『ブレイクアウト』:2011、アメリカ

ダイヤモンド・ディーラーのカイル・ミラーは、森に囲まれた豪邸に妻のサラ、娘エイヴリーの3人で暮らしている。その日、カイルは ビジネスの相手と電話で話しながら、車で自宅へ向かっていた。一方、友達とパーティーへ行きたいエイヴリーはサラにお願いするが、 「今夜は駄目よ」と反対される。「ジェイクって子の家にみんなで集まるの」とエイヴリーが話すと、サラは「やましいことが無いなら、 誰と行くか教えて」と求めた。
カイルは電話しながら庭に入り、プールの近くで金のライターと煙草の吸い殻を見つける。サラがエイヴリーに「せっかくパパが帰って くるんだもの、今日は家族で食事しない」と話しているところへ、カイルが帰宅した。エイヴリーはカイルに「パーティー行っていい?」 と訊く。サラが親友のケンドラも一緒だとと教えると、カイルは「だったら上級生の男の一緒だろ。ダメだ」と告げる。エイヴリーは 「パパとママが揉めてるからって私を子供扱いしても解決しないよ」と不貞腐れた。
カイルは仕事の電話に戻り、書斎に入って何とか相手と話を付ける。サラから「行く前に食事する時間はあるの?」と問われ、カイルは 「途中で買って食べる」と答える。エイヴリーはこっそり家を抜け出し、車で待っていたケンドラと合流してパーティーへ向かう。カイル はライターをサラに見せて、「これ、エイヴリーのかな?プールの近くに吸い殻も落ちてたんだ」と尋ねる。サラは「本当?」と何も 知らない様子を示した。
カイルはサラに「ごめんな、いつも家を空けてばかりで。君とエイヴリーを養うためなんだ」と言い、再び仕事へ出掛けようとする。その 時、インターホンが鳴り、防犯モニターに警官2人が写る。「何か事件ですか」とカイルが質問すると、強盗事件が多発しているので巡回 しているのだという。しかしカイルがドアを開けると、彼らは覆面強盗団だった。他に2人の仲間もおり、カイルとサラは捕まって銃を 突き付けられた。強盗団はリーダーのエライアス、恋人のペタル、エライアスの弟ジョーナ、それにタイという男の4人だ。
カイルとサラは家を捜索した強盗団から「娘はどこだ?」と訊かれ、エイヴリーが抜け出したことを知る。タイはエライアスに「15分で 出るぞ、ヘマするな」と告げる。エライアスはカイルとサラの携帯を没収し、ジョーナはパソコンや電話を壊した。エライアスはカイルを 脅してセキュリティーの暗証番号を聞き出し、防犯システムを操作する。彼は暗証番号が2つあることや、警察に通報されるダミーが用意 されていることまで知っていた。
パーティーに参加したエイヴリーは、ジェイクから父の金庫にある10万ドルと抗生物質を自慢げに見せられる。ドラッグを勧められた彼女 は、「私はいい」と断る。ラリったジェイクがナンパしてきたので、エイヴリーはタクシーを呼んで帰ることにした。エライアスは壁に 飾られた絵の裏に金庫が隠されていることも知っており、カイルに「開けろ」と要求する。しかしカイルはサラが銃を突き付けられても、 金庫を開けることを拒絶した。
エライアスは「そこにダイヤが山ほどあるだろう。黙って金庫を開けろ」と脅し、サラは「お願い、開けて」と言うが、カイルは「誰が カットするんだ?刻印を偽造できるんだろうな。刻印で誰の物か分かる。盗品売買で捕まるぞ」と語る。タイが苛立つとエライアスは彼を なだめ、「最後まで聞こう、念のためだ」と口にした。カイルは「盗品のダイヤを売るには、形を変えて刻印を消す。それでも保証書無し で持ち込めば盗品とバレる。足元を見られるのがオチだ。確かに数十万ドル分のダイヤが入ってるが、君らに幾らで売れる?買い手が 見つかるのか」と強気に述べた。
