『ポンペイ』:2014、アメリカ&ドイツ&カナダ

西暦62年、北ブリタニア。ある夜、ケルト人騎馬族の村がローマ人の一団による急襲を受けた。幼いマイロは、大勢の村人が殺される様子を目にした。指揮官のコルヴスは側近のプロクルスに、村人の皆殺しを命じた。両親を殺されたマイロは倒れ込んでいたため、死体だと思われて生き延びた。翌朝を待って村を抜け出したマイロは、森で奴隷商人に捕まった。17年後の西暦79年、マイロはロンディニウムの首都ブリタニアで奴隷剣闘士となっていた。彼の圧倒的な強さを見た奴隷商人のグラエコスは、興味を抱いた。
マイロを含む大勢の奴隷たちは、グラエコスの配下であるベラトールの指揮でポンペイに連行される。商人の娘であるカッシアと侍女のアリアドネを乗せた馬車が横を走る際、ぬかるみに足を取られた。そのせいで馬が倒れるのをを見たマイロは、「馬が苦しんでいる」とベルトールに告げて手錠を外すよう求めた。ベルトールは殴り付けるが、カッシアは彼に任せるよう告げた。馬をなだめたマイロは、脚を押さえて痛みを和らげるようカッシアに指示した。マイロは馬の首を捻って安楽死させ、隊列に戻った。カッシアはマイロに礼を述べ、馬車へと戻った。
故郷のポンペイへ1年ぶりに戻ったカッシアは、母のアウレリアと父のセヴェルスに再会した。カッシアは結婚相手を見つけるためにローマへ行っていたのだが、心を惹かれる男はいなかった。夜、彼女は愛馬のヴィレスに話し掛け、馬丁のフェリックスに世話を任せた。一方、食事を取っていたマイロは、剣闘で弟を殺されたトラキア人の男に襲われる。マイロは反撃するが、駆け付けたベラトールが激昂して制止した。そこへグラエコスが現れ、ベラトールの監督不行き届きを注意した。
フェリックスがヴィレスを川へ連れて行った時、ヴェスヴィオ火山の活動による影響で地割れが起きた。ヴィレスは逃げ出し、後を追ったフェリックスは地割れに飲み込まれた。翌朝、マイロを含む剣闘士たちは、闘技場へ連行された。絶対王者のアティカスは、明日の試合に勝てば自由の身を約束されている。翌日の相手をアティカスが募ると、マイロが名乗り出た。2人が練習として戦っていると、トラキア人がナイフでマイロを暗殺しようとする。それに気付いたアティカスは、トラキア人を蹴り飛ばしてマイロを救った。
元老院議員となったコルヴスがプロクルスを伴ってポンペイを訪れ、アウレリアとセヴェルスは挨拶に出向いた。セヴェロスはポンペイ再建計画で手を組む相手として、コルヴスを招待したのだ。ローマの現状を不安視していることを母に語ったカッシアは、ヴィレスが戻って来るのを目撃した。その夜、マイロはアティカスに、「奴らが自由にする約束を守ると思っているのか」と問い掛ける。アティカスは「俺は法を信じる」と言い、必ずマイロを倒すと宣言した。
宮殿の宴に出る婦人の観賞用奴隷として、マイロとアティカスはグラエコスに連行される。宮殿へ向かう途中、マイロはプロクルスを目撃した。セヴェルスはコルヴスに、新しく建設を予定している闘技場の模型を見せた。するとコルヴスは、ローマ皇帝は興味を持たないが自分が出資すると告げた。コルヴスは明日の剣闘が終わった後で契約を結ぶと約束し、カッシアを給仕役に呼ぶよう求めた。アリアドネはマイロを見つけ、カッシアに知らせた。
