『スノーデン』:2016、アメリカ&フランス&ドイツ

2013年6月3日、香港。ドキュメンタリー映画作家のローラ・ポイトラスとガーディアン紙のグレン・グリーンウォルドはホテルへ出向き、連絡を取ったエドワード・スノーデンと接触する。スノーデンはホテルの一室へ案内すると、安全のために2人の携帯電話を回収して電波を遮断した。ローラがカメラをセットすると、スノーデンは自己紹介を始める。彼はNSA(国家安全保障局)の契約スタッフで、以前はCIA(中央情報局)にも所属していた。
2004年、ジョージア州フォート・ベニング。軍に入隊したスノーデンは厳しい訓練を積むが、2段ベッドから飛び降りた時に両足を痛めて動けなくなった。医師の診察を受けた彼は、数週間前から疲労骨折していたことを告げられる。体に無理な負担が掛かっていることを指摘されたスノーデンは、医師から「他の方法で国に尽くせ」と除隊を促された。入院中にインターネットで暇を潰した彼は、『攻殻機動隊』の話で1人の女性と親しくなった。
除隊したスノーデンはCIAの試験を受け、面接で様々な質問を受ける。祖父は軍人で後にFBIで働き、父は沿岸警備隊で30年に渡って勤務していた。両親が離婚したため、彼は金を稼ぐため高校を中退していた。指導教官のコービン・オブライアンは「平時なら不合格だ」と言うが、同時多発テロが起きたこともあり、優秀な頭脳を持つスノーデンを採用した。2006年、スノーデンはCIA訓練センターの「ザ・ヒル」へ赴き、暗号を研究しているハンク・フォレスター教官と会った。
コービンは新入りを集めて講義を行い、破壊されたデータを全て復元する適性試験を指示した。彼が目標として提示したのは5時間だったが、わずか40分足らずでスノーデンは終わらせた。彼は順序を無視し、自動バックアップ処理で時間を大幅に短縮していた。ワシントンへ出掛けたスノーデンは、ネットで仲良くなったリンゼイ・ミルズと初めて会った。スノーデンは国務省で分析の仕事をしていると言うが、すぐにリンゼイは嘘だと見抜いた。彼女は政府に対する批判的な意見を持っておりで、スノーデンとは考え方が全く異なっていた。それを互いに認識した上で、2人は交際を始めた。
ブッシュ大統領が令状無しの通信傍受を強化していることがマスコミから批判される中で、コービンは生徒たちに「FISAが令状を発行し、容疑者に通知しないこともある。裁判の手続きは報道されない」と述べた。ハンクはスノーデンに、「この世界ではトップになると辛いこともある。優秀であっても、仕事を潰されることがある」と語る。同時多発テロの時、彼のアイデアをベースにした多額のプログラムが使われたがフィルターかせ無かったせいで大惨事が起きていた。ハンクはスノーデンに、「情報は諜報業界のためにあるのではなく、全ての方策を決めているのは軍需産業が潤う管理体制だ」と述べた。スノーデンはコービンから、「君を中東には送らない。20年後にイラクは見捨てられ、誰も目を向けない。真の脅威は中国やロシアやイランで、サイバー攻撃を仕掛けてくるはずだ」と告げられた。
香港での取材2日目を迎えたグレンは、同僚のイーウェン・マカスキルを呼んでスノーデンに紹介した。これまで経験した情報機関のIDを見せ、早く記事にしてほしいと求めた。マスコミに取り上げてもらえない場合、CIAの違法な取り調べを受けるだろうと彼は話した。スノーデンは「目的は金じゃない。データを世間に公表し、国民に判断してほしい。間違っているのが僕なのか政府なのか」と語り、英国政府に通信本部に関して持っているデータを渡した。イーウェンはニューヨーク事務所のジャナイン・ギブソンに連絡を入れ、記事にする許可を得た。スノーデンは彼らに、CIAで最初に赴任したジュネーブで得た検索インターフェースの情報を教えた。
2007年、スイスのジュネーブ。スノーデンは国連代表部に配属され、ネットワーク・セキュリティーの維持に関わっていた。彼は欠陥を探すため人事部のサイトに侵入し、上司に「君の管轄ではない。この件から手を引け。君の評価が落ちている」と告げられる。現場に出て働くことを希望するスノーデンは同僚のジェネヴァから、「コービンに協力を頼んだ。俺の下で現場に出られるかもしれないぞ」と聞く。データの消去作業に当たっていたスノーデンは、NSAのガブリエル・ソルに声を掛けられる。スノーデンはガブリエルから、通信管理システムによって大統領に敵対的な発言は全て閲覧できることを知らされた。
ある日、スノーデンはリンゼイを伴ってパーティーに出掛け、ジェネヴァからコービンの協力が得られたことを聞く。スノーデンは最初の現場仕事として、パーティーに出席しているサウジ関連の銀行家を協力者にするよう指示された。スノーデンは何も収穫を得られなかったが、リンゼイがマルワンという銀行家を紹介してくれる。リンゼイはデイトレードで大損したと嘘をつき、スノーデンも話を合わせた。スノーデンがガブリエルに調べてもらうと、マルワンは何の問題も無いクリーンな人物だった。
