『ナンバー23』:2007、アメリカ&ドイツ

2月3日。動物管理局の野犬捕獲員をしているウォルター・スパロウは、誕生日を迎えた。放し飼いの猛犬を捕まえようとした彼は、腕を 噛まれて逃げられた。麻酔銃を手にして後を追うと、犬の首には「ネッド」というネームプレートがあった。犬は墓地に入り、ローラ・ トーリンズという女性の墓石前に佇んだ。ウォルターは銃を構えるが、ネッドは逃げてしまった。一方、ケーキ店を営むウォルターの妻 アガサは、仕事を終えて古書店に立ち寄った。店に入った彼女は、赤表紙の本に目を留めた。
ウォルターが待ち合わせの時間に遅れて古書店へ行くと、アガサは本を立ち読みしていた。彼女は「私はざっと目を通したの。貴方、 読んでみたら」と、その本をウォルターに勧める。その本は『ナンバー23』という題名で、表紙には「妄想小説」とある。作者の名前は トプシー・クレッツだ。ウォルターは「読まなくても生きて行けるだろ」と興味を示さなかったが、アガサは「買ってあげるから、読んで あげてね」と告げた。ウォルターとアガサは、友人である大学教授アイザックのホーム・パーティーに出席した。
帰宅したウォルターは、軽い気持ちで『ナンバー23』を開いてみた。冒頭には「この本に登場人物は全て架空の存在であり、もしも貴方 に誰か思い当たる人がいた場合、読んではならない」というメッセージが書かれていた。ウォルターが読み進めると、第1章で主人公の フィンガリングが自分のことを語り出した。フィンガリングは本名ではなく、彼が初めて手に取った本から取った仮名だった。
2月4日。ウォルターは精神分析医アリス・モーティマーと会った。管理局の決まりで、動物に危害を加えられた職員は心理的な影響を 確認するため、カウンセリングを受けねばならないのだ。ウォルターは「僕がヘマをした。犬のせいにする気は無いよ」と笑って言う。 アリスは「精神的に問題は無いわ」と言い、カウンセリングは短時間で終わった。家に戻ったウォルターは、本の第2章を読んだ。そこ ではフィンガリングの生い立ちが語られていた。彼の父は会計士で、息子も同じ仕事をすることを望んだ。しかしフィンガリングは探偵に なりたいと思っていた。
フィンガリングが探偵になりたいと思ったのは、8歳の誕生日に起きた出来事がきっかけだった。その日、彼は隣の家に侵入し、寝室で ドブキンス夫人が死んでいるのを発見した。医者は自殺と断定したが、フィンガリングは信じなかった。本を読んだウォルターは、その 内容が自分の人生に酷似していることに驚く。彼の8歳の誕生日に、母が死んでいた。しかしアガサは「たまたま似ているだけでしょ。 続きを読んで。すぐにフィンガリングと別人だって分かるわ」と軽く言う。ウォルターは本の続きに目を通した。成長したフィンガリング は、ファブリツィアという女と付き合い始めた。
2月5日。ウォルターは第5章を読んだ。フィンガリングは、自殺したがっているブロンド女と出会った。彼は「今日は誕生日なんだ」と 言い、ブロンド女には自殺を思い留まらせた。彼女は「昔は善良だったけど、今はろくでもない女よ。関わらない方がいい。昔の男に 聞けば分かるわ」と語る。それから感情的になり、「この忌々しい数字が悪いのよ。23が私を支配してる。パパは自分が片を付けると 言って自殺したけど、間違ってた。パパが死んでも呪いは消えなかった。私への愛が足りなかったの」と述べた。
ブロンド女は「日付、時間、車のナンバープレート、本のページ、エレベーターの階数表示、私の名前にもあった。どこにも23がある。 安全なんて無い。私、ピンクが好きなの。ピンクはどんな色?レッドは27、ホワイトは65、足して92。ピンクはアルファベッドで4文字、 92を4で割ると23よ」と早口で話した。しかしフィンガリングには、彼女の言っていることがまるで理解できなかった。彼が部屋を出た 直後、ブロンド女は窓から飛び降りて死んだ。
