『フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石』:2008、アメリカ

1715年7月24日、スペイン国王のフェリペ5世は新しい王妃への貢物として、キューバのハバナから500万ドル相当の財宝をスペイン艦隊に運ばせた。しかしハリケーンの襲来で艦隊は全滅し、財宝は海底に沈んだ。そして現在。トレジャーハンターのフィン・フィネガンは相棒のアルフォンズとカリブ海に潜り、財宝を捜索していた。しかし無人となった船で火災が発生し、大爆発を起こした。近くの島を所有する黒人ギャングのカーティスとコーデルは、その様子を目撃した。
8年前から探し続けていた皿の破片を見つけて興奮したフィンは、ようやく船が沈んだことに気付いた。そこへカーティスとコーデルがボートで近付き、ボスのビッグ・バニーが貸した船の修理に大金を注ぎ込んでいたことを話した。アルフォンズは「お前が金を貰ったのにコンプレッサーを直さなかったからだ」とフィンを批判し、その場を去ろうとする。フィンが裏切り者呼ばわりしてアルフォンズと喧嘩を始めると、コーデルは威嚇発砲してボートに乗るよう命じた。
フィンの妻のテスは、大富豪のナイジェル・ハニーカットが所有する豪華クルーザーでスタッフとして働いていた。ナイジェルは別れた妻からの電話で、泥酔してゴシップ雑誌に記事が掲載された娘のジェマを巡って糾弾された。テスは離婚調停のためにキーウエストに立ち寄ってもらえることに関して礼を言うが、ナイジェルはすっかり忘れていた。フィンはバニーの元へ連行され、「必ず金は返す」と告げる。彼は皿の破片を渡して価値を説明し、「沈んだ船に戻らせてくれたら文献を取って来て証明する」と話した。
バニーは部下たちに、「こいつをつまみ出せ」と命じた。カーティスとコーデルはフィンの両脚を鎖で縛り、錘を付けてクルーザーから海に落とそうとする。フィンは必死で抵抗し、銃を奪い取ってカーティスの右足を撃った。コーデルがクルーザーを猛スピードで走らせると、フィンは手を放して海に沈んだ。彼は発砲して鎖を切断し、海面に浮上した。仕事を終えたテスは料理人でゲイカップルのゲイリーとエディーに声を掛けてから、離婚調停のために裁判所へ向かおうとする。ゲイリーとエディーは、すぐに約束を破るフィンが来ないだろうと思っていることを告げた。
翌朝、箱に捕まって海を漂っていたフィンは、通り掛かった若者たちのボートに救助を求めた。フィンは陸地に上がり、裁判所へ走った。急いで裁判所に駆け込んだ彼は、待っていたテスに「別れたくない。何でもする」と訴えた。しかし約束の時間は過ぎており、フィンは弁護士から既に離婚が成立していることを通告された。そしてフィンが遅刻したため、夫婦名義の財産は全てテスの所有となった。フィンは裁判所を去るテスを追い掛け、財宝を見つけたことを話す。彼は皿の破片にあった紋章を手帳に描き、「君の予想通りだった」と興奮した様子で喋った。
テスはフィンの話が真実だと感じるが、彼が皿を持っていないと聞いて呆れ果てた。テスが「貴方のせいで8年も無駄にした。私はシカゴに戻る。大学に復学して博士号を取得する」と語ると、フィンは彼女を罵った。テスが船を売って金を工面すると言うと、フィンは沈んだことを教える。テスは彼を殴り倒し、その場を後にした。しかし船に戻った彼女はパソコンで改めて紋章を確認し、やはりフィンの話が本当だと確信して驚いた。
彼女はフィンがナイジェルのことを知ったら間違いなく船に乗り込んで来ると思い、ゲイリーとエディーの前で狼狽する。フィンがバーに入るとアルフォンズがいて、「奴らに消されたのかと思ったぜ」と軽く笑った。アルフォンズはフィンに、沖に停泊しているクルーザーの所有者は大富豪のナイジェルだと教えた。テスはナイジェルに理由を明かさず、早く出航するよう持ち掛ける。するとナイジェルは、娘のジェマも合流するので待っていると告げた。
アルフォンズからジェマを乗せたヘリコプターのことを聞いたフィンは、後を追った。フィンは博物館を探していたバニーたちとぶつかるが、どちらも全く気付かなかった。ジェマはナイジェルに挨拶し、すぐにモーターボートで遊びに出掛ける。ゴムボートでクルーザーに向かっていたフィンは、彼女が飛ばした帽子を拾った。直後にジェマを乗せたボートに誤って激突し、フィンは頭を打って倒れる。フィンはクルーザーに運び込まれ、ジェマは彼の勇敢な行動に一目惚れした。
フィンは「町に戻らないと」と言うが、船の看護師は安静にするよう促す。ナイジェルが夜まで留まるよう勧めると、フィンは承諾した。バニーはトレジャーハンターのモー・フィッチを訪ねて皿の破片を渡し、財宝を探す手伝いを依頼した。ナイジェルに夕食を運んだテスは、フィンが同席しているのを見て驚いた。フィンはモーの下で働いていた時にテスと出会ったこと、テスは彼がモーに拾ってもらったのに遊んでばかりで解雇されたことを、それぞれナイジェルに説明した。
フィンはテスと一緒に見つけたオーレーリア号の大砲を巡り、モーと喧嘩になった。捜索する時にモーの設備を借りていたため、大砲は裁判で彼の物になった。その後、フィンとテスはスペインでハネムーンを過ごした時に財宝の存在を知り、詳しく調査した。2人から話を聞いたナイジェルは、財宝探しへの協力を快諾した。フィンに惚れたジェマもダイビングを教えてもらう条件で同行し、アルフォンズも参加した。財宝が沈んでいる場所へ向かう途中、ジェマはネットで調べて「周辺の島は全てバニーが持っているんですって」と興奮する。それを聞いたテスはフィンを連れ出し、バニーに妨害されることへの懸念を吐露する。フィンは彼女をなだめ、「もうすぐ宝が手に入る」と告げる。しかしモーが作業員たちと共に現場に来ており、船で捜索作業を開始していた。
フィンは密かに潜水し、モーたちの作業を妨害しようとする。それに気付いたテスはジェマに水着姿で手を振らせ、バニーたちの作業員を誘惑してもらう。しかしフィンに気付いたジェマが「フィンがいるわ」と声を発したため、モーの部下は爆薬を使う。フィンは激しく吹き飛ばされ、モーの船に着地した。フィンはモーに殴り倒され、ナイジェルのクルーザーに戻った。深夜、フィンはクルーザーを抜け出し、カーティスやコーデルを脅してバニーの元へ案内させようとする。しかし反撃されて拳銃を向けられた上、用心棒のサイラスに殴られて意識を失った。
バニーの元へ連行されたフィンは、「モーだけじゃなく俺にも仕事をさせれば時間は半分になる」と持ち掛ける。「10%の取り分を渡す」と彼が言うと、バニーは「財宝を見つければ殺さない」と通告した。フィンがクルーザーに戻ると、テスが待ち受けていた。彼女はフィンがバニーに借金していると見抜き、幾らなのかと問い詰めた。約6万2千ドルだと聞いたテスが「なぜ内緒にしてたの?」と訊くと、フィンは「言ったら、ここには来なかっただろ」と答えた。
翌日からフィンたちも捜索に取り掛かるが、一向に手掛かりは得られなかった。ナイジェルやジェマたちの会話を聞いていたフィンは、「セバスチャンは座礁を避けて財宝を守るため、北側のビーチにオーレーリア号を乗り上げさせた」と確信する。フィンとテスが深夜の海に潜ると、オーレーリア号の大砲が沈んでいた。2人はは古い記録を調べるため、教会へ向かう。重要な情報を得たフィンとテスは、教会の共同墓地に埋められているセバスチャンの航海日誌を見つけた。日誌を読んだ2人は、引き潮で2日だけ現れる洞穴に財宝が隠されていると知るしかし彼らの動きをサイラスが監視しており、バニーたちが教会に乗り込んで来る…。

