『ザ・ボーイ〜残虐人形遊戯〜』:2020、アメリカ

専業主婦のライザは仕事で夫のショーンが遅くなる日、異変を感じて夜中に目を覚ました。幼い息子のジュードが部屋にいないことを知り、彼女は物音が聞こえた1階へ向かう。身を潜めるジュードを見つけた直後、ライザは侵入していた覆面強盗に襲われた。ジュードは事件があってから、心的外傷で全く話せなくなった。ライザは家に閉じ篭もり、ショーンに事件のことを何も話そうとしなかった。彼女は悪夢にも苦しめられ、ショーンは静かな田舎町のヘメル・ヘムステッドへ引っ越すことにした。
一家は森の奥に建つ家に到着し、不動産屋のパメラは「ここは屋敷の離れで、主人が亡くなって金融マンが買い取ったが改修を途中で断念した」と説明した。一家は散歩に出掛け、母屋のグレンビュー邸を見に行くことにした。ジュードは名前を呼ばれて森の奥へ行き、土を掘り起こして人形を発見した。息子がいないことに気付いたライザとショーンが慌てて捜しに行こうとすると、ジュードが人形を抱いて戻って来た。彼が人形を欲しがったので、ライザとショーンは承諾した。
ライザは人形の泥を落とし、綺麗に掃除した。人形には付属の紙があり、「客は禁止」「1人にしない」といったルールが記されていた。次の日、ジュードは人形と筆談し、ブラームスと呼ぶことにした。名前の由来をショーンに問われた彼は、「教えてもらった」と答えた。ジュードはブラームスに頼まれ、彼を見つけた場所へ向かう。ライザが急いで追い掛けると、ジュードは人形の着替えが入った木箱を掘り起こしていた。
犬が来て吠えたのでライザが驚いていると、飼い主のジョゼフがやって来た。「ここは私有地だ」と言われたライザは、離れの新しい住人だと説明した。ジョゼフは土地の管理人だと自己紹介し、ブラームスを見ると顔を強張らせた。ライザが「戻しましょうか」と尋ねると、彼は「持って行け。どうせ俺たちしか住んでいない」と告げた。彼はショーンの元まで、ライザとジュードを送り届けた。ジョゼフが去ると、ショーンは小声で陰口を叩いた。
ライザは人形が着替えと共に木箱に入れられていたことをショーンに話し、「ちょっと気持ち悪い」と漏らす。ショーンが「問題は人形じゃない。自分と向き合うのを避けるために、ジュードを利用してる気がする」と指摘すると、彼女は「私は強盗のせいで死に掛けたのよ。一日も忘れたことは無い」と反発する。ジュードが「もう過ぎたことだ」と言うと、腹を立てたライザは無視して去る。ジュードの部屋の前を通り掛かった彼女は、息子がブラームスに話し掛けている声を耳にした。
ライザはショーンを呼び、ジュードが話していることを嬉しそうに知らせる。2人は部屋に入り、どんな話をしていたのか尋ねた。するとジュードは、筆談で「犬」「ブラームスが嫌ってる」と伝えた。それでもライザとショーンは息子が話したことを歓迎し、ブラームスを受け入れることにした。深夜、ライザはブラームスが移動したり、ジュードが仮面を被ったりしている悪夢で飛び起きた。ジュードの部屋に行った彼女は、息子が就寝している姿を確認して寝室へ戻った。
翌朝、ライザが目を覚ますと、ショーンが朝食を用意していた。ジュードはブラームスと並んで座っており、ショーンは人形の分の朝食も作っていた。ライザはショーンに「ブラームスがルールを教えてくれたらしい」と言われ、ジュードからメモを渡された。5つ目のルールには「家族と食事をする」とあり、10番目には「永遠に一緒にいる」と書かれていた。ライザが洗濯物を取りにジュードの部屋へ行くと、息子が可愛がっていた熊のヌイグルミのミスター・ブラウンがズタズタに引き裂かれていた。ライザから「貴方がやったの?」と訊かれたジュードは否定し、ブラームスを見た。ライザは部屋で宿題をするよう命じ、ブラームスは置いて行くよう指示した。
ライザはダイニングに移動して読書を始め、ブラームスの首が動いたことに気付かなかった。急にリビングのテレビが付き、戻ったライザはリモコンがブラームスの傍らに置いてあるのを見つけた。彼女はジュードの仕業だと思い込み、部屋へ赴いて注意する。ジュードは部屋から出ていないと主張するが、ライザは信じなかった。読書に戻ったライザは、いつの間にかブラームスが消えているのに気付いた。彼女はジュードの部屋に行くが、ドアは施錠されていた。そこへ水を取りに行っていたジュードが戻り、ライザは困惑する。彼女がドアノブを回すと鍵は掛かっておらず、部屋の椅子にブラームスが座っていた。
