『僕のボーガス』:1996、アメリカ

ミラージュ・サーカスの踊り子をしているロレイン・フランクリンは、7歳になる息子のアルバートに主催者のアントワーヌが披露するショーをステージ裏から見物させる。アルバートが興奮していると、戻って来たアントワーヌは手品で彼を喜ばせた。ある日、ロレインはアルバートを大家に預け、ショーに出掛けた。ショーを終えたロレインは電話を掛け、居間から帰るとアルバートに告げた。アルバートはアントワーヌに憧れ、家で手品を練習していた。電話を切った後、彼は紙袋に入れた瓶を消す手品を大家に披露した。
帰路に就いたロレインは、信号無視で突っ込んで来た車に激突されて死亡した。ロレインの葬儀が行われ、サーカスの団員たちが集まって彼女の死を悼んだ。アルバートは「みんなが悲しくなるから」という理由で、用意した手紙を読まなかった。団員たちはアルバートを引き取ってくれる家族について話すが、ロレインと仲の良かった踊り子のルースは「アルバートの父親はすぐに姿を消した。ロレインに家族はいない。里親の家で育ったの」と話す。話を聞いていたアルバートが「みんなと一緒にいられないの?」と言うと、アントワーヌは困った表情で「もちろん一緒にいたいが、旅から旅への商売だ家が無いんだ」と説明した。
弁護士のクレイ・スラッシャーと会ったアントワーヌたちは、ロレインが「自分に何かあった時は、同じ里親の元で育ったハリエットに連絡して。何年も話していないけど、きっと息子を愛してくれるはずです」という遺言を残していたことを知った。ハリエットは里親の元で育ったニュージャージー州ニューアークに今も住んでおり、レストランの備品を扱う小さな会社を営んでいた。クレイは彼女に電話を掛け、ロレインの死を伝えた。
ショックを受けたハリエットは、ロレインに息子がいたことを初めて知った。書類ではアルバートの保護者になっていることを聞かされ、ハリエットは驚いた。彼女は引き取りを拒否し、激しく反発する。しかし「子供を施設に入れることになる」と言われ、仕方なく引き取ることにした。アルバートはパートリッジ夫人に付き添われ、飛行機でニューアークへ向かう。機内で客室乗務員からお絵描き帳を貰った彼は、人間の顔を幾つも描き始めた。すると大きな男性の顔の口が動き、アルバートに語り掛けた。アルバートは彼のリクエストに応じ、目と鼻を大きく描いて頭髪を増やした。パートリッジ夫人が「何を笑ってるの?」と訊くと、彼は「別に」と答えた。
トイレへ向かったアルバートは女性客を目撃し、母を思い出す。個室に入った彼が泣いていると、お絵描き帳から「苦しいよ」と声がした。アルバートがお絵描き帳を開くと、先程の顔が「出てもいいかな?」と言う。そこから光が放たれて絵が消え、1人の大男がアルバートの前に出現した。男が「僕はボーガスだ」と言うと、アルバートも名乗る。「ママに会いたい」とアルバートが漏らすと、ボーガスは「君には代わりのママがいる。代わりのままも素晴らしいぞ」と言う。アルバートが「代わりのママなんて嫌だ」と拒むと、「気に入るかもしれないだろ。目を疑うような最高のママかも」とボーガスは告げた。
アルバートが空港で待っていると、ハリエットが現れた。アルバートは怪物の本性を現した彼女に襲われる幻覚を見て、慌てて逃げ出そうとする。しかしボーガスに気付いた彼は、ハリエットと空港を出た。ハリエットは駐車違反の切符を切られて警官に抗議し、アルバートを車に乗せた。ボーガスは後部座席に乗り込み、アルバートに助言した。ハリエットはアパートに戻り、2人で暮らすルールをアルバートに説明した。イライラしているハリエットをアルバートが怖がると、ボーガスが優しくなだめた。
ハリエットはアルバートを部屋に案内し、「事業を拡張中で仕事が忙しいから、アンタに構っていられないの」と告げる。アルバートが「ママは色んな場所に連れて行ってくれた」と言うと、彼女は「私には無理よ。会社があるからね」と述べた。ハリエットが「何とかして大人にならなきゃね。ママも私も、そうやって大人になったの」と話すと、ボーガスは「優しい言葉を掛けてやれよ」と言うが、もちろん彼女には聞こえなかった。
