『ブロンコ・ビリー』:1980、アメリカ

カウボーイとインディアンの時代を再現するワイルド・ウエスト・ショーのテントには、ほとんど客が入っていなかった。司会者のドク・リンチが最初の出演者を紹介し、インディアンのビッグ・イーグルがガラガラ蛇を手にして現れた。イーグルは蛇にキスしようとするが、唇を噛まれて絶叫した。楽屋で待機していた座長のブロンコ・ビリーは報告を受け、いつものことなので呆れた。彼は現地でスカウトした助手のミッチー・フリッツが緊張しているのを見て、酒を与えた。
レオナード・ジェームズが投げ縄の妙技を披露した後、リンチは早撃ち名人のビリーを紹介する。ビリーは馬の曲乗りで登場し、ミッチーを呼び出した。ミッチーが皿を次々に投げると、ビリーが撃ち落とした。ミッチーは回転台に固定され、ビリーは目隠しで準備する。台が回された後、ビリーはミッチーの周囲に付いた風船に弾丸を浴びせて破裂させた。続いてビリーはナイフを投げ付けるが、ミッチーの左脚に傷を負わせてしまった。
ミッチーが一日で辞めた後、ビリーの一座は車で次の町へ向かう。ビリーはリンチから「みんなアンタが好きだが、半年も無給じゃやっていけない」と言われて憤慨し、大雨が降る中で全員を車から降ろす。彼が「金の亡者に用は無い」と怒鳴ると、二丁拳銃のレフティー・ルバウやイーグルの妻のウォータたちが生活の大変さを吐露する。ビリーが「子供たちの笑顔のためにやっているんだ」と声を荒らげると、リンチは彼をなだめて「みんな辞める気は無い」と告げた。
カンザスの町に着いたビリーは許可を貰うため、役所へ赴いた。役所にはアントワネット・リリーとジョン・アーリントンという男女が、結婚のために来ていた。リリーはジョンに高慢な態度を取り、「君を愛してる」と言われると「利用してるだけよ」と突き放す。リリーは「私は日曜日で30歳になる。その前に結婚しないと、パパの遺産を失う。貴方は一文無しだから、そのお金目当て。愛は無関係。お互い、クールに行きましょう」と話し、判事の部屋に向かった。
ビリーの一座がテントを準備している空き地の近くで、リリーとジョンを乗せた運転手付きの車はオーバーヒートを起こした。ガソリンスタンドの整備工に調べてもらうと、ラジエーターを直すのに明日まで掛かると言われる。リリーは「ニューヨークに帰りたい」と不愉快そうに言い、彼女が去った後でジョンは「頭に来る。殺してやりたい」と呟いた。ビリーは子供たちが会いに来ると、招待券をプレゼントした。彼は新しい助手を見つけるため町へ行き、ハンバーガー店で働くドリス・デュークをスカウトした。
その夜、ビリーはショーでドリスを馬に引っ張り上げようとするが、失敗して落下させてしまった。モーテルで泊まったリリーは、ジョンが体に触れようとすると「また許可なく触れたら、私の前から消えてもらうわ」と言い放った。翌朝、小切手を換金するため銀行へ赴いたビリーは、2人組の強盗と遭遇する。強盗が少年を突き飛ばす様子を見たビリーは、得意の早撃ちで撃退した。テレビの取材を受けた彼は、ショーを宣伝した。
リリーが目を覚ますと、ジョンは所持品を盗んで姿を消していた。彼女はガソリスタンドで電話を使わせてもらおうとするが、「小銭が無いと使えない」と整備工に言われる。コーラを買いに来ていたビリーが声を掛けると、リリーは小銭を貸してほしいと頼んだ。ビリーは「向こうにある」と告げ、トレーラーへ案内する。彼からリリーを紹介された座員たちは、新しい助手だと決め付けて挨拶した。ビリーはリリーに「最初の給料から引いておく」と告げ、小銭を渡した。
リリーはニューヨークに住む義母のアイリーンに電話しようとするが、交換手から話し中だと言われてしまった。彼女はビリーに「次の町まで乗せていって」と頼み、トレーラーに同乗させてもらう。アイリーンは弁護士のエドガーに、「ジョンが義理の娘を殺したのよ」と言う。「あの娘が死んだら、私はどうなるの?」と彼女が口にすると、エドガーは「彼女の父の遺産を貴方が相続することになる」と語る。彼が「私が警察に電話します」と言うと、アイリーンは笑顔で抱き付いた。
リリーはビリーに不遜な態度を取り、「舞台に出る気は無いわ」と告げる。ビリーが「俺が雇い主だ」と主張すると、彼女は「やめてよ、下品なカウボーイが」と侮蔑する。ビリーは腹を立て、彼女をトレーラーから放り出した。すると後ろのトラックを運転していたイーグルが、リリーを拾ってくれた。翌朝にリリーが目を覚ますと車は孤児院に停まっており、ドクは慰問で来たことを教える。院長の尼僧から昼食に招待されたビリーは、リリーも誘った。
