『ブライド』:1985、イギリス&アメリカ
実験の失敗によって醜い怪物を生み出してしまったチャールズ・フランケンシュタイン博士が、今度は美しい女性の人造人間を誕生させた。雷のエネルギーを利用して魂を吹き込まれた人造人間に、フランケンシュタインはイーヴァと名付けた。
フランケンシュタインの住む古塔から逃げ出した醜い怪物は、ブダペストを目指して旅をしている小人のリナルドと出会った。リナルドの旅に同行することになった怪物は、彼からヴィクターという名前を貰い、共にサーカスに入団した。
フランケンシュタインはイーヴァに対し、様々な知識やレディーとしての作法を教え込む。フランケンシュタインが望む理想の女性となったイーヴァは、社交界にデビューした。多くの男達の目を惹き付けたイーヴァは、ヨゼフという男と親しくなる。
サーカスの団長と団員のベラは、リナルドとヴィクターに払った賃金を取り戻そうと企んでいた。空中ブランコに使うロープにベラが切れ目を入れたため、リナルドは落下して死んでしまう。ベラを殺害してサーカスを逃げ出したヴィクターは、イーヴァに再会する…。監督はフランク・ロッダム、原作はメアリー・シェリー、脚本&製作協力はロイド・フォンヴィル、製作はヴィクター・ドライ、共同製作はクリス・ケニー、製作総指揮はキース・アッディス、撮影はスティーヴン・H・ブラム、編集はマイケル・エリス、美術はマイケル・シーモア、衣装はシャーリー・ラッセル、音楽はモーリス・ジャール。
出演はジェニファー・ビールス、スティング、アンソニー・ヒギンス、クランシー・ブラウン、デヴィッド・ラパポート、ジェラルディン・ペイジ、アレクセイ・セイル、フィル・ダニエルズ、ヴェラスチカ、クエンティン・クリスプ、ケアリー・エルウェス、ティム・スパール、ケン・キャンベル、ガイ・ロルフ、アンドリュー・デ・ラ・ツアー、トニー・ブルータス他。
1935年の映画『フランケンシュタインの花嫁』をベースにした作品。
のっけからB級テイスト丸出しの装置で、B級テイスト丸出しの実験が行われるので、バカテイストに満ち溢れた怪奇映画だと思ったら、全く違っていた。
どうやら、文芸ドラマっぽい映画らしい。実験により、英国的でエレガントな衣装に身を包んだ人造人間が誕生する。
ちなみに、誕生したばかりなのに、そんな高貴な衣装を着ている理由は不明。
で、その女性の正体は、思いっきり現代アメリカンなジェニファー・ビールス。
思わず、「趣味の悪いコスプレか?」と言いたくなってしまう。
だが、どうやらマジらしい。で、スティング演じるフランケンシュタインは、彼女を「驚くほど美しい」と語る。
社交界デビューした彼女は、「大勢の男の心を迷わせる」と言われる。
どうやら、彼女は絶世の美女らしい。
ジェニファー・ビールスが絶世の美女?
これがマジだから困ってしまう。イーヴァは、「フランケンシュタイン博士の遠い親戚」と自己紹介。
ジェニファー・ビールスがスティングの親戚?
しかし、これもギャグではなく、マジなのである。
英国の風景の中で、ジェニファー・ビールスが別の意味で際立っている。序盤を過ぎると、一方では野生の人造人間イーヴァの“マイ・フェア・レディ”と、ヴィクター&リナルドによるフリークスの友情物語が並行して展開する。
どっちもマジに描かれている。
そして、マジなだけにバカバカしいという困った状態になっている。ヴィクター&リナルドは、教会で金を盗んだり、橋から落とされたり。
そんな珍道中を繰り広げる。
一方のイーヴァは、ジェニファー・ビールスよりも遥かに人造人間っぽいスティング演じるフランケンシュタイン博士と、ウダウダと話したりしている。全体を通して、「急いでもしょうがない」とでも言いたいのかと思えるほどの、スローフードならぬスロードラマが展開する。
ゆったりとした時間の流れの中で、まったりとした中身の薄いドラマが展開していく。
そこで得られるのは、せいぜいアクビぐらいのものだ。
第6回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低主演女優賞[ジェニファー・ビールス]