『ホーム・アローン3』:1997、アメリカ

ボープレ、アンガー、ジャーニガン、アリスの4人はハイテク犯罪グループ。香港の組織から依頼を受けた彼らは、カリフォルニア州のシリコンバレーでアメリカ国防省の軍事機密が入ったマイクロ・チップを入手した。チップを香港に持っていくまでが彼らの仕事だ。
4人は空港のセキュリティ・チェックを通過するため、チップをラジコンカーに隠す。しかし、ラジコンカーを入れた袋がヘスという老女の持っていた袋と同じだったことから、ヘスが間違って持って行ってしまう。それに気付いた4人は慌ててヘスを追い掛けるが、彼女はタクシーで去ってしまった。
タクシーのナンバーを記録した4人は運転手に接触し、ヘスを降ろしたのがノースデボン・パークのワシントン・ストリートだという情報を得る。そこは14軒の家が並ぶベッドタウンだ。ベッドタウンは昼間に人々が外出すると考え、4人は昼間に1軒ずつ侵入してラジコンカーを探すことにした。
4人は知らなかったが、チップを隠したラジコンカーはヘスの隣に住む少年アレックスの手に渡っていた。ヘスが自分の家の前の雪かきをした駄賃としてプレゼントしていたのだ。そのアレックスは水ぼうそうにかかってしまい、しばらく学校を休むことになった。
外の様子を望遠鏡で眺めていたアレックスは、ボープレが家宅侵入しているのを目撃し、警察に連絡する。しかし警察が来た時には、既にボープレは立ち去っていた。そのためにアレックスはウソをついたと思われてしまい、母親にも信じてもらえない。
翌日、再びボープレが家宅侵入しているのを目撃したアレックスは警察に連絡するが、またも警察はボープレを見つけることが出来ない。またも警察や家族から信じてもらえなかったアレックスは、自分1人だけで犯罪グループと対決することを決意する…。

監督はラジャ・ゴズネル、脚本はジョン・ヒューズ、製作はジョン・ヒューズ&ヒルトン・グリーン、製作協力はニーノ・ローディス=ジャメロ、製作総指揮はリカルド・メストレス、撮影はジュリオ・マカット、編集はブルース・グリーン&マルコム・キャンベル&デヴィッド・レニー、美術はヘンリー・バムステッド、衣装はジョディ・ティレン、音楽はニック・グレニー・スミス。
主演はアレックス・D・リンツ、共演はオレク・クルパ、ハヴィランド・モリス、デヴィッド・ソーントン、スカーレット・ヨハンソン、レニー・フォン・ドーレン、マリアン・セルデス、リア・キルステッド、ケヴィン・キルナー、セス・スミス、バクスター・ハリス、クリストファー・キュリー、ジェームズ・サイトー他。


少年が犯罪者から家を守るというコメディシリーズの第3弾。前2作のマコーレー・カルキンから、主役がアレックス・D・リンツにパトンタッチしている。
犯罪のスケールや犯人の数をアップして新しさを出そうとしているようだが、“遊び”を持たせる余裕が無くなっただけの改悪であろう。

4人組は国防省のチップをスマートに盗み出すほどの腕を持つ犯罪集団なんだから、パソコンなどを使ってヘスがどの家に住んでいるかを突き止めることも出来そうなものだが、そういう能力は無いらしい。人が出掛けるのを目で確認してから侵入するというのも、あまり知的な感じが無い。

ドタバタのコメディにすべき作品のはずなのだが、それにしてはキャラクターがマジになりすぎている。犯人グループにしても、これまでの2人から4人になっているが、キャラクターの描き分けは不充分だし、性格設定もシリアスになりすぎている。

アレックスは警察に信じてもらえないだけならともかく、家族にさえ信じてもらえず、非難までされる。ファミリー映画としては、あまりに切ないし悲しい。
終盤になると、家族がアレックスへの愛を示す場面もあるが、前半の様子を見ているだけに、それが見せ掛けだけの愛情に思えてしまう。

アレックスが信じてもらえないという様子ばかりが描かれるので、前半で笑える部分は1つも無い。後半に入って、アレックスが4人を撃退するシークエンスで挽回しようとしているが、前2作の焼き直しに過ぎないし、銃を持ち出したりヘスを監禁したりする様子は、コミカルとは程遠い場所にある。


第18回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低リメイク・続編賞


第20回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【誰も要求していなかった続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会