『スマーフ2 アイドル救出大作戦!』:2013、アメリカ
その昔、スマーフたちは森の中にあるスマーフ村で幸せに暮らしていたが、魔法使いのガーガメルは自分が作り出したスマーフェットを村へ送り込み、スマーフを潰そうと企んだ。スマーフェットは村で騒動を繰り返し、ついには洪水まで引き起こした。皆は追放を望んだが、パパ・スマーフだけは彼女を愛し、魔法の力でハッピー・ブルーに生まれ変わらせた。しかし誕生日が近付くと、スマーフェットは自分が産まれた時の悪夢にうなされる。自信を失った彼女が「本当の私は誰?」と漏らすと、パパは「大事なのは生まれではない。どういう自分になりたいかじゃ」と励ました。
魔法使いのガーガメルはニューヨークで起こした騒動がきっかけで、世界的に注目を浴びる存在となった。彼は天才イリュージョニストとして世界各国を巡り、パリのオペラ座で開催した公演も大成功に終わった。彼が猫のアズレールを連れてホテルへ戻ると、白スマーフのヴェクシーとハッカスが待っていた。2人は自分を作り出したガーガメルを父として慕い、喜んでもらいたいと思っていた。しかし2人はエキスを作れない白スマーフであり、ガーガメルは「失敗した実験の産物だ。裏切り者のスマーフェットと同じだ」と吐き捨てた。
スマーフ村のスマーフたちは、スマーフェットの誕生日パーティーを開こうと計画していた。しかし全員が内緒で準備を進めていたので、スマーフェットは「誰も誕生日を覚えてない。私の居場所は、ここには無い」と寂しくなった。一方、パトリックとグレース夫妻は、息子であるブルーの誕生日パーティーを開いていた。ブルーの友達と保護者にも参加してもらうが、アレルギーを持つ子供も含まれていたため、パトリックは食材や食器に気を遣った。
パーティーを始めた直後、パトリックの母の再婚相手であるヴィクターがやって来た。たくさんのプレゼントを持参したヴィクターに喜ぶブルーだが、かねてから快く思っていないパトリックは顔をしかめた。ヴィクターはアメリカン・ドッグのCMタレントであり、それに気付いた保護者たちは彼を歓迎した。しかしピーナッツ・アレルギーを持つ男児がいたのに、ヴィクターはピーナッツ・オイルで揚げたアメリカン・ドッグを与えた。両親が慌てて吐き出させるが、ヴィクターは全く悪びれた様子を見せなかった。
ヴェクシーとハッカスはフラフラになってしまい、ガーガメルに食事を求めた。ガーガメルは残り少ないスマーフ・エキスを一滴ずつ与え、「生かしてやってるんだから、感謝しろよ」と言う。彼はスマーフ村を襲ってスマーフェットを捕まえ、パパが彼女をハッピー・ブルーに変えた呪文を聞き出そうと企んでいた。彼は呪文でヴェクシーとハッカスを青スマーフに変身させ、エキスを搾り取るつもりだった。エキスを搾り取られることを初めて知ったヴェクシーとハッカスは、不安になった。「痛いの?」と問われたガーガメルは、「そんなに痛くない」と嘘をついた。
ガーガメルはエッフェル塔に登り、エキスを使ってスマーフ村へ通じる穴を開ける。しかしエキスが足りず、人間が通るには小さい穴しか開かなかった。ヴェクシーとハッカスは「自分が行く」と挙手し、ガーガメルはヴェクシーを差し向けた。スマーフ村に移動した彼女はスマーフェットを捕まえ、ガーガメルの元へ連れ帰ね。ガーガメルが呪文を教えるよう求めると、スマーフェットは拒絶した。ガーガメルはヴェクシーとバッカスに、攻撃するよう命じた。しかし2人が遊び始めたので、彼は「出来の悪い奴らだ」と嘆いた。
パパは前回のブルー・ムーンでブルー・ウォーターを貯蓄し、ポーテーション・クリスタルにストックしてあった。それを使えば、穴が無くてもニューヨークへ行くことが出来る。彼はパトリックたちの元へ行き、また力を借りようと考えていた。クリスタルは9つなので、4人の往復とスマーフェットが帰る分しか無い。そこでパパはスマーフェット救出チームのメンバーとして、自分以外にガッツィー、ブレイニー、ヘフティーを指名した。
