『マスターズ 超空の覇者』:1987、アメリカ

全宇宙の中心、エテルニア星のグレイスカル城。城主であるソーサラスは、永きに渡って平和を保ってきた。しかし悪の魔王スケルター率いる闇の軍団は城に侵入し、ソーサラスを捕虜にする。グレイスカルを支配する者は至高の力を所持し、全宇宙の王者となることができるのだ。
エテルニアの戦士ヒイ=マンは仲間ティーラや彼女の父親ダンカンと共に、スケルターの軍隊に捕まっていた発明家グウィルダーを助ける。グウィルダーは瞬時の時空移動を可能とする道具“コズミック・キー”を発明しており、スケルターはそれを奪って城へ侵入したのだ。
グウィルダーが持っていた試作品のコズミック・キーでグレイスカル城へ移動したヒイ=マン達は、ソーサラスを救出しようとする。しかしスケルターに発見されてしまい、コズミック・キーで地球へテレポート。しかし、テレポートの途中でコズミック・キーを落としてしまう。
コズミック・キーを拾ったのは、両親を事故で亡くしたばかりのジュリーと恋人のケヴィン。ヒイ=マンは2人に会って、コズミック・キーを取り戻そうとする。一方、ジュリーとケヴィンがコズミック・キーを拾ったことを知ったスケルターは、部下のイーヴル=リン達を地球に送り込む…。

監督はゲイリー・ゴッダード、脚本はデヴィッド・オデル、製作はメナハム・ゴーラン&ヨーラン・グローバス、共同製作はエリオット・シック、製作協力はイヴゼン・コラー&マイケル・フリン、製作総指揮はエドワード・R・プレスマン、撮影はハナニア・ビーア、編集はアン・V・コーツ、美術はウィリアム・スタウト、衣装はジュリー・ワイズ、音楽はビル・コンティ。
主演はドルフ・ラングレン、共演はフランク・ランジェラ、メグ・フォスター、ビリー・バーティー、ジョン・サイファー、コートニー・コックス、ジェームズ・トルカン、チェルシー・フィールド、ロバート・ダンカン・マクニール、クリスティーナ・ピックルス他。


アメリカの人気コミックを映画化。ドルフ・ラングレンの初主演作。メナハム・ゴーラン&ヨーラン・グローバスのキャノン・フィルム作品。
魔王スケルターや氷の美女イーブル=リンを向こうに回し、勇者ヒイ=マンが正義のために戦うSFアクション。

視覚効果監修がリチャード・エドランド、視覚効果模型工房監修がマーク・ステットソン、そしてコンセプチュアル・アーチストとしてジャン・メビウス・ジローが、特殊メークアップにマイケル・ウエストモアが参加している。
スタッフは豪華な顔触れである。

スケルターを演じるのはフランク・ランジェラ。
しかし、ずっとドクロの仮面を被っているので、果たして彼を起用した意味があるのかどうかは疑問。個性的な造形の悪役はたくさん登場するが、ほとんどは出てくるだけで精一杯で、中身をアピールするまでには至らない。

まるでシリーズ作品の続編であるかのように、人物や舞台設定に関する詳細な説明はほとんど無い。世界観に入り込めない内に、どんどん話は進んでいく。
原作を知っている者なら分かるのかもしれないが、不親切であることは否めない。

序盤は広い宇宙を舞台にしたスケールの大きい作品のように始まるが、すぐにヒイ=マン達が地球へ移動。1つの町を舞台にして、コズミック・キー争奪戦が繰り広げられる。
スケールは大幅にダウンし、微妙にタイムスリップ・コメディのような雰囲気さえ出てきてしまう。

基本的にキャラクターの行動はメチャクチャで、それが話の流れをヘナチョコにする。町では夜中に大勢が騒がしくドンパチをやっているのだが、一般住民は全く姿を見せることがない。
どうやら、そこはかなり寂れた町のようだ。

スケルターの部下は遠くにある物体を破壊する装置を持っているのだが、なぜかコズミック・キーを破壊しようとはしない。
そもそもスケルターがコズミック・キーを奪おうとする意味が分からない。別にコズミック・キーに全能の力があるわけではないのだから、破壊すればイイのではないだろうか。


第8回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低助演男優賞[ビリー・バーティー]

 

*ポンコツ映画愛護協会