父に呼ばれたカッシアはバルコニーへ移動するが、給仕の相手がコルヴスだと知って動揺した。コルヴスはセヴェルスに、席を外すよう要求した。セヴェルスはアウレリアから「娘に付き添ってやらないと」と言われ、「バルコニーに10分いるだけだ」と告げた。カッシアはローマでコルヴスと会っていたが、彼を嫌ってポンペイに戻っていた。妻としてローマに戻るよう持ち掛けられたカッシアは、冷淡な態度で拒絶し、バルコニーを去った。
地震が起きたことにマイロが動揺すると、アティカスは山が原因だと教えた。ヴィレスば暴れるのを見たカッシアは、マイロを連れて来るようベラトールに命じた。マイロは一人で厩舎に入り、ヴィレスを落ち着かせた。カッシアが中に入ると、マイロは馬にまたがっていた。カッシアが「剣闘士になる前から馬に乗っていたの?」と訊くと、マイロは「俺の一族は騎馬族だった。家族はローマ人に殺された」と語った。カッシアは彼に、自分がローマ人とは違うことを告げた。
ベルトールの呼び掛ける声がしたので、カッシアはマイロに「馬から下りないと罰せられるわ」と忠告する。しかしマイロは馬に乗ったまま、カッシアに手を差し伸べた。マイロはカッシアを馬に乗せ、町を抜け出した。しかし追っ手が来ると、「俺が無理に連れ出したと言うんだ」とカッシアに告げて宮殿に戻った。コルヴスはマイロを処刑しようとするが、カッシアが助命を嘆願したので鞭打ち15回だけで済ませることにした。プロクルスはグラエコスに、明日の剣闘でマイロを最初に戦わせるよう命じた。
翌日、闘技場には多くの民衆が集まった。闘技場が地震で倒壊することを懸念したグラエコスは、剣闘の延期をセヴェルスに提案する。しかしセヴェルスは建物の安全性に自信を持っており、「責任は私が持つ」と予定通りの開催を決定した。グラエコスは町を出ることを決め、すぐに駕籠の用意をさせた。ベルトールは奴隷たちを闘技場に連行し、鎖で腕を繋いだ。マイロは自分たちを虐殺するつもりだと察知し、アティカスに伝えた。
槍と盾を持った大勢のローマ兵が闘技場に現れ、マイロたちを攻撃した。槍の攻撃を防いだマイロたちは、剣を抜いたローマ兵軍団と戦う。コルヴスはカッシアに結婚を要求し、拒否すれば両親を皇帝への反逆罪で処罰すると脅した。マイロとアティカスは勇猛に戦い、敵を全滅させた。マイロの挑発的行為に激怒したコルヴスは、プロクルスに命じて自身の部隊を差し向けた。民衆がマイロたちを応援する中、コルヴスは部隊に攻撃命令を出そうとする。しかしカッシアから厳しい口調で愚かしい行動を非難されると、不快感を抱きながらも部隊を引き上げさせた。
コルヴスはプロクルスに、カッシアを連れ出すよう命じた。その直後に激しい揺れが起きると、コルヴスは逃げようとする民衆に向かって「バルカンの御告げだ。マイロをポンペイの勝者とする」と宣言した。彼はプロクルスに、マイロと戦うよう命じた。カッシアは兵士たちによって屋敷へ連行され、納屋に監禁された。マイロはプロクルスと戦うが、劣勢に立たさせる。そんな中で再び激しい揺れが発生し、ついにヴェスヴィオ山が噴火した…。

