『最凶女装計画』:2004、アメリカ

FBI捜査官のケヴィン・コープランドと弟のマーカスは食料品店のオーナー兄弟に変装し、アイスクリーム販売業者の3人組と接触した。兄弟は3人組がアイスと偽ってドラッグを販売していると確信し、正体を明かした。兄弟は3人を捕まえたが、彼らは本物のアイス販売業者だった。そこへドラッグの売人たちが現れ、コープランド兄弟は撃ち合いになって逃げられた。2人は上司のエリオット・ゴードンに叱責され、捜査官のパーパーとゴメスから嘲笑された。
マーカスはゴードンから叱責されている最中に妻のジーナから電話が入ったので、「今は上司に注意されている最中だ。後で掛け直す」と言って切る。するとジーナはゴードンの携帯に連絡し、マーカスに代わるよう求めた。ちょっと帰宅が遅れただけでも彼女は腹を立て、「誰かと浮気してきたんでしょ」と詰め寄った。「夫婦の会話が無い」と文句を言われたマーカスは、「だったら会話をしよう」と告げる。するとジーナは先週の話から始めて愚痴をこぼすので、仕事で疲れているマーカスは眠り込んだ。
翌日、支局へ出向いたコープランド兄弟は、ハーパーとゴメスから「俺たちはセレブ誘拐事件を任された」と自慢された。ウィルソン・クルーズ社のCEOを務めるアンドリュー・ウィルソンの娘、ブリタニーとティファニーが連続誘拐犯の次の標的になったのだ。ゴードンは部下たちに姉妹の警護を指示し、空港へ迎えに行ってホテルまで送る役目の立候補者を募る。しかし資料を呼んで姉妹の性格を知った捜査官たちは、誰も挙手しなかった。担当を外されたケヴィンは、マーカスを伴って会議室へ乗り込んだ。するとゴードンは、彼らに空港へ迎えに行く仕事を任せた。
FBIは連続誘拐犯の正体を、過去にウィルソンたちと組んだベンチャービジネスで失敗したテッド・バートンだと断定していた。彼は連邦刑務所に服役して全財産を失い、出所して行方不明になった時期に最初の誘拐事件が起きていた。ウィルソン姉妹は空港に到着すると、コープランド兄弟に高慢な態度を取った。彼女たちは週末しか滞在しないのに、大量の荷物を持参していた。労働者の日にロイヤル・ハンプトンズ・ホテルで盛大なパーティーが催され、最高にオシャレな人がハンプトンズ・マガジンの表紙を飾る。その表紙モデルの座を、彼女たちは狙っていたのだ。
ウィルソン姉妹にとって最大のライバルはヘザーとメーガンのヴァンダーゲルト姉妹で、2人は「彼女たちが死ねばいいのに」と笑って話す。姉妹の愛犬が車から落ちそうになったので、運転席のケヴィンが慌ててロープを引っ張る。彼はトラックを避けるためにハンドルを切り、道端に車を突っ込ませる。その衝撃で、姉妹は鼻と唇に小さな傷を負う。激昂した姉妹は「こんな顔じゃパーティーに出られない」と喚き、「苦情の手紙を書く」と言い出す。ケヴィンは彼女たちをなだめ、「週末はホテルから出るな」と告げた。
ケヴィンは科学班のジョシュたちを呼び、特殊メイクでマーカスと共にウィルソン姉妹へと変身する。2人はロイヤル・ハンプトンズ・ホテルへ赴き、従業員に変装したゴメスに荷物を渡す。兄弟はフロント係に化けたハーパーからIDの提示を求められ、文句を付けて大声で喚き散らす。そこへゴードンが来て、今すぐキーを渡すよう促した。FBIの面々は、誰もコープランド兄弟の変装だと気付かなかった。ウィルソン姉妹の友人であるカレン、トーリ、リサの3人組も、やはりコープランド兄弟の変装には気付かなかった。
3人組は「ハンプトンズ・マガジンの受付が始まった」と言い、兄弟を会場へ連れて行く。カレンは惚れているのヒースを見つけ、笑顔で手を振った。彼女は恋人だと思っていたが、ヒースはヘザーを含む大勢の女と関係を持っていた。ヴァンダーゲルト姉妹はコープランド兄弟の変装に気付かず、ウィルソン姉妹だと思い込んだまま挑発的な態度を取った。兄弟が悪口でやり返していると、ウォルターが娘たちを諌めて去った。
有名なTVリポーターのデニース・ポーターを見つけたケヴィンは、声を掛ける。苦手なチーズが入っていると知らずにキッシュを食べたマーカスは腹を下し、慌ててトイレへ駆け込んだ。NBA選手のラトレル・スペンサーは付き人のトニーを伴い、白人女をナンパする目的でパーティーにやって来た。彼はケヴィンに目を付け、声を掛けて口説き文句を並べる。ケヴィンは全く相手にせず立ち去るが、ラトレルは諦めなかった。
