『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』:2008、アメリカ

ジオノーシスの戦い以降、クローン大戦は激しさを増していた。シスの暗黒卿ドゥークー伯爵が率いるドロイド軍は驚くべき速度で主要なハイパースペース航路を支配し、クローン軍主力との分断に成功した。ジェダイの将軍たちは銀河の外縁地域での拠点確保に失敗し、多くの星はドロイド軍の分離主義派に加わった。ジェダイは戦いに明け暮れ、治安を維持する者はいなくなった。
そんな中、ジャバ・ザ・ハットの息子ロッタが誘拐されるという事件が発生した。ジャバから助けを求められた共和国は、対応を協議した。ジェダイ・マスターのメイス・ウィンドゥは犯罪王との取引に難色を示すが、最高議長パルパティーンの考えは違った。彼はロッタを救出することでハットの信頼を得て、彼が支配する宙域での航路を確保しようと考えたのだ。
しかしジェダイはドロイド軍との戦闘に参加しており、その時点で動けるのは惑星クリストフシスを陥落させたばかりのオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーの両名だけだった。通信の一時的な遮断でオビ=ワンと連絡が取れないため、ヨーダは伝令を派遣することにした。その頃、アナキンたちは敵と戦っていた。まだクリストフシスを陥落させていなかったのだ。
オビ=ワンやアナキンたちは、ウォーム・ロースサム将軍が指揮する独立星系連合を相手に苦戦を強いられていた。そんな中、敵軍は一時退却し、エネルギーシールドを使うことを決めた。敵が一時退却している間に、コルサントから派遣されたアタック・シャトルがアナキンたちの元へやって来た。そこから現れた少女アソーカ・タノは、ヨーダが派遣した伝令だった。
アソーカはアナキンに、すぐジェダイ寺院へ帰るよう伝えることをヨーダに依頼されたことを告げた。しかし、まだアナキンたちは帰還できる状況ではなかった。アソーカは自分がパダワンであり、オビ=ワンでなくアナキンに付くよう言われたことを告げた。同じ頃、アサージ・ヴェントレスはドゥークーに連絡し、誘拐したロッタを古い修道院に連行したことを報告した。
アナキンはトルーパーの指揮官レックスの元へ戦況を尋ねに言った。アナキンはアソーカに「パダワンは持たない。力があるなら自分で証明しろ」と告げ、邪険に扱った。敵軍はエネルギー・シールドを張り、銃砲陣地へ向かって進軍してきた。アナキンとアソーカは、シールド・ジェネレーターを破壊すべきだということで意見が一致した。オビ=ワンは、自分たちが敵軍を引き付けている間に、シールド・ジェネレーターを破壊するよう2人に命じた。
ヨーダとメイスの元にクローンコマンダーからの連絡が入り、ジャバがロッタ捜索に賞金稼ぎを雇ったことが判明した。その賞金稼ぎを追跡した結果、コマンダーたちは僧院を発見していた。ヨーダは偵察部隊を待機させ、自らオビ=ワンたちの応援に向かうことを決めた。アナキンはロースサムに降伏を告げ、交渉すると見せ掛けて時間を稼いだ。その間、レックスやクローンコマンダーのコーディーたちは銃砲陣地を守って戦った。アナキンとアソーカはシールド・ジェネレーターを破壊し、戦闘は終結した。
アナキンはアソーカに「無鉄砲すぎる。それではオビ=ワンのパダワンにはなりない」と注意したが、すぐに「でも僕の時は別だ」とフォローした。ヨーダはアナキンとアソーカに「ロッタをさらった犯人を見つけろ。ジャバとの交渉はオビ=ワンが担当する」と告げた。ジャバは差し向けた賞金稼ぎが全てしたいとなって戻ってきたため、ジェダイと連絡を取った。彼はパルパティーンに対し、早くロッタを連れ戻すよう要求した。
アナキンは偵察隊と合流し、敵の勢力について尋ねた。僧院は要塞のようになっており、敵軍は2個大隊で守っていた。ジャバの元を訪問したオビ=ワンは、「生死を問わず、犯人を連れて来い。ジェダイが失敗すればドゥークーに頼む」と告げられた。アナキンたちは外の護衛と戦い、全滅に追い込んだ。ヴェントレスはドロイドに、「後はお前の役目だ」と告げた。
アナキンたちが僧院に入るとドロイドが現れ、「私は管理人です。人質は地下に閉じ込められました」と告げた。アナキンとアソーカは地下へ向かい、ロッタを発見した。ヴェントレスはドゥークーに連絡を取り、「すぐに始末できます」と言うが、「それより証拠が先だ」と諌められた。ドゥークーはジャバの元へ行き、「ロッタをさらった犯人はジェダイです」と吹き込んだ。
アソーカはロッタが高熱を出していることに気付き、アナキンに告げた。アナキンはバックパックを用意し、そこにロッタを入れた。その様子をヴェントレスが盗み撮りし、ドゥークーに送った。ドゥークーは映像をジャバに見せ、「これがジェダイが犯人だという証拠です」と告げた。ドゥークーは「ロッタを救出するので、共和国軍との戦いで味方になってほしい」とジャバに持ち掛けた。
ヴェントレスがドロイド軍を率いて襲撃してきたため、アナキンたちは僧院の中に退却した。アナキンはオビ=ワンの援軍を待とうとするが、アソーカは「逃げ道を探すべき」と主張した。ドロイド軍は扉を開けて攻撃して来た。ヴェントレスは援軍を迎撃するようドロイド軍に命じ、アナキンの元へ向かった。アナキンはアソーカと共にプラットフォームへ飛び、そこで古い船を発見した。
僧院に入ったオビ=ワンはヴェントレスと遭遇し、戦いを繰り広げる。アナキンは船のエンジンを点火し、レックスたちの元へ戻ろうとする。しかしアソーカに「ロッタを医者に診てもらわないと」と言われ、任務の優先を選択した。アナキンはジェダイのクルーザーへ向かうが、敵の攻撃で着艦が不能になってしまった。アナキンは、その古い船でタトゥーインまで向かうことにした…。