監督はポール・W・S・アンダーソン、脚本はジャネット・スコット・バチェラー&リー・バチェラー&マイケル・ロバート・ジョンソン、製作はジェレミー・ボルト&ポール・W・S・アンダーソン&ロバート・クルツァー&ドン・カーモディー、製作総指揮はマーティン・モスコウィック&ピーター・シュレッセル&ジョン・ブラウン、撮影はグレン・マクファーソン、美術はポール・デナム・オースタベリー、編集はミシェル・コンロイ、衣装はウェンディー・パートリッジ、視覚効果監修はデニス・ベラルディー、音楽はクリントン・ショーター。
出演はキット・ハリントン、キャリー=アン・モス、エミリー・ブラウニング、キーファー・サザーランド、ジャレッド・ハリス、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ジェシカ・ルーカス、カリー・グレアム、サッシャ・ロイズ、ジョー・ピングー、マキシム・サヴァリア、ロン・ケネル、ダルマー・アブジード、レベッカ・イーディー、ディラン・ションビング、ジャン=フランソワ・ラシャペル、エマニュエル・カボンゴ、クリスティーナ・ニコル、ジャニーン・セリオールト、ジャン・フレネット、トム・ビショップJr.、マーク・ウィーラン他。


紀元79年8月24日に発生したヴェスヴィオ山の大噴火をモチーフにしている作品。
監督は“バイオハザード”シリーズのポール・W・S・アンダーソン。
脚本は『バットマン フォーエヴァー』のジャネット・スコット・バチェラー&リー・バチェラーと『シャーロック・ホームズ』のマイケル・ロバート・ジョンソン。
マイロをキット・ハリントン、アウレリアをキャリー=アン・モス、カッシアをエミリー・ブラウニング、コルヴスをキーファー・サザーランド、セヴェルスをジャレッド・ハリス、アティカスをアドウェール・アキノエ=アグバエ、アリアドネをジェシカ・ルーカス、ベラトールをカリー・グレアム、プロクルスサッシャ・ロイズが演じている。

序盤、マイロは骨折した馬を安楽死させ、カッシアから礼を言われる。
この出来事が「カッシアがマイロに惹かれるきっかけ」として用意されているんだけど、他に幾らでも方法はあるだろ。よりによって、そんな出来事をチョイスしたセンスは何なのかと。
そりゃあ苦しんでいる馬を安楽死させたマイロの行動は正しいし、それがベストの方法だってことをカッシアも理解しているよ。ただ、惚れるきっかけとして、それがベストだとは到底思えない。むしろ、ベストからは程遠いだろ。
そういう出来事を出会いのシーンで描くなら、逆に「マイロの行為を野蛮だと感じたカッシアだが、近い人間からベストの方法なのだと後から教えられ、マイロに対する印象が変わる」といった使い方をした方がいいんじゃないかと。

しかも、マイロのどういうトコにカッシアが惹かれたのかと思ったら、「あれほどの力があるなんて」と言っている。アリアドネから「凄い筋肉」と言われた彼女は「そういう意味じゃないの」と否定しているけど、「ムキムキの体と腕力に惚れた」としか思えないのよ。
その時点では「何となく気になる存在」というだけで、その後でカッシアがマイロに惚れていくためのドラマが用意されているのなら、まだ受け入れなくもない。しかしカッシアはアリアドネに呼ばれて宴の観賞用奴隷となっているマイロを見た時、もう完全にゾッコンラブな様子を見せているのだ。
いやいや、まだ一度しか会ってないでしょうに。
いわゆる一目惚れってことなのかもしれないけど、そういう形を取るのなら、やっぱり出会いのシーンで描く出来事は別の内容にすべきだわ。

地震が起きてヴィレスが逃げ出し、フェリックスが地割れに飲み込まれるシーンが描かれる。そこから翌朝になった時、まずマイロたちが闘技場で戦う様子を描くのは理解できる。
しかし、そこでアティカスがマイロを救う出来事が描かれた後、牢に戻された2人の会話シーンがある。次に町の空撮ショットが入り、コルヴスたちが来る様子が描かれる。だから、てっきり「次の日」になったのかと思っていたら、その夜のシーンで「明日が最後の戦いらしいな」とマイロがアティカスに言っている。
つまり、それは同じ日の出来事なのだ。
だけど、マイロとアティカスが牢に戻って話すシーンから空撮ショットへ繋ぐと、そこで「日が変わった」という印象になるのよ。そこは構成として上手くないわ。

マイロはヴィレスを落ち着かせた後、カッシアに「馬から下りないと罰せられるわ」と忠告されると手を差し伸べる。
どうやらマイロもカッシアに惚れたようだが、その直前に用意された会話の中で、どこに惚れるきっかけがあったのかサッパリだ。
あと、惚れたにしても、そこでカッシアを馬に乗せて脱走を図る心境は全く理解できない。どのタイミングで、何がきっかけで、「カッシアを連れて逃げよう」という決心になったのかと。そんなきっかけ、どこにも見当たらなかったぞ。
で、そのくせ町を出ると急にビビったのか、すぐに戻るのよね。だから、マイロが浅はかな思い付きだけで動くボンクラ野郎にしか見えないのよ。

