『ニューヨーク・ミニット』:2004、アメリカ

ロングアイランド。高校3年生のジェーン・ライアンは、プレッシャーから来る悪夢にうなされて目を覚ました。成績優秀で神経質な彼女は、オックスフォード大学への進学を目指している。彼女はスピーチ・コンテストに参加し、奨学金を得ようと意気込んでいた。一方、双子の妹であるロクシーは大雑把な性格で、遅刻とサボリの常習犯だ。バンドのドラマーである彼女は、パンクバンドのシンプル・プラン9番街でPV撮影をする情報を入手し、潜り込もうと目論んでいた。
ロクシーは学校を休むため、水ぼうそうで休むという偽造診断書を作成した。潔癖症のジェーンがシャワーを浴びていると、ロクシーの飼っている蛇のリンゴが侵入して来たので悲鳴を上げた。母親は既に死去しているため、2人は父親と3人で暮らしている。ジェーンは父の朝食を作るなど、母親のような仕事も担当している。ロクシーは父に「シェイクスピアを観劇するから、許可証に署名して」と嘘をつき、偽造書類を渡す。父は何も知らずに署名し、ジェーンを駅まで送るよう頼んだ。
妹の嘘を知っているジェーンは「バレるわよ」と忠告するが、ロクシーは「平気よ」と軽い調子で学校にファックスを送信した。2人が車で出掛ける様子を、マックス・ロマックスという男が密かに監視していた。ロクシーは親友のであるジャスティンの豪邸を訪ね、焼いてもらったバンドのデモCDと撮影会場に入るパスを受け取った。ジャスティンはロクシーに、レコード会社のスカウトマンを見つけてデモCDを渡すよう指示した。
豪邸に乗り込んだロマックスは、ジャスティンに無断欠席取締官のバッジを見せた。彼はパーティーの中止を命じ、ジャスティンと5人の仲間たちの身柄を確保した。ロマックスは「停学になったら将来を棒に振るぞ」とジャスティンに告げ、ロクシーの行き先を教えるよう要求した。しかしジャスティンは、「友達を売るより罰を受けた方がマシだ」と返答を拒否した。ジェーンがニューヨーク市へ向かう列車に乗り込むと、通路を挟んだ席にロクシーがやって来た。彼女が音楽を大音量で流すので、ジェーンは「騒がないで。あと少しでマッギル奨学金が貰えるの」と注意する。
列車に乗っている目的をジェーンから問われたロクシーは、「レコード会社のスカウトマンにデモテープを渡して、仕事を貰う」と説明した。ジェーンとロクシーは挟まれた男性客に迷惑を掛け、すっかり怒らせてしまった。無賃乗車していたロクシーは、トイレに隠れて車掌の切符拝見を免れようとする。しかし車掌に見つかり、途中の駅で列車から降ろされた。車掌はジェーンを見てロクシーだと思い込み、彼女も列車から降ろした。
駅に降ろされたジェーンのスカートは、ジムという青年の自転車に引っ掛かってしまった。ジムが思い切り引っ張るとスカートは破けてしまったが、ジェーンは彼に好意を抱いた。タクシーを待っていたロクシーが気付かない内に、1人の男が彼女のバッグにマイクロチップを忍ばせた。男が捜査官に連行された後、それを見ていたベニーという仲間がロクシーに接触した。「タダでリムジンに乗せてあげよう」と彼が持ち掛けると、ロクシーはジェーンも誘った。
駅員から「次の列車は線路工事で運休だ」と冷たく言われていたジェーンは、ロクシーと共にリムジンへ乗り込んだ。殺し屋であるベニーは養母のバンに電話を掛け、早くチップを持って来るよう指示された。ベニーはライアン姉妹をリムジンに閉じ込めようとするが、すぐに逃げられてしまった。姉妹を追い掛けたベニーは、バッグを奪い取ろうとする。ロクシーはベニーを蹴り飛ばして追い払い、ジェーンと共に立ち去った。
ジェーンはホームレスに1ドル紙幣を奪われ、服に酒を浴びせられた。その直後に車が水たまりの上を走り抜けたせいで、頭からびしょ濡れになった。ジェーンは雑貨店でトイレを借りようとするが、便座に尻から落ちてしまう。店を出ようとしたジェーンは、スピーチ原稿も所持金も全てリムジンに置き忘れたことに気付いた。コンテストまでの残り時間も4時間半に迫っており、ジェーンは焦りを隠せない。ロクシーは「名案がある」と言い、高級ホテルに連れて行った。
チャイナタウンで店を営むバンの元へ戻ったベニーは、失態を厳しく叱責される。「価値のあるチップなの?」と彼が尋ねると、バンは「数百万ドルの価値がある海賊版の音楽よ。香港で海賊版CDを作る。それを売れば数百万ドルの儲けよ」と述べた。必ず手に入れると約束したベニーは、リムジンにジェーンのスケジュール帳があるのを発見した。ロクシーはホテルの部屋を張り込み、アン・リプトン上院議員が出て来てエレベーターに乗り込むのを確認した。彼女はドアが閉まる寸前でドラムスティックを挟み、部屋に忍び込んだ。
部屋の浴室を借りようとしたジェーンは、アンの愛犬であるレイナルドがいるのを見つけた。ベニーは姉妹に電話を掛け、スケジュール帳とチップの交換を要求した。チップを奪ったという自覚は無いロクシーだったが、とりあえず待ち合わせの場所と時間を指定した。バッグを調べた彼女は、チップを発見した。アンの息子であるトレイが部屋に入って来たので、姉妹は驚いた。すぐに出て行こうとする姉妹だが、レイナルドがチップを食べてしまった。
電話を受けたトレイは、アンが予定変更で戻って来ることを姉妹に教えた。何とかチップを吐かせようとする姉妹だが、レイナルドは窓から外へ出てしまう。姉妹は後を追ってレイナルドを捕まえ、トレイはアンに「レイナルドは美容室に預けた」と嘘をついた。レイナルドに排便させてチップを取り戻そうと考えるジェーンは、ジムと遭遇する。彼女はジムに訊かれて電話番号を教え、ロクシーと共に去った。レイナルドが排便しないので、ジェーンは取引場所であるプラザ前へ向かうことにした。彼女はロクシーに「1人で行く」と告げ、PV撮影の会場に行くよう促した。
ジェーンはベニーにレイナルドを見せ、「この子がチップを食べた」と説明する。小便を顔面に浴びたベニーが激怒すると、ジェーンはレイナルドを抱いて逃げ出した。PV撮影の会場に到着したロクシーは、トレイと再会した。会場にはロマックスも来ていたが、ロクシーには気付かなかった。ジェーンが会場に来た直後、PV撮影のテレビ生中継がスタートした。シンプル・プランの熱いパフォーマンスに、集まった大勢のファンが盛り上がった。
ジャスティンから「レコード会社のスカウトは高級スーツでダンスが古い」と教えられていたロクシーは、それに該当する男性2人を発見した。ロクシーは男性たちに駆け寄り、「聴いて下さい」とデモCDを渡す。そこへロマックスが現れ、ロクシーを捕まえようとする。ロクシーは隙を見て逃走し、ステージ上でジェーンと合流する。ベニーも追い掛けて来るが、姉妹はステージからダイブして脱出した。ベニーはロクシーを捜しているトレイに声を掛け、「打ち上げ会場への送迎係だ。乗って行くかい?」と持ち掛けた。
ロマックスの追跡を受けた姉妹は、下水道へと逃げ込んだ。下水管を辿った姉妹は、地上へ出てハーレムの美容室に足を踏み入れた。時計を見たジェーンがパニックに陥ると、ロクシーが歌って落ち着かせようとする。女性店主のビック・シールは客に指示を出し、みんなで合唱した。ジェーンが落ち着きを取り戻すと、シールは姉妹の髪を整えて服も新しい用意した。ベニーはジェーンに電話を掛け、「彼氏を預かってる」と告げる。ジェーンは「私もロクシーも彼氏はいない」と言うが、ベニーは「20分以内にタイムズ・スクエアに来なければ、スケジュール帳を焼き捨てる」と脅した。姉妹はロマックスに見つかるが、借りたタクシーを走らせて逃走した…。

