『シーナ』:1984、アメリカ

白人の地質学者夫婦は、治癒能力を持つという土を調査するため、ザンブリ族の土地であるアフリカの奥地を訪れていた。だが、地震が発生し、落盤によって夫婦は死亡してしまう。残された幼い娘シーナは、女祈祷師に育てられることになった。やがてシーナは、動物をテレパシーで動かすジャングルの女王へと成長した。
その頃、ディゴラ国では、ジャバラニ王の弟オトワニが、チタンが眠るザンブリ族の聖地グジャラ山を狙っていた。オトワニは、ザンブリ族の土地への立ち入りを禁じている兄の殺害を計画し、偽装のためにテレビの記者ケイシーとカメラマンのフレッチャーを招いた。
祈祷師は王の暗殺を察知するが、オトワニによって投獄されてしまう。ザンブリ族の弓を使ってジャバラニを殺害したオトワニは、その罪を祈祷師に被せた。撮影したフィルムを調べたケイシーは、ジャバラニ殺害がオトワニの仕業だと気付いた。
シーナは祈祷師を救出し、逃亡する。だが、祈祷師は力尽きて死んでしまった。シーナの後を追ったケイシーは、祈祷師の無実を公表すると約束した。オトワニはジョーゲンセン大佐の軍を率いてシーナを追跡し、ザンブリ族の集落を襲撃する。
シーナはケイシーに薦められ、白旗を上げてオトワニの前に姿を現した。オトワニの愛人である女王ザンダによって、シーナはヘリコプターで連行される。鳥を操ってヘリから脱出したシーナは、ザンブリ族に決起を促し、オトワニ達に戦いを挑む…。

監督はジョン・ギラーミン、原案はデヴィッド・ニューマン&レスリー・スティーヴンス、脚本は デヴィッド・ニューマン&ロレンツォ・センプルJr.、製作はポール・アラトウ、製作総指揮はヨーラム・ベン=アミ、撮影はパスクァリーノ・デ・サンティス、編集はレイ・ラヴジョイ、美術はピーター・マートン、衣装はアナリサ・ナサリ=ロッカ、音楽はリチャード・ハートリー。
出演はタニア・ロバーツ、テッド・ワス、ドノヴァン・スコット、エリザベス・オブ・トロ、トレヴァー・トーマス、フランス・ゾブダ、クリフトン・ジョーンズ、ジョン・フォージハム、エロール・ジョン、シルヴェスター・ウィリアムズ、ボブ・シャーマン、マイケル・シャノン、ナンシー・ポール、キャスリン・ガント、カースティ・リンゼイ、ニック・ブリンブル、ポール・ギー、デイヴ・クーパー他。


S・M・エイガー&ウィル・アイズナーによる人気コミックを映画化した作品。
シーナをタニア・ロバーツ、ケイシーをテッド・ワス、フレッチャーをドノヴァン・スコット、祈祷師をエリザベス・オブ・トロ、オトワニをトレヴァー・トーマス、ザンダをフランス・ゾブダが演じている。

シーナ以外のキャラクターは、どうでもいい。
だから、みなチンケである。
例えばオトワニは、ちっとも王弟っぽくない赤いジャンパー姿で登場。ついでに言えば、大きな陰謀を企む悪党という感じも無い。ただのアンちゃんだ。で、「アメフトで68ヤードのフィールドゴールを決めたから、暗殺計画も成功させる」と、良く分からない自信を見せる。

ストーリーだって、どうでもいい。
映画としての体裁を整えるために、最低限の枠さえ用意すればいい。
何の効果にもならないようなオトワニの協力者の死亡シーンとか、ショボショボな所も色々とあるが、どうせ誰も内容なんて見ないので、どうでもいい。

「シーナはザンブリ族に育てられたので英語が話せない」とか、そんな設定は無い。
英語はベラベラだ。ターザンとは違う。
彼女は女ターザンではなく、ジャングルの女王シーナなのだ。
言葉が通じない所から話を膨らませて行くとか、そんな無駄なことはやらない。

ただし、裸になるという大胆な所だけは、ターザンの要素を継承する。
シーナは序盤から、何の必然性も無く、滝の近くでヌードになる。
中盤に入っても、水浴びのためにヌードになる。
もちろん、ボディー・ダブルではない。
タニア・ロバーツ本人が脱いでいる。

この作品で大切なのは、いかにタニア・ロバーツを見せるかということだ。
彼女は全編に渡って、やたらと露出度の高い衣装で、健康的なお色気を振り撒いている。
前述したように、無意味に脱ぐ。
それこそが、この作品で唯一の重要ポイントである。

終盤、シーナは勇敢に立ち上がり、敵を倒して行く。
と、言いたいところだが、実際にはザンブリ族や動物を戦わせるばかりで、本人は大して活躍しない。
ジョーゲンセンを倒すのはザンブリ族だし、オトワニとの対決でも逃げ惑い、ケイシーに倒してもらう。
しかし、それでいいのだ。
あまり強すぎてもダメなのだ。
シーナは、「勇敢だけど、守ってあげたくなるような弱さ、可愛らしさ」をアピールしているのだ。
誰の助けも要らないほど強い女にしてしまうと、バカな男どもを惹き付けることが出来ないのだから。


第5回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低監督賞[ジョン・ギラーミン]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演女優賞[タニア・ロバーツ]
ノミネート:最低音楽賞

 

*ポンコツ映画愛護協会