ライザはブラームスを処分したいと考え、ショーンと共にリモートでローレンス医師に相談する。ローレンスから「ジュードに悪影響が出るので、焦らず見守って」と指示され、ライザはブラームスの処分を断念した。ジュードで庭でブラームスと一緒にいると、ジョセフが現れた。彼はジュードが人形にブラームスと名付けたと知り、「そうに決まってる」と言う。彼はブラームスに、「すっかり見違えたな。新しい家族を見つけたのか」と話し掛けた。
夜、ライザはジュードが寝静まってから部屋へ忍び込み、ブラームスの足の裏を見て型番を確認する。彼女がブラームスの服を脱がそうとすると、ブラームスが白目を剥いて口から大量の虫を吐き出した。ライザが悲鳴を上げたので、ジュードは慌てて飛び起きた。ブラームスに何も変化は起きておらず、ライザはジュードに謝った。翌朝、ライザはネットで型番を調べるが、該当する情報は無かった。彼女が息子の部屋に行くと、ジュードはいなかった。部屋にはスケッチブックが置いてあり、犬やライザ&ショーンが殺された絵や、ジュードが銃を構える絵が描かれていた。スケッチブックには、「僕を捨てようとしたら後悔する」という文字もあった。そこへジュードが戻って来ると、ブラームスと同じ服を着ていた。
その夜、ライザはショーンに、ブラームスの分の食事を出さないよう頼んだ。ジュードが出すよう求めても、ライザは却下した。ショーンが「リアムおじさんを呼ぼう」と提案すると、ジュードは「客は禁止」と書いた。ショーンは「客じゃない、家族だ」と言い、ライザは「家のルールは親が決める」と告げた。反発したジュードが食事を拒むと、彼女は「食べるまで座ってなさい」と命じた。「ブラームスは人形だから食べない」とライザが語ると、ジュードは「ブラームスを怒らせないで」と書いた。
ライザが台所へ移動すると、食堂から大きな物音が響いた。彼女が戻るとテーブルが引っ繰り返されており、ジュードは「彼を怒らせないでと言ったに」と書いた紙を残してブラームスと共に食堂を去った。ライザはショーンに、ジュードの寝室で見つけた絵を見せようとする。だが、残忍な絵は全て無くなっていた。「ジュードは操られてる。人形を捨てたい」とライザが言うと、ショーンは「重いテーブルを子供の力では動かせない」と言う。自分の仕業だと疑われたライザは憤慨し、「あの子に何か起きてるのよ」と声を荒らげた。ショーンは彼女の要求を受け入れ、「明日の朝にブラームスを捨てよう」と述べた。
早朝、森を歩いていたジョセフは、惨殺されている愛犬のオズを発見した。ジュードは「ルールを守らないからだ」というメッセージを残し、姿を消した。ライザはショーンと手分けして捜索し、グレンビュー邸に足を踏み入れた。ジュードの呼び声を耳にした彼女は、壁の奥に作られた通路を抜けて隠し部屋に入った。部屋にはブラームスが置いてあり、奥から仮面を付けたジュードが現れた。彼はライザに、「怖がらせてゴメン。遊んでただけなんだ」と釈明した。
ドアが激しく叩かれたのでライザは怯えるが、突入して来たのはショーンとジョセフだった。ジュードが普通に喋ったので、ショーンは喜んだ。ジョセフはライザから「この家で何があったの?」と訊かれ、「何年も前に家族が住んでいたが、息子が異常だった。少女を殺し、火事で火傷を負ってから30年間は仮面を被って壁の中に住んでいた。両親が命を絶った後、息子は1人を殺して2人に怪我を負わせ、自殺した」と語った。「その息子の名前は?」とライザが尋ねると、彼は「ブラームス」と答えた。
ライザはオズが殺されたと知り、ジュードが犯人ではないかと疑う。ライザとショーンはローレンスに頼み、リモートでジュードと話してもらう。ローレンスはライザとショーンに、「ジュードと直接話すためにロンドンへ来てほしい。しばらくは彼から目を離さないように」と語る。リアムが妻のメアリー、息子のウィル、娘のソフィーを連れて遊びに来ても、ジュードは歓迎する様子を見せなかった。メアリーは「大人だけで話があるの」と言い、子供たちに外で遊ぶよう促した。ウィルはジュードを「お前は病気だ」と馬鹿にして、「その人形も不気味すぎる」と吐き捨てた。生意気な言動を繰り返したウィルは、遊んでいる最中に転倒して串刺しになった…。

