『スーパーガール』:1984、アメリカ

スーパーマンの従妹であるカーラは、アルゴ・シティーで暮らしていた。カーラが彫刻家であるザルターを訪ねると、彼は二元シュートを 使って別の星へ行きたいと思っていることを話す。アルゴ・シティーは内宇宙に位置しており、スーパーマンが暮らす地球は外地球に あった。ザルターはカーラに、アルゴ・シティーのエネルギー源の1つであるオメガヘドロンを見せた。創作意欲を刺激するため、一時的 に拝借しているのだと彼は語った。
カーラの母であるアルーラが来たので、ザルターはカーラに創作用の杖を渡し、オメガヘドロンを隠した。ザルターとアルーラが話す中、 少し離れた場所に移動したカーラは、杖で蝶の絵を描いて立体化させた。彼女はザルターが転がしたオメガヘドロンを使い、蝶を飛ばした 。すると蝶は壁を突き破り、オメガヘドロンは開いた穴から外へ飛び出してしまった。カーラも飛び出しそうになるが、アルーラと父の ザル=エルが慌てて体を抑え、ザルターが杖を使って穴を塞いだ。
ザルターはザル=エルから「オメガヘドロンが無ければシティーは数日で崩壊する」と責められ、「取り戻しに行く」と告げた。「ここを 出たら生きられないんだぞ。どうやって取り戻すんだ」とザル=エルが言うと、ザルターは「移動カプセルに乗り、二元シュートを使えば 大丈夫だ」と述べた。カーラは勝手に移動カプセルを使い、シティーの外へ出た。「あの子が死んでしまう」と心配するカーラの両親に、 ザルターは「問題は無い。ワープフィールドを経て、内宇宙から外宇宙へのトンネルである重力放射圏に行くだけだ」と告げた。「あの子 にも異変が」と漏らすアルーラに、ザル=エルは「死ぬよりはマシだ」と告げた。ザルターはザル=エルたちに、「私はオメガヘドロンを 無くした罰としてファントム・ゾーンへ行く。私の苦しみは永遠に続く」と告げた。
地球では、魔女のセリーナがパートナーのナイジェルと川辺へピクニックに来ていた。地球の支配を企むセリーナの元に、オメガヘドロン が落ちて来た。オメガヘドロンを拾い上げてパワーを感じたセリーナは、ナイジェルを捨てることにした。一方、カーラはスーパーガール に変身し、地球に降り立った。セリーナは廃園となった遊園地へ行き、そこで暮らしている魔女仲間のビアンカに会う。財政難に苦しんで いるビアンカに、セリーナは「もうローンの支払いや税金の心配は要らない」と告げた。
カーラはミッドヴェイル女学院に新入生として潜り込み、リンダ・リーと名乗ることにした。彼女はクラーク・ケントの推薦状を捏造し、 校長に入学を認めてもらった。校長は女子寮に連れて行き、ルーシー・レーンと同じ部屋に住まわせることにした。ルーシーの姉は、 クラークと同じデイリー・プラネット社で働くロイス・レーンだった。ルーシーはカーラがクラークの従妹だと知り、笑顔で歓迎した。 壁にスーパーマンのポスターが貼ってあるのに気付いたリンダは、嬉しくなった。
セリーナとビアンカは、ミッドヴェイル女学院で仕事をしていたイーサンという庭師の若者に情欲を抱いた。カーラはオメガヘドロンの 存在を感知し、透視能力でセリーナたちの車を発見した。授業を抜け出そうとしたカーラだが、教師であるナイジェルに注意された。難問 を解くよう要求された彼女は、簡単に正解を出した。カーラはクラスメイトのマイラたちがルーシーに嫌がらせをしようと企んでいるのを 知り、気付かれないように妨害した。
カーラはルーシーから、休日に家へ来ないかと誘われる。「メトロポリスからジミー・オルセンが来るの。私に夢中なのよ」と言われた カーラだが、「勉強もあるし、寮に残るわ」と断った。カーラは夜になってからスーパーガールに変身し、ミッドヴェイル周辺を飛んで オメガヘドロンを探したが、見つけることは出来なかった。一方、セリーナはイーサンを虜にするため、それを飲んだ者が最初に見た相手 を愛するようになる惚れ薬を調合した。
セリーナは仕事を依頼して遊園地にイーサンを呼び、薬を飲ませることに成功した。イーサンは意識が朦朧となり、その場で眠り込んだ。 しかしセリーナが押し掛けて来たナイジェルを追い払っている間に、イーサンは意識を取り戻して遊園地から抜け出した。セリーナは オメガヘドロンのパワーを使い、フラフラした足取りで町を歩くイーサンの姿を透視した。セリーナはパワーを使って近くに置いてあった 建設機械を操り、イーサンを捕獲した。
ポパイの店で話していたカーラやルーシー、ジミーたちは、操縦者のいない建設機械が暴走している様子を目撃した。ルーシーは建設機械 に飛び乗って操縦しようとするが、暴走は止まらず、ぶつかった衝撃で気を失った。カーラはスーパーガールに変身し、イーサンが捕獲 されているバケットを外して別の場所に運んだ。変身を解いたカーラがバケットを開けたので、薬を飲んだイーサンが最初に見たのは彼女 ということになった。
イーサンは「愛してる」と言い、いきなりカーラにキスをした。カーラは戸惑いながら「もう行かなきゃ」と言い、その場から走り去る。 カーラがナイジェルの生徒だったので、セリーナは自分を恨む彼の差し金だと誤解した。イーサンを奪われたセリーナは腹を立て、邪魔な カーラを始末しようと企んだ。オメガヘドロンによって実体化した闇の力が、暴風となって寮を襲撃した。カーラはスーパーガールに変身 し、闇の力を消滅させた。
オメガヘドロンを感知したカーラは、遊園地に乗り込んだ。そこへイーサンが現れ、花束とチョコレートをプレゼントして愛の言葉を口に した。イーサンが「結婚しよう」と言い、カーラがキスを受け入れようとしていると、セリーナとビアンカが現れた。セリーナはパワーを 使って攻撃を試みるが、カーラはスーパーガールに変身して逆襲し、檻に閉じ込めた。スーパーガールはイーサンを連れて、遊園地から 飛び去った。セリーナは「絶対に許さない」と怒りを募らせた。
セリーナはパワーを使ってヤシの実をイーサンの頭に落下させ、彼を気絶させる。しかしパワーを使ってイーサンを連れ戻そうとしても、 彼の体は全く動かなかった。パワーを上手く使いこなせず苛立つセリーナに、ピアンカは経験豊富なナイジェルの助力を求めるよう進言 した。ナイジェルは悪魔の小槌とオメガヘドロンのパワーを合わせて使い、イーサンを遊園地に瞬間移動させた。セリーナは用済みに なったナイジェルから小槌を奪い、要塞を出現させた…。

