『ジュラシック・パークIII』:2001、アメリカ

古生物学者アラン・グラントは、かつて古植物学者のエリー・サトラー博士らと共に、ジュラシック・パークで恐竜と遭遇した。現在、グラントは助手ビリーと共に、恐竜に関する研究を続けている。だが、思ったように資金援助が得られないのが悩みの種だ。
グラントの元を、実業家と称するポールとアマンダのカービー夫妻が訪れた。カービー夫妻は、イスラ・ソルナ島上空を回るツアーの案内をしてほしいとグラントに依頼する。そこは恐竜がいるため飛行禁止地域となっているが、夫妻は特別に許可を得たという。
カービーが資金援助を申し出たため、乗り気でなかったグラントも依頼を承諾した。グラントとビリーはカービー夫妻やクルーのユデスキー達と共に、現場へ向かう。ところが、イスラ・ソルナ島上空に来ると、夫妻は強引に飛行機を着陸させる。さらに、島に降りたアマンダが大声で叫び始めたため、一行は出現した恐竜に襲われてしまう。
グラントが問い詰めると、カービー夫妻は隠していた事実を明かした。実は、2人は既に離婚していた。8週間前、アマンダの恋人ベンと息子エリックがパラセーリングをしている最中に、この島に墜落した。ポールとアマンダの目的は、2人の捜索だった。しかもポールは実業家ではなくタイル塗装業者で、金など全く持っていなかった。
恐竜から逃げ惑う中、一行はベンの死体を発見する。ラプトルの卵を発見したビリーは、密かに持ち出した。廃墟と化した研究所に足を踏み入れた一行だが、ラプトルに襲われて森へと逃げる。1人だけ離れてしまったグラントは、生き延びていたエリックと出会う。グラントとエリックはポール達と再会するが、またも恐竜に襲われる…。

監督はジョー・ジョンストン、キャラクター創作はマイケル・クライトン、原案&製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ、脚本はピーター・バックマン&アレクサンダー・ペイン&ジム・テイラー、製作はラリー・J・フランコ&キャスリーン・ケネディー、撮影はシェリー・ジョンソン、編集はロバート・ダルヴァ、美術はエド・ヴァリュー、衣装はベッツィ・コックス、ライヴ・アクション・ダイナソーズはスタン・ウィンストン、視覚効果監修はジム・ミッチェル、音楽はドン・デイヴィス、テーマ音楽はジョン・ウィリアムズ。
出演はサム・ニール、ウィリアム・H・メイシー、ティア・レオーニ、アレッサンドロ・ニヴォラ、トレヴァー・モーガン、マイケル・ジェッター、ジョン・ディール、ブルース・A・ヤング、ローラ・ダーン、テイラー・ニコルズ、マーク・ハレリック、ジュリオ・オスカー・メチョソ、ブレイク・ブライアン、サラ・ダニエル・マディソン、リンダ・パーク、ソニア・ジャクソン、ブルース・フレンチ他。


『ジュラシック・パーク』シリーズの第3弾。
1作目の登場人物グラントを引っ張り出し、エリーもゲスト扱いでチラッと登場させている。グラントをサム・ニール、ポールをウィリアム・H・メイシー、アマンダをティア・レオーニ、ビリーをアレッサンドロ・ニヴォラ、エリックをトレヴァー・モーガン、ユデスキーをマイケル・ジェッターが演じている。

人間は最初から恐竜との戦いを放棄しており、ひたすら逃げ回るだけ。
チョイ役は簡単に殺されて、主要キャラクターは何があっても絶対に死なない。
『13日の金曜日』のような殺人鬼ホラーの殺人鬼を恐竜に変えた作品、と考えれば分かりやすいだろう。
シナリオは何の捻りも無く、簡単に次の展開が予想できる。テンションが変わらず、平坦なままで進んでいく。キャラクターは空っぽで、恐竜に襲われる対象としての記号でしかない。舞台が島の中ということで、場所の変化という新しさも無い。
「地上だけでなく今回は空中や水中も舞台になっている」というのは、苦しい反論だろう。

エリックは8週間も恐竜の島にいたのに、なぜか無事で生き延びている。どうやってサバイバルに成功したのか、それは全く分からない。それほど髪が伸びていることも無いようだし、恐竜に追われて負傷した様子も見られない。服の汚れ方や髪型の乱れの少なさなどを見ても、さっき島に到着したばかりのグラントと大差が無い。
恐竜は人間に対して凶暴な面を見せているが、なぜかヴェロキラプトルは卵を返して骨の笛を吹いただけで、あっさりと許してくれる。原始的な恐竜が、急に人間と通じ合える怪獣のように変化してしまう。その唐突な変貌ぶりは、しかし笑う個所ではない。

目新しさ、3作目らしさといえば、新しい恐竜が登場したことぐらいだろう。
そう、「新しい恐竜が登場したことぐらい」しか新しさが無いというのが、この作品の意味を顕著に物語っている。
すなわち、これは多くの恐竜が登場するアトラクションだということだ。
「CGで作ったリアルな恐竜がホンモノのように迫力満点で動きます」という、この1点のみがセールスポイントだということを、ちゃんと製作陣は理解している。完全に開き直って、これがUSJの娯楽施設と同じようなモノだということを強く押し出している。

前述したように恐竜と人間のスケールの大きな鬼ごっこが延々と繰り広げられるが、しかし恐怖は強くない。
それは、この映画がアトラクションだという証拠だ。
思いきり怖がらせるのではなく、ドキドキさせつつも楽しませるのがアトラクションなのだ。

恐竜アトラクションだと割り切った場合に、この映画に対する大きな不満は1つだけ。
それは、新しく登場したスピノサウルスが前作までの帝王ティラノサウルスを簡単に倒すことだ。
このスピノサウルスがカッコ良くないというのが、どうにも頂けないのだ。


第22回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低リメイク・続編賞


第24回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の主演女優】部門[ティア・レオーニ]
ノミネート:【最悪な総収益1億ドル以上の作品の脚本】部門

ノミネート:【最悪の続編】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会