ボーガスと2人になったアルバートは、「もう家に帰る。彼女は野球を知らないし、ニューアークのことしか話さない」と泣きながら不満を吐露する。彼は「大嫌いだ」と声を荒らげ、ボーガスが「彼女には友達が必要だ」と諭しても耳を貸さなかった。彼は風呂に入ってもボーガスに「ここに住みたくない」と苛立ちをぶつけ、ハリエットが夕食を用意しても「食べたくない」と拒絶した。ロレインの写真を見たハリエットは、里親の家で彼女と出会った頃を思い出した。 翌日、ハリエットはアルバートを小学校まで送り届け、仕事に向かった。彼女は部下のペニーからアルバートのことを問われ、「私には見えない友達と話しているみたい」と答えた。3時に銀行員のボブと倉庫で会う予定が入っていると知らされたハリエットは、「2時45分にアルバートを迎えに行かなきゃならないのに」と焦る。急いで小学校へ向かった彼女だが渋滞に巻き込まれ、なかなか来ないことに痺れを切らしたアルバートはボーガスと一緒に学校を去った。
アルバートが公園でボーガスと遊んでいると、ハリエットがやって来た。彼女は「みんな心配して捜してるのに」とアルバートを叱責し、車に乗せた。「1人でブツブツ言って変だよ」とハリエットが告げると、アルバートは「魔法を信じないからだ」と反論する。ハリエットは「そうよ。目に見える物しか信じない」と言い、『ピーター・パン』をテレビで見た幼少期の出来事を語る。「魔法を信じて手を叩けば毒を飲まされたティンカー・ベルが生き返る」と番組は呼び掛けたが、ハリエットは信じていないので手を叩かなかった。それでも生き返ったのだから、魔法など大人が信じ込ませようとしているだけだと彼女は吐き捨てるように告げた。
ハリエットは倉庫へ赴いてボブと会い、会社で購入を考えている大量の備品を見せてもらう。彼女がボブと話をしている間に、アルバートはボーガスにバナナ・スプリットを食べさせてもらう。その様子を見たボブは「バナナ・スプリットだね」と言い、「僕にも食べさせて」とアルバートに話し掛けた。彼が「ウチにも君と同じぐらいの子供がいる。誕生日パーティーに来ないか」と誘うとハリエットは密かに断るように合図を送る。しかしアルバートは行くと答え、ボブは倉庫を去った。
ハリエットが「いつも誰と喋ってるの?」と訊くと、アルバートは「ボーガス」と答える。「目に見える友達を作ってくれた方が嬉しい」と彼女は言い、見えているフリをした。彼女はボーガスを説得して去ってもらう芝居をするが、もちろんアルバートには通じなかった。その夜、ハリエットが眠っていると、ボーガスが現れた。息を吹き掛けられたハリエットは驚いて目を覚ますが、部屋には誰もいなかった。学校で国語の授業を受けたアルバートは、教師からボーガスという言葉の意味は偽物だと教えられる。しかしアルバートは納得できず、「ボーガスは本物だ」と声を荒らげた。
ハリエットは誕生日パーティーに行くことに消極的だったが、ペニーが「あの子を連れて行くべきよ」と説得した。仕方なくアルバートをパーティーに連れて行ったハリエットは、ボブから融資の返事を貰おうとする。しかしボブは「今日はパーティーだよ」と言い、仕事の話に付き合わなかった。パーティーには奇術師のドクター・サプライズが呼ばれており、子供たちに大きな箱を使った手品を見せようとする。アルバートは仕掛けを知っており、隣にいた子供に教える。ハリエットはサプライズから箱に入るよう促されるが、周囲が困惑するほど激しく嫌がった。
帰宅したアルバートは、ハリエットにアントワーヌから教わった手品を見せようとする。しかしハリエットが「アンタの相手をしている暇は無いの」と冷たく突き放したので、アルバートは寝室に戻って「大嫌いだ」と怒鳴った。ボーガスはハリエットに、「見てほしかっただけなのに、なぜ突き放す?」と告げた。ハリエットは声を耳にして振り向くが、ボーガスは姿を消していた。再びハリエットが向き直ると、またボーガスは現れて彼女を説教した。
翌日、出勤したハリエットは、ペニーからボブが「銀行から融資は受けられない」と電話してきたことを知らされた。ボブが夜にならないと戻らないと聞いた彼女は、「直談判するから会う約束を取り付けて」と指示する。彼女はアパートの下の女性にアルバートの子守を頼み、ボブの家へ行く。アルバートは子守が転寝している間に、ミラージュ・サーカスがアトランティック・シティーでショーを行うことを新聞で知った。彼はボーガスが止めるのも聞かずアパートを抜け出し、バスに乗ってショーが行われている会場へ向かう…。