監督はヤノット・シュワルツ、脚本はデヴィッド・オデル、提供はアレクサンダー・サルキンド、製作はティモシー・バーリル、 製作総指揮はイリヤ・サルキンド、撮影はアラン・ヒューム、編集はマルコム・クック、美術はリチャード・マクドナルド、特殊視覚効果 はデレク・メディングス、オプティカル視覚効果はロイ・フィールズ、衣装はエマ・ポーテウス、音楽はジェリー・ゴールドスミス。
出演はフェイ・ダナウェイ、ヘレン・スレイター、ピーター・オトゥール、ハート・ボックナー、ピーター・クック、ミア・ファロー、 マーク・マクルーア、モーリーン・ティーフィー、ブレンダ・ヴァッカロ、サイモン・ウォード、 デヴィッド・ヒーリー、サンドラ・ディッキンソン、ロビン・マンデル、ジェニファー・ランドー、ダイアナ・リカルド、ナンシー・ リッポルド、ソニア・レイト、リンジー・ボーシャン、ミシェル・テイラー、ナンシー・ゥッド、ヴァージニア・グレイグ、ジュリア・ ルイス、マット・フルーワー、ビル・マカリスター、サリー・クランフィールド他。


『スーパーマン』シリーズの番外編的な作品。
オーディションで選ばれたヘレン・スレイターが、リンダ役で映画デビューしている。
監督は『燃える昆虫軍団』『ジョーズ2』のヤノット・シュワルツ、脚本は『ダーククリスタル』のデヴィッド・オデル。 セレナをフェイ・ダナウェイ、リンダをヘレン・スレイター、ザルターをピーター・オトゥール、イーサンをハート・ボックナー、 ナイジェルをピーター・クック、アルーラをミア・ファロー、ジミーをマーク・マクルーア、ルーシーをモーリーン・ティーフィー、 ビアンカをブレンダ・ヴァッカロ、ゾル=エルをサイモン・ウォードが演じている。