パーティー主催者のウォーレンは客に挨拶し、毎年恒例のチャリティー・オークションが夜に催されることを説明した。3人組は兄弟のパーティー衣装を購入するため、2人を車に乗せて街へ繰り出した。ブティックで服を試着していたマーカスは、ジーナの電話を受けた。店員の声を耳にしたジーナは浮気だと誤解し、激怒して電話を切る。トーリは自分が太っていると気にしてヒステリックになり、ケヴィンは必死で機嫌を取った。マーカスはサイズの小さすぎる服を用意されて仕方なく試着するが、力を抜くとビリビリに敗れた。
店を出たケヴィンは男に銃とバッジの入った鞄を奪われ、すぐに追い掛けた。マーカスも3人組を車に乗せ、男を追跡する。警護を担当していたハーパーとゴメスも、車で追い掛ける。ケヴィンは男に追い付いてタックルを浴びせ、鞄を奪い返す。兄弟と3人組はパーティーに出席するが、ヴァンダーゲルト姉妹を怒らせたせいで隅のテーブルを用意された。ヘザーの司会でオークションが開始される中、姉妹のテーブルにはデニースがやって来た。
ヘザーは自分とのデート権をオークションに提出し、ヒースに2万ドルで落札してもらった。ヘザーは次にティファニー、つまりマーカスをオークションに掛けた。それはティファニーを嘲笑するためのオークションだったが、ケヴィンが男の声色で値段を吊り上げた。最終的にはラトレルが5万ドルで落札し、作戦が失敗したヘザーは憤慨した。ホテルに戻ったマーカスは疲れ果て、妻のから怒りのメッセージが留守電に入っていたことをケヴィンに話して不満を吐露する。ケヴィンは「あと2日だ。週末を乗り切れば、俺たちはヒーローだ」と説き、マーカスを納得させた。
3人組がバチェラー・パーティーのために訪ねて来たので、兄弟は慌てて女装した。カレンは兄弟に、ヒースへの真剣な思いを熱く語った。リサはケヴィンにバイブを渡し、「貴方のテクニックを見せて」と促した。他の2人も期待する表情を浮かべたので、ケヴィンは男を喜ばせるテクニックを適当に教えた。不審な2人組が部屋に来たのでケヴィンは投げ飛ばして取り押さえようとするが、彼らは3人組が呼んだストリッパーだった。
次の日、5人がビーチへ行くと、ヴァンダーゲルト姉妹が先に来ていた。ケヴィンはデニースに気付くと4人から離れ、ラトレルの服や腕時計を拝借した。彼は男の姿に戻り、彼は子供たちに頼んでデニースの前でサインをせがんでもらう。彼はラトレル・スペンサーだとデニースに自己紹介し、忙しくなければ付き合ってほしいと言う。デニースはOKし、ケヴィンは夜の8時頃に会おうと約束した。ジーナは残高不足でカードが使えないとカフェ店員から言われ、マーカスがハンプトンズで4千ドルのドレスを購入したことをカード会社からの電話で知った。彼女は親友のショーニスと共に、ハンプトンズへ向かった。
夜、マーカスはケヴィンに説得され、渋々ながらもラトレルとのデートに出掛けた。2人がレストランに到着すると、車と家の鍵を拝借するためにケヴィンが駐車係を装って待ち受けていた。店に入ったマーカスは、ラトレルに嫌われようとして無作法を繰り返す。ラトレルが試合に来てほしいと求めると、マーカスは彼の能力を扱き下ろした。ところがラトレルは自分を心配してくれていると好意的に解釈して感動し、「君とは相性が合う」と喜んだ。
ケヴィンはラトレルの家を自宅と偽り、デニースを連れ込む。するとメイドがいたので、ケヴィンは慌てて帰らせた。デニースがラトレルの大きな写真や番犬を見つける度に、ケヴィンは慌てて誤魔化した。取材と報道が生き甲斐だと話すデニースに、ケヴィンは「なぜ今はローカルニュースを追っているのか」と質問した。するとデニースは、以前の仕事で敵を作り、圧力を掛けられてクビになったのだと話す。ケヴィンが詳細を訊くと、彼女はウォーレンがテッドを騙そうとした事件を追っていたことを明かす。しかし実際はテッドが大金を横領して海外口座に隠し、ウォーレンは報道で笑い者になるのを恐れてデニースをクビにしたのだ。
マーカスはケヴィンに電話を掛け、今すぐ店まで来るよう要求した。兄弟は3人組と合流し、クラブへ繰り出した。ラトレルは友人から精力剤を渡され、酒に混ぜれば目当ての女を落とせると告げられた。薬に気付いたマーカスは、隙を見てグラスを入れ替えた。ケヴィンとマーカスに、テッドは出所後に豊かな生活を送っているので誘拐の動機は無いと告げた。ヴァンダーゲルト姉妹はカレンたちに気付くと、見せ付けるようにカウンターに上がってセクシーな踊りを披露した。すぐにカレンたちは反応し、姉妹や仲間たちとダンス対決を始める。ヴァンダーゲルト姉妹が勝利すると、コープランド兄弟が「そんなんで勝った気になっちゃ困る」とブレイクダンスを披露した…。