その翌日、フィンガリングはブロンド女が口にした昔の恋人の行方を追う。すると、その男は何者かに殺されていた。フィンガリングが ブロンド女のことをファブリツィアに話すと、彼女は「その部屋に行きたい」と言った。ブロンド女の本名を知ったフィンガリングは、 そのアルファベットを数字に置き換えて足してみた。その合計は23になったが、それでもフィンガリングは偶然だろうと考えた。
ウォルターは古書店へ行き、店長に『ナンバー23』のことを尋ねる。店長によると、自費出版した個人の本であり、著者の名前も聞いた ことが無いという。データを検索しても、トップシー・クレッツの著書は『ナンバー23』しか出版されていない。ウォルターはアガサと 息子のロビンに、「驚くべきことが分かった」と言う。ウォルターにミドルネームを入れ、アルファベットを数字に置き換えて足すと合計 が23になるのだという。
さらにウォルターは、誕生日は2月3日であり、免許証や社会保障番号にも23の数字が隠れていたことを語る。ウォルターの産まれた時間 は11時12分で、11と12を足すと23だ。彼が「この本は僕の人生を描いてる」と言うと、アガサは「最後まで読んだ?貴方は細かいところ ばかり見てる。それにフィンガリングは人を殺すのよ。貴方は何人殺したの?」と笑う。するとウォルターは、彼女が塗った壁の色に ついて指摘する。使ったペンキの色はレッドの5番。レッドは27で、5を足すと32。23の逆数だ。
アガサは「そんなのこじつけよ」と言うが、ウォルターは「君と出会ったのは23歳の9月14日で、9と14を足すと23。結婚式は10月13日で 、10と13で23だ」と告げる。するとロビンが「まだあるよ。この家の番地は1814で、上2桁を足すと9。それに下2桁を足すと23になる。 下2桁を足すと5で、それに上2桁を足すと23だ」と語る。ウォルターは「上2桁と下2桁を足すと32、23の逆数だ」と言う。
本の第7章で、フィンガリングは23に取り憑かれていた。ふと時計を見ると9時14分で、9と14を足すと23だ。彼はファブリツィアを殺 す悪夢を見るようになった。夜中に目を覚ましたウォルターがアガサの持っている靴を数えると、23足だった。2月6日。ウォルターも 23に取り憑かれていた。ソファーで眠っている彼の腕に合計23となる計算式を見つけたアガサは、アイザックに電話を掛けた。
ウォルターの訪問を受けたアイザックは、「陰謀説のマニアなら、こう言うだろう。地球の地軸の傾きは23度。実際は23.5度と指摘しても 、2と3を足せば5だと。23というのは、妄想に適した数字なんだ」と語り、文献がたくさんあることを教える。彼はウォルターに、計算 の答えが23となる様々な事象を教えた。ウォルターが「23とは何だ。まさか神か」と訊くと、彼は「23を不吉な数字にしておきたい一派が いることは確かだが、まるで科学的ではない。最後まで読め」と軽く言う。
ウォルターは本を読み進めた。フィンガリングは、さらに多くの23を周囲で見るようになった。彼は毎晩、夢の中でファブリツィアを殺害 した。彼は精神分析医のマイルズ・フェニックスに、ブロンド女のことを話す。マイルズは休みを取るよう勧め、「私がファブリツィアと 話そうか」と口にした。ファブリツィアの靴が23足だったので、フィンガリングは1足を捨てた。ファブリツィアが「イカれてる」と腹を 立てるので、フィンガリングは「広島への原爆投下は8時15分、8と15を足して23になる。連邦ビル爆破事件は4月19日で4と19を足して 23だ」などと、次々に23にまつわる出来事を語る。だが、ファブリツィアは呆れるだけだった。
フィンガリングはマイルズがファブリツィアと浮気している現場を目撃し、彼をビルの窓から突き落として殺害した。小説には「ネクタイ の色が彼の正体を伝えていたのに」と書かれており、それを読んだウォルターは、アイザックのネクタイがピンクだったこと、彼が「私が アガサと話そうか」と言っていたことを思い起こす。ウォルターは、アガサの店で彼女がアイザックと話しているのを目撃した。