監督はノーマン・ジュイソン、原案はジェフ・ロスバーグ&フランシス・X・マッカーシー、脚本はアルヴィン・サージェント、製作はノーマン・ジュイソン&アーノン・ミルチャン&ジェフ・ロスバーグ、製作総指揮はマイケル・ネイサンソン&パトリック・マーキー&ゲイル・フレイザー=ベイゲルマン、製作協力はマイケル・ジュイソン、撮影はデヴィッド・ワトキン、美術はケン・アダム、編集はスティーヴン・E・リフキン、衣装はルース・マイヤーズ、音楽はマーク・シャイマン。
出演はウーピー・ゴールドバーグ、ジェラール・ドパルデュー、ハーレイ・ジョエル・オスメント、ナンシー・トラヴィス、デニス・マーシアー、ウテ・レンパー、アンドレア・マーティン、シェリル・リー・ラルフ、バーバラ・ハミルトン、アル・ワックスマン、エリザベス・ハーパー、フィオナ・リード、ケヴィン・ジャクソン、リチャード・ポートナウ、モー・ガフニー、サラ・ピーニー、シンシア・メイス、ドン・フランクス、ジャスティン・ジョンストン、フランク・メドラノ、フィリップ・ウィリアムズ、ジャッキー・リチャードソン他。


『結婚しない族』『月の輝く夜に』のノーマン・ジュイソンが監督を務めた作品。
脚本は『普通の人々』『アザー・ピープルズ・マネー』のアルヴィン・サージェント。
ハリエットをウーピー・ゴールドバーグ、ボーガスをジェラール・ドパルデュー、アルバートをハーレイ・ジョエル・オスメント、ロレインをナンシー・トラヴィス、アントワーヌをデニス・マーシアー、彼の妻のバベットをウテ・レンパー、ペニーをアンドレア・マーティン、ルースをシェリル・リー・ラルフが演じている。

序盤で「主人公の身内が死ぬ」という設定を用意する映画は、世界中に幾らでもある。
そこから「身内を亡くした悲しみを引きずっていた主人公が、前を向いて人生を歩み始める」という展開になる映画も、これまた世界中に幾らでもある。
厳密に言うと主人公はアルバートじゃなくてハリエットってことになるんだろうが、まあ大して違いは無い。
で、その手の映画で気を付けなきゃいけないポイントがあって、それは「身内の死因」である。

死因としてベストなのは、病死だ。その理由は明白で、「誰も恨んだり憎んだりできない死」だからだ。
そういう観点で考えれば、例えば「飛び出してきた動物を避けようとしての事故死」ってことでも悪くはない。さすがに、飛び出してきた動物に対して復讐心を抱くような展開を望む観客はいないだろう。
最も厄介なのが、殺人だ。これだと、犯人に対する怒りや復讐心ってのが生じるので、そこを何とか解決してほしいと思ってしまうからだ。
キリスト教国家であるアメリカだと、「憎しみの気持ちを捨てることで前に踏み出せる」という風に話を持って行くこともあるだろうが、それだとモヤモヤしたモノが残ってしまう。