監督はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ、原案はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ&ショーン・ウェイアンズ&マーロン・ウェイアンズ、脚本はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ&ショーン・ウェイアンズ&マーロン・ウェイアンズ&マイケル・アンソニー・スノウデン&アンドリュー・マケルフレッシュ&ザヴィエル・クック、製作はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ&ショーン・ウェイアンズ&マーロン・ウェイアンズ&リック・アルヴァレス&リー・R・メイズ、撮影はスティーヴン・バーンスタイン、美術はポール・J・ピータース、編集はジェフリー・スティーヴン・ガーソン&スチュアート・パッペ、衣装はジョリー・ウッドマン、メイクアップ効果はグレッグ・キャノン&キース・ヴァンダーラーン、音楽はテディー・カステルッチ、音楽監修はリサ・ブラウン。
出演はショーン・ウェイアンズ、マーロン・ウェイアンズ、ジェイミー・キング、フランキー・フェイソン、ロックリン・マンロー、ジョン・ハード、ビジー・フィリップス、テリー・クルーズ、ブリタニー・ダニエル、エディー・ヴェレツ、ジェシカ・コーフィール、メイトランド・ウォード、アン・デュデック、ロシェル・エイツ、ジェニファー・カーペンター、フォーン・チェンバース、ジョン・リアドン、スティーヴン・グレイム、ドリュー・シドラ、ケイシー・リー、ヘザー・マクドナルド、ケヴィン・ブラッチ、タラス・コスチュク、ゾルタン・バラバス他。


『最終絶叫計画』『最‘新’絶叫計画』のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズが監督を務めた作品。
脚本はキーネンと弟のショーン&マーロン、『最‘新’絶叫計画』のマイケル・アンソニー・スノウデン、TVシリーズ『The Keenen Ivory Wayans Show』のアンドリュー・マケルフレッシュ、TVシリーズ『The Wayans Bros.』のザヴィエル・クック。
ケヴィンをショーン・ウェイアンズ、マーカスをマーロン・ウェイアンズ、ヘザーをジェイミー・キング、ゴードンをフランキー・フェイソン、ジェイクをロックリン・マンロー、ウォーレンをジョン・ハード、カレンをビジー・フィリップス、ラトレルをテリー・クルーズが演じている。
アンクレジットだが、無名時代のエヴァンジェリン・リリーがパーティー客として出演している。