監督はアンディー・テナント、原案はジョン・クラフリン&ダニエル・ゼルマン、脚本はジョン・クラフリン&ダニエル・ゼルマン&アンディー・テナント、製作はドナルド・デ・ライン&バーニー・ゴールドマン&ジョン・クレイン、製作総指揮はウィンク・モードーント&ジェームズ・R・ダイアー、共同製作はスティーヴン・ジョーンズ、撮影はドン・バージェス、美術はチャールズ・ウッド、編集はトロイ・タカキ&トレイシー・ワドモア=スミス、衣装はナイラ・ディクソン、音楽はジョージ・フェントン。
出演はマシュー・マコノヒー、ケイト・ハドソン、ドナルド・サザーランド、レイ・ウィンストン、ユエン・ブレムナー、アレクシス・ジーナ、ケヴィン・ハート、ブライアン・フックス、マルコム=ジャマール・ワーナー、アダム・ルフェーヴル、マイケル・マルヘレン、デヴィッド・ロバーツ、ローハン・ニコール、ロジャー・シベラス、エリザベス・コノリー、アリ・アムーチ、トム・オサリヴァン、エドウィナ・リチャード、ダンカン・ヤング、ルーク・ペグラー、ハヴィエル・フェルナンデス、A・ラマル・エル、ニコラス・クーパー、アンドリュー・アレン、グレン・サッター、ピーター・ウィットフォード、ローレンス・コイ、リンダ・クロッパー、クレメンタイン・ヒース、アシュリー・チードル他。