リリーから「幾ら払うの?」と問われた院長は、「毎年、無料で来てくれる」と答えた。ビリーはリリーに「町まで送る約束よ」と言われ、「送るから、助手が見つかるまで手伝ってくれ。そのあとは自由だ」と持ち掛ける。リリーが承諾すると、ビリーは彼にショーの手順を説明して練習させた。エドガーはアイリーンに、FBIがアリゾナでジョンを逮捕したことを知らせる。彼は「ジョンは殺人で起訴される。捕まった時は赤痢で喋れなかったので自白していない」と言い、面会に行くことを話す。アイリーンは、彼に、「自白したら、すぐに私の遺産相続の申請を」と頼んだ。
リリーが初めて参加したショーは無事に終了するが、ビリーは彼女が勝手に台詞を変えたことに激怒した。リリーは激しく反発し、「もう辞めるわ。また怒鳴ったら、目玉を抉り出してやる」と怒鳴る。次の町まで送ってもらったリリーは新聞を読み、自分がジョンに殺されたと報じる記事を見た。エドガーの訪問を受けたジョンは、リリーを殺していないと話す。しかしエドガーが「一時的な精神障害だと言えば、3年の病院収容で済む。殺人を認めれば、病院を出た時に50万ドルを受け取れる」と取引を提案すると、ジョンは承諾した。リリーはビリーに助手を続けると言い、一座に同行して次の町へ向かった。
イーグルからウォータの妊娠を打ち明けられたビリーは、座員たちを呼んで祝福する。彼は祝杯を挙げるため、カントリーバーへ座員たちを連れて行く。無愛想にビールを飲むリリーに、ビリーは「一緒に楽しくやろう」と告げる。リリーが拒絶すると、「親に甘やかされて育ったんだろ」と彼は指摘する。リリーは「父は9歳の時に死んだわ」と述べた。「人間は馬鹿よ」と彼女が泣き出すと、ビリーはダンスに誘った。ビリーが不意にキスすると、リリーは嫌がって突き飛ばした。その弾みで隣にいた男にぶつかったリリーは、突き飛ばされた。腹を立てたビリーが男に殴り掛かり、他の客たちも巻き込んだ乱闘に発展した。
店を出たリリーは2人の男たちにレイプされそうになるが、駆け付けたビリーが助けた。レオナードは「店へ戻って飲み直そう」と誘うが、他の面々は遠慮した。トレーラーに戻ったビリーは、リリーから「結婚は?」と訊かれて「昔な」と答える。詳細を問われた彼は、「俺の親友と寝たから妻を撃った。殺人未遂で7年の刑務所暮らしだ。そこでドク、レフティー、イーグルと出会った」と説明した。ビリーとリリーは、同じベッドで寄り添いながら眠りに就いた。
次の朝、ビリーはドクから、レオナードが逮捕されたことを知らされた。ビリーが事務所へ行くと、ディックス保安官はレオナードが酒場で暴行事件を起こしたことを話す。さらに彼は、「レオナードについて照会したら、軍隊から逃亡して手配されていた」と教える。ビリーは信じられずに困惑するが、ディックスが証拠の書類を見せた。ビリーが面会に行くと、レオナードは「あの頃はガキだった」と釈明した。「逃亡犯だと知ったら、観客席の子供たちはどう思う?」とビリーが言うと、彼は「死んだことにしておいてくれ」と語る。ビリーは「全て終わりだ」と告げ、保安官事務所を後にした。
テントに戻ったビリーは、座員に何も言わず車で外出する。彼はディックスを人のいない場所へ呼び出し、500ドルを見せてレオナードの解放を要請する。「足りないな」と言われた彼は、全財産の1100ドルを差し出した。ディックスは「早撃ちらしいが、俺の方が早い」と告げ、「試してみるか」と挑発的な態度を取った。ビリーが「アンタの方が早いよ」と口にすると、ディックスは拳銃を地面に捨てるよう命じた。ビリーが素直に従うと、ディックスは「お前は腰抜けだ」と罵った。
夜になってもビリーが戻らないため、座員たちは仕方なくショーを開始した。ビリーは遅れて戻って来るが、客が藁に火を放ってテントは炎に包まれた。ビリーが迅速に全員を非難させたために死傷者は出なかったが、テントは焼け落ちてしまった。レフティーやイーグルたちはリリーを疫病神呼ばわりし、ビリーに彼女を追い出すよう迫った。しかしビリーはリリーを同行させ、次の町を目指す。彼はテントを手に入れるため、列車強盗を計画する…。