スーパーガールは映画独自のキャラクターではなく、『スーパーマン』が連載されていた「アクション・コミックス」に登場したスーパー ヒロインだ。
アレクサンダーとイリヤのサルキンド親子は『スーパーマン』の映画化権を獲得し、1978年から1983年までに3作のシリーズを製作したが 、スーパーマンを利用してもっと稼ぐ方法は無いだろうかということで、その従妹にも手を出したという次第である。
スーパーガールはスーパーマンの従妹という設定だし、『スーパーマン』の映画シリーズを手掛けたプロダクションの製作なのだから、 1シーンでもいいからスーパーマンが登場していれば、かなり大きなポイントになっただろう。しかし残念ながらクリストファー・リーヴ に出演オファーを断られてしまい、ポスターのみの登場となった。
これは本作品にとって、かなりの痛手である。
本家シリーズの出演者からジミー役のマーク・マクルーアだけが登場しているが、クリストファー・リーヴとは価値が格段に違う。

ただし、じゃあクリストファー・リーヴが出演していたら傑作になっていたのかというと、もちろん、そんなことは無い。
ぶっちゃけ、「焼け石に水」という状態だったかもしれない。
それぐらい、ストーリーが残念すぎる。プロが真面目に考えた話とは思えない。
そして、そんなシナリオでゴーサインを出したサルキンド親子も、どういうセンスなのかと。
まあ「だってサルキンド親子だから」と言われたら、何の反論も出来なくなるけど。

まず酷いのが、カーラ(リンダ)がアルゴ・シティーから地球へ行く経緯の設定だ。
その発端は、ザルターが管理者から勝手に拝借したオメガヘドロンにある。それはシティーのエネルギー源なのに、「創作意欲を刺激する ため」という理由で軽々しく盗み出すんだから、ザルターは重罪に問われても仕方が無いんだけど、あっさりと流されている。
それが無かったらシティーが崩壊して全員が暮らせなくなってしまうのに、それほど強い罪悪感を感じているようにも見えない。
っていうか、問題が起きてから「私の責任だから取り戻す」と言い出しても取り返しが付かないわけで、みんなの命が懸かっているような モンを勝手に盗むんじゃねえよ。

で、そんなクソ野郎のザルターは、シティーのエネルギー源であるオメガヘドロンを足で踏み付け、転がしている。
それを拾ったカーラは、軽々しく遊び道具として利用する。そんで壁が壊れてオメガヘドロンが飛び出してしまう。
まだ年端もいかないガキで、オメガヘドロンの重要性が分かっていない奴が遊びに使うということなら、まだ分からんでもないよ。
だけどザルターにしろカーラにしろ、いかに重要な物かは理解しているはずでしょうに。
何かあったら一大事ってのも分かってるはずでしょ。
なんで軽率に扱えるかね。

カーラは移動カプセルに乗って外へ出て行くが、それが責任を感じての行動なのかどうかは良く分からない。
っていうか、たぶん責任を感じているのではなく、好奇心から飛び乗っただけだろう。
何しろ、それに乗って移動する最中、楽しそうな表情を見せているし。
そんで、しばらくするとカーラはスーパーガールのコスチュームに着替えており、開いた移動カプセルから飛び出すと、地球の湖から ザバッと飛び出す。
何の説明も無いので、何がどうなって、そういうことになったのかはサッパリ分からない。

地球に降り立ったカーラは、目から光線を出して花を咲かせたり、空中をフワフワと浮遊したり、スピードを出して空を飛び回ったりして 楽しんだりする。
やっぱり彼女は、責任感を抱いてオメガヘドロンを奪還するためにアルゴ・シティーを飛び出したわけではないらしい。
シティーにいる両親や仲間たちは存亡の危機に陥っているというのに、呑気にスーパーパワーを使って地球を満喫している。

娘の命を心配するザル=エルたちに、ザルターは「大丈夫だ。ワープフィールドを経て、内宇宙から外宇宙へのトンネルである重力放射圏 に行くだけだ」と説明するが、だけど体に異変は生じるんでしょ。
ちっとも大丈夫じゃねえよ。
そんでザル=エルは「死ぬよりマシだ」と受け入れているけど、そんなに簡単に納得しちゃっていいのかよ。
もっとザルターを手厳しく批判した方がいいと思うぞ。