パパはクリスタルを配ろうとするが、クラムジーがドジをやらかした。そのせいで、グラウチー、クラムジー、ヴァニティーの3人がワープしてしまう。パパは仕方なく、彼らの後に続いた。一方、パトリックはブルーがヴィクターに懐く様子を見て、苦々しい表情を浮かべていた。彼はグレースに、「ヴィクターは破壊の帝王なんだ。どこへ行ってもメチャクチャにする。ウチへ来た時も、父との唯一の思い出だったオウムを逃がした」と語った。
スマーフたちが子供部屋に瞬間移動したので、何も知らないヴィクターは慌てて退治しようとする。パトリックとグレースが駆け付け、「スマーフは友達だ」と説明した。パトリックたちはスマーフから、スマーフェットがガーガメルに連れ去られたことを知らされる。一家は同行を求めたヴィクターも伴い、パリヘ飛んだ。パトリックはオペラ座へ行き、グレースはガーガメルのホテルで部屋を見つけ出すことにした。パトリックはヴィクターに、ブルーとホテルで待機するよう釘を刺した。
ホテルへ赴いたグレースはフロント係にガーガメルの部屋を尋ねようとするが、相手にされなかった。そこで彼女は変装してガーガメルのマネージャーを偽り、5階のナポレオンの間に宿泊していることを巧みに聞き出した。彼女はエレベーターで5階へ向かおうとするが、カードキーが無いと使えなかった。周囲を見回した彼女は、ロッカールームに気付いた。一方、パトリックはスマーフたちを伴い、ショーが行われているオペラ座へ向かった。彼は楽屋入り口を発見し、パパたちを潜り込ませた。
パパたちを楽屋へ向かわせたパトリックの前に、ヴィクターがブルーを連れて現れた。彼は「ブルーと相談して、お前を助けると決めた」と告げ、パトリックを困らせた。スマーフェットはヴェクシーとバッカスの隙を見て、窓から逃げ出した。パパたちが楽屋に入ると、既にスマーフェットも彼女を追い掛けたヴェクシーたちも姿を消していた。ヴィクターはパトリックから「帰れ」と言われても無視し、観客席へ飛び出した。彼はガーガメルに向かって、「スマーフェットを返せ」と叫んだ。
ガーガメルは魔法を使い、ヴィクターを鴨に変身させた。彼はパトリックを捕まえ、巨大化させたアズレールに食べさせようとするが、ヴィクターが妨害した。パトリックはヴィクターとブルーを連れて、オペラ座から逃げ出した。ガーガメルが楽屋へ戻ったので、パパたちは身を隠した。秘密の地下室に落下した彼らは、スマーフ・エキスを搾り取るための巨大なスマーフィレーターが設置してあるのを発見した。楽屋から持ち出した端末を調べたパパたちは、ガーガメルがスマーフ絶滅を企てていると知った。
パパたちはマンホールから道路に出て、パトリックと合流した。ヴェクシーは隠れているスマーフェットに気付くと、バッカスに近くのキャンディー・ショップで騒ぎを起こすよう指示した。彼女はスマーフェットに声を掛け、「パパは助けに来ないよ。だってアンタは、ハッピー・ブルーじゃないから。ホントの仲間は、私たちだよ」と述べた。暴れたバッカスが店員たちに退治されそうになっているのを教えたヴェクシーは、「助けに行かなきゃ」と持ち掛けた。
スマーフェットが迷っていると、ヴェクシーは「アンタ、いい子じゃないの?」と問い掛けた。スマーフェットはキャンディー・ショップに乗り込んでバッカスを助け、ワゴンで脱出した。ガーガメルは馬車でホテルへ向かう途中、スマーフェットから呪文を聞き出す方法についてアズレールに尋ねた。そこでアズレールは、誕生日プレゼントを渡して優しく接するよう助言した。ワゴンに気付いたアズレールは、ガーガメルに知らせようとする。しかしガーガメルは「うるさい、後にしろ」と怒鳴り、アズレールを馬車から投げ捨てた。
スマーフェットたちはアズレールに追われ、コウノトリに乗って逃げ出した。一緒に行動している内に、スマーフェットはヴェクシー&バッカスと仲良くなった。パトリックたちが部屋に戻ると、グレースはロッカールームからウエイターの制服とカードキーを持ち出していた。パトリックは制服に着替え、パパたちを連れて高級ホテルへ赴いた。彼はナポレオンの間に運ばれる食事をワゴンに乗せ、パパたちをクロッシュに隠れさせた。