カイルは「私なら石をカットできる。手を組もう。私が売って、君らに金を渡す」と提案するが、ジョーナは「こいつの口車に乗るなよ。 現金は確かにある。こいつが運んでるのを見た。いかにも重そうだった。それだけでも充分だ」とエライアスに告げる。エライアスは 「お前の言いたいことは分かったが、金庫を開けろ」とカイルに凄む。しかしカイルは「ロープと手錠を用意してないってことは、どうせ 殺す気だろ。嫌だ」と拒んだ。エライアスは銃をサラに押し付ける。カイルはサラから「金庫を開けて」と懇願されるが、「出来ないよ。 開ければ殺される」と返答した。
エライアスはサラに銃を構えて「こいつの顔を撃つぞ。それでもいいんだな」と脅すが、カイルは「取引しないか。妻だけでも逃がして くれたら、金庫を開ける」と必死で言う。エライアスは筋弛緩剤を注射を見せ、「これがロープと手錠の代わりだ」とカイルに告げる。 そしてタイを目で示し、「あのデカい奴は手下じゃない。俺は仕方なくやってるんだ。お前も女房も殺したくない。だが、あいつはそう じゃないぞ」と囁いた。
タイがタイムリミットの到来を告げ、サラを殺そうとする。ジョーナは「サラに手を出すな」と怒鳴り、タイに銃を向ける。エライアスは 「落ち着け、薬を飲むのを忘れてるだろ」とジョーナを制止する。苛立ったジョーナは、防犯システム設置工事を担当した時にサラから 優しくされたり微笑まれたりしたことを回想する。ジョーナは夫と電話で揉めて泣いているサラを見つけた、優しく話し掛けた。ジョーナ はペタルがサラのドレスを着て現れたので、「それを脱げ」と怒鳴った。サラはジョーナの正体に気付いていた。
エライアスはサラをキッチンに連れて行き、「サービスしろよ、弟のジョーナにしたみたいにな。あいつが弟だって気付いたんだろ。この 家に来たのはな、お前が弟を誘惑したからだ」と言う。そして彼は、金を奪うための協力を要求した。サラはエライアスに気付かれない ように、注射器を盗み取る。タイはカイルに、「無茶はしたくないが、必要ならするぜ。俺は借金の取立人だ」と話す。帰宅してこっそり 部屋に戻ろうとしたエイヴリーは、一味に捕まって両親の元へ連行された。
エライアスはカイルに「俺にも大事な家族がいる。俺の母親は酔っ払いの親父に毎晩のように殴られてた。そのせいで腎不全になった。 母親のために腎臓が必要だ。18万ドルが必要なんだ。貰うのは18万ドルでも腎臓でもいい。若い腎臓がな」と話す。「作り話だ」とカイル が言うと、彼は「嘘じゃねえ。なんで弟がナイフと精神安定剤を持ってると思う?。娘が可愛かったら、金庫を開けろ」と脅す。それでも カイルは「嫌だ」と頑なに拒絶した。
サラは隙を見てエライアスの首筋に注射器を突き付け、「娘を逃がして」と要求する。タイがショットガンを発砲してカイルを殴り付け、 エイヴリーを屋外へ走らせる。彼は「注射器を捨てて金庫を開ければ、娘は助かる」と言う。サラはカイルに「さっさと金庫を開けて。 家族が殺されるのよ」と声を荒げる。ようやくカイルが金庫を開けると、中身は空っぽだった。カイルは「金なんか無い。この家に全て 注ぎ込んだ。何もかも抵当に入ってる。人員整理でクビにされ、破産したんだ」と明かす。
タイはエイヴリーを追い掛けて捕まえる。エライアスはダイヤ関係の書類をカイルに見せ、「どこにあるか教えろ」と凄む。カイルは「私 のじゃない。仲介してただけだ」と話す。パテルは「どういうことよ、大金持ちって言ったじゃない」とジョーナを責める。エイヴリーは タイに連れ戻された。カイルが「腎臓が必要なら、俺のを持って行け」と言うと、エライアスは「俺の母親はな、とっくに飲みすぎで 死んだんだよ」と語る。タイに電話が入り、「まだ家だよ。必ず行く」と相手に告げる。