監督はデニー・ゴードン、原案はエミリー・フォックス、脚本はエミリー・フォックス&アダム・クーパー&ビル・コラージュ、製作はデニーズ・ディ・ノヴィ&ロバート・ソーン&メアリー=ケイト・オルセン&アシュレイ・オルセン、共同製作はクリスティン・サカーニ&ジル・ジマーマン、製作総指揮はアリソン・グリーンスパン、撮影はグレッグ・ガーディナー、美術はマイケル・カーリン、編集はマイケル・ジャブロー&ロデリック・デイヴィス、衣装はクリストファー・ハーガドン、音楽はジョージ・S・クリントン、音楽監修はジョン・フーリアン。
出演はアシュレー・オルセン、メアリー=ケイト・オルセン、ユージン・レヴィー、アンディー・リクター、ジャレッド・パダレッキ、ライリー・スミス、アンドレア・マーティン、ダレル・ハモンド、ドクター・ドリュー・ピンスキー、ジャック・オズボーン、メアリー・ボンド・デイヴィス、アランナ・オング、ボブ・サゲット、ジョーイ・クレイン、ニール・クローン、ジョナサン・ウィルソン、ボイド・バンクス、シルヴァー・キム、コンラッド・ベルグシュナイダー、ロバート・ウィリアムズ、ドメニク・カッツォクレア他。


