『ボディガード』:1992、アメリカ

元シークレット・サービスのフランク・ファーマーは、現在はフリーのボディーガード。ある時、彼は歌手兼女優としてスーパースターの座に就いているレイチェル・マロンの護衛を依頼される。彼女の元には脅迫状が届いており、自宅に誰かが侵入した形跡もあった。
マネージャーのデヴァニーに頼まれてレイチェルの邸宅を訪れたフランクは、ずさんな警備体制に驚く。取り巻きの一人として軽く扱うレイチェルの態度に、一度は断ろうとするフランク。だがデヴァニーに懇願され、ボディーガードを引き受けることにする。
最初はフランクの存在を疎ましく感じていたレイチェルだが、次第に心惹かれるようになっていく。一夜を共にした2人だが、フランクは仕事を忘れてレイチェルを愛したことを後悔する。そんな態度を見たレイチェルは、フランクに対して冷たい態度を取るようになる。
フランクに見せつけるように、彼の元同僚ポートマンを誘ったりするレイチェル。フランクは彼女のボディーガードを降りようとするが、脅迫電話が入ったことで状況は一変。フランクはレイチェルと息子のフレッチャー、レイチェルの姉で付き人のニッキーを、自分の父親が住むオレゴンに連れて行く。
しかし、そこには安全な生活は無かった。フレッチャーがボートに仕掛けられた爆弾で殺されそうになったのだ。その夜、ニッキーは自分がレイチェル暗殺を見知らぬ男に依頼したとフランクに告白。だがフランクが目を離した隙に、ニッキーは何者かに殺されてしまう…。

監督はミック・ジャクソン、脚本はローレンス・カスダン、製作はローレンス・カスダン&ジム・ウイルソン&ケヴィン・コスナー、撮影はアンドリュー・ダン、編集はリチャード・A・ハリス&ドン・キャンバーン、美術はジェフリー・ビークロフト、衣装はスーザン・ニニンジャー、音楽はアラン・シルヴェストリ。
出演はケヴィン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン、ゲイリー・ケンプ、ビル・コッブス、ラルフ・ワイト、トマス・アラナ、ミシェル・ラマー・リチャーズ、マイク・スター、クリストファー・バート、デヴォーン・ニクソン、ジェリー・バンマン、ジョー・ウーラ他。


一見すると良く出来たシナリオのように見えて、実はデタラメ。
見知らぬ男に殺人を依頼するという部分だけを取ってみても、かなり不自然でしょ。しかもフランクが事実を突き止めるわけじゃなく、ニッキーが自分から勝手に喋ってくれるという都合のいい展開。

レイチェルの屋敷の警備がザル状態だが、あそこまで酷かったら今までに何度も泥棒とかに入られてるだろ。一等地の大豪邸なのに、まともな監視カメラや警報装置が無いなんて、いくらなんでも設定に無理がありすぎるって。

フランクの行動が理解不能。
車で移動するレイチェルに同乗したフランクが不審車を発見した時、なぜか自分は車から降りて不審車を追い掛けようとする。エイトマンじゃあるまいし、走って車に追いつけるとでも思ったのかねえ。

レイチェルを警護する役目なのに、2人きりでデートするフランク。他のボディーガードは要らないのかよ。そんでレイチェルとセックスして、次の朝になったら急に冷たい態度になる。
一度寝たら、後はどうでもいいってか。

で、自分のつれない対応が原因でレイチェルが冷たい態度を取るようになったのに、「もうやってられない」と言って仕事を降りようとするフランク。
おいおい、元はといえばお前のせいだろうが。“レイチェルだけが悪い”みたいな態度はイカンぞ。

フランクが自分の優秀さを証明するためにナイフ投げを披露するシーン。最初の2本を連続して大失敗。後の3本を連続で成功させるけど、それで本当に優秀といえるのかな。
だって、4割の確率でしか命中してないんだぞ。

なぜかナイフでリンゴを食べ、無意味にカッコイイ自分を演出するフランク。わざとレイチェルの警護役と険悪になる行動ばかり取って、あげくの果てに殺されそうになるフランク。自宅に日本刀を飾っているフランク。
凄いぞフランク。別の意味で。

レイチェルの行動も変。
偉そうな態度で椅子に座り、煙草を吹かせながら、「お願いだから私を守って」とフランクに言うレイチェル。おいおい、言葉と態度が合ってないぞ。息子フレッチャーが大切と言いながら、ほとんど息子と親密に触れ合うことが無いレイチェル。やっぱり言葉と態度が合ってない。

犯人の行動も意味不明。何がしたいのか、さっぱり分からない。
そもそも、犯人がどうしてレイチェルの命を狙うのかが分からない。最後になったら分かるのかと思ったが、最後まで見ても分からない。大体、テレビカメラマンに成り済まそうとしても、すぐにスタッフに気付かれるだろ、普通は。

ホイットニー・ヒューストン演じるレイチェルがアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされるという展開には笑ってしまう。ホイットニー・ヒューストンは実際には、『ボデイガード』によってゴールデン・ラズベリー賞の主演女優賞にノミネートされてるんだから。


第13回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[ケヴィン・コスナー]
ノミネート:最低主演女優賞[ホイットニー・ヒューストン]
ノミネート:最低新人賞[ケヴィン・コスナーの角刈り頭]
ノミネート:最低新人賞[ホイットニー・ヒューストン]
ノミネート:最低オリジナル歌曲賞「Queen Of The Night」

 

*ポンコツ映画愛護協会