タイはカイルに、「あと1時間やる」とカイルに言う。ペタルは焦ってサラの宝石を集め出すが、エライアスが来て「何やってるんだ」と 制止する。ペタルが「タイはアンタを殺すよ」と怖がるので、エライアスは「俺は死なないよ」と落ち着かせようとする。ペタルは「ねえ 、どっかに逃げようよ」とエライアスに持ち掛けるが、そこへタイがやって来たて「逃がさないぞ」と告げる。カイルとエイヴリーは 後ろ手に縛られ、リビングで監視される。
ジョーナはサラをキッチンヘ移動させる。「殺されるのよ」と喚くサラに、ジョーナは「殺さないから、落ち着け」と告げる。カイルは エイヴリーに、右のポケットに入っているライターを取り出すよう頼む。サラはジョーナから「俺が君を守るよ。大丈夫だ」と言われ、 「娘を助けてくれたら何でもするわ。貴方はあの人たちとは違う」と話す。カイルが2階から戻ると、ジョーナは「彼女には絶対に手を 出すな。娘にもだ」と胸倉を掴む。エライアスはカイルとサラを並べて座らせ、銃を構える。エライアスが持って来たサラのネックレスを 見て、カイルは偽物だと明かす。
エライアスがニヤニヤしながらカイルに「お前の妻は俺の弟と寝たんだよ。だから、この家を選んだのさ」と告げると、サラは「嘘よ。私 を見て」と言う。別の部屋に移されていたエイヴリーは拘束用のビニールテープを切り、ペタルを突き飛ばして逃亡を図る。一味が追って いる間に、カイルもテープを切ってタイと格闘になる。サラは屋外へ飛び出す。防犯システムが作動し、警備会社の電話が鳴る。ジョーナ は「悪いけど、掛け直す」とオペレーターに告げて切る。
カイルはタイに捕まり、注射を打たれそうになる。しかし必死に抵抗すると注射器はタイの腕に刺さり、彼は気絶した。エイヴリーは ペタルに捕まり、カイルはエライアスに銃を向けられて連れ戻された。ジョーナは警備会社からの電話にエイヴリーを出させ、誤魔化す よう要求する。エイヴリーは「パーティーをやってて。両親に知られるとマズいの」と説明し、通報を取り消すよう頼んだ。
イライアスはカイルの脚を撃ち、「俺はヤクの売買をしていた。組織は俺の腕を見込んで、18万ドル分のブツを預けた。額が多すぎるとは 思ったが、やるしかないと腹を括った。だけど自動車を強盗に襲われ、ブツを奪われた。それで組織の監視役であるタイが同行して、強盗 をすることになった」と説明した。ペタルはカイルの持っていた写真に気付き、エライアスに見せる。それはサラとジョーナがキスをして いる写真だった。エライアスは「弟と奥さんの関係を知ってたのか」と小さく驚いた。
エライアスはカイルの傷口を激しく殴り付けた。サラが助けに入ろうとするので、エライアスは殴り倒す。怒ったジョーナをカイルは殴り 、2人は激しい言い争いになった。「使えない野郎だな。どうするつもりだよ。これ以上の最悪な状況があるか」と怒鳴るジョーナに、 エライアスは「あるさ。お前の目的が金以外だったら?そもそも、お前はなぜ来たんだ」と言い返す。エライアスはジョーナが精神安定剤 を飲んでいないことを指摘し、2人は睨み合いになった。
インターホンが鳴り、警備員のケリーがやった来た。エライアスは父親に成り済まして帰ってもらおうとするが、通報取り消しの場合は 手続きの署名が必要だと言われる。エライアスはエラはドアを開けて署名しようとするが、後ろから来たジョーナがケリーを射殺する。 ジョーナはケリーの無線を掴み、警備会社に「訪問完了、異常無し」と告げる。エライアスは「ゲームオーバーだ」と言い、カイルを始末 しようとした。エイヴリーが「御金なら用意できる。ジェイクっていう子が持ってる。金庫にあるのを見たの」と必死に訴え、エライアス はペタルを彼女と共にジェイクの屋敷へ向かわせることにした…。