監督はクリント・イーストウッド、脚本はデニス・ハッキン、製作はデニス・ハッキン&ニール・ドブロフスキー、製作総指揮はロバート・デイリー、製作協力はフリッツ・メインズ、撮影はデヴィッド・ワース、美術はジーン・ルーリー、編集はフェリス・ウェブスター&ジョエル・コックス、衣装はグレン・ライト、音楽監修はスナッフ・ギャレット。
主演はクリント・イーストウッド、共演はソンドラ・ロック、ジェフリー・ルイス、スキャットマン・クローザース、ビル・マッキーニー、ウィリアム・プリンス、サム・ボトムズ、ダン・ヴァディス、シエラ・ペチャー、ウォルター・バーンズ、ビヴァリー・マッキンゼー、ウッドロー・パーフリー、パム・アッバス、ダグラス・マクグラス、ハンク・ウォーデン、テッサ・リチャード、エディー・バード、ダグラス・コプシー、ジョン・ウェズリー・エリオットJr.、チャック・ヒックス、ボビー・ホイ、ジェファーソン・ジュエル、ダウニーン・リー、ドン・ママート、ロイド・ネルソン、ジョージ・オリソン、マイケル・レインボルド、タニア・ラッセル、ヴァレリー・シャンクス他。


『アウトロー』『ガントレット』のクリント・イーストウッドが監督と主演を務めた作品。
脚本は『グランドキャニオンの黄金』のデニス・ハッキン。
ビリーをクリント・イーストウッド、リリーをソンドラ・ロック、ジョンをジェフリー・ルイス、ドクをスキャットマン・クローザース、レフティーをビル・マッキーニー、エドガーをウィリアム・プリンス、レオナードをサム・ボトムズ、イーグルをダン・ヴァディス、ウォータをシエラ・ペチャーが演じている。
アンクレジットだが、クリント・イーストウッドの子供であるカイルとアリソンが孤児院の子供役で出演している。

クリント・イーストウッドとソンドラ・ロックは、1976年の『アウトロー』がきっかけで不倫関係となった。
その後、イーストウッドは自身が主演する『ガントレット』と『ダーティファイター』にも彼女を起用しており、これが4作目の共演となった。
いずれの作品でも、2人は恋人になる役柄を演じている。私生活で付き合うだけでは満足できず、映画の中でも恋人であり続けたかったらしい。それぐらいクリント・イーストウッドがソンドラ・ロックにベタ惚れだったってことだね。
しかし、そんなクリント・イーストウッドの公私混同が、この映画の大きな欠点に結び付いている。