第21章を読んだウォルターは、アガサを殺す悪夢を見た。頭を冷やすために夜の街へ出た彼は、なぜかキング・エドワード・ホテルに辿り 着く。23号室に宿泊した彼は、第22章を読む。フィンガリングはファブリツィアを殺したが、部屋に来た別の男が犯人として捕まった。 そして小説は22章で終わっていた。ウォルターは窓の外にネッドを見つけ、「全てお前のせいだ」と追い掛ける。ローラの墓石の前に佇む ネッドを、ウォルターは麻酔銃で眠らせた。ネッドの名前を数字に置き換えて足すと、やはり23だった。
神父のセバスチャンがウォルターの元へ来て、ネッドは庭師が飼っている犬だと告げる。拾った犬なので、名前の由来は分からないという 。墓石を良く見たウォルターは、ローラは23歳の誕生日に死んでいることに気付いた。彼が驚いていると、セバスチャンは「違うかも 知れない。遺体は見つかっていないんだ」と言う。ウォルターが図書館に立ち寄って帰宅すると、アイザックがいた。彼が去ろうとすると 、ウォルターは「見せたいものがある」と告げ、アガサとロビンも集めた。
ウォルターはローラの記事を3人に見せた。彼女は大学生の時に殺されたが、遺体は見つかっていない。犯人はカイル・フレンチという男 で、ローラの心理学教授だ。凶器のナイフに指紋が付着していたため、彼は逮捕された。15年前のことだ。ウォルターは「この2人の関係 が、本の内容とそっくりだ。カイル・フレンチがトップシー・クレッツだ。この本で罪を告白しているんだ」と3人に語った。
2月8日、ウォルターは刑務所へ行き、カイルと面会した。「お前がトップシー・クレッツだろ。23のせいでローラを殺したのか。何が あったのか教えてくれ」とウォルターが追及すると、カイルは「私は殺していない。ローラを愛していた。私は無実の罪を着せられて服役 している。それに私は数字の本など書いていない」と述べた。彼の名前を足すと23ではなく17だったため、ウォルターは車で待っていた アガサとロビンに「彼は無実だ」と告げた。
ロビンはウォルターに、「真犯人を探すなら、いい方法があるよ」と言う。彼は私書箱の番号が本に隠されていたことに気付いたのだ。 ウォルターたちが私書箱を張り込むと、一人の男が現れた。ウォルターが「もうゲームは終わりだ」と告げて本を見せると、男は「お前 さえいなければ」とナイフを振り回してから逃げ出そうとする。ウォルターが取り押さえて「23とは何だ」と問い詰めると、その男は 「分かっているだろう」と告げ、ナイフで自分の首を掻き切った。
ウォルターが狼狽していると、アガサは「貴方はロビンを連れて家に帰って。私はこの人を病院へ連れて行く。後は任せて」と告げた。 ウォルターとロビンが去った後、男はアガサに「絶対に逃れられない。この施設に行けばわかる」と腕に書いた番地を見せて死亡した。 ポケットの身分証に気付いたアガサは、彼がナサニエル精神医療施設のサイラス・リアリーという医師であることを知った。
アガサは家に電話を入れ、ウォルターに「何も分からなかったわ」と嘘をついた。彼女は閉鎖されている医療施設に侵入し、サイラスの 部屋に辿り着いた。中を調べると、壁には23の文字が無数に書き殴られていた。さらに彼女は、ウォルターの名が記された箱を発見した。 一方、ウォルターは本の23ページごとに23個目の単語を繋ぎ合わせると「カサノヴァ、公園、池、下を掘れ。天国への階段。警告する、 地獄が待っている、スパロウ」となることに気付き、それをロビンに教えた。
ウォルターとロビンはカサノヴァ公園へ行き、23段目を掘った。頭蓋骨が見つかったので、2人は急いで公園を出た。公衆電話を見つけた 2人は警察に連絡を入れる。しかし警官と共に公園へ戻ると、頭蓋骨は消えていた。アガサがマイルズの車に乗せてもらい、公園へ来た。 ウォルターが家族を車に乗せて帰宅しようとすると、ネッドが道の真ん中にいた。ウォルターは「邪悪な犬だ、殺してやる」と睨み付け、 スピードを上げた。アガサとロビンが制止したので、ウォルターはブレーキを掛けて急停止した。その時、彼はアガサの爪が土で汚れて いることに気付いた…。