ザルターは「オメガヘドロンを無くした罰としてファントム・ゾーンへ行く。私の苦しみは永遠に続く」と言って自分からどこかへ行くが 、それで済む問題じゃねえんだよ。
シティーの住民は、アンタのせいで全滅するかもしれないんだぞ。
まずはオメガヘドロンを取り戻すために行動しろよ。
なんで「後はカーラに任せておこう」みたいな感じになってんだよ。移動カプセルって1つしかねえのかよ。

さて、オメガヘドロンは都合良く、地球へ飛来する。それを拾ったセリーナは、なぜか急に「我に永遠の命を与えたまえ。太陽の生命力を 分け与えよ」と唱える。
どうやら持ち上げただけでオメガヘドロンの持つパワーも使い方も瞬時にしてマスターしたらしい。
で、それを使って最初に何をやるかというと、キーを使わずに車を運転する。
いや、まあ確かに超能力ではあるんだけど、シティーのエネルギー源である強力な道具を使ってやることが、ただ車を動かすだけかよ。
いきなりチンケだな。

カーラは地球に来たのが初めてなのに、そこでの暮らしに戸惑うことは無い。
最初から順応しており、女学生として潜り込むという作戦も簡単に思い付く。
そのくせ、挨拶の方法は知らなかったようで、ルーシーが握手を求めた時に戸惑っている。ピアスやブラジャーも全く知らない。
どうやら一応はオメガヘドロンを奪還するという目的もあるようだが、そのために生徒として高校に潜り込む必要性があるのかというと、 それは全く無い。

それに、ホントにオメガヘドロンを奪還したいと思っているのなら、授業中にセリーナの車を見つけた時、先生に注意されても無視して 追い掛けるはずだ。仮に授業を抜け出して退学になったとしても、痛くも痒くもないはずでしょ。そうなったら別の場所へ移動して、他の 人間に成り済ましてしまえばいい。
っていうか、オメガヘドロンを奪還するだけなら、誰か特定の人間に化ける必要さえ無いんだよな。
でも、リンダ・リーという女学生であり続けることを重視し、セリーナの追跡よりも授業を優先したり、授業が終わった後で急いで セリーナの車を追い掛けようともしなかったりってのは、「ずっと地球で暮らそうとしている」ってことにしか思えん。
お前はシティーを危機に陥らせておいて、地球で安住しようってのか。

セリーナは登場した時点で既に「魔女」という設定があり、その時点で既に胡散臭いのだが、じゃあ 魔女として特殊な能力を披露するのかというと、「イーサンを自分を惚れさせるための薬を作る」という行動が用意されている。
ここでの「魔女」ってのは、スーパーパワーを持つ魔女ということではなくて、「様々な道具を調合して薬を作り、それを使って望みを 叶える」というクラシカルな魔女なのね。
っていうかさ、そんなことより、世界征服の目的はどこへ行ったんだよ。
なんで若い男をたぶらかすことに夢中になってんだよ。

そこに来て、急に「魔女」としての設定を活用しようとするんだよな。正直に言って、そこを除けば、セリーナが魔女だという設定の意味 なんて全く無いんだよね。
だったら魔女という設定なんて要らないんじゃないか、例えば世界征服を企む組織の女ボスという設定でもいいんじゃないかと思ったりも するんだが、大組織のボスという設定にしちゃうと、大勢の役者が必要になって来るんだよね。
それを避けたかったってことだろうか。本家『スーパーマン』シリーズも、敵は少数のグループで、スケール感は全く無かったし。
で、単に少人数というだけなら、「量より質」ということだってある。「数は少ないけど圧倒的なカリスマ性がある」とか、「頭がキレて 巧妙な作戦を次々に思い付く」とか、「肉体的なパワーがスーパーガールを遥かに凌駕している」とか、何でもいいから「悪党としての 強大さ」があれば、少人数でも(例えば1人でも)何とかなるかもしれない。
しかし、税金やローンの支払いに四苦八苦しているとか、魔女集会を開いて入会金で生活費を工面しようと目論んでいるとか、すげえ 情けないんだよな、セリーナとビアンカって。