監督はウィリアム・ブレント・ベル、キャラクター創作はステイシー・メニヤー、脚本はステイシー・メニヤー、製作はトム・ローゼンバーグ&ゲイリー・ルチェッシ&リチャード・ライト&エリック・リード&ジム・ウェダー&ロイ・リー&マット・ベレンソン、製作総指揮はロバート・シモンズ&アダム・フォーゲルソン&アンドレ・ラマル&ジャッキー・シェノー&マイケル・マッケイ、撮影はカール・ウォルター・リンデンローブ、美術はジョン・ウィレット、編集はブライアン・バーダン、衣装はアイエイシャ・リー、音楽はブレット・デター。
主演はケイティー・ホームズ、共演はオウェイン・イオマン、クリストファー・コンヴェリー、ラルフ・アイネソン、ダフネ・ホスキンス、キオニ・リベイロ、ジョエリー・コリンズ、オリヴァー・ライス、アンジャリ・ジェイ、ナタリー・ムーン他。


2016年の映画『ザ・ボーイ〜人形少年の館〜』の続編。
監督のウィリアム・ブレント・ベル、脚本のステイシー・メニヤーは、いずれも前作からの続投。
出演者は前作から総入れ替えとなっている。
ライザをケイティー・ホームズ、ショーンをオウェイン・イオマン、ジュードをクリストファー・コンヴェリー、ジョセフをラルフ・アイネソン、ソフィーをダフネ・ホスキンス、ウィルをキオニ・リベイロ、メアリーをジョエリー・コリンズ、リアムをオリヴァー・ライス、ローレンスをアンジャリ・ジェイ、パメラをナタリー・ムーンが演じている。

たぶん2作目から観賞する人は少ないだろうし、いきなり前作の完全ネタバレを書いてしまう。
前作は「ブラームス人形を息子として扱う老夫婦がいて、ヒロインがベビーシッターとして雇われる」という始まり方だった。
老夫婦は旅行に行くと称して入水自殺し、グレタは何度も怪奇現象に襲われて人形が生きていると確信する。
しかし終盤、「実は老夫婦の息子のブラームスは身を潜めて屋敷の中に暮らしており、ビスクドールを動かしていたのは彼の仕業」という真相が明らかになった。

そんな物語の続編のはずなのに、今回は「ブラームスとは人形の名前であり、人形は呪われていて人間を襲う」という設定になっている。
ちゃぶ台返しとは、このことだ。前作のオチを、見事なぐらい全面的に否定しているのだ。
完全ネタバレになるが、人形を修復したのも、前作のブラームス(実在する息子の方ね)ではなくジョセフという設定になっている。
もうさ、そこまで徹底して前作を否定するのなら、続編としての意味が無くなるだろ。

たぶん前作が予想外のヒットになり、慌てて2作目を作る企画が立ち上がったんだろう。だけど続きなんて何も考えていないから、何とか捻り出したアイデアが、そういうことだったんだろう。
前作のオチをそのまま活かそうとしたら、もう人形で怖がらせることは出来ない。既に仕掛けはバレているからね。なので気持ちは分からんでもないが、だからって、これは無いわ。
ただし、じゃあテメエに何か名案があるのかと問われたら、何も思い付かないけどね。
でも、あえて言うなら、「続編を作らない」という選択肢を取るかな。

「前作のオチを全否定した設定」ってのが最大にして致命的な欠点ではあるが、他にも色々と問題は多い。
まず、冒頭シーンから失敗している。帰宅したライザがジュードの名前を呼び、階段の向こうにボンヤリと人影が見える。その人影は呼び掛けに応じず、ゆっくりと姿を消す。
この描写だと、観客を怖がらせようとする演出に感じる。
実際には、その人影はライザを脅かそうとしているジュードで、捜しに来た母の背後から飛び出す。
でも、そういう「脅かし」でマジに観客を脅かそうとして、どうすんのよ。