監督はジョエル・シューマカー、脚本はファーンリー・フィリップス、製作はボー・フリン&トリップ・ヴィンソン、共同製作は ファーンリー・フィリップス、製作協力はリンダ・フィールズ・ヒル、製作総指揮はマイク・ドレイク&トビー・エメリッヒ&リチャード ・ブレナー&キース・ゴールドバーグ&ブルックリン・ウィーヴァー&イーライ・リッチバーグ、撮影はマシュー・リバティーク、編集は マーク・スティーヴンス、美術はアンドリュー・ロウズ、衣装はダニエル・オーランディー、音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 。
主演はジム・キャリー、共演はヴァージニア・マドセン、ローガン・ラーマン、ダニー・ヒューストン、ローナ・ミトラ、リン・コリンズ 、マーク・ペレグリーノ、パトリシア・ベルチャー、エド・ローター、 ミシェル・アーサー、ポール・ブッチャー、デヴィッド・スティフェル、コリー・ストール、トロイ・コッツァー、ウォルター・ソー・ ホー、ルドルフ・ウィルリッチ、ジョン・フィンク、ジュリー・レマラ、タラ・カーシアン、ケリー・ホイト、ジェニファー・リー・ グラフトン他。


『フォーン・ブース』『オペラ座の怪人』のジョエル・シューマカーが監督を務めた作品。
ウォルター&フィンガリングをジム・キャリー、アガサ&ファブリツィアをヴァージニア・マドセン、ロビンをローガン・ラーマン、アイザック&マイルズをダニー・ヒューストン、 ローラをローナ・ミトラ、ブロンド女&ドブキンス夫人&フィンガリングの母をリン・コリンズ、カイルをマーク・ペレグリーノ、アリス をパトリシア・ベルチャー、セバスチャンをエド・ローターが演じている。

ウォルターは本を読み始めてすぐに、23という数字に取り憑かれるわけではない。最初は、フィンガリングと自分の生い立ちが酷似して いることに気付く。
ただ、事前にウォルターの生い立ちが提示されていないので、彼が驚いても、そこに観客が感情をリンクさせることは難しい。
完全に後出しジャンケンだからね。
なので、序盤で観客を引き付けることには失敗していると言わざるを得ない。
幼い頃からのウォルター生い立ちを全て、先に説明しておくのは不自然だし、かなり難しいことだ。
ただ、全てじゃなくても、2つか3つ程度、ウォルターの生い立ちに関する情報を提示しておけば、それでいい。そこで小説に書かれて いる内容との合致についてのネタ振りをしておけば、それ以外の部分での合致に関しても、「それらと同じ様に一致したんだな」という風 に、受け入れやすくなるはずだ。

さて、本を読み進めていく内に、ウォルターはフィンガリングのように23という数字に取り憑かれていくのだが、その内容にはバカバカしさ しか感じない。
「ウォルターの名前にミドルネームを入れて、アルファベッドを数字に置き換えて足すと23」「アガサが塗った壁の色は レッドの5番で、レッドは27。5を足すと32で23の逆数」「出会ったのは23歳の9月14日で、9と14を足すと23。結婚式は10月13日で 、10と13で23」「家の番地は1814で、上2桁を足すと9。それに下2桁を足すと23になる。下2桁を足すと5で、上2桁を足すと23」 「上2桁と下2桁を足すと32、23の逆数だ」とか、もう「何でもアリ」な状態だ。
ウォルターやフィンガリングが挙げる「計算すると23」という様々なモノに対しては、「こじつけのオンパレードだな」とツッコミを 入れたくなると言うより、ツッコミを入れる気分にもならないほど呆れてしまう。
しかし、もっと呆れることが、その後に待ち受けている。
「こじつけのオンパレードだな」という感想を抱いていたら、「その感想は正しい」というオチが待ち受けているのである。