オープニングでショーの演目を幾つか順番に見せるのは、「ビリーの一座はこんなショーをやっています」ってのを紹介する目的があるんだろうし、理解は出来る。ただ掴みの部分から、いきなりモタついていると感じる。
また、蛇の芸でイーグルが唇を噛まれるので「全員が失敗する」という流れにするのかと思ったらレオナードは普通に成功するので、統一感も取れていない。
ビリーの失敗に関しては、喜劇として成立しておらず、ただの痛々しい事故になっている。また、早撃ち名人として紹介されたのに、ナイフ投げまで見せるのは欲張り過ぎ。
あと事故についても、「台の建て付けが悪くて倒れてしまう」とか、とにかく血が出ない内容にすることは簡単に出来るはずで。どう考えたって、そこは笑える類の事故にしておいた方が得策でしょ。

リンチはビリーに「半年も無給じゃやっていけない」と言うが、決して抗議するような口調ではなく、かなり遠慮がちに言っている。それでもビリーは激怒し、「金の亡者に用は無い」と口にする。
だけど半年も無給で頑張っているんだから、ちっとも金の亡者ではない。
座員だってビリーと同じで「子供たちの笑顔のため」に頑張っているが、さすがに半年もノーギャラではキツいでしょ。それにビリーが何の責任も罪悪感も抱いておらず、逆ギレにも近い恫喝に出るって、完全にアウトじゃん。
意図的にそういうキャラとして描いているんだろうけど、笑えるわけでもないし、「愛すべき頑固者」に見えるわけでもないし、座員が不憫に見えるだけだぞ。

アイリーンは「30歳までに結婚しないと遺産を相続できない」と話しているが、なぜなのかは説明してくれない。
そこは「それが父の遺言だったから」と解釈するにしても、その後も説明不足や処理の粗さが気になってしょうがない。
アイリーンはエドガーに「ジョンが義理の娘を殺した」と言っているが、なぜそんな誤解をしているのかサッパリ分からない。
しかしアイリーンが思い込んでいるだけじゃなくて、FBIも「ジョンがリリーを殺した」と断定して捕まえているんだよね。でもリリーの遺体が発見されたわけでもなければ、殺人の証拠があったわけでもない。
何がどうなったら、殺人と断定しての逮捕になるのかサッパリ分からんぞ。

新聞記事で「ジョンが自分を殺して逮捕された」という記事を見たリリーがショーの助手を続けると決めて一座に同行するのも、どういうつもりなのか全く分からない。
自分が殺されたってのは間違いなのに、なぜ早く警察に名乗り出て真実を明かそうとしないのか。
そのまま放置したら自分は父の遺産を受け取れずにアイリーンが相続することになるのに、それは別に構わないのか。
あと、幾ら酷い男であっても、ジョンが殺人罪で死刑になる可能性もあるのに、何の罪悪感も抱かないのか。

リリーは小銭を貸してほしいと頼んだだけで、助手になるなんて一度も約束していない。
だから「舞台に出る気は無い」と主張するのは当たり前で、「俺が雇い主だ」と偉そうに主張するビリーの方にも問題がある。
たぶん、「傲慢で頑固な男と高慢でジャジャ馬な女が、互いに反発しながらも次第に惹かれ合うようになっていく」という話をやりたかったんだろうとは思う。スクリューボール・コメディーで良く使われていたような、定型の恋愛劇だわな。
でも、そういう作品の演出がクリント・イーストウッド得意じゃなかったし、ソンドラ・ロックはそういう作品のヒロインに不向きだったということが、ハッキリと露呈する結果になっている。

何しろビリーもリリーも、まるで好感の持てない奴なのだ。
ビリーは「ノーギャラで孤児院を慰問する」という行動など、子供たちへの優しさをアピールしているが、些細なことで怒鳴り散らすシーンが何度もあって、せっかく上げた好感度をすぐに下げる。
ちょっとリリーがショーの台詞を変えたぐらいで罵倒するんだから、どこの大物脚本家なのかと。
それでショーの進行に支障が出るとか、観客が嘲笑するとか、そういう問題でも起きるならともかく、何も無いんだから別にいいんじゃないかと。