何か弱点が無いかとスノーデンが尋ねると、ガブリエルはパソコンのカメラで義妹を監視できることを教えた。動揺したスノーデンは盗撮を中止してもらい、他の情報を調べてもらう。ガブリエルはフェイスブックを見る方法を彼に教え、対象がアメリカ人でもFISAが簡単に許可を出すと告げる。調査の結果、マルワンの娘であるサルマが恋人のナディムと結婚したがっていること、彼女は知らないが相手が不法滞在者で多くの女性と交際していることが判明した。
スノーデンが情報を送ると、すぐにジェネヴァが動いた。ジェネヴァに連れられてクラブへ出掛けたスノーデンは、マルワンと会った。彼と話したスノーデンは、ナディムが強制送還されてサルマは睡眠薬を飲んだが一命を取り留めたことを知る。「もしも娘が死んだら?」とスノーデンに言われたジェネヴァは、何食わぬ顔で「それも利用できた」と口にした。彼はスノーデンに「マルワンは家族と離れられる状態じゃない。1週間の留置後に取り引きを持ち掛ければ断らない」と言い、彼を飲酒運転で通報するよう指示する。マルワンはクラブで泥酔しており、しても運転できる状態ではなかった。スノーデンは作戦に反対するが、ジェネヴァは「お前にNSAのプログラムを使う許可があったか?」と脅しを掛けた。
スノーデンはパソコンのカメラによる監視が気になり、自宅でも神経質な態度を取った。事実を知らないリンゼイは軽く考えており、そのことでスノーデンは苛立ちを見せた。スノーデンはオバマが大統領に選ばれる直前に、CIAを退職していた。香港では、ガーディアン紙が召喚されることを懸念したグレンとイーウェンが記事の公表に難色を示した。自分たちのサイトで公表することもグレンは考えるが、イーウェンは「ウィキリークスの二の舞だ」と反対する。
スノーデンは発表の方法を全て2人に任せており、大量監視を国民に知らせてほしいと改めて頼む。イーウェンはジャナインと政府の電話会議が終わるまで待つよう提案し、しばらく待機することになった。休憩に入ったスノーデンは、日本にいた頃からカメラを向けられることが苦しくなったとローラに告白する。2009年にDELLで働いていたスノーデンは、NSAに派遣されて日本で仕事をすることになった。彼はローラに、「給料も良かったし、日本で暮らしたかった。それにオバマ政権になったので、状況も良くなると思ったんです。だけど違った」と語った。
日本の横田基地でスノーデンが最初に取り組んだのは、エピック・シェルターというプログラムの構築だった。NSAは日本政府に内緒で国民を監視しており、通信システムや物的インフラも乗っ取った。スノーデンはNSAから、テロの危険が無い国や各国の企業トップなども追跡するよう命じられた。そこでスノーデンは、テロは口実に過ぎず、監視の目的は経済と社会の支配ではないかと考えるようになった。しかし、まだスノーデンはシステムが自己修正し、大統領が公約を守るだろうと考えていた。
標的だけでなく全ての通話相手まで監視する仕事を任されたスノーデンは、あまりの規模の大きさに愕然とした。リンゼイも一緒に日本へ来たが、2011年、彼女がポールダンスの写真をパソコンに保存していると知ったスノーデンは消去を求めた。リンゼイは怒りをぶつけてスノーデンと激しい口論となり、日本を去った。3ヶ月後に帰国したスノーデンはリンゼイに謝罪し、また同棲生活に戻った。CIAにコンサルタントとして復帰したスノーデンは、新しい事実を知る度に無視できなくなっていた。NSA高官が監視の悪用や範囲が問題だと政府内で訴えていたが、そのせいでFBIの家宅捜索を受けた。報道機関に公表した人物は、スパイ活動法違反で告訴された。
スノーデンはコービンからNSAのハワイ支部で新しいプログラムを開発していることを聞かされ、中国のサイバーチーム対策に参加するよう誘われる。スノーデンが「世界中を監視するなんて思いもしませんでした」と言うと、コービンは「大抵のアメリカ人が望むのは自由より安全だ。秘密の保持が防衛に、防衛が勝利に繋がる」と述べた。スノーデンに打診したのはNSAのローウェル副長官で、コービンは「サイバー対策に従事する初めての民間スタッフだ。これで出世できる」と語った。
帰宅したスノーデンは、NSAから誘われてハワイ行きを考えていることをリンゼイに明かす。彼はてんかんの発作で倒れ、リンゼイはストレスを減らすためのハワイ行きを承知した。香港のグレンたちはジャナインと通信し、編集長が来るまで待つよう促される。しかし到着まで6時間も掛かることから、グレンは「それなら自分たちでやる」と主張する。ジャナインは悩んだ末、3時間後の早朝4時までに記事を公表すると約束した。
2012年、ハワイのオアフ島。スノーデンはNSAの暗号解読センターに初出勤し、ガブリエルと再会する。部長のトレヴァー・ジェイムズや側近のパトリック・ヘインズと会ったスノーデンは、防衛担当部門で仕事を始める。仕事の内容は中国の監視への反撃と聞かされていたが、実際は空軍の攻撃への協力だった。追跡するのは携帯電話だが、標的が悪党かどうかを判断するのはアメリカ政府だった。この作戦に使用されているのは、スノーデンが別の目的のために開発したプログラムだった…。