ヴィクターはカードキーを発見し、パトリックが忘れたのだと思い込んで届けに行った。しかし、それはパトリックたちが宿泊しているホテルのカードキーだった。パトリックが彼と話している間に、ワゴンを乗せたエレベーターのドアが閉じてしまった。ヴィクターが食材と間違えられてシェフに連れ去られたので、パトリックは仕方なく助けに赴いた。5階にいたウエイターは、エレベーターで到着したワゴンをナポレオンの間に運んだ。パパたちを見て驚いた彼は、ワゴンを突き飛ばして逃げ出した。
パパたちはベランダに飛ばされ、部屋に入ろうとする。そこへコウノトリに乗ったスマーフェットたちが戻り、ベランダの窓を閉めた。パパたちはスマーフェットが「楽しかった」と笑ってヴェクシー&バッカスとハグする様子を目撃し、動揺を隠せなかった。彼らは大声で呼び掛けるが、スマーフェットの耳には届かなかった。スマーフェットはヴェクシーから「貴方の居場所は、ここにあるわ」と言われ、「ええ、そうかもね」と寂しそうに告げた。
ガーガメルは部屋に戻り、誕生日を覚えていたように装ってスマーフェットにプレゼントを渡した。それは特注のガーガメル人形で、彼はドラゴンの杖のミニチュアを握るようスマーフェットに促した。パパが危機感を覚える中、スマーフェットは迷いながらも杖を手に取った。彼女は嬉々として杖を振るい、パパたちは魔法でベランダから弾き飛ばされた。ヴィクターは彼らを助けた直後、元の姿に戻った。パトリックとヴィクターからスマーフェットのことを訊かれたパパは、残念そうに「遅かった」と漏らした…。監督はラージャ・ゴスネル、キャラクター創作はペヨ、原案はJ・デヴィッド・ステム&デヴィッド・N・ワイス&ジェイ・シェリック&デヴィッド・ロン、脚本はJ・デヴィッド・ステム&デヴィッド・N・ワイス&ジェイ・シェリック&デヴィッド・ロン&キャリー・カークパトリック、製作はジョーダン・カーナー、共同製作はヴェロニク・カリフォード&ベニータ・アレン&ラファエル・ベノリエル&ヘンドリック・コイスマン、製作協力はマリセル・パグラヤン&サブリナ・プリスコ、製作総指揮はエズラ・スワードロウ&ベン・ハーバー&ポール・ニーサン、撮影はフィル・メヒュー、美術はビル・ボース、編集はサブリナ・プリスコ、衣装はリタ・ライアック&ヴェロニク・マルシェソー、視覚効果監修はリチャード・R・フーヴァー、音楽はヘイター・ペレイラ。
出演はハンク・アザリア、ニール・パトリック・ハリス、ブレンダン・グリーソン、ジェイマ・メイズ、ジェイコブ・トレンブレイ、ナンシー・オデール、カリム・バビン、ガストン・モリソン、ジョセリン・ブランチャード、エリカ・ローゼンバウム、カロリーナ・バルトチャク、ジェームズ・A・ウッズ、アンリ・パルド、ヴァネッサ・マツイ他。
声の出演はケイティー・ペリー、クリスティーナ・リッチ、ジョナサン・ウィンタース、J・B・スムーヴ、ジョージ・ロペス、アントン・イェルチン、ジョン・オリヴァー、フレッド・アーミセン、ジェフ・フォックスワーシー、アラン・カミング、ジョエル・マクラリー、キーナン・トンプソン、ケヴィン・リー他。
ベルギーの漫画家、ペヨによって連載されたバンド・デシネ(漫画)を基にしたシリーズ第2作。3DCGアニメによるスマーフたちと実写を融合して作られている。
監督は前作に引き続いてラージャ・ゴズネルが担当。
ガーガメル役のハンク・アザリア、パトリック役のニール・パトリック・ハリス、グレース役のジェイマ・メイズが前作からの続投キャスト。他に、ヴィクターをブレンダン・グリーソン、ブルーをジェイコブ・トレンブレイが演じており、ナンシー・オデールが本人役で出演している。
声優陣では、スマーフェット役のケイティー・ペリー、パパ役のジョナサン・ウィンタース、グラウチー役のジョージ・ロペス、クラムジー役のアントン・イェルチン、ヴァニティー役のジョン・オリヴァー、ブレイニー役のフレッド・アーミセン、ハンディー役のジェフ・フォックスワーシー、ガッツィー役のアラン・カミングなどが続投組。今回は新たに、ヴェクシーの声をクリスティーナ・リッチ、ハッカスの声をJ・B・スムーヴが担当している。