そもそも、カッシアを連れ出した時点で、それがヤバいことってのは容易に想像できるでしょ。
だから連れ出した後で「俺と一緒にいる姿を見つかったら大変だ。君を戻さないと」とカッシアのことを心配する様子を見せても、「だったら、なぜ厩舎から連れ出したのか」と言いたくなる。
あと、カッシアを連れて逃亡を図ったってことになると、戻れば処刑されても文句は言えないわけで。
だから、カッシアを連れ帰るのは「男らしい行動」じゃなくて、ただの阿呆でしかないのよ。そんでマイロを助けてもらうためにカッシアはコルヴスに貸しを作ることになるわけだから、どっちにしろマイロは彼女に迷惑を掛けているのよ。

コルヴスがローマ兵軍団を差し向けてマイロやアティカスたちを殺そうとするのも、挑発に激昂して部隊を送り込むのも理解できる。
だが、カッシアの説教を受けた彼が部隊を引き上げさせた後、プロクルスに一騎打ちを命じるのは不自然極まりない。なんでコルヴスの方から、マイロが復讐を果たせる場を提供しているのかと。御都合主義にも程があるだろ。
しかも、それならそれで戦いによって決着が付くのかというと、噴火が起きちゃうし。
で、「噴火で戦いが決着しないまま終わるのなら、その強引すぎるタイマンへの流れは無意味だろ」と思っていたら、マイロは地割れにプロクルスを連れて飛び込み、地下で戦いを続行するんだよね。
いやいや、もはや復讐がどうとか、戦いがどうとか、そんなことを言っている場合じゃねえだろ。噴火が始まったんだから、一刻も早く逃げ出さなきゃダメだろ。
おまけに、せめて復讐を果たすのかと思いきや、あっさりと逃げられてるし。

公開前に明かされた情報から、この映画がヴェスヴィオ山の大噴火をモチーフにしていることは多くの人間が知っている。ってことは、クライマックスに大噴火が用意されていることも、普通に考えれば予想が付く。
つまり大半の観客は、「この物語は大噴火に向けて進行している」ってことを冒頭から意識した状態で鑑賞することになる。
前半から地震や地割れのシーンは描かれているし、ヴェスヴィオ山にも言及している。だから、伏線が全く無いわけではない。
しかし、それでも大噴火の展開へ突入した時に、そこへ向けての流れが上手く作られていたかと考えると、成功しているとは到底言い難いのである。

なぜ大噴火に向けた流れが構築できていないのかというと、答えは簡単で、そこまでに描かれるのが、ほぼ「マイロとカッシアの恋愛劇」に限定されているからだ。
たまに噴火の予兆が提示されるが、それと本筋は全く関連性が無い。仮に「ヴェスヴィオ山の大噴火」という要素をバッサリと削ぎ落としても、基本的には成立してしまう内容なのだ。
もっと言っちゃうと、実は時代設定や舞台設定さえも、あまり重要ではない。
なぜなら、史劇として構築しようという意識は皆無に等しいからだ。

この映画についてポール・W・S・アンダーソンは、「子供の頃から描きたかった」とコメントしている。
たぶん彼が描きたかったのは、ヴェスヴィオ山の大噴火だけなんだろう。
しかし、それは自然災害なので、ドラマは無い。
架空の災害であれば、「被害を食い止めるために奔走する主人公」といったドラマを描くことも出来るだろうが、ポンペイが火砕流に飲み込まれたことは史実として残っている。
とは言え、ポール・W・S・アンダーソンだったら史実を改変することも平気でやりそうだが、そこは遠慮したようだ。

ただ単にド派手なVFXを使ってヴェスヴィオ山の大噴火を描くだけでは、映画にならない。
そこに向けての物語というのが、映画には必要だ。
そこで、「ポンペイが火砕流に飲み込まれた」という史実をいじらない上でポール・W・S・アンダーソンがどうしたかと言うと、「まるで無関係な恋愛劇をくっ付ける」という作業だった。
主人公もヒロインも、ほとんど噴火を懸念することは無く、それに備えた行動を取るわけでもなく、そんなことより目の前の恋愛だけに集中するのだ。

