『ベスト・キッド3 最後の挑戦』:1989、アメリカ

今から1年前、ニュージャージーからカリフォルニアへ移り住んだ高校生のダニエル・ラルーソは、空手道場“コブラ会”のジョニー達からイジメを受けた。ダニエルはマンションの管理人で沖縄出身のミヤギから、空手を教わり始めた。やがてダニエルは、空手チャンピオンシップでコブラ会のジョニーを倒して優勝した。
それから1年後、コブラ会の道場では練習生が全て辞めてしまい、コーチのジョン・クリースは困窮する生活を送っていた。クリースは道場を返そうと考え、オーナーであり兄弟子でもある大会社の社長・テリー・シルヴァーの元を訪れた。テリーはクリースから話を聞き、ダニエルとミヤギに復讐することを約束した。
シルヴァーは住む場所さえ無いというクリースに、しばらくタヒチに出掛けるよう告げ、旅行の手配をする。それからシルヴァーはロサンゼルスから腕の立つマイク・バーンズを呼び寄せ、道場の権利の半分を譲渡する条件で、ダニエルを倒すよう指示した。
同じ頃、ミヤギが盆栽の店を開くことになり、ダニエルは開店準備を手伝っていた。ダニエルの元には、空手チャンピオンシップの出場申込書が届いていた。ダニエルは出場する気だったが、ミヤギから大会に出る意味が無いと告げられ、申込書を燃やした。
ダニエルが大会に出場しないと知ったマイクは、シルヴァーの手下スネークとデニスと共に現れ、挑発を繰り返す。度重なる嫌がらせに耐えかねたダニエルは、ついに出場することを決める。だが、ミヤギから大会のための稽古は付けないと告げられる。
稽古が受けられずに困っているダニエルに、シルヴァーが近付いた。ダニエルはシルヴァーがマイクの雇い主だとは気付かず、彼から空手を教わるようになる。だが、シルヴァーが教えるのは、平気で反則技を使うような卑怯な空手だった…。

監督はジョン・G・アヴィルドセン、脚本はロバート・マーク・ケイメン、製作はジェリー・ワイントローブ、共同製作はカレン・トルーディー・ローゼンフェルト、製作協力はダグラス・シーリグ、製作総指揮はシェルドン・シュレーガー、撮影はスティーヴンヤコネッリ、編集はジョン・カーター&ジョン・G・アヴィルドセン、美術はウィリアム・F・マシューズ、音楽はビル・コンティー。
出演はラルフ・マッチオ、ノリユキ・“パット”・モリタ、ロビン・ライヴリー、トーマス・イアン・グリフィス、マーティン・コーヴ、ショーン・キャナン、ランディ・ヘラー、ジョナサン・アヴィルドセン、クリストファー・ポール・フォード、パット・E・ジョンソン、リック・ハースト、フランシス・ベイ、ジョセフ・V・ペリー、ジャン・トリスカ、ダイアナ・ウェブスター、グレン・メディロス他。


“カラテ・キッド”シリーズの第3作。
前2作と同じく、ダニエル役のラルフ・マッチオとミヤギ役のノリユキ・“パット”・モリタが出演。盆栽店の向かいにある陶芸店のジェシカをロビン・ライヴリー、シルヴァーをトーマス・イアン・グリフィスが演じている。また、1作目に出演していたクリース役のマーティン・コーヴが再登場している。

ラルフ・マッチオは1961年生まれなので、この映画の時は28歳ということだ。
もはやキッドとは呼べない年齢だが、顔が幼いので良しとしておこう。
例えばオリビア・ニュートン=ジョンだって、『グリース』では当時29歳で高校生の役を演じていたし。ロバート・デ・ニーロなんて、『レイジング・ブル』で当時36歳なのに19歳の役を演じていたし。

格闘技に打ち込む好青年のように描かれているダニエルだけど、実はプレイボーイなのだ。1作目、2作目と、それぞれ違う女と親密な関係になる。
そして今回も、また別の女と親密な関係になる。
ちょっとしたジェームズ・ボンドのような色男っぷりだ。
ただし、今回のダニエルさんは、残念ながら恋仲になりそうだったジェシカとは結ばれない。
たぶん、ダニエルが太ってしまったのがアダになったんだろう。
それにしても、ジェシカは昔の男とヨリを戻すんだし、何のために登場したのか良く分からないよなあ。

今回から、空手チャンピオンシップのルールが改正されて、「前年の優勝者は決勝だけ戦えばいい」という規定になったらしい。
というわけで、ダニエルは1度しか戦わない。
なんて都合のいいルール変更なんだろう。
ここ、笑うトコなのかな?

たかが高校生のガキを相手に、大会社の社長がマジで乗り出す辺りからして、ちょっとマヌケなものがある。
それとシルヴァー先生、自分で盆栽店に侵入するのはどうなのよ。
そんなことは手下に任せなさいって。そんなに手下が信用できないのかね。
あと、シルヴァー達は「ロスをコブラ会の道場だらけにするぞ」とか言って、試合会場でもコブラ会のTシャツを配ったりしてるんだけど、一方で明らかな反則技を使ったり、汚い言葉で相手を罵倒したりする。
そんな態度では、練習生は集まらないと思うぞ。

今回のミヤギさん、ちょっとヘンな感じがしないでもない。
店を破壊し、盆栽を盗み、女に暴力を振るうような連中に対して、無視を決め込んでしまう。
それって人がいいとか、気が優しいというよりも、単なる泣き寝入りにしか思えないんだけどね。
なんか1作目からすると、ミヤギの考え方がヌルくなっているような気がするのよね。
身を守るための空手は容認してもいいんじゃないのかなあ。自分はシルヴァー達の元に乗り込んで空手を使ってるしさ。ミヤギの線引きの基準が良く分からないんだよなあ。
あと、ミヤギはシルヴァーに空手を教わるダニエルを思って、「迷いから脱出してくれ」とか言ってるけどさ、アンタがマトモに教えないから彼が迷ったんじゃないのかい。
師匠なんだから、盆栽をいじる暇があったら、ちゃんと導いてあげなさいっての。

展開としては、今までの2作と同じ。
ダニエルとミヤギがいて、2人を憎む敵がいて、ダニエルが闘って勝利して終わる。
単純明快だ。
「非常に自尊心が強く、頭に血が昇りやすいオツムの弱そうな男」という敵のパターンまで、まるで同じである。
しかし、さすがに同じパターンを3回も続けていると、パワーダウンは否めない。
マンネリ化して、もはや絞りカスさえ出やしない。
これ、クリースがワルのままじゃなくて、改心するという内容にすれば、もう少し話に厚みや変化が生まれたような気もするけどなあ。

今回はダニエルが空手の訓練を積んでいるシーンがほとんど無いし、ネタが尽きたのか、何かに例えて技を教えるような描写も見当たらない。
あと、最後にダニエルがマイクとの戦いで使った技って、「投げてから、倒れた相手に対する突き」にしか見えないんだけど。
あれって、空手としては反則にならないのかなあ。


第10回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ジョン・G・アヴィルドセン]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[ラルフ・マッチオ]
ノミネート:最低助演男優賞[ノリユキ・“パット”・モリタ]

 

*ポンコツ映画愛護協会