監督はジョエル・シューマカー、脚本はカール・ガイダシェク、製作はアーウィン・ウィンクラー&デヴィッド・ウィンクラー&レネ・ ベッソン、共同製作はマシュー・F・レオネッティーJr.、製作協力はパー・サーリ、製作総指揮はアヴィ・ラーナー&ダニー・ディムボート&トレヴァー・ ショート&ボアズ・デヴィッドソン&ジョン・トンプソン、撮影はアンジェイ・バートコウィアク、編集はビル・パンコウ、 美術はネイサン・アマンドソン、衣装はジュディアナ・マコフスキー、音楽はデヴィッド・バックリー。
出演はニコラス・ケイジ、ニコール・キッドマン、ベン・メンデルソーン、カム・ジガンデイ、リアナ・リベラト、ジョルダーナ・ スパイロ、ダッシュ・ミホク、エミリー・ミード、ニコ・トルトレッラ、ブランドン・ベルナップ、テリー・ミラム、ティナ・パーカー、 デヴィッド・マルドナド、ニロ・オテロ、シモーナ・ウィリアムズ他。


『オペラ座の怪人』『ナンバー23』のジョエル・シューマカーが監督を務めた作品。
カイルをニコラス・ケイジ、サラをニコール・ キッドマン、エライアスをベン・メンデルソーン、ジョーナをカム・ジガンデイ、エイヴリーをリアナ・リベラト、ペタルをジョルダーナ ・スパイロ、タイをダッシュ・ミホク、ケンドラをエミリー・ミード、ジェイクをニコ・トルトレッラが演じている。

これが映画デビューとなるカール・ガイダシェクのシナリオは(TVドラマの脚本経験はある)、「どこかで見たことのあるような話」と 思わせる骨格で、肉付けの部分にも特に目新しいモノは無い。
かつてヒットした映画を参考にして、低予算で作った劣化版映画、という感じだ。
この映画の売りは「ニコラス・ケイジとニコール・キッドマンというオスカー俳優の初共演」らしいが、2人をオスカー俳優と して捉えると、「なぜこんな凡庸なB級映画に出ているのか?」と思ってしまう。
しかし、これはミレニアム・フィルムズの作った映画であり、そう考えると、「何かの劣化版っぽいB級映画」というのは納得 できる。
ミレニアム・フィルムズは元々、そういう映画を専門に作る会社だからだ。

俳優の話に戻ると、ニコラス・ケイジに関しては、浪費癖のせいで多額の借金を抱え、その返済のために映画出演しているという状況 だった。
だから、この映画に出演しているのも納得できる。
一方のニコール・キッドマンに関しては、2008年の『フォーブス』誌では「コストパフォーマンスの悪い俳優」の1位という不名誉なこと になったものの、自身が製作も担当した2010年の『ラビット・ホール』ではアカデミー主演女優賞やゴールデングローブ賞主演女優賞に ノミネートされており、まだ落ちぶれてはいないはず。
ただ、2002年のドキュメンタリー映画『デブラ・ウィンガーを探して』でサマンサ・マシスが「映画でやりたい役など年に1本で、しかも 端役。そこに30人の女優が群がる」と言っていたように、女優が年を取ると出演作が無くなっていくという状況があり、それがニコマン にも訪れているってことなのかな。

