『ポルターガイスト3 少女の霊に捧ぐ…』:1988、アメリカ

少女キャロル・アンは、クエスタ・ヴェルデで19世紀の狂信者ケインの悪霊に襲われ、フェニックスでも再び狙われた。母ダイアンは、彼女をシカゴに住む妹パトリシア・ガードナーの家族に預けた。パトリシアは夫ブルース、その連れ子ドナの3人家族だ。
シートン博士は、かつてキャロル・アンの周囲で起きたポルターガイスト現象を信じていなかった。彼は全て、キャロル・アンによる集団催眠だと考えていた。シートンはキャロル・アンから話を聞くが、その途中でマジック・ミラーの中にケインの腕が現れ、マグカップを投げて鏡を破壊する。だが、シートンは、それも集団催眠だと考えた。
キャロル・アンがガードナー家の3人と暮らしているマンションにも、ケインが現れた。他の3人が留守にしている間に、鏡の中からキャロル・アンに襲い掛かったのだ。キャロル・アンは、鏡を割って部屋を飛び出した。だが、駐車場で水たまりに引きずり込まれ、救出に来たドナと恋人スコットも道連れとなって姿を消してしまう。
3人が姿を消したことを知ったブルースの前に、凍ったプールの中からスコットが現れ、キャロル・アンとドナが捕まったと告げる。やがてブルースとパトリシアの前にタンジーナが現れ、キャロル・アンとドナを助けようとする。タンジーナの死と引き換えに、ドナだけは鏡の中から戻って来た。だが、そのドナは偽者だった…。

監督はゲイリー・シャーマン、脚本はゲイリー・シャーマン&ブライアン・タガート、製作はバリー・ベルナルディ、製作総指揮はゲイリー・シャーマン、撮影はアレックス・ネポンニアシー、編集はロス・アルバート、美術はポール・イーズ、音楽はジョー・レンゼッティ。
出演はトム・スケリット、ナンシー・アレン、ヘザー・オルーク、ゼルダ・ルビンスタイン、ララ・フリン・ボイル、リチャード・ファイア、キップ・ウェンツ、ネイサン・デイヴィス、ロジャー・メイ、ポール・グラハム、メグ・ウェルドン、ステイシー・ギルクリスト、ジョーイ・ガーフィールド、クリス・マーフィー、ロイ・ハイタワー、メグ・タルケン、ディーン・トクノ、キャサリン・ガッツ、、パティー・ロンバード他。


シリーズ第3弾。ブルースをトム・スケリット、パトリシアをナンシー・アレン、キャロル・アンをヘザー・オルーク、タンジーナをゼルダ・ルビンスタイン、ドナをララ・フリン・ボイルが演じている。ララ・フリン・ボイルは、これが映画デヴュー作。
有名な話だが、この映画の撮影終了後、ヘザー・オルークは若くして亡くなっている。で、それを受けて、この邦題のサブタイトルになっているわけだ。ヘザー・オルークの死への便乗商法ってのが丸出しなわけで、あまり趣味がよろしくない。

ケイン役を演じる俳優が第2作と違うのは、前作でケインを演じたジュリアン・ベックが前作公開前に死んでいるからだが、それでもケインというキャラにこだわる必要があったのかな。あと、ちなみに、前作で主要キャラクターの1人テイラーを演じたウィル・サンプソンも、1987年に亡くなっている。
ホント、たくさん死んでるのよね。
セールスポイントを挙げるのは難しいが、あえて言うなら、『エクソシスト』でリンダ・ブレアのメイクを担当し、アマデウス』でアカデミー賞最優秀メイクアップ賞を受賞しているディック・スミスが特殊メイクアップを務めていることがセールスポイントだろうか。

「何か起きそうな予感を少しずつ漂わせ、それが次第に大きくなっていく」というジワジワとした盛り上げ方はしていない。いきなり序盤から、エレベーターが止まっただけで恐怖を無闇に煽る音楽を流したりしている。最初はサラッと描いときゃいいのに。マジック・ミラーがケインによって壊されるまでは、怖がらせなくていいと思うけどね。
スモークを使ったり、特殊視覚効果を多用したりして、ビジュアルで勝負に出ているようだ。だけど、安いお化け屋敷って感じ。まあ、ハッキリ言って、怖さは全く無い。急に後ろから現れて驚かせるというような、ショッカー的な恐怖も無いし。

前作までは、キャロル・アンと彼女を助けようとする両親に「家族の絆」というキーポイントがあったわけだが(それが表現されていたかどうかは別にして)、今回はそれが無い。
だからなのか、ドナも巻き込んでいるんだけど、ちょっとズレちゃってるしな。
というか、キャロル・アンは両親から敬遠されたわけだから、そこに家族愛なんて無いしさ。タンジーナが「愛情と子供を思う絆が大切」とか言ってるけど、ブルースとパトリシアにとってキャロル・アンは押し付けられた子供だし、そんなに愛情なんて無いでしょ。
実際、パトリシアは途中で、「キャロル・アンなんて、どうでもいい」とか言い出してるし。
最後は助けようとするけど、無理があるよな。
で、キャロル・アンと血の繋がっているパトリシアより、血の繋がっていないブルースの方が必死で彼女を助けようとしているのね。
血の繋がりよりも、子供を思う気持ちの方が大切だとでも言いたいのかしらん。


第9回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低助演女優賞[ゼルダ・ルビンスタイン]

 

*ポンコツ映画愛護協会