監督はオリヴァー・ストーン、原作はルーク・ハーディング&アナトリー・クチェレナ、脚本はキーラン・フィッツジェラルド&オリヴァー・ストーン、製作はモリッツ・ボーマン&フェルナンド・サリシン&フィリップ・シュルツ=ダイル&エリック・コペロフ、製作総指揮はバーマン・ナラギ&ホセ・イバニェス&マックス・アルヴェライズ&トム・オーテンバーグ&ピーター・ローソン&ジェームズ・スターン&ダグラス・ハンセン&クリストファー・ウッドロウ&マイケル・ベイシック、共同製作はロブ・ウィルソン&レネ・コック、製作協力はジョシュア・サスマン&ジャネット・リー&アラン・ラスブリッジャー、撮影はアンソニー・ドッド・マントル、美術はマーク・ティルデスリー、編集はアレックス・マルケス&リー・パーシー、衣装デザインはビナ・ダイヘレル、音楽はクレイグ・アームストロング、追加音楽はアダム・ピータース、主題歌はピーター・ガブリエル、音楽製作総指揮はバド・カー。
出演はジョセフ・ゴードン=レヴィット、シェイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、ニコラス・ケイジ、リス・エヴァンス、トム・ウィルキンソン、スコット・イーストウッド、ローガン・マーシャル=グリーン、ティモシー・オリファント、ベン・シュネッツァー、レイキース・リー・スタンフィールド、ジョエリー・リチャードソン、ベン・チャップリン、ニコラス・ロウ、パトリック・ジョセフ・バーンズ、バスカー・パテル、デメトリ・ゴリツァス、マイケル・ベンツ、ロバート・ファース、クリスティー・メイヤー、ケネス・トーマス、ジェイムズ・バトラー、エロール・サンダー、スージー・ギルバート、ステファニー・シンベック、アナトリー・クチェレナ、ヴァレンティナ・クイトコ他。