序盤、ハーパーとゴメスは「セレブ誘拐事件を任された」とコープランド兄弟に自慢するが、これだと「既に誘拐事件が起きている」と思ってしまう。
しかし実際は、まだ起きておらず、警護を担当する仕事だ。それだけでなく、「セレブ令嬢の誘拐事件が連続して発生している」という設定も、その時点では全く分からない。
それが大きな傷になるわけじゃないし、どうせ会議のシーンで明らかにされる。
ただ、スムーズな進行という観点から捉えた時、細かい傷になっている。そういう細かい傷の積み重ねは、映画の質を下げている。

コープランド兄弟、特にケヴィンは事件の担当から外されたことに不満を示す。ところがウィルソン姉妹を空港からホテルまで送るようゴードンに命じられると、「子守なんてゴメンだぜ」と嫌がる。
それは「事件の捜査は担当したいけど、警護は嫌」ってことなんだろう。ただ、この事件を担当するってのは、ほぼ「セレブの令嬢を警護する」ってのとイコールになるわけで。
なので、そこで警護を嫌がるのは、全く整合性が取れないわけじゃないけど、キャラの動かし方としては上手くない。
しかし、これらの問題は、しばらくして生じる大きな問題によって、「そんなの大した傷じゃない」ということになる。
それについては後述する。

冒頭、コープランド兄弟がドラッグの売人と間違えてアイスクリーム屋を逮捕し、そこへ現れた本当のドラッグ売人たちを捕まえようとして逃げられる様子が描かれる。
ここはコメディーのテイストで描いているものの、「捜査官が主役のアクション映画」という匂いが強い。ゴードンが「お前らが『バッドボーイズ』の真似がしたければ」と言うが、まさに「コメディー色の強い刑事アクション映画」のようなノリとなっている。
キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズが監督で、邦題を『最終絶叫計画』『最‘新’絶叫計画』に寄せているので、パロディー満載のおバカな映画だと誤解する人もいるだろうが、全く違う。ただし、アクション・コメディーとして最後まで続くのかというと、それも違う。そのテイストは、始まってから20分ほど経過した辺りで完全に崩壊する。
粗筋を読んだだけでも分かる人も多いだろうが、「兄弟が特殊メイクでウィルソン姉妹に変装する」という手順によって、アクション・コメディーのジャンルから完全に離脱するのだ。

コープランド兄弟は特殊メイクで白人の女性に化けるが、どこからどう見ても違和感ありまくりの顔になっている。
ハッキリ言えるのは、ウィルソン姉妹とは似ても似つかぬ容姿ってことだ。
ところが周囲の面々は、誰も別人だと気付かない。ずっと仲良くしていたセレブたちでさえ、本物のウィルソン姉妹だと信じ込む。
「いや、有り得ないだろ」とツッコミを入れたくなるが、そこを寛容に受け入れないと、この映画は成立しないのである。

実は、「ウィルソン姉妹がパーティーに行かないと決めたので、コープランド兄弟は変装して2人に成り済ますことに決める」という展開には、ちょっと無理がある。
なぜなら、FBIの仕事はウィルソン姉妹を警護することであり、それにはホテルから一歩も出ない方が何かと都合がいいはずだからだ。
「ヘマをゴードンに知られたらクビになるから、それを隠蔽するため姉妹に成り済ます」ってのを変装の理由にしているが、どっちにしろ本物の姉妹がFBIに苦情を入れたら同じなわけで。
ただ、幸か不幸か、「コープランド兄弟がウィルソン姉妹に変装しているのに誰も気付かない」という大ボラの破壊力が強すぎて、そういった問題は軽く弾き飛ばされる。

コープランド兄弟はFBI捜査官たちと対面する時、「バレないだろうか」「本物に見えているだろうか」と焦ったり心配したりする様子は全く無い。最初から「完璧に変装できている」というスタンスで、堂々と振る舞う。
また、彼らはウィルソン姉妹に成り済ますため努力しようとか、正体がバレないように気を付けようとか、そういう意識が薄弱だ。
そもそも、ほとんど準備も無いまま突貫工事で変装しているのだから、そりゃあ上っ面だけの成り済ましになるのは当たり前だ。
だが、まるで本物っぽく振る舞えなくても、正体がバレそうになることは無い。
そこのユルさも、「そういう映画だから」と受け入れる必要がある。