セリーナは登場した時点で世界を征服する野望を口にしているが、そのための計画は何も考えていないし、実現するための力も持って いない。
「いずれビッグなスターになってやる」と言っているオツムがアーパーな奴と変わらない。
で、そんな夢だけがデカいアーパーなセリーナが、妄想に過ぎなかった目的を達成できるかもしれない道具を手に入れて、どうするのかと 思ったら、「逃げ出したイーサンを透視する」とか、「イーサンを捕まえるために建設機械を操る」とか、そういうことに使う。
繰り返しになるけど、世界征服の目的はどこへ行ったんだよ。なんで若い男をたぶらかすことに夢中になってんだよ。

イーサンはカーラにキスをするが、それは薬の効果があって惚れただけであって、本当の気持ちで彼女に惚れたわけではない。
そんな相手から、初対面で不意にキスをされたのに、カーラは寮に戻ってから思い出して嬉しそうに微笑んでいる。
その恋愛劇、まるで乗れないわ。
あと、フラフラと町を歩いていたイーサンが、カーラと会うまで一人の女性も見ていないってのは、かなり無理があると思うぞ。

イーサンがカーラに心を奪われると、セリーナは腹を立ててカーラを始末しようと目論み、そのためにオメガヘドロンのパワーを使う。 世界征服のことなんて完全に忘れ去っている。
セリーナがイーサン目当てで行動しているだけでも充分に情けないのだが、オメガヘドロンのパワーをまるで制御できておらず、自分が 予期していない現象が起きたり、何もしていないのに勝手にオメガヘドロンが動いたりする。
そんな風だから、セリーナは悪党としての凄みも恐ろしさも皆無に等しい。
本家のシリーズもそういう傾向はあったけど、それにも増してコミカルなテイストが強くなっている。

一方のカーラも、オメガヘドロンを感知して遊園地に乗り込んだのに、イーサンから遊具に乗ろうと誘われると、あっさりと乗っている。
そんなことしている場合じゃねえだろうに。
で、スーパーガールの姿を見たイーサンが「リンダは?」と言うと、「リンダよ」と答えてしまっている。
正体をバラしちゃってもいいのかよ。
そんでリンダだと信じない彼の目の前で空を飛び、「スーパーマンの従妹よ。ホントは秘密なんだけど」と言っちゃうけど、秘密なのに 簡単に暴露しちゃうのかよ。

ナイジェルが小槌を使ってイーサンを遊園地へ移動させた後、なぜかセリーナは急にパワーの使い方に慣れたのか、町に山を出現させ、 その頂上に要塞を作り出す。スーパーガールを透明の板に閉じ込め、ファントム・ゾーンへ送り込む。
いや、パワーアップしたとしても、なんでファントムゾーンに送り込むことが出来ているんだよ。
地球人なんだから、ファントム・ゾーンとか知らないはずだろうに。
もうメチャクチャだぞ、ストーリー展開もキャラクターの行動も。

「世界征服を企むセリーナと、それを阻止しようとするスーパーガール」という図式は成立していないまま、残り30分ぐらいまで到達して しまう。
で、セリーナが「イーサンを自分の所有物にして邪魔なスーパーガールを排除する」という目的を達成したので、ようやく彼女が世界征服 に向けて動き出すのか、でも時間が全く足りないのにどうするんだと思っていたら、ミッドヴェイルを支配して浮かれている。
だからスーパーガールが戻って来ても、「ミッドヴェイルを救うためにセリーナと戦う」という形になってしまう。
一応、セリーナはミッドヴェイルだけで満足しているわけではなくて、「土曜までに全米とメキシコとカナダを制圧する」と言っている けど、「いや無理だろ」と即座に言いたくなるぐらいショボくれた悪党だ。
それなら最初から世界征服なんて野望を口にせず、ゴッサム・シティーの悪党みたいな設定にでもしておいた方が良かったんじゃないかと 思ったりもする。
ただ、セリーナの目的を世界征服から変更したとしても、子供騙しのチープな映画という印象は何ら変わることが無いだろうけど。

(観賞日:2014年1月4日)


第5回ゴールデン・ラズベリー賞(1984年)

ノミネート:最低主演男優賞[ピーター・オトゥール]
ノミネート:最低主演女優賞[フェイ・ダナウェイ]

 

*ポンコツ映画愛護協会