「スノーデン事件」で全世界を騒がせた元NSA職員、エドワード・スノーデンを主人公に据えた作品。
監督は『ブッシュ』『ウォール・ストリート』のオリヴァー・ストーン。
脚本は『ミッション・ワイルド』のキーラン・フィッツジェラルドとオリヴァー・ストーン監督による共同。
スノーデンをジョセフ・ゴードン=レヴィット、リンゼイをシェイリーン・ウッドリー、ローラをメリッサ・レオ、グレンをザカリー・クイント、ハンクをニコラス・ケイジ、コービンをリス・エヴァンス、イーウェンをトム・ウィルキンソン、トレヴァーをスコット・イーストウッドが演じている。

いかにもオリヴァー・ストーン監督らしい題材と言えるが、企画を持ち掛けられた当初は断ろうとしたらしい。
結局は引き受けたものの、何しろ司法当局から逮捕命令が出ている人物の映画ということもあってアメリカ国内から出資者が現れず、撮影も盗聴問題でアメリカ政府を批判したドイツで行われた。
そんな苦労の甲斐もあって、第37回ゴールデン・ラズベリー賞ではニコラス・ケイジが最低助演男優賞にノミネートされた(おやっ、私は何か変なことを書いているぞ)。

エドワード・スノーデンは賛否両論、様々な評価をされている人物だ。
しかし何しろオリヴァー・ストーン監督なので、全面的に「正義のために命懸けで行動した英雄」として描かれている。
「彼の協力を得ているから悪く描けない」ってことじゃなくて、それがオリヴァー・ストーンらしさってことだ。
決して「アメリカ政府に政権に批判的な考えの持ち主だから」ってことじゃなくて、「俺って社会派だろ」とアピールしたがる傾向の強い人間ってことだ。

エドワード・スノーデンが「アメリカが全世界のネットを傍受している」という真実を告白してロシアに亡命したことは、そんなに国際政治への興味が高くない人でも、日々のニュースをザックリと見ていれば何となく知っている情報だろう。なので、その程度なら、改めて映画で説明してもらう必要など無い。
しかし本作品では、まあ当然と言えば当然なのだが、新たな真実が明かされるわけではない。その真実に隠された、意外な経緯が語られるわけでもない。
オリヴァー・ストーン監督と言えば、有名な歴史的事件に関して大胆な仮説を立て、それを映像化することが得意な人というイメージがある。しかし本作品に関しては、まだ最近の出来事だし、エドワード・スノーデン本人の協力を得ていることもあってか、「勝手に妄想した仮説」を持ち込むことは避けている。
その結果として、「広く知られているような事実を、淡々と順番に羅列しました」という構成になっている。

劇中ではスノーデンの台詞やシーンを使って、「アメリカ政府はテロの危険性が無い国や企業トップまで監視している」とか「全ての通信を傍受している」といったことが説明される。それを知った時に、もちろんスノーデンは初耳なので驚愕している。
でも観客からすれば、「そんなの、とっくに知ってるし」という情報ばかりだ。
なので、それを改めて「凄い真実が明らかになったよ。怖いよ、大変だよ」と声高にアピールされても、まるで心を揺り動かす力は無いのよ。
それを知らないぐらい世界の動きに疎い人は、そもそもスノーデンも知らないだろうし、こんな映画を見ようとも思わないだろうし。

劇中で描かれる出来事の中で観客が知らないのは、スノーデンとリンゼイの関係だろう。
しかし、そもそも真実かどうかは分からないし、もっと根本的な問題として「知りたいとも思わない」ってことがある。
スノーデンに関して多くの観客が知りたいこと、興味があることは、彼の恋愛ではないはずだ。スノーデンを主人公にした映画で多くの観客が期待するのは、たぶんスノーデンが機密情報を告発した理由や、「告発するまでに、どんな心の変遷や経緯があったのか」といったことじゃないかと思うのよ。
ハッキリ言って、スノーデンが恋人と不仲になろうが、てんかんの発作を持っていようが、こっちからすると「どうでもいいこと」であり、「だから何なのか」と言いたくなるのだ。
それらの要素が、彼の機密情報を告発した行為に影響を及ぼしているなら、もちろん必要な情報だと感じるだろう。しかし、それは何の関係も無いのである。
スノーデンと恋人のラブストーリーなんて、そんなの誰が見たいのかと。「そんなことより、もっと大事なことがあるだろ」と全力で言いたくなるぞ。