ABCのシットコム『フルハウス』で人気者になったアシュレー&メアリー=ケイト・オルセン姉妹が、主演と製作を務めた作品。
監督は『ロイヤル・セブンティーン』のデニー・ゴードン。
脚本のエミリー・フォックス&アダム・クーパー&ビル・コラージュは、いずれも本作品がデビュー。
ジェーンをアシュレー、ロクシーをメアリー=ケイト、ロマックスをユージン・レヴィー、ベニーをアンディー・リクター、トレイをジャレッド・パダレッキ、ジムをライリー・スミス、アンをアンドレア・マーティン、マッギルをダレル・ハモンドが演じている。
ポップ・パンクバンドのシンプル・プラン、『フルハウス』でオルセン姉妹の父親役だったコメディアン&俳優のボブ・サゲットが、本人役で出演している。

ジェーンは成績優秀で品行方正だが、神経質でプレッシャーに弱い。ロクシーは遅刻やサボリの多い不良少女だが、大胆でアクティヴな性格だ。
そのように、コンビを組む2人を対照的な性格設定にしておくというのは、バディー・ムービーのセオリーである。
特に本作品の場合、双子姉妹だから見た目は瓜二つなわけで、ますます性格の部分で大きな違いを付けておく必要がある。
そういう基本的な部分は、キッチリとクリアしている。
でも、評価できるのは、そこぐらいだ。

序盤からロマックスという男が登場し、ジェーンとロクシーを尾行している様子が描かれる。ジャスティンに接触したところで、無断欠席取締官という正体が明かされる。
謎の男だったのは、ほんのわずかな時間だ。
それなら、中途半端な「謎の男」の時間帯を設けるよりも、最初から明かしてしまった方がいい。
それを考えれば、出掛けるジェーンとロクシーを尾行し、ジャスティンの邸宅を張り込むシーンをカットした方がいい。
登場したら、すぐに正体が明かされる形にした方がいいわけだから。

ただ、それより何より、根本的な問題として「無断欠席取締官って何だよ」というトコにツッコミを入れたくなる。
ジェーンたちの通う学校が勝手に決めた役職であったり、勝手に雇っている男であったりするのかと思ったら、普通にナッソー郡の警察車両が来て、犯罪者予備軍としてジャスティンと仲間たち6名を連行させるのだ。
ジャスティンたちが警察に捕まるわけではなく、「5日から10日の居残り」という罰に過ぎない。
警官はロマックスを、「ただのサボり取締官だろ。そんなことだから25年間も警官になれないんだ」と馬鹿にしているけど、ロマックスは「最悪のサボリ魔を捕まえて、絶対に警官バッジを着けてみせる」と本気で言っている。
そこのバカバカしさは、かなり厳しいモノがある。

あと、そもそもロマックスはロクシーを監視し、彼女を捕まえようとしていたはずでしょ。
それなのに、なぜロクシーが豪邸を去った後で手入れに入るのか。
最初からロクシー狙いなら、まずジャスティンに「ロクシーはどこだ」と尋ねたり、乗り込んだのに本命がいないことを悔しがったりするはずだ。しかし、そんな気配は皆無で、普通にジャスティンたちの身柄を確保している。
そうなると、設定と行動の整合性が取れていないってことになる。