批評に必要なので完全ネタバレを書いてしまうが、本の著者はウォルター自身だ。
母が死んで父が自殺した時、彼は23に取り憑かれた。大学でローラと出会って、23は消えた。しかしローラとカイルの関係に嫉妬した彼は、23の呪いが蘇ったと思い込んだ。
彼はローラに「危険が迫ってる、早く逃げるんだ」と言うが、「アンタなんて愛してない」と冷たく言われた。ナイフで切り付けられた彼 は、激昂してローラを殺害した。
ウォルターがローラの遺体を公園に埋めた後、部屋に来たカイルが誤認逮捕された。キング・エドワード・ホテルに宿泊したウォルターは 小説を執筆した後、飛び降りて脳を損傷し、記憶喪失になった。
医者のサイラスは、小説を単なる妄想と考えた。彼はナサニエルに説明し、小説の原稿を預かった。ナサニエルの施設を退院した ウォルターは、アガサと出会った。
サイラスは勝手に仮名を使って小説を出版し、それをアガサは古書店で見つけた。
そういう経緯である。

つまり、「全てが23になる」というのは、全てウォルターの思い込みに過ぎないのだ。
「全てはキチガイの妄想でした。23という数字には何の意味もありませんでした」というオチなのだ。
なんだよ、そのオチは。
いや、そりゃあ、最終的にオカルトとして着地したところで、「こじつけだろ」というマイナスの印象が変わることは無いよ。ただ、 ホントにこじつけだったというオチを用意したことで、ますます評価が下がっていることは確かだ。

「実は全て妄想でした」というオチを効果的に機能させるためには、その妄想が「本当に何かオカルト的なモノがあるのでは」と観客が 引き込まれる程度の説得力を持たせておく必要があるはずだ。
オチを明かす前に、バカバカしさしか伝わって来ないような無理のあるこじつけが連発されると、そのオチは単にガッカリ度数をアップ させるだけだ。
脚本家は「著者はウォルター本人でした」という部分のサプライズを狙っていたのかもしれないが、23の数字に関する脱力感が強すぎて、 そっちのサプライズは打ち消されている。
っていうか、そんなにサプライズは感じないし。

それと、オチが明かされた時に、「そうなると、アガサとアイザックの行動は変だろ」と強く感じる。
なぜアガサは、その本をウォルターに読ませたのか、理解に苦しむ。それを読んだら彼がおかしくなっちゃうのは予想できる だろうに。
それでウォルターが再び23の妄想に取り憑かれてしまうのも困るし、記憶を取り戻して「自分が殺人犯だった」という事実に気付くのも 困るでしょ。
アガサが今の生活を壊したくないと思っているのなら、その本を見つけたら、無視するか、処分してしまうべきじゃないのか。
っていうか、記憶喪失の夫が妄想キチガイの殺人犯だと分かった時に、それでも彼を庇おう、守ろうと、すぐに思えるものなのかな。

物語の内容を考えると、ジム・キャリーは明らかにミスキャストだ。
最終的に「実は全てウォルターの妄想でした」というオチに着地するのだから、それが明かされるまでは、観客が「それは決して妄想では ない」と思うようになっているべきだろう。
しかしジム・キャリーだと、最初から「妄想に取り憑かれている」という風に見えすぎてしまう。
そこは、もっと「ごく普通の人」に見える俳優、例えばジョン・キューザックのように、妄想や狂気からは程遠いイメージの俳優を据える べきではなかったか。

(観賞日:2012年12月25日)


第28回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低主演男優賞[ジム・キャリー]

 

*ポンコツ映画愛護協会