この映画を見ただけでも、もちろん「スノーデンがNSAやCIAが市民の情報を盗んでいる事実を知ってショックを受け、それを公表すべきだという使命感や義侠心に突き動かされた」という道筋は脳内で描くことが出来る。
でも、そんなことは大半の人が、既に分かっていることだ。いや実際の動機がそれで正解かどうかは分からないけど、ニュースなどで得た情報だけでも、そんなのは誰でも容易に辿り着ける動機だ。
だからこそ、「そんなに簡単ではなく、他にも動機が」というアプローチをするか、あるいは「その動機で正解だけど、もっと深く掘り下げたところまで描く」という見せ方をするかという作業が求められるはずだ。
ただしスノーデン本人の協力を得ている以上、「他の動機が云々」という方法を取ることは難しいだろう。何しろ本人が、「正義のための行動」とアピールしているわけだからね。

しかし、それでも後者の方法は残されている。
それなのに本作品は、そういう見せ方も取らない。多くの人が知っているような情報や事象を、順番に並べているだけなのだ。
「その時にスノーデンは何を思ったのか」というトコロに切り込んでいく意識も、まるで無い。
そういう心情にさえ切り込まないのなら、もはや何のために劇映画として作っているのかサッパリ分からない。
それならドキュメンタリー映画として作った方が、面白くなるんじゃないかと思ってしまう。

この映画で羅列されている出来事から物語を紡ぎ出そうとすれば、「スノーデンは信じていた情報機関の汚さや、尽くそうとしていた政府の悪事を知った。ショックを受けたが、公表すべきだという使命感に突き動かされて危険を顧みず行動を取った」という流れになる。
だが、そういったドラマの厚みや深みは、全く感じられない。
もちろん、その場その場で「ショックを受けた」とか「批判的な考えを抱いた」などの感情は伝わる。そして、それが積み重なって、公表するための行動に至ったことも分かる。
だけど、その程度なら「もう知ってる」ということなのよね。

なぜスノーデンがNSAの仕事を受けたり、CIAに復帰したりするのか、そこも良く分からない。
NSAの時には「給料も良かったし、日本で暮らしたかった。それにオバマ政権になったので、状況も良くなると思ったんです」という理由を説明している。
その前にNSAの真実を知っていたことからすると、動機としては弱さを感じるが、まあ良しとしよう。
問題はCIAに復帰する時で、「多くの人々が幸せに暮らしている。僕も幸せになりたい。だからCIAに戻った」って、どういうことだよ。サッパリ分からんぞ。

終盤に入ると、スノーデンがデータを盗み出そうと決意する。彼が坑道を開始すると、「無事にデータを盗み出すことが出来るか」というサスペンスとしての面白味が生じる。その後、現在のシーンでも彼は追われる身となり、「無事に逃亡できるか」といった緊張感が高まる。
その辺りに来ると、スノーデンの行動に「そんなに簡単に成功するのか」「その行動は有り得ないだろ」といったことが見え始める。
つまり、リアリティーよりも娯楽映画としての虚飾が重視されるわけだ。
皮肉なことに、リアリティーが重要なはずの話なのに、それを度外視した辺りで一気に面白味が出て来るのよね。

それにしても、改めて凄いなあと感じるのはニコラス・ケイジという俳優だ。
この映画で彼が出演するのは3シーンだけで、時間は5分ほどしか無い。それでもラジー賞候補になるんだから、どんだけ投票者から愛されているのかと。
既にハリウッドのトップスターという座からは完全に滑り落ちており、もはや彼が主演するのは低予算のB級映画ばかりだ。
そのためラジー賞の範疇から基本的には外れてしまうが、「何とかニックをラジー賞にノミネートしたい」という多くの人々の情熱が、この映画で彼をノミネートさせたのだ。

(観賞日:2017年4月20日)


第37回ゴールデン・ラズベリー賞(2016年)

ノミネート:最低助演男優賞[ニコラス・ケイジ]

 

*ポンコツ映画愛護協会