監督はデイヴ・フィローニ、脚本はヘンリー・ギルロイ&スティーヴン・メルチン&スコット・マーフィー、製作はキャサリン・ワインダー、製作総指揮はジョージ・ルーカス、編集はジェイソン・タッカー、音楽はケヴィン・カイナー、オリジナル『スター・ウォーズ』テーマ&音楽はジョン・ウィリアムズ。
声の出演はマット・ランター、アシュリー・エクスタイン、ジェームズ・アーノルド・テイラー、ディー・ブラッドリー・ベイカー、トム・ケイン、ニカ・ファターマン、イアン・アバークロンビー、コリー・バートン、キャサリン・タバー、マシュー・ウッド、ケヴィン・マイケル・リチャードソン、デヴィッド・アコード他。
Featuring the Voice ofサミュエル・L・ジャクソン、アンソニー・ダニエルズ、クリストファー・リー。


ジョージ・ルーカスが生み出した『スター・ウォーズ』シリーズの『エピソード2/クローンの攻撃』と『エピソード3/シスの復讐』の間の物語を描いた全編3DCGのアニメーション映画。クローン大戦を題材にしたサイド・ストーリーとなっている。
100話で構成されるTVシリーズの第1話に当たる部分を、劇場映画として公開したのが本作品だ。
アナキンの声をマット・ランター、アソーカをアシュリー・エクスタイン、オビ=ワンをジェームズ・アーノルド・テイラー、レックス&コーディをディー・ブラッドリー・ベイカー、ヨーダをトム・ケインが担当している。
メイス、C−3PO、ドゥークーだけは、それぞれ実写版で同役柄を演じたサミュエル・L・ジャクソン、アンソニー・ダニエルズ、クリストファー・リーが声優も務めている。なのにヨーダはフランク・オズじゃないのね。

