『トイズ』:1992、アメリカ

“ジボ・トイズ”は「平和なオモチャを作る」というポリシーに基づき、夢のあるオモチャを作っていた。だが社長が急死。死ぬ寸前、彼は弟のリーランドを後継者に指名する。本来は息子レスリーを後継ぎにしたかったが、レスリーはオモチャ作りの才能はあるが経営の才覚が無かったのだ。
以前は軍隊で将軍だったリーランドが新しい社長となり、会社では厳しい管理体制が敷かれることになった。リーランドは秘密特殊部隊に所属する息子パトリックを呼び寄せ、会社をまるで軍のような状態に作り変えていく。
さらにリーランドはレスリー達に隠れてミニ兵器を作り始め、子供達を戦争のビデオゲームで洗脳しようと計画する。リーランドの恐るべき計画を知ったレスリーは、自分のオモチャ達を使ってリーランドに戦いを挑むのだった…。

監督はバリー・レヴィンソン、脚本はバリー・レヴィンソン&バレリー・カーティン、製作はマーク・ジョンソン&バリー・レヴィンソン、撮影はアダム・グリーンバーグ、音楽はハンス・ジマー&トレヴァー・ホーン。主演はロビン・ウィリアムス、共演はジョーン・キューザック、マイケル・ガンボン、ロビン・ライト、LL・クール・J、ドナルド・オコナー、ジャック・ウォーデン他。


出てくる登場人物は全てエキセントリック。
基本的にバカな物語だし、演出だってバカ映画の演出。
なのに“反戦”というメッセージを放りこんでしまったので、後半は完全にシリアスな話になってしまった。完全にファンタジックなバカ映画として作るべきだったのに。

バリー・レヴィンソンとロビン・ウィリアムスが組んだのに、どうしてこんな酷い出来映えの映画を作ってしまったのか。いや、あるいはバリー・レヴィンソンとロビン・ウィリアムスの組み合わせだからこそ、散々な出来映えになってしまったのか。

美術、装置は、まあ素晴らしい。だが、それ以外はホントに散々な状態である。バカ映画はエンターテインメントに徹するべきで、リアルなメッセージなんて主張する必要は無い。これは『レインマン』ではないんだから、変な感傷も必要無いのよ。

大体、反戦的であるはずのレスリーが、リーランドに対抗して戦争を始めちゃうし。
しかも自分で戦わず、オモチャに戦わせる。
そしてオモチャ達は次々と犠牲になって潰れていく。
流れから行けば、犠牲は出さずにリーランドの野望を阻止すべきではないのか。

結局、バカ映画として失敗に終わっただけでなく、シリアスな物語としても破綻している。ってことは、どうしようもないじゃありませんか。


第13回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低監督賞[バリー・レヴィンソン]

 

*ポンコツ映画愛護協会