェイソン・ステイサムに格闘アクションをさせることが難しいので、そういう要素も先に見せておこうってことかな。

パーティーのシーンではヒラリーが司会を務めているが、その役職や立場が分かりにくい。
「当研究所の所長」としてジウミンを紹介しているの海洋研究所の人間なのかと思いきや、そうじゃなくて支援している投資家なんだよね。
会場の画面に「X-Pletandum Technologies」 とは出ているけど、それも何となく見ていたら気付かない恐れがあるし。
誰かの台詞で彼女の立場を説明させれば済む問題なんだし、簡単な作業なんだから、やらない手は無いでしょ。
そもそも今回のラスボスで重要なキャラなのに、それにしては紹介が雑すぎる。

マナ・ワンの新たなクルーとして登場する面々の内、リガスとジェスを除く3名(カーティス、サル、ランス)は基本的には殺されるための要員だ。スラッシャー映画の若者グループみたいなモンだね。
モンスター・パニック映画としては、当然のことながら「モンスターに襲われて死ぬ人間」が何人か必要になる。
その全てを「名も無き雑魚キャラ」で済ませても悪くは無いけど、出来れば「主要キャスト」の中か犠牲者が出た方が話としては盛り上がりを作れる。
ってことで、そのための「殺され要員」なのだ。

開始から25分辺りでハイチがダイブ1と2の前に現れ、さらに巨大なメグも登場する。なので、そこから「ジョナスたちは襲って来るメグから逃げて」という展開になるのかと思いきや、メグは何もしてこないので普通に観察できている。
ところが、なぜか海底ステーションに向かう時は獰猛に襲い掛かって来る。
そこの違いは何が原因なのか不明だが、「熱に反応している」という設定なんだろう。
でも、近くにいる巨大トカゲには目もくれないんだよね。そっちの方が餌としては食べ慣れているはずなのに。

っていうかメグは前作でも登場していたからともかく、なぜ巨大トカゲの群れが急に出現したのかという理由の説明は何も無いのね。
前作にも増して、話が雑だな。
でもジェイソン・ステイサム主演作としては、そのぐらい雑なのは仕様みたいなモンではあるんだよね。
それはともかく、そこで少し無理してでもメグにジョナスたちを襲わせるのは、「そうでもしないと、しばらくの間はメグの出番が無い」という事情があるからだ。

メグが暴れ出す前には、「モンテスが採掘現場を爆破し、その仲間であるスパイがマナ・ワンにいることが判明して」という話が出て来る。爆発に巻き込まれた潜水艇が何とか脱出しようとするアクションシーンは、きっと見せ場の1つとして用意されているはずだ。
しかし残念ながら見せ方が下手なので、何がどうなっているのか良く分からない。
そんなモンテスたちの出現によって、言わずもがなだろうが、メグとは何の関係も無い「人間同士の戦いの構図」が浮かび上がる。
人間同士の争いを大きく扱うのは、モンスター・パニック映画が陥りがちな失敗であり、大抵の場合は誰も得をしない。

スパイの正体は、何しろ容疑者がマックとDJとジェスしかいないのだから、最初からバレバレになっている。マックとDJは前作から続投しているジョナスの仲間で、ジェスだけが新参者だからね。
そんなジェスも含む悪党は、総じてバカだ。
ヒラリーはマナ・ワンの大手スポンサーなんだし、ジウミンたちが採掘場所の当たりを調査する情報も事前に知っていたはずで。なのに何の手も打たず、潜水艇が来てから現場のモンテスが慌てて隠蔽を図るのはアホすぎる。
また、わざわざ正体をバラす必要は皆無なのに、通信を繋がせてジョナスたちに「自分が黒幕でした」と余計なことを言うのもバカ。

モンテスはジョナスが気絶している間に始末すればいいのに、目を覚ますまで待って喋ってから襲うから反撃を食らう。掃討部隊もマックとDJを全く追い込めず、全く歯応えの無い連中になっている。
一瞬だけマックたちを捕まえても、すぐにジョナスとジウミンに倒されているし。
その匂いは最初からプンプンしていたけど、ジェスも結局はメグに殺されるために出て来たようなキャラだしね。
そもそもメグを脇に追いやって人間同士の戦いを続けている時点で、大きな間違いではあるのよ。ただ、それならそれで、せめて「主人公が悪党と戦うサスペンス・アクション」として、もう少し何とからならなかったのかと。

マナ・ワンに戻ったジョナスとジウミンがマックたちと合流した後、メグが襲来してジェスを食らい、ようやく遅れ馳せながらモンスター・パニック映画としての本分を取り戻そうとする。
しかし、まだヒラリーの一味は生きていて追い掛けて来るので、ただのノイズになっている。
そしてモンスター・パニック映画の方でも、巨大トカゲが再び出て来るし、さらに巨大タコまで襲来する。
メグを主役として丁寧に扱う気なんて、さらさら無いのね。

(観賞日:2025年10月12日)


第44回ゴールデン・ラズベリー賞(2023年)

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低主演男優賞[ジェイソン・ステイサム]
ノミネート:最低監督賞[ベン・ウィートリー]

 

*ポンコツ映画愛護協会