当然と言えば当然だが、本家の『スター・ウォーズ』シリーズを見ていないと、全く話に付いて行くことは出来ない。特にエピソード2とエピソード3については、これを見る前に改めて復習しておいた方がいいかもしれない。
完全にシリーズのファンのためだけに特化した作品と言っていいだろう。予備知識が無いと、「ジオノーシスの戦いって何?」「クローン大戦って何?」「分離主義派って何?」など、もう入り口の部分からハテナだらけになってしまうだろう。

本家シリーズの20世紀フォックスではなくワーナー・ブラザーズの配給なので、いつものようなオープニングが見られない。
さらに、冒頭で流れてくるジョン・ウィリアムズのテーマ曲も、妙なアレンジを施されている。
これには萎えるなあ。
むしろ使わない方がマシじゃないかと思ったぐらいだ。
その後も当然のことながら、ジョン・ウィリアムズの音楽は使われていない。
実は本家シリーズにとって、ジョン・ウィリアムズの貢献度はものすごく高かったんじゃないかと感じさせられた。

キャラクターは一昔前の対戦格闘ゲームのようなローポリゴンで、ナチュラルな感じの造形ではない。ハッキリ言って3DCGとしての質は低い。動きの質も低くて、歩くシーンなんかでも操り人形のようで、ちっともスムーズではない。
特に酷いと思ったのは、オビ=ワンがロースサムカップと交渉に入り、カップに入った飲み物を口に運ぶシーン。
全く飲んでいるようには見えない。
「飲んだフリ」にしか見えないのだ。
一瞬、そういうシーンなのかと勘違いしてしまったぐらいだ。

アニメーションの質を見た限り、どうも手抜きしているように思えて仕方が無い。
まあ、そもそも「特撮で作るよりはアニメーションの方が安く仕上がる」ということでアニメにしたんだろうけどね。
だから「アニメーションとしての高クオリティーを目指して金を掛ける」という考えは、全く無かったんだろうなあ。安く仕上げて、ブランドの威力で金を稼ごうという算段なんだろうな。
しかし、こんな質の低い3DCG作品を作るぐらいなら、2Dでやった方がマシだと思うんだが。

それにしても、「降伏だ」と宣言して時間稼ぎをして、その間にアナキンたちにエネルギー・ジェネレーターを破壊させようというオビ=ワンの作戦は、卑怯な手口だよなあ。
まあ「戦争に卑怯もへったくれもない」と言われりゃ、確かにそうかもしれないけど。
でも偉大なるジェダイの戦士が、そんな手口で敵を欺くってのは、どうなのかと思ってしまうぞ。

ドゥークーがジャバの元を訪れて「犯人はジェダイです」と言うのは、まだタイミングが早いんじゃないのか。だって、その時点では、まだ証拠は手に入れていないのよ。そこで焦る必要がどこにあんのよ。証拠を入手してからでも遅くないでしょ。
あと、その証拠は何かと思っていたら、アナキンたちがロッタをバックパックに入れる映像だった。それをドゥークーは証拠だと言い張るが、説得力ねえなあ。子供騙しも甚だしい。
そこは「シャバはバカだから簡単に騙される」ということで納得するしかないのか。

話としては、ひたすら戦ってばかりで、すぐに飽きてしまう。
ホントに中身が薄いのよ。
それに、チェンジ・オブ・ペースが無くて、延々と同じような調子だし。
ジェダイの戦い方と同様、力押しだけしか知らないのかと。
戦闘シーンの迫力だけで惹き付けることが出来るという考えだったのか。
だとすれば、それは甘いよ。
グラブ・ジャムーン(世界で最も甘いお菓子とも言われるインドの菓子)に、ステビア(砂糖の200倍以上の甘味度を持つ甘味料)を大量に振り掛けたぐらい甘いよ。


第29回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低序章・リメイク・盗作・続編賞

 

*ポンコツ映画愛護協会