日本語吹替版では、スマーフェットを高橋みなみが担当した。冒頭、「まずはスマーフ村のおさらい」というナレーションが入り、「ガーガメルがスマーフェットを作ってスマーフに仕返しをしようと目論んだ。悪戯好きのスマーフェットは村に嵐を呼び、ついには洪水まで引き起こした。村人は追放を望んだが、パパ・スマーフだけは愛情を注ぎ、魔法の力でハッピー・ブルーに生まれ変わらせた」ってことが説明される。
そういう入り方をすると、それが前作の内容であるかのように思えるはずだ。
しかし実際のところ、前作では描かれていない内容なのだ。スマーフェットがガーガメルに作られた白スマーフだったこと、パパのおかげで青スマーフに変身して村の仲間になったことは、原作であるバンド・シネでは描かれていることだ。
だからスマーフのファンなら、誰でも知っているような基本的知識だ。
でも前作では、序盤にガーガメルがスマーフェットの人形を睨んで「裏切り者」と呼んだり、スマーフェットが「パパに助けられた」と軽く語ったりする程度で、まるで本筋には無関係だった。
で、そこを今回になって、メインの要素に据えているわけだ。しかし前作ではチラッと触れただけ、今回も「既に皆さんご存知ですよね」という程度の簡単な処理で片付けているので、スマーフェットが悪夢を見て不安に見舞われたり、「ここに自分の居場所は無い」と考えたりするのは、どうにも違和感が強い。
前作の物語で、彼女は改めて「自分はスマーフ村の一員なのだ」という思いを強く抱いたはずで。
だから、「前作は無かったことにしちゃうのか」と言いたくなる。
「絆を感じてたいけど、急に不安が頭をもたげる」というきっかけになる出来事があったわけじゃないし。「悪夢を見る」ってのは誕生日になると毎年の恒例らしいから、「急激な変化をもたらすきっかけ」としては弱いし。パトリックはヴィクターを快く思っておらず、「破壊の帝王だ」と評している。
ヴィクターはマイペースな性格で、決して行儀の良い人間ではない。ただ、パトリックの「父との思い出であるオウムを逃がした」ってのは、実はヴィクターが彼りアレルギーを慮って取った行動なのだ。
後半に入ると、「そのことを知ったパトリックがヴィクターと和解する」という展開が用意されている。だが、そういう見せ方をするのなら、ヴィクターがピーナッツ・アレルギーの男児にピーナッツ・オイルまみれのアメリカン・ドッグを与えても悪びれず、それどころか両親に対して「大げさに騒いで」と言うのはダメだろ。
「過保護な両親」ってのを揶揄する描写を狙っているようだけど、アレルギーのある食品を与えたら、下手すりゃ死んじゃうこともあるわけで。
パトリックのアレルギーに対する気遣いが出来る男なのに、食品アレルギーに無頓着ってことになると、キャラの整合性が取れないでしょ。ガーガメルのホテルへ赴いたグレースは、フロント係に部屋を訪ねようとするが相手にされない。
彼女はフロントに置いてあったチラシにオードリー・ヘップバーンの写真が使われているのて見て、何か思い付いたような様子を示す。
で、何をやるのかと思ったら、その写真と同じ格好になってホテルへ戻る。そしてガーガメルのマネージャーを詐称してフロント係に接触し、部屋を聞き出す。
だけど、ガーガメルのマネージャーを装うなら、「オードリーの格好を真似る」という仕掛けの意味が全く無いよね。パパたちは「仲間であるスマーフェットを救い出す」という目的を持って、行動を開始している。
しかしスマーフを絶滅させようとするガーガメルの計画(トータル・スマーフマゲドン)をパパ・スマーフたちが知ることで、「その計画を阻止しなければならない」という目的が生じる。
そうなると、「スマーフェットを救い出す」ってのが計画を阻止するための手段と化してしまう。
もちろん、パパたちがスマーフェットを救い出そうとすることに変わりは無いんだけど、そこの微妙な違いは、意外に大きな痛手じゃないかなと。ヴィクターはホントに身勝手で言うことを聞かない厄介者で、迷惑を掛けてばかりいる。
ホントなら、そこは「トラブルメーカーだけど憎めない奴」ってことにならなきゃマズいんだけど、ちっとも笑えない不愉快なオッサンになっている。