強盗団がミラー家に乗り込む時、エイヴリーだけは外出していて不在だ。しかし、そのことが後の展開に上手く繋がっていない。
例えば「外出先から電話を掛けたエイヴリーが異変を感じる」とか、「外にいるエイヴリーが強盗に気付いて何か行動する」とか、 「カイルがエイヴリーに知らせようとする」とか、何らかの形で絡めるのかと思ったら、エイヴリーは途中で帰宅し、あっさり 捕まるのだ。
エイヴリーが序盤に外出していたことは、後半に入って「彼女が強盗団に対し、ジェイクの金を奪うよう提案する」というところで関連を 持たせている。
ただ、それは上手い繋げ方とは到底言えない。せっかくエイヴリーだけが強盗の被害から免れているという状況があるのに、その状況を 活かしたサスペンスを作らないでどうするのかと。
だったら、一緒に捕まった方がスッキリするんじゃないかと。

カイルは金庫を開けるのを拒否する理由について、「出来ないよ。開ければ殺される」と述べている。
ただ、じゃあ金庫を開けなかったらどうなるのかっていうと、普通に考えれば、やっぱり殺されるよね。
っていうか、カイルが拒否するのなら、強盗団はサラを傷付けたりしてカイルを脅せばいいわけで。
そういうことが容易に想像できるだけに、ホントにカイルが「ダイヤと金を渡せば殺されるから」と考えて拒否しているようには 思えない。妻が銃を向けられても、強気で交渉を持ち掛けるってのが、どういうつもりなのかと思ってしまう。
ホントに「金庫を開けなきゃ絶対に2人とも殺されない」と思っているとすれば、すげえマヌケだ。

途中でカイルが仕方なく金庫を開けて、「空っぽでした。破産して金もダイヤも持っていませんでした」ということが分かる。
何となく「そういうことなんだろうなあ」というのは分かっていたけど、それ以上に問題なのは、彼が金庫を開けるのを拒否していたのは 、それがバレるのを嫌がっただけじゃねえのかってことだ。
つまり、ただ自分の嘘を知られたくないというだけで、妻を危険な目に遭わせたんじゃないのかと。
そう考えると、カイルって酷い奴でしょ。

終盤には、実はカイルには隠しておいた金があることが明らかになるが、妻子が殺されそうになっていにるにも関わらず、それでも金の ことを内緒にしていたってのは、「金の方が大事なのか」と言いたくなる。
「家族を守るために、冴えないオッサンが必死で何とかしようとする。悪党に立ち向かおうとする」という図式が全く見えないんだけど、 でもホントはそうじゃなきゃマズいんじゃないかと。
カイルに全く感情移入できない、応援したい気持ちにならないってのは、マズいんじゃないかと。

最初にタイは「15分で済ませろ」と言っているが、時間制限によるサスペンスは全く感じさせてくれない。
っていうか、いつの間にか時間が来ているし。
一味が迅速に仕事を進めようという意識も、あまり感じられない。
ペタルなんて、まるで関与せずに他の部屋で下着姿になってウロウロしてるだけだし。一味は急いで目的を果たさなきゃいけないはず なのに、すげえモタモタしてんだよな。
しかも、強盗開始から15分程度で、もう仲間割れしてしまう。そんな早い段階で一枚岩じゃないことを観客にバラして、悪党サイドの脆さ を露呈させてどうすんのかと。
カイルの巧みな戦略でボロが出たというならまだしも、勝手に争ってるんだから、シオシオのパーだよ。

