『ジャッジ・ドレッド』:1995、アメリカ

西暦2139年、核戦争によって荒廃した世界で、生き残った人類はメガシティと呼ばれる未来都市で生活していた。しかし世界は法的秩序を完全に失っており、多発する犯罪への対策としてジャッジ・システムが施行されていた。
ジャッジ・システムは究極の治安維持機構である。ジャッジとは、犯罪者を捕らえて即座に刑を定め、執行するという絶対的権力を持ったエリート集団。その頂点に立つ男がジャッジ・ドレッド。彼は冷酷な対処で任務を遂行し、人々から尊敬され、同時に恐れられてもいる。
だが、彼はリポーター殺人事件の犯人として逮捕される。彼は無実を訴え、同僚のハーシーに弁護を依頼。しかし証拠品から彼のDNAが検出され、彼はアスペン刑務所に送られた。しかしこれはジャッジ評議会のナンバー2であるグリフィンの仕組んだ罠であった。
彼は封印されたヤヌス・プログラムの復活を企んでいた。そのために収監されていたリコを脱獄させ、司令長官ファーゴを追放した。一方、護送用のシャトルから脱出したドレッドはリコと自分がヤヌス・プログラムによって作られた人造人間だと知る…。

監督はダニー・キャノン、原作はマイケル・デルーガ&ウィリアム・ウィッシャー、脚本はウィリアム・ウィッシャー&スティーヴン・E ