『フリントストーン2/ビバ・ロック・ベガス』:2000、アメリカ
銀河系の落ちこぼれ監視員ガズーは、文明の無い星・地球へ行き、子作りを調査するよう命じられた。同じ頃、地球ではフレッド・フリントストーンと友人バーニー・ラブルが、恐竜クレーン専門学院の資格試験に挑んでいた。無事に合格した2人は、石切り場で働く資格を得ることが出来た。一方、金持ちの娘ウィルマ・スラッグフープルは、下町に強い興味を持っていた。彼女は母のパールから、ロックベガスのカジノ王チップとの結婚を勧められるが、嫌がって家を飛び出した。
フレッドはバーニーに、試験に合格した喜びを分かち合える恋人がいないことの寂しさを語った。その時、2人の近くに宇宙船が墜落した。フレッド達は現場に駆け付け、宇宙船からガズーを引っ張り出した。ガズーは子作りを早く始めるよう要求し、フレッド達に付きまとう。一方、ウィルマはバーガー店で働くベティーと知り合った。ベティーは金を持たないウィルマが貧乏だと思い込み、自分のアパートに招いた。ウィルマはベティーの紹介で、同じバーガー店で働き始めた。
バーガー店を訪れたフレッドはベティーに一目惚れし、デートを申し込んだ。バーニーとウィルマも誘い、4人はカーニバルへ出掛けた。しかしバーニーとベティーは互いの笑い声を聞き、急接近する。残されたフレッドとウィルマも、すぐに惹かれ合うようになった。フレッドはボウリングで恐竜の卵を手に入れ、誕生したディノをペットとして飼うことにした。フレッドとウィルマはデートを重ね、楽しい日々を過ごす。だが、ベティーのアパートにパールが現れ、ウィルマを家に連れ戻した。
フレッド、バーニー、ベティーの3人は、ウィルマから父親の誕生パーティーに招待され、初めて彼女が大富豪だと知る。プロポーズしようと決意していたフレッドは、安物の指輪を慌てて隠した。パーティーにはチップも来ており、肉体労働者のフレッドをバカにする。会食の最中にディノが乱入し、パールはフレッドを追い出そうとする。ウィルマはパールに反発し、フレッド達と共に家を出た。チップはフレッド達に謝罪し、ロックベガスに招待する。大金を稼いでウィルマの気を引こうと考えたフレッドは、喜んで招待を受けた。
ロックベガスにやって来たフレッドは、カジノで金を稼ぎまくる。しかし、それはチップの作戦だった。チップは多額の借金を背負い、ロッコ兄弟から返済を迫られていた。そのため、チップはウィルマと結婚して大金を得ようと企んでいた。チップの計画通り、フレッドはギャンブルに熱中し、負けが込んでも借金をしてでも続けようとする・・・。監督はブライアン・レヴァント、原作はハンナ=パーベラ・プロダクション、脚本はデボラ・カプラン&ハリー・エルフォント&ジム・キャッシュ&ジャック・エップスJr.、製作はブルース・コーエン、製作総指揮はウィリアム・ハンナ&ジョセフ・バーベラ&デニス・E・ジョーンズ、撮影はジェイミー・アンダーソン、編集はケント・ベイダ、美術はクリス・バリアン=ムーア、衣装はロバート・タータリス、音楽はデヴィッド・ニューマン。
出演はマーク・アディー、スティーヴン・ボールドウィン、クリステン・ジョンストン、ジェーン・クラコウスキー、ジョーン・コリンズ、トーマス・ギブソン、アラン・カミング、ハーヴェイ・コーマン、アレックス・メネセス、ジョン・テイラー、トニー・ロンゴ、ダニー・ウッドバーン、アーウィン・キース、ジャック・マッギー、デヴィッド・ジーン=トーマス、ブライアン・コフリン、リチャード・カーロン、ジェニファー・シマード、ドウェイン・デイヴィス、ジョン・チョー、ゲイリー・エップ他。
テレビのアニメシリーズを実写映画化した『フリントストーン/モダン石器時代』の続編。ただし時代は前作より遡り、1作目の主役夫妻フレッドとウィルマの出会いから結婚までの経緯を描いている。
監督は前作と同じくブライアン・レヴァントだが、出演者はガラリと入れ替わっている。前作と同じキャラで続投しているのは、ジョー・ロックヘッド役のアーウィン・キースのみだ。前作でジョン・グッドマンが演じたフレッドを、今回はマーク・アディーが演じている。同じように、バーニーはリック・モラニスからスティーヴン・ボールドウィンに、ウィルマはエリザベス・パーキンスからクリステン・ジョンストンに、ベティーはロージー・オドネルからジェーン・クラコウスキーに、パールはエリザベス・テイラーからジョーン・コリンズに交替している。