15分のタイムリミットが過ぎると、なぜかエライアスがサラをキッチンに連れ出して、「私は死に値する女ですって言ってみろよ」と要求 したりする。
そんなにノンビリしている場合なのかよ。
そのマッタリしている時間は、何のためなんだよ。
エライアスは金を奪うのに協力するよう、別の部屋でサラを説得しているけど、もっと他に色々と手口はありそうなものだろ。
サラに手を出すとジョーナが錯乱して邪魔するから避けたいってことなら、とりあえずカイルの脚でも撃ってみろよ。言葉で脅している よりも、さらに脅しとしては強くなるでしょ。それでも金庫を開けるのを拒否したら、その時に初めて次の方法を考えろよ。

とにかく一味がすげえ甘いんだよな。もっと暴力的にやれただろうに、もっとカイルを追い込むことが出来ただろうにと、思って しまう。
エイヴリーが捕まったことで、そのチャンスは増える。サラを傷付けるとジョーナが錯乱しちゃうけど、エイヴリーなら傷付けてもOK でしょ。だったら、彼女の顔をナイフで切るとか、太腿を撃つとか、そういうことをやれば、カイルへの脅しになるでしょうに。
もしくは、相手は女なんだから、レイプするっていう手口だってあるだろう。
「酷いことを言う奴だな」と思われるかもしれんけど、こいつらは悪党なんだから、悪党として、それぐらいの非道なことをやらんで どうすんのかってことよ。
強盗団に悪党としての凄みや非情さ、卑劣さが全く無いってのも、サスペンスが盛り上がらない要因の一つだぞ。

ジョーナの正体があっさりとサラにバレているが、だったら覆面の意味って何なのかと。
もっと目の部分も隠れるような覆面で顔を隠せよ。あんな中途半端で目が出ているようなモノなら、隠さなくてもいいぐらいだ。
っていうか、そこは「普通にしていたらバレなかったのに、ちょっとした不注意でマスクがズレて」とか、「何かの弾みで目の部分が 破れて」とか、そういう予期せぬ事態で正体にサラが気付く、という形にしておけば良かったんじゃないのか。
なんで、単に強盗団がバカなだけってことにしてあるのか。

ミラー家は防犯システムに生体認証まで入れているという設定だが、そのシステムが全く物語に面白味を生んでいない。
それを敵が利用するとか、カイルたちがそのせいで追い込まれるとか、後半に入ってそれを利用して逆転していくとか、そういう感じで システムを利用したりは無い。
監視カメラも、その映像も、まるで効果的に使われない。
後半には警備員が訪問したり、ジョーナが射殺したりするが、それほどスリルを煽らない。そこにミラー家の面々は全く関与していない しなあ。

「実はカイルが破産してました」という以外にも、登場人物には色々と秘密が用意されており、「実はホニャララでした」と明かすところ で、展開の捻りや意外性を持たそうとしているのかもしれない。
ただ、それが残念なことに、安っぽさやバカバカしさに繋がっている。
特に、終盤まで引っ張っている「実はジョーナはサラに一方的に惚れ、彼女と恋仲という妄想に取り憑かれ、彼女目当てで計画を立てた」 という真相に関しては、見事なほどの脱力感を与えてくれる。
そもそも、悪党一味の方に秘密が多すぎるんだよ。
実はタイが監視役だとか、エライアスがヤクを奪われたから借金帳消しの意味で強盗に入ったとか、それがヤクの強奪が組織に仕組まれた ものだとか、それをジョーナが仕組んでいたとか、ジョーナの目当てが金ではなくサラだったとか。
そんなに悪党一味の部分で色んな真相を用意しておくぐらいなら、こいつらを主役に据えたクライム・サスペンスにでもすれば良かったん じゃないのかと思っちゃうぞ。

(観賞日:2012年11月12日)


第32回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低主演男優賞[ニコラス・ケイジ]
<*『ドライブ・アングリー3D』『デビルクエスト』『ブレイクアウト』の3作でのノミネート>
ノミネート:最低スクリーン・カップル賞[ニコラス・ケイジ&彼が2011年に出演した3本の映画で共演した誰か]

 

*ポンコツ映画愛護協会