しばらく話が進むと、ビリーとリリーは互いに歩み寄り、怒鳴り散らすようなことも無くなる。
しかし、「互いに反発していたけど次第に惹かれ合って」という経緯を、上手く描けているとは到底言い難い。かなり強引に、そして急速に、2人の距離を近付けている。
この2人の関係描写は、当時の潮流を考えれば仕方の無い部分もあるが、昔からアメリカに根付いていたマッチョイズムが悪い意味で色濃く反映されている。
東映の実録任侠路線で「男に置かされた女がメロメロになる」ってな描写が良く見られたが、極端なことを言ってしまえば、それと似たような匂いが感じられる。

ビリーはリリーから結婚について問われ、「俺の親友と寝たから妻を撃った。殺人未遂で7年の刑務所暮らしだ」と説明する。
それを彼は「刑務所で今の座員と出会ったので、悪い経験じゃなかった。それに、もう罪は償った」ってな感じでサラッと喋っている。
だけど、「妻は浮気したから撃ち殺そうとしたけど、浮気相手は親友だから撃たなかった」というのを何食わぬ顔で喋るのは、まるで共感を誘わない男になってるぞ。
たまたま妻は死なずに済んだけど、撃つ時点では殺意満々だったわけだし。

後半、火災でテントを失ったビリーは、列車強盗を企てる。それはダメだろ。
そもそも妻の殺人未遂を全く償っていない様子だけで大いに問題があるが、そこで出会った座員たちは足を洗ってサーカス一座になったはず。それなのに、そんな仲間を巻き込んで犯罪に手を出そうとするのは、間違った行為だ。
「ヤケだ」と言っているが、「だから仕方が無い」とは思わんぞ。
結果的には失敗に終わるし逮捕もされずに済むけど、そこは「一度はヤケになって強盗を考えるが、思い留まる」という形にでもした方がいい。

その後には「犯罪精神病者の施設へ行き、院長にテントを用意するための協力を頼むと快諾してもらえる」という展開があるんだし、最初からそうすりゃ良かったじゃねえか、と言いたくなるんだよね。
もしかすると、「強盗を目論んで列車に向けて発砲したり矢を放ったりするが、まるで気付かれずに通過していく」という滑稽さを盛り込みたかったのかもしれない。
ただ、そうだとしても、そんなに喜劇としての効果が発揮されているわけでもないしね。

あと、テントの火災は「止むを得ないアクシデント」「誰も責められない不幸な事故」ではなくて、数名の若い男たちが会場の藁へ向けて爆竹を投じているんだよね。
そもそも「そんなことをする理由は何なのか」ってのが気になるけど、悪ふざけなのか何かなのかもしれない。
ただ理由はともかく、そにこは明らかに「放火の犯人」が存在するわけで。
そいつらが何の罰も受けず、贖罪もせず、スルーされたままで終わっちゃうので、なんかスッキリしないんだよね。

ビリーたちが施設へ行くとジョンが入院していて、リリーに気付く。彼は院長に真実を打ち明け、地元警察の副署長が呼ばれる。副署長はリリーを取り調べ、ビリーの一座も含めてFBIがニューヨークへ連行すると通告する。
ビリーは勝手に一座を率いて次の町へ向かうが、警察やFBIに捕まるようなことは無い。
シーンが切り替わるとリリーはニューヨークへ戻っているが、FBIに尋問された様子は無い。
別に罪を犯したわけでもないし、「FBIが云々」という言及なんて無しにして、「連絡を受けたエドガーが迎えに来たので仕方なく実家へ戻る」ということでも良かったんじゃないかと。

ともかくリリーは無罪放免で自由になったのだから、さっさとビリーの元へ戻ればいい。警察が来る直前には、ビリーと愛を確かめ合っていたんだからね。
でも、ウォータからの電話で「貴方が必要よ」と言われて、初めて戻る気になるんだよね。
それは、あらかじめ定めた展開に向けた流れの作り方を失敗しているとしか思えない。
あと、「リリーがショーに戻り、ビリーと抱き合う」というトコまで描いたら、それで終わればいいのよ。そこから5分ほどショーの様子を描くのは、完全なる蛇足だぞ。

(観賞日:2019年3月1日)


第1回ゴールデン・ラズベリー賞(1980年)

ノミネート:最低主演女優賞[ソンドラ・ロック]

 

*ポンコツ映画愛護協会