『セカンド・チャンス』1983、アメリカ

25年の休暇を取っていた神様が、天国に戻って来た。神様がいない内に、地上が混乱していた。神様は洪水を起こして人類を滅亡させ、地上を一から作り直そうと考える。天使のチャーリー、ルース、アール、ゴンザレスは、「人間も捨てたものではない」と神様に告げて、洪水を起こすことを思い留まらせようとする。
神様から1人でも善人を示してみろと告げられた天使達は、たまたま見掛けたザックという男を指差した。そのザックは、金貸しのスチュアートから、1万5000ドルの借金を返済するよう要求される。返済期日が迫ったため、ザックは銀行強盗を企む。
受付のデビーを脅したザックだが、警報ベルを鳴らされて逃亡した。しかもデビーが紙袋に入れて彼に渡したのは札束ではなく、ただの紙切れだった。デビーはザックに金を渡したと見せ掛けて、自分で1万5000ドルを着服していたのだ。
ザックはスチュアートと手下のオスカーに見つかり、逃亡を図る。しかし彼は橋から転落し、歩いていたデビーと激突してしまう。こうして、ザックとデビーは死亡した。神様は、ザックとデビーが互いのために自分を犠牲にする心を持てば、洪水は起こさないと天使達に約束した。ただし、その期限は、わずか1週間だけだ。
天使達は地上に降りて時間を巻き戻し、ザックをスチュアートから無事に逃げ延びさせた。ザックは新聞でデビーの横領を知り、彼女の元へ出向く。デビーが金を使っていたため、ザックは残りの8600ドルを奪った。やがて2人は惹かれ合うようになるが、悪魔のビーズリーがスチュアートとオスカーを使い、妨害工作を仕掛けてくる…。

監督&脚本はジョン・ハーツフェルド、製作はロジャー・M・ロススタイン&ジョー・ワイザン、製作協力はミシェル・パネリ&ジョーン・エドワード&ケイト・エドワード、撮影はフレッド・コーネカンプ、編集はジャック・ホフストラ、美術はアルバート・ブレナー、衣装はトーマス・ブロンソン、追加音楽はパトリック・ウィリアムズ、主題歌はオリヴィア・ニュートン=ジョン。
出演はジョン・トラヴォルタ、オリヴィア・ニュートン=ジョン、チャールズ・ダーニング、オリヴァー・リード、ベアトリス・ストレイト、スキャットマン・クローザース、リチャード・ブライト、ヴィンセント・ブファーノ、トニ・カレム、ジェームズ・スティーヴンス、アーニー・ハドソン、ジャック・キーホー、ボビー・コスタンゾ、カストロ・グエラ、ウォーレン・ロバートソン、デボラ・ダルトン他。


オリヴィア・ニュートン=ジョンの『運命のいたずら』が主題歌だった作品。
ジョン・ハーツフェルドは、これが初の映画監督。
ザックをジョン・トラヴォルタ、デビーをオリヴィア、チャーリーをチャールズ・ダーニングが演じている。他に銀行の出納係役でトラヴォルタの姉アン・トラヴォルタ、家具屋の妻役でキャシー・ベイツが出演している。

『グリース』のジョン・トラヴォルタとオリヴィア・ニュートン=ジョンが再びコンビを組んだ作品だが、結果としては完全にコケた。
同じ年に、トラヴォルタは『愛と青春の旅だち』の主演のオファーを蹴って『ステイン・アライブ』に出演するという(しかも監督にシルヴェスター・スタローンを指名するという)、大きなミステイクをやらかしている。

まずオープニングの、天国のシーンからしてユルい。
荒唐無稽な話なのだから、徹底的にやっちゃえばいいのに、ユルい。
突飛なアイデアを持ち込むわけでもなく、大した笑いも無く、派手なSFXで見せるわけでもなく、あるのは中途半端なユーモアだけ。
地上の場面では、スチュアートに見つかったザックが逃亡するというカーチェイス&スタントシーンがある。
サービス精神のつもりかもしれないが、そんなモノを見せるぐらいなら、小ギャグを織り込みつつドタバタ逃走劇を見せる方が、よっぽどテンポがいい。

ザックとデビーが衝突するシーンは、それまでにザックの逃走だけでなく、デビーの行動も描写しておくべき。たまたま2人が激突するなんて無理のある展開だけど、それまでの2人の行動を並行して描写しておけば、それなりに見られるものになると思う。
ザックにスポットが当たってからデビーと激突して死亡するまで、ずっと天使達が消えているというのは、どうなんだろうなあ。善人として示した男が悪い行動を取るんだから、文句を言うとか嘆くとか、そういうツッコミを所々で入れさせた方が良かったのでは。

最初の時点で、デビーが単なる根性の汚い強欲ババアにしか見えないのがキツイ。
ザックも身勝手といえば身勝手だが、それに輪を掛けてデビーが酷い。
仕方の無い事情があるわけでもなく、欲だけで金を横領し、すぐに無駄遣いしてしまう。
ホントにヒロインなのかと思ってしまうぞ。
それぐらい、魅力のカケラもありゃしない。

デビーがザックに「食事でもごちそうするわ」とか言い出す辺りから、この2人の恋愛が始まって行くのだが、その始まり方からして無理があるでしょ。普通に考えれば、互いに金を奪われた相手なんだから、最初はもっと対立するべきじゃないのかね。
最初から2人が惹かれ合ってしまうものだから、そこに天使が関わりを持つことが無いのよね。
対立するザックとデビーを恋に落ちさせるために天使4人が右往左往するのかと思ったら、何もしなくても勝手に2人は恋に落ちていくんだからさ。

じゃあ天使は何をやっているかというと、ビーズリーの行動を阻止しようとしている。
ただし、それはチャーリーだけ。
他の3人は、ただザックとデビーの様子を眺めているだけ。
だったら、少なくともチャーリー以外の3人は要らないでしょ。
キャラも立ってないし。
もっとさ、例えば天使4人が、ザックとデビーにそれぞれ素性を隠して接触し、恋の手伝いをしようとする形にした方が良かったんじゃないの。最後までザックとデビーの関係に、何も関わってないんだよなあ。ビーズリーの存在も、どうにも中途半端だしさ。


第4回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ジョン・ハーツフェルド]
ノミネート:最低主演男優賞[ジョン・トラヴォルタ]

<*『ステイン・アライブ』『セカンド・チャンス』の2作でのノミネート>
ノミネート:最低主演女優賞[オリヴィア・ニュートン=ジョン]


第6回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:作品賞

 

*ポンコツ映画愛護協会