さて前置きが長くなったが、この映画におけるロレインの死は、「信号無視で突っ込んで来た車が激突した」ってのが原因だ。つまり殺人ではないが、ロレインを殺した犯人がいるってことだ。
それでも、相手に大きな落ち度が無くて止むを得ない事故であれば、そんなに気にならなかったかもしれない。
しかし本作品の場合、どういう事情で相手が信号を無視して猛スピードで突っ込んで来たのか明らかにされていないので、「悪質な運転」としか受け取れない。
そして、そうなると、ロレインの死を悼むのと同時に、「加害者は罪を償うべき」ということが気になるのだ。

ところが本作品では、そこを完全に無視している。ロレインが死んだ後は葬儀のシーンを描くだけで、加害者については全く触れずに話を先へ進めるのだ。
加害者を登場させたり衝突事故の原因を言及したりすれば、そっちに興味が移ってしまうので、そこを避けるのは理解できなくもない。
だけど「信号無視の衝突事故」という出来事を起こしてしまった以上、加害者の存在を無視するのは不都合な現実から目を背けているようにしか思えないのだ。
そこを避けるぐらいなら、最初から加害者の存在する事故をロレインの死因にしなきゃ良かっただけでしょ。そうすれば、そんな問題は生じなかったんだからさ。

ハリエットは書類上でアルバートの保護者になっていると聞かされ、激しく狼狽する。
その反応は分かるのだが、そこから「その子の責任を押し付けるために私を探し当てたのね」「父親がいないわけないでしょ。私には母性が無いの」「それに、その子は白人でしょ」などと、まるでクレイやアントワーヌたちを非難するかのように激しい口調で反発するのは、「何故そこまで?」と違和感を覚える。
ロレインに対する疑似姉妹としての絆や愛情は、間違いなく持っている。
それにしては、彼女の息子を引き取ることに対して困惑より拒絶が圧倒的に強いってのは、どういうことなのかと。

そこをスムーズに受け入れさせる方法は、そんなに難しいわけではない。
まずハリエットの登場シーンで、「母親になること、もしくは家族を持つことを徹底的に嫌っている」ってことを提示するのだ。
さらに、そんな気持ちになった理由についても、軽く触れておくといいだろう。引き金になった過去の出来事にも具体的に触れた方がいいけど、それは後から挿入する形でも構わない。
まさか、「里親の元で育った」ってのを示しただけで、「だから母親になりたいと思わないのは当然だよね」と納得させられるとでも思ったのか。

アルバートは機内で絵の顔と話した時、隣の男性が「俺に喋ってるのか?」と訊かれて「違うよ」と否定する。パートリッジ夫人に「何を笑ってるの?」と問われ、「別に」と返す。
つまり、「描いた顔が急に喋りはじめた」ってことを、誰にも教えようとしないのだ。
その奇妙な現象に驚かず、あっさりと受け入れるのは、まだ理解できるのよ。でも、それを「不思議でも何でもない現象」として受け入れるのであれば、なぜパートリッジ夫人に嘘をついて内緒にするのか。
そこは行動理念の一貫性が失われているように感じるぞ。

機内のトイレに行ったアルバートは女性客を見て母を思い出し、個室に駆け込んで泣き出す。
「そのタイミングだろ」と言いたくなった。何が「そのタイミング」かって言うと、絵を初めて喋らせるタイミングだ。
この映画だと、絵を描き始めたら、すぐに喋り始める。だけど、たぶん説明しなくても分かる人も多いだろうけど、ボーガスは母を亡くした悲しみからアルバートが生み出したイマジナリー・フレンドなのだ。
だったら、その喪失感が強烈に蘇ったタイミングで初登場させた方が、ドラマティックでしょ。
つまり、絵を描いた時点では何も起きず、「アルバートがトイレで泣いていたらノートから声が聞こえて、驚いてページをめくると顔が喋っていて、彼と話すことで元気付けられる」という流れにした方がいいんじゃないかと。

トイレでは「ボーガスが実体化する」という展開があるけど、そもそも顔が喋っている時点で既に「イマジナリー・フレンド」としては実質的に成立しているわけで。
なので、先に絵として喋らせておいて、トイレのシーンでは実体化という風に分けても、「そういうことじゃないのよ」と言いたくなるのよ。
っていうか、もはや「絵が喋る」という手順を排除したっていいぐらいなのよ。どうせ絵に描かれた顔と実体化したボーガスは、似ても似つかないんだし。
いきなりジェラール・ドパルデューをイマジナリー・フレンドとして登場させても、そんなに効果としては変わらない気がするなあ。