その日の深夜、ライザが1階へ行くと、帰宅した時の人影と同じ場所に別の人影がある。
これが悪霊だったら、まだ昼間のシーンは「そこを活かすための仕掛け」として理解できなくもない。でも、そこにいるのは強盗なのだ。
だったら要らないよ。それどころか、強盗事件そのものが要らないよ。
悪霊とか呪いの人形とは違うトコで、なんで序盤から観客を怖がらせようとするのか。
強盗は捕まらないし、二度と出て来ないし、ただ余計なだけの要素だよ。

そこで必要なのは、「ジュードが心的外傷で喋れなくなる」という要素だけなのよ。そして、それは「強盗に襲われた」という出来事じゃなくても成立させられる。
強盗に襲われたライザが家に閉じ篭もったりショーンを拒んだりするのは、後の展開にに全く繋がらないし。
それを考えると、もう始まった段階で「ジュードが心的外傷で話せなくなっている」という状態にしておけばいいんじゃないのか。
それで困ることなんて、何も無いでしょ。強盗事件に関する様々な不自然さも、それで全て解決できるし。

ほぼジャンプ・スケアだけで何とかしようと目論んでいる。そのくせ、「仮面を付けて現れたジュードが何もせいずにライザに謝る」とか、「ドアが激しく叩かれるが現れるのはショーンとジョセフ」とか、やたらと肩透かしを入れたがる。
「急に出て来てワッと怖がらせる」というパターンだけでは飽きたり慣れたりするから、少し変化を付けようってことなのかもしれない。
ただ、それがホラーとしてプラスに作用している箇所は全く無い。実際に起きる現象だけでなく、「幻覚を見る」という描写でも観客を怖がらせようとする。
だが、これがダメなホラー映画の典型みたいになっている。

基本的にはブラームス人形が怪奇現象を起こす様子で怖がらせようとするのだが、そんなブラームスに操られるジュードを使おうとするシーンも少なくない。
ただ、操られるのなら、もっと徹底しちゃった方がいいと思うのよね。ブラームスに操られているにしては、終盤に入るまではライザやショーンを攻撃することも無いし。
反抗的な態度を取ることはあっても、「親友であるブラームスとの約束を守ろうとする」ってだけなのよね。
「憑依されて自由意志を失う」とか、「洗脳されて両親でさえ排除しようとする」みたいなことは、ホントに残り時間わずかになるまでは無いのよ。

終盤に入り、ライザとショーンはグレンビュー邸で過去に起きた事件について詳しい情報を知る。ライザはネットで調べ、ショーンは酒場で出会った町民から教えてもらう。
だけど、「なぜ引っ越しを決めた時点で、その家について詳しく調べなかったのか」と言いたくなるぞ。
これが「隠蔽された情報であり、町民も口をつぐんでいる」ってことなら、なかなか簡単に真実は突き止められないだろう。
だけど、グレンビュー邸が以前はヒールシャー邸だったことも、ネットを使えば簡単に分かる情報だ。それに、どうやら町民には有名な話みたいだし。
なので、「何も調べずに引っ越して、次々に問題が起きて、取り返しが付かない状況に陥ってから、ようやく調べようとする」というライザとショーンが、底抜けのボンクラにしか見えないのだ。

この映画が厳しいと感じるポイントの1つに、「誰も死なないまま物語が進行する」ってことが挙げられる。
ネタバレになるが、ウィルも重傷を負うが助かっている。最後の最後でジョセフが死ぬが、それだけだ。
そりゃあ、絶対に何人も殺さなきゃダメってわけではないよ。ただ、殺人に頼らずにジワジワと忍び寄る恐怖だけで充分に引き付ける力があるのかと問われたら、まるで不足しているからね。
あと、クライマックスに入って一瞬だけジョセフを恐怖の対象として動かしているけど、これも下手な展開だなあと。
いっそのこと、人形なんて要らなくないかと言いたくなるし。

(観賞日:2022年1月29日)


第41回ゴールデン・ラズベリー賞(2020年)

ノミネート:最低主演女優賞[ケイティー・ホームズ]
<*『ザ・ボーイ〜残虐人形遊戯〜』『ザ・シークレット:希望を信じて』の2作でのノミネート>

 

*ポンコツ映画愛護協会