ただし、じゃあ本作品の登場人物は絶対に「噴火を不安視し、それに備えようとする」という行動を取らなきゃいけないのかというと、そうではない。ある程度は火山のことを意識しつつも、自分の生活に向き合っているのは構わない。
むしろ問題は、「1人の主人公」を設定し、その男とヒロインの恋愛劇に絞り込んだことにある。
それによって本作品は、「ポンペイ」の物語ではなくなってしまった。
火山の噴火に向けた流れを感じさせるためには、「ポンペイ」という町を主役にしておくべきだったのだ。
そうすれば、「主役が噴火によって滅びる」という悲劇として、腑に落ちる着地になった可能性が高い。

ポンペイを主役にするために必要な作業は、これを「群集のドラマ」として構築することだ。
マイロとカッシアの恋愛劇だけに絞り込まず、大勢の人々が暮らす群像劇として描けば良かったのだ。そして、噴火が起きた時に、そういった大勢の人々の行動を描けばいい。
当然のことながら噴火の犠牲になることは濃厚だが(まあ場合によっては奪取に成功したケースを入れてもいいだろうし)、噴火を受けての行動でも、群衆のドラマを描くことは出来るわけで。
そして、それが「ポンペイの物語」としての印象を与えることになるはずだ。

マイロとカッシアの恋愛劇としてストーリーは進行し、そしてクライマックスには噴火や町の崩壊が待ち受けている。
そこで感じるのは、「それってある意味ではデウス・エクス・マキナだよね」ってことだ。
マイロとカッシアの身分違いの恋愛だけでなく、コルヴスの政治的野望、コルヴスのカッシアに対する固執、商売と家族の狭間に立つセヴェルス、コルヴスに対するマイロの復讐など、色んな問題を解決に導く必要がある。
だが、そのための手順を丁寧に描かず、噴火で全てを片付けているという印象を受けるんだよな。

「面倒なことは噴火で片付ける」ってのは、登場人物の処理にも言えることで。
アウレリアは生かしておいても使いこなせないので、闘技場の倒壊シーンで始末する。
アドリアネはカッシアと一緒に監禁されているが、マイロが馬で助けに来ても1人しか乗せられないので、地震による建物の倒壊に乗じて始末する。
セヴェルスは「妻に頼まれてコルヴスを殺そうとするが返り討ち」という形なので噴火が直接の原因ではないが、まあ都合良く始末されるってことは一緒だ。

ただしセヴェルスに関しては、むしろ「なぜ噴火や地震の影響で死ぬ形を取らないのか」と言いたくなる。
クライマックスに噴火が発生すると、地震や建物の倒壊などで大勢の人々が犠牲になる。しかし、その多くは「名も無きエキストラ」に過ぎない。
もちろん、それはそれで悲劇ではあるのだが、やはり劇中で主要人物として動かされていたキャラが犠牲になるのとは、悲劇としての力が圧倒的に異なるわけで。
だから繰り返しになるけど、「群衆のドラマ」として描くべきってことなのよ。

マイロたちは町から逃げようとするが、港が崩壊したので闘技場へ戻って馬を使おうとする。
しかしコルヴスがカッシアを捕まえて連行し、プロクルスを差し向ける。
するとアティカスが相手を引き受け、マイロにはカッシアを追い掛けさせる。
いやいや、マイロは闘技場が倒壊しても戦いに固執するぐらい、プロクルスへの強い復讐心を抱いていたんじゃねえのかよ。
それなのに、その復讐劇を完遂させず、アティカスに担当させちゃうのかよ。

ただ、それによって復讐のカタルシスは無視されているけど、そもそも「そんなことをやってる場合じゃねえし」と言いたくなるのよね。
噴火が発生し、一刻も早く町から逃げ出さなきゃいけない状況の中で、そんな中で復讐劇とか女を巡る争いとかを描かれても、「そんなことより、とりあえず町を脱出しろよ」と言いたくなってしまう。
噴火が始まっても、それを単なる背景にして本筋を進めるってのは、どうにも違和感が強いわ。
で、最後はマイロとカッシアが逃げ切れずにキスをして、その形のまま石像化している様子が写し出される。
そこで悲劇性を強調して勘当させようとしているのかもしれないけど、なんかバカっぽいぞ。

(観賞日:2015年12月28日)


第35回ゴールデン・ラズベリー賞(2014年)

ノミネート:最低助演男優賞[キーファー・サザーランド]

 

*ポンコツ映画愛護協会