だからガーガメルの魔法で鴨に変身させられる展開は、大正解だと感じる。オッサンの姿が鴨に変化するだけで、印象はガラリと違って来るのだ。
でも、あっさりと元の姿に戻っちゃうので、「終盤まで鴨のままで良かったのに」と言いたくなるわ。
まあ人間の姿に戻った後は、不快指数の高いキャラじゃなくなっているから、そんなに悪影響は無いのよ。ただ、キャラとしては、明らかに鴨のままの方が魅力的なわけでね。「ヴィクターがオウムを逃がしたのは、パトリックが鳥アレルギーだったから」という真実は、スマーフェット救出に失敗してホテルへ戻ったパトリックが「邪魔だから消えてほしい」とグレースに吐露し、それをヴィクターが聞いてしまった直後の会話シーンで明らかにされる。
ただ、その見せ方が上手くない。
パトリックが「自分が鳥アレルギーだからってオウムを逃がした」と非難し、ヴィクターが「私じゃない。お前がアレルギーだったんだ」と話すことで判明している。パトリックは自分が鳥アレルギーだと気付いておらず、ヴィクターは自分のせいで飼えなくなったと知ったら彼がショックを受けると考え、自分が鳥アレルギーだと偽っていたってのが真相だ。
だけど、そういう事情があるなら、そこでヴィクターが自ら「お前が鳥アレルギーだったのだ」と指摘するのは上手くないでしょ。
その真相をパトリックが知るのは、ヴィクター自身の告白ではなく、例えば「自分が鳥アレルギーだと気付き、ってことは子供の頃の出来事もヴィクターの気遣いだったのではと気付く」とか、「古い知人との会話によって真相を知らされる」とか、そういう形を取った方がいい。「邪魔だから消えてほしい」とパトリックの怒りを買ったヴィクターが「鳥アレルギーは私じゃなくてお前だった」と明かすと、何となくカッコ悪い感じになっちゃうんだよね。
そこは真相を明かさず、寂しさを堪えて静かに立ち去り、後からパトリックが真実を知って反省する流れにした方がいい。
しかもヴィクターは過去の真相を明かすだけじゃなく、「実父が自分を新しい家庭を持ったことが許せないんだ。気持ちは分かるが、怒りを私に向けるな」とか、「お前のことを息子だと思っていたが、迷惑なら消える。最後に1つだけ言わせてくれ。大人になれ。苦しみを他人のせいにするな。自分の息子には、愛とは条件付きのものなんて教えるんじゃないぞ」と説くのよね。
これがホントにウザいし、押し付けがましいのよ。
「大人になれ」に関しては、「どの口が言うのか」って話だし。パトリック&ヴィクターの関係と、スマーフェット&パパ・スマーフの関係を重ね合わせて、「生みの親と育ての親、大事なのは愛情」ってなメッセーじを訴えたいんだろうってのは分かる。
序盤でパパ・スマーフが「大事なのは生まれではない。どういう自分になりたいかじゃ」と言っていたけど、そういうトコにも繋げたいんだろう。
ただ、2つの関係が上手く絡み合っていない。
それと、「スマーフェットがヴェクシー&バッカスと仲良くなる」という要素も、そこだけで成立しちゃってるんだよね。そこが「スマーフェットとパパの関係」とか、「村の仲間との関係」とか、そういう要素と全く連携していないのよね。一番の問題は、パトリックが終盤までスマーフェットと全く絡まないってことだ。
そりゃあスマーフェットは敵に捕まっているから当然ではあるんだけど、ってことはスマーフェットがパトリックの存在を認識するのも終盤になってしまうわけで。
パパ・スマーフに関しては「助けに来てくれるはず」「来てくれないかも」ということで意識しているけど、パトリックに関しては最初から意識の外にあるのよ。そうなると、パトリックやグレースたちって要らなくねえかと。
パトリックとヴィクターの関係で存在意義を持たせているけど、前作で芽生えたはずの「パトリックたちとスマーフの友情」ってのは、まるで活用されていない。
あと、ヴェクシー&バッカスも、パトリックどころかパパたちと絡むのも終盤だけなのよね。
その辺りは、上手くキャラを絡ませることが出来ていないなあと。(観賞日:2016年3月2日)
第34回ゴールデン・ラズベリー賞(2013年)
ノミネート:最低リメイク&盗作&続編賞