列車に乗り込んだジェーンは首枕を膨らませ、隣の男性客(実はマッギル)の邪魔になる。男が迷惑そうに「失礼、悪いけど」と言っているのに、ジェーンは平然と膨らませ続けている。
それはダメだろ。
設定を考えると、ジェーンは出来る限り他人に迷惑を掛けないように行動させるべきだし、迷惑を掛けた時には素直に謝罪させるべき。
ロクシーと言い争いになった結果として、挟まれた男に迷惑を掛けるという手順は構わないけど、ジェーンが単体で彼に迷惑を掛けているのはダメだわ。

「トラブルに巻き込まれて一緒に行動している間に、ジェーンがロクシーに感化されるなどして今までとは違う態度や行動を取る」という風に、後半に入ってから彼女の動きに変化が生じるってことなら、それは悪くないのよ。
だけど、列車で男性に迷惑を掛けるのは、まだ映画が始まってから15分も経っていない時間帯だ。
そうなると、品行方正で行儀がいいという初期設定が崩れちゃうでしょ。
その後の迷惑行為では普通に謝罪しているのに、なぜ首枕の時だけは無視なのかと。

「ジェーンがロクシーに間違えられて列車から降ろされる」というシーンで、初めて「2人が瓜二つである」ってのが意味のある要素として利用される。
「2人が瓜二つ」ってのをネタとして使うのは、もちろん悪くない考えだ。
ただし、「瓜二つであることで、どちらかが実際に迷惑を受ける」という手順を入れる前に、「2人は瓜二つで、良く間違えられる」ということを示しておくべきだ。
それを省いて、いきなり「瓜二つだからジェーンも列車から降ろされる」という展開に行くと、その仕掛けがスムーズに機能しない。
っていうかジェーンは切符を持っているはずなので、列車から降ろされるのは無理があるし。

ジェーンがジムに惚れるシーンも、これまた相当にギクシャクしている。
いわゆる「一目惚れ」なら、惚れるきっかけや出来事は要らないけど、それなら出会った瞬間に「惚れた」ってのを見せた方がいい。
「スカートが引っ掛かって、引っ張ると破けて、でもジムを見つめたジェーンは彼に惚れた様子を見せる」という形だと、何がどうなって惚れたのかワケが分からなくなる。
むしろ、「スピーチ・コンテストのために着用した大事なスカートが破けた」ってことにショックを受けたり、腹を立てたりする方が自然じゃないかと思うのよね。

ロクシーが「タダの送迎サービス」という怪しさ満点のリムジンに乗るのは、分からないでもないが、ジェーンも同乗するのは引っ掛かる。
そもそも、その前に駅員が「次の列車は線路工事で運休だ」と冷たく言っていることからして「なんでだよ」と引っ掛かるのだが、そこは置いておくとしよう。
で、そんな風に列車が運休という事情があるにせよ、「いかにも怪しい」ってことに対する警戒心はゼロだし、まるで迷わないのよね。
それは軽すぎるだろうと。

地下鉄構内でベニーが中国語を喋ると、ジェーンも急に中国語を喋る。そこで初めて、彼女は中国語が堪能だという設定が明かされる。
ただし、それ以降、この設定が使われることは無い。
直後にベニーがクンフー的な動きを見せると、ロクシーもマーシャルアーツの動きで対抗する。そこで初めて、ロクシーがテコンドーを習っていることが明かされる。
ただし、それ以降、この設定が使われることは無い。
その場を盛り上げるためだけに流れを無視して盛り込まれた設定であり、使い捨てにされている。

「ロマックスがロクシーを追う」とか「ベニーが姉妹からマイクロチップを奪おうとする」という筋書きは持続するし、「列車で姉妹が迷惑を掛けた相手と姉妹は何度も遭遇するが、彼が奨学金創設者のマッギルだった」という風に伏線がちゃんと回収されるケースもある。
次から次へと色んな物を捨てまくり、何から何まで散らかし放題でどんどん先へ進めているわけではない。
でもトータルで考えると、「まとまりの無い行き当たりばったりの作品」という印象は拭えない。
印象っていうか、それは紛れも無い事実だ。