兄弟が姉妹に化けようとも、少なくとも「捜査官として仕事をする」という部分だけは守るのかというと、そこからの大きく逸脱した展開へと横滑りしていく。
何しろ本来の任務は「ウィルソン姉妹の警護」なのに、その姉妹はホテルに残して自分たちが姉妹に化けているわけだから、そりゃあズレていくのは当然だ。
しかも警護の任務から外れるだけでなく、FBI捜査官としての仕事からも外れている。
「兄弟がウィルソン姉妹として振る舞う」ってのは何かを得るための手段ではなく、それ自体が目的化しているのだ。

「コープランド兄弟がウィルソン姉妹として振る舞い、3人組と一緒に行動したり、ヴァンダーゲルト姉妹と反目したり」という部分だけでも充分すぎるぐらいガチャガチャしまくっているのだが、ウェイアンズ兄弟はそれだけじゃ満足できなかったらしい。ここに兄弟の女性関係という要素も盛り込んでいる。
マーカスの方は浮気を疑う妻のジーナとの関係があるが、こちらはそれほど使っていない。
しかし、ケヴィンの方は、デニースとの恋愛劇を、それなりに大きく扱っている。
そこではケヴィンが女装したまま何とか親密になろうとするだけでなく、男の姿になって口説こうとする手順もある。

そもそも欲張り過ぎだとは思うが、恋愛劇を描くのなら、「男の姿で接触する」という手順を入れるのは分かる。ただ、なぜか「ラトレルを詐称する」という内容にしてあるのだ。
ラトレルは有名なNBA選手なので、その嘘は簡単にバレると思うのだが、そういうことは全く気にしちゃいない。
そしてデニースは、ケヴィンがラトレルだと嘘をついても最初は気付かない。ニュースのリポーターだから、NBAは全く見ていないってことなんだろうか。
ただ、そもそもケヴィンがラトレルだと嘘をつく必要が全く無いのである。そんな無意味な要素を持ち込んで、笑いに繋がるわけでもなく、物語が面白くなるわけでもないので、どういう意図があるのか全く分からない。
ただ、根本的な問題として、兄弟が姉妹に化けている設定からしてデタラメなので、きっと何の計算も無いんだろう。

たぶん映画を見ている内に、「そもそも、これって何の話だったっけ?」と忘れてしまう人も少なくないだろう。
序盤で「セレブ誘拐事件が連続して発生しており、ウィルソン姉妹が次の標的と目される」という情報が提示されていたのに、そこからの流れは完全に消えている。ウィルソン姉妹を狙う不審な動きは見えないし、犯人を見つけるための捜査が進行している気配も無い。
さすがに最後まで何も起きないままで済ませるわけにはいかないので、後半に入ると「テッドが大金を横領して悠々自適な生活を送っている」「ウィルターが破産している」という情報が出て来る。ただ、見事なぐらい取って付けたような印象しか無い。
もちろんクライマックスは「誘拐事件が発生して兄弟が犯人を逮捕して全て解決」ということになるのだが、もはやどうでも良くなっている。
しかしハッキリ言ってしまえば、この映画全体がどうでもいいのである。

(観賞日:2018年9月13日)


第25回ゴールデン・ラズベリー賞(2004年)

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演女優賞[ショーン&マーロン(ウェイアンズ姉妹)]
ノミネート:最低スクリーンカップル賞[ウェイアンズ兄弟(女装でも、女装でなくても)]


第27回スティンカーズ最悪映画賞(2004年)

ノミネート:【最悪の作品】部門 ノミネート:【最悪の演出センス】部門[キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ]
ノミネート:【最も痛々しくて笑えないコメディー】部門
ノミネート:【最悪のカップル】部門[ショーン・ウェイアンズ&マーロン・ウェイアンズ]

 

*ポンコツ映画愛護協会