『セイント』:1997、アメリカ
サイモン・テンプラーは変装を得意とする大泥棒。100万ドルの報酬で、モスクワのトレティアク石油&ガス会社に侵入してマイクロチップを盗み出すことに成功した。そんな彼の元に、スパイダーと名乗る人物から連絡が来た。代理人と称してスパイダーに会いに行くサイモン。
スパイダーの正体は、トレティアク石油&ガス会社の社長イワンと息子イリヤだった。彼らはエマ・ラッセル博士が低温化学融合を成功させたという情報に注目し、その方程式を盗んでほしいと依頼してくる。彼らはそれを利用してロシアを牛耳ろうと考えていた。
300万ドルで依頼を受け、エマの住むオックスフォードに向かったサイモン。エマは芸術に興味があると知り、偽名を使って芸術肌の旅人に成りすまし、彼女に近付く。だが心の中まで見透かすような彼女に、サイモンは本気で惹かれてしまう。
仕事の遂行を悩むサイモンだったが、放棄すればエマを殺すとイワンに脅され、方程式を盗み出して彼女の元を去る。だが、その方程式は不完全なものだった。イワンは金を払わず、サイモンを殺してしまおうとする。
一方、サイモンがカトリックの聖人の名ばかりを使っていることに気付いたエマは自力でサイモンの居場所を突き止め、ロシアまでやって来た。しかし方程式を解読するため、イワンは軍や警察を使ってエマを誘拐しようとする。サイモンはエマを連れて逃亡し、反撃のチャンスを狙う…。監督はフィリップ・ノイス、脚本はジョナサン・ヘンズリー&ウェズリー・ストリック、製作はデヴィッド・ブラウン&ロバート・エヴァンス&ウィリアム・J・マクドナルド&メイス・ニューフェルド、製作総指揮はポール・ヒッチコック&ロバート・S・ベイカー、撮影はフィル・ミュークス、音楽はグレーム・レヴェル。
主演はヴァル・キルマー、共演はエリザベス・シュー、レイド・セルベッジャ、ヴァレリー・ニコラエフ、ヘンリー・グッドマン他。
なんか無理がありすぎるなあ。誰にも捕まらない犯罪者を、なんで素人の女が自力で発見出来るのかなあ。サイモンとエマがイリヤ達に追われた時は、急に謎の地下組織が現れて助けてくれるし。すごい大発見のはずの低温核融合の方程式が妙に簡単だったり。
いいのか、そんなんで?サイモンはクライムヒーローのはずなんだけど、どうも魅力が無い。最初は余裕を持ったクールな男だったはずが、序盤を過ぎると、焦りまくるし余裕は無いし。なんかカッコ良く無いぞ。
で、どんなアクションで事態を打開するのかと思ったら、言葉で説得して他人を仲間にして現状打開。ヘナヘナ〜。最初に「幼児期に友人が神父に殺された」という心の傷が描かれるのだが、これが映画の中でそれほど効果を生み出しているとは思えない。
「幾つもの顔を持つ男が、エマに巡り合って本当の自分をさらけ出す」というのがポイントなんだろうけど、その流れと心の傷があんまり絡んでないしなあ。
第18回ゴールデン・ラズベリー賞
ノミネート:最低主演男優賞[ヴァル・キルマー]