チップの中身が海賊版の音楽という設定は、もちろん「ロクシーがシンプル・プランのPV撮影現場に潜入してレコード会社の人間に接触しようとする」という展開と関連させるためのモノってのは明白だ。
それは分かるけど、チップの中身が音源ってのは陳腐だなあと感じてしまうなあ。
ティーンズ向けの映画だから、それでもいいだろうという判断なのかな。むしろティーンズ向けだからってことで、もっとヤバい犯罪に絡む機密情報ってな感じの設定を避けたのかな。
どうしても「ヌルい」と思ってしまうんだけど、ティーンズ映画としては甘受しなきゃいけないのかな。

ロクシーがチップをお菓子の上に置き、それをアンの愛犬が食べてしまうってのは、なかなか無理のある展開だ。
食べ物の中に隠したということなら、一緒に食べてしまうってこともあるだろう。でも、チップが剥き出しの状態で置いてあったのに、それを口に入れて吐き出すこともしないってのは、どんな犬なのかと。
で、そんな犬をベニーに見せてスケジュール帳を取り戻そうとするジェーンだが、小便を浴びたベニーが激怒すると犬を抱いて逃げ出す。
そりゃあ「可愛いワンちゃんを助けたい」という感情でヒロインを行動させるのは分かるけど、「スケジュール帳はどうでもいいのか」と言いたくなるぞ。

姉妹は下水道へ逃げ込んだところで、「2人で過ごすのは久しぶり」とか「楽しかった」などと言い出す。
どうやら「ピンチの連続で大変だけど、2人で一緒に過ごすのは楽しいと感じる」ってことを描きたいらしい。
だけど、そこに向けてのステップを何も踏んでいないし、ドラマとしての厚みなんて皆無だ。
そもそも「反目していた姉妹がピンチになったことで結束し、すっかり仲良くなる」というドラマを盛り上げるための前提である、「普段の姉妹は喧嘩ばかり」という初期設定の部分からして弱いし。

姉妹が美容室に足を踏み入れると、ビッグ・シールと店員たちがヘイメイクしたり色んな服に着替えさせたりする。
「ノリのいい音楽を流し、ヒロインが様々な服を着替える様子を見せる」ってのは、多くの映画で使われまくっているパターンだ(この作品ではヘアメイク付き)。
ただ、スピーチ・コンテストの時間が迫っている状態なので、「そんなトコでノンビリとファッションショーを楽しんでいる場合かよ」とツッコミを入れたくなる。
しかも、「キャリアっぽい格好に」とジェーンが注文して、それとは真逆のド派手なファッションばかりなのに、なぜか彼女は気に入っているのよね。

ベニーはトレイを騙して車に乗せ、ジェーンに電話を掛けて「来なければスケジュール帳を焼く」と脅す。
でも、トレイを拉致する必要性は皆無だよね。「スケジュール帳を焼く」ってのが脅しの材料なんだから、何のためにトレイを人質に取ったのかと。
っていうか、ジェーンは美容室で髪と服を整えたことで、すっかり落ち着いているんだよね。もはやスケジュール帳に対する固執なんて、まるで持っていない様子なのよ。
だから、その後で「スケジュール帳を取り戻すために指定場所へ向かう」という展開を用意しても、話がスムーズに進行しないぞ。

タクシーでの逃走劇を繰り広げた後、ジェーンとロクシーは言い争いを始める。
下水道で「姉妹が仲良くなりました」ってのを見せたのに、そこで終わらせたら物足りないだろうと思ったのか、今度は険悪になる展開を用意するわけだ。
もちろん、その後で仲直りの手順に至ることは誰でも分かるだろうけど、逃走劇の末に待ち受けている言い争いに無理があり過ぎる。
用意されている段取りにジェーンとロクシーが振り回されており、そこの展開は違和感に満ち溢れている。

(観賞日:2016年1月21日)


第25回ゴールデン・ラズベリー賞(2004年)

ノミネート:最低主演女優賞[メアリー=ケイト・オルセン&アシュレー・オルセン]
ノミネート:最低スクリーン・カップル賞[メアリー=ケイト・オルセン&アシュレー・オルセン]

 

*ポンコツ映画愛護協会