他に、チップをトーマス・ギブソン、ガズーをアラン・カミング、ウィルマの父をハーヴェイ・コーマンが演じている。ハーヴェイ・コーマンは、TVシリーズでガズーの声を担当していた役者で、前作でも声の出演をしている。また、ロージー・オドネルが、ロックのベガスのホテルでマッサージをするタコ型クリーチャーの声を担当している。前作の今回の配役を比較すると、1作目よりも安く仕上げようとしたんだろうと思われる。マーク・アディーはジョン・グッドマンに比べると知名度が落ちるが、小太りという見た目は同じ。スティーヴン・ボールドウィンはリック・モラニスと似ていないが、意外にヌケ作なキャラがハマっている。というか、この作品で段違いにイイのは彼だろう。
ジェーン・クラコウスキーはロージー・オドネルと比べると可愛すぎる気がするが、まあ良しとしよう。ジョーン・コリンズは、前作のパール役がエリザベス・テイラーだったことを考えれば役者不足と言わざるを得ない。で、最大のネックはクリステン・ジョンストンで、今回のメインがロマンスだということを考えても、ヒロインとしての魅力に欠けている。正直、器量がなあ。今回も石器時代風にデザインされた現代社会の道具や装置(例えば建設機械とか、カジノのホテルとか、アパートとか、ハンバーガー・ショップとか)が登場する。
ただ、そういうのは前作でもやっていたことなので、それを売りにするのは厳しい。クリーチャーや恐竜も色々と登場するが、それも前作の焼き直しと言われれば、否定は出来ない。後は、ダジャレも多い。最初にユニバーサルならぬユニバーシェル(Shell)のロゴが表示され、ベティーが働くのはバーガー・キングならぬブロント(Bront)・キングで、住んでいるアパートがメルローズ・プレイスならぬメルロック(Rock)・プレイスで、ロックベガスで口説いてくる歌手がミック・ジャガーならぬミック・ジャギーだ(演じるのはガズー役のアラン・カミング)。
開き直ってベタベタで幼稚なギャグだけにしてあるのか、煮詰まった結果として、徹夜続きの後みたいに幼稚なモノが面白くなったのかは不明だ。フレッドとバーニーが恋すると周りに多くのハートマークが浮かぶとか、恥ずかしくなると体が縮むとか、浮かれるとジャックポットの機械までフワフワと浮遊していくとか、カートゥーンを意識したような演出も見られるが、スベり気味。
そういうのがギッシリと詰まっていれば慣れてくるんだろうが、忘れた頃に申し訳程度にやっているので、なんか浮いてしまうのだ。今回は冒頭から宇宙人のガズーというキャラクターが登場するのだが、こいつの存在が完全に作品のバランスを崩壊させてしまった。架空の石器時代という特殊な世界観に、宇宙人が空中浮遊したり姿を消したりする世界観がぶつかって、ケンカをしてしまうのだ。それに、ガズーのキャラクターの色合いや質感も、全く周囲の映像と馴染んでいない。
最初に登場させるぐらいだから、今回はフレッドとガズーの絡みが軸になるのかと思いきや、そうではない。たまに現れるだけだ。困ったことに、ガズーというキャラクターと、フレッド&バーニー&ウィルマ&ベティーのロマンスとの噛み合わせが非常に悪い。
基本的にガズーはチャチャを入れる賑やか師のような扱いなのだが、トラブルメーカーが欲しいのならディノをそこに据えればいい。明らかに、ガズーは必要の無いキャラクターと化している。
まあ、この続編そのものが要らなかった気もするが。
第21回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低リメイク・続編賞
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低助演男優賞[スティーヴン・ボールドウィン]
ノミネート:最低助演女優賞[ジョーン・コリンズ]
第23回スティンカーズ最悪映画賞
受賞:【最悪なTV番組の映画化】部門[ジョン・ヴォイト]
ノミネート:【最悪の助演男優】部門[スティーヴン・ボールドウィン]
ノミネート:【最悪のリメイク・続編】部門
ノミネート:【誰も要求していなかったリメイク・続編】部門
ノミネート:【最悪のヘアスタイル】部門[スティーヴン・ボールドウィン]
ノミネート:【最も笑えないコメディー・リリーフ】部門[ガズーとミック・ジャギーを演じたアラン・カミング]
ノミネート:【最悪の歌曲・歌唱】部門
「Viva Rock Vegas」(アン=マーグレット)