『メラニーは行く!』『最後の恋のはじめ方』のアンディー・テナントが監督を務めた作品。
脚本は『アナコンダ2』のジョン・クラフリン&ダニエル・ゼルマンと アンディー・テナント監督による共同。
フィンをマシュー・マコノヒー、テスをケイト・ハドソン、ナイジェルをドナルド・サザーランド、モーをレイ・ウィンストン、アルフォンズをユエン・ブレムナー、ジェマをアレクシス・ジーナ、バニーをケヴィン・ハート、カーティスをブライアン・フックス、コーデルをマルコム=ジャマール・ワーナー、ゲイリーをアダム・ルフェーヴル、エディーをマイケル・マルヘレンが演じている。

この映画はコメディーなのだが、笑いの作り方が下手。
例えば序盤、フィンとアルフォンズが財宝を捜索しているシーン。
コンプレッサーが背後に落下するが、土煙が上がるので、振り向いた2人は何が起きたのか分からない。その直後、海上では船が爆発する。
しかし、その爆発をフィンたちは知らないので、「呑気にしていたら船が爆発して」という緩急による笑いが上手く成立しない。
その後、船が沈むが、まだ2人は気付かない。皿の派遣を見つけたフィンが興奮した後、アルフォンゾが沈んだことに気付く。彼に教えられたフィンが海底に目を向け、ようやく気付く。
これだと、「船が沈んだ」ということに笑いは何も生じない。

フィンが海に落ちるシーンも、これまた笑いの作り方を間違えている。
彼が自分の必要性を訴えてもカーティスとコーデルは相手にせず拳銃を向け、海に落とそうとする。フィンが必死に抵抗すると、カーティスたちは鎖に繋いだ錘を海に落とす。フィンは船にしがみ付いて発砲し、這い上がろうとする。しかしコーデルがクルーザーを猛スピードで走らせたので手を放し、発砲し鎖を切断する。
こうやって文章で説明しただけでも何となく分かるかもしれないが、これだと何の笑いも生まれない。
例えば、「フィンが必死で弁明している最中に突き落とされる」とか、「フィンが抵抗して助かったと思ったら、予想外のトラブルで海に転落する」とか、そんな風に緩急を付けるような工夫が何も無いのだ。

若者グループがボートで通り掛かり、フィンが助けを求めるシーンがある。
この時、若者グループはフィンが必死で助けを求めていることを理解せず、ご陽気に缶ビールを投げて渡す。
なので、そのまま救助せずに去るのかと思いきや、次のシーンではフィンがボートに乗っている。
ここも、何の笑いも生んでいない。
この後、フィンが左に曲がるよう指示すると操縦している若者がハンドルを切り、彼以外が海に振り落とされるというシーンがあるが、これまた何の笑いにも繋がっていない。

ヘリコプターのことを聞いたフィンは、ビールを飲みながらバーを出て視線を向ける。そのまま彼は、ヘリコプターを見つめて後を追う。
この時、彼はバカみたいな表情をしており、「新しい船を手に入れる」という強い欲望や衝動は全く見えない。ただ「なんか面白いモンがあるなあ」とボンヤリと思っているような感じにしか見えない。
その態度には違和感がある。
また、「フィンは博物館を探しているバニーたちとぶつかるが、どちらも気付かない」というシーンがあるが、ここも笑いを生んでいない。
ギャグの作り方を大きく間違えているわけではないが、ちょっと足りないんだよね。例えば、「フィンが去った後、バニーたちは何かあったように感じるが彼には気付かないまま」とか、何か1つ仕掛けが欲しいのよ。

前半、フィンとテスが財宝についてナイジェルに詳しく説明するシーンがある。
2人は「ハリケーンに襲われたスペイン艦隊がフロリダ沖に沈んだ。最大の船であるカピターナ号は王妃への貢物を運んでいた」「オーレーリア号の艦長はセバスチャン・バンゴールという若者で、父親はカピターナ号総司令官のドン・ファン・ウビレ。母親でメキシコ人のフランチェスカ・バンゴールとは許されない関係だった」「バンゴール家は太平洋からカリブ海へ財宝を運び、スペイン艦隊に乗せた」などと話す。
さらに「ウビレはセバスチャンを信頼し、王妃への貢物をカピターナ号からオーレーリア号に移した」「ハリケーンの3年後、スペインの若い船乗りが無人島で救助された」「船乗りはラファエル・セラーノと名乗り、乗っていたのはタバコ船のフランチェスカだと説明した」と語る。
まだ説明は続き、「フランチェスカ号はバンゴール家の船で、別の場所で沈んだ」「セバスチャンは名誉のために嘘をつき、財宝を守った」と言う。

そうやって2人は7分ぐらい長々と説明するのだが、ほとんど内容が頭に入って来ない。
でも、実は「頭に入って来ない」ってのが一番の問題じゃなくて、そこでグダグダと説明している内容の大半はストーリー展開において無意味ってことだ。
中途半端に謎解きの要素を盛り込んでいるけど、何の興味も湧かないのよ。どうでもいいとしか思えないのよ。
フィンが「セバスチャンは北側のビーチにオーレーリア号を乗り上げさせた」と気付いても、教会の資料を読んで重要な情報を入手しても、「謎が解けた」という気持ち良さは皆無だ。

「財宝を巡ってフィン&テスのグループとバニー&モーのグループが争う」というのが話の軸になっているが、他に「フィンとテスが喧嘩しつつもヨリを戻そうとする」という恋愛劇と、「ナイジェルとジェマがギクシャクしている親子関係を改善しようとする」という家族ドラマが用意されている。
どんなジャンルであれ、そこに人間ドラマを盛り込むってのは良くあることだし、何も間違っちゃいない。
でも、それが上手く絡み合っているとは到底言い難い。恋愛劇も親子ドラマも、どちらも薄っぺらいし、話の進め方も上手くない。
どっちの要素も、喜劇としての貢献度も大したことが無いしね。

もっと根本的なことを言っちゃうと、ナイジェルというキャラの立ち位置が微妙。
フィンとテスの話を聞いて協力するけど、ザックリ言うと「都合のいい女」みたいな存在でしかないのよね。フィンとテスに充分な資金や船さえあれば、ナイジェルなんてキャラはいなくても話を進められるわけで。
もちろん、実際には金も船も無いので、「大富豪の力を借りる」という展開になるのは当然のことだ。だけど登場させるからには、そしてフィンたちと一緒に行動させるからには、単なるパトロンで終わっちゃダメでしょ。
そう思ったから娘との関係を用意したのかもしれないが、前述したように全く機能しちゃいないし。

他の脇役も、上手く使えているとは到底言い難い。
ベッカには「フィンに一目惚れする」という要素があるが、いつの間にか忘れ去られる。
モーはフィンと最後まで激しく競い合うかと思ったら途中で存在感が一気に薄れ、最後に「フィンの協力者」として都合良く利用される。
カーティスは終盤に「テスを殺そうとしたサイラスを批判して拳銃を構える」という動きを見せるのでベビーフェイスにターンするのかと思いきや、そのままヌルい悪党で終わってしまう。
序盤で存在感をアピールしていたゲイリーとエディーなんかも、途中から「いてもいなくても構わない連中」に成り下がっちゃうし。

(観賞日:2021年1月29日)


第29回ゴールデン・ラズベリー賞(2008年)

ノミネート:最低主演女優賞[ケイト・ハドソン]
<*『フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石』『2日間で上手に彼女にナル方法』の2作でのノミネート>

 

*ポンコツ映画愛護協会