「いきなりジェラール・ドパルデューだと脈絡ゼロで不自然だろ」と思うかもしれないけど、それを言い出したらボーガスと名乗るのも不自然だからね。
そいつはアルバートの生み出した存在なんだから、本来ならば「そいつがボーガスという名前である理由」はあった方が望ましいはずで。
だから、前もって「アルバートがボーガスという名前を意識する」というシーンがあるといいのよね。
例えばロレインと話す中で、その名前が出て来るとかさ。
ボーガスの名前をミステリーとして使い、後で由来を明かしてハートウォーミングに持って行く手もあるけど、そんな戦略は採用していないし。

ハリエットは子供と暮らすことに慣れていないから戸惑っているのかと、最初の内は思っていた。だが、それにしては、あまりにも彼女のイライラが酷い。なので、だんだん彼女に対する不快感が強くなっていく。
手品の箱に入ることを異常に嫌がって子供たちを突き飛ばす行動を取るシーンなんかもあるが、どういうことだかサッパリ分からない。
不可解に思える態度が多いので、途中で回想シーンを挿入するなりして、「実はこんな事情が」みたいな手順が用意されているんだろうと思っていたのよ。でも、そんなの何も無いのよね。
その結果、単純に怒りっぽいだけの女ってことになってしまう。

ひょっとすると、「会社を拡張するための計画が思うように進まず、焦っていた」ってことが、イライラに繋がっていたのかもしれない。
ただ、そういう設定だとしたら、それを上手く表現できているとは言い難い。
さらに言うと、仮にそういう設定だとしても、その苛立ちをアルバートにぶつけるのは、擁護できるようなモノではない。
あと、どういう理由であろうと、アルバートに苛立ちをぶつけていたことを反省し、謝罪する行動は入れるべきだろうに、そういうのも無いのよね。

ボーガスがハリエットの寝室に現れたり、彼女に話し掛けたりするシーンがある。そうやって、「ハリエットもボーガスの存在に気付くようになる」ってのを描いているわけだ。
しかし、そういうシーンが、あまりにも少なすぎる。
彼女がハッキリとボーガスの声を聴くのは、「どうして突き放す?」と責められる時だ。だが、まだ姿は見ていない。
ハリエットがボーガスの存在を認識する展開を用意するのなら、タイミングとしても遅すぎる。もう少し早い段階で、「ボーガスに気付くが信じようとしない、否定しようとする」という手順に入るべきだ。
それを経ていれば、「ハリエットがボーガスの存在を認め、彼と話す」というのを終盤に用意しても、展開としてはスムーズになるだろう。

あと、残り30分を過ぎた時点で、まだハリエットが全くアルバートを受け入れようとせず、アルバートが彼女を嫌ってサーカス団の元へ行くという展開を用意するのも、構成として失敗だろう。
この2人が互いに心を開いて疑似家族にならないと、ハッピーエンドは訪れないわけで。
もちろん、その後に2人が仲良くなる展開はあるけど、時間が足りないから強引で慌ただしくなっちゃってるのよ。
終盤を盛り上げるために、アルバートが逃げ出してサーカス団を訪ねる展開を用意するのは別に構わないと思うのよ。ただし結末から逆算すると、その前に一度は「ハリエットとアルバートが互いに歩み寄り、仲良くなる」という流れを用意した方がいい。その上で、「ハリエットが苛立ちをぶつけてしまい、アルバートが家から逃げ出す」という展開を終盤に用意すればいいのだ。

(観賞日:2021年3月11日)


第17回ゴールデン・ラズベリー賞(1996年)

ノミネート:最低主演女優賞[ウーピー・ゴールドバーグ]
<*『僕のボーガス』『エディー 勝利の天使』『T-REX』の3作でのノミネート>


第19回スティンカーズ最悪映画賞(1996年)

受賞:【最悪の主演女優】部門[ウーピー・ゴールドバーグ]
<*『僕のボーガス』『エディー 勝利の天使』『T-REX』の3作での受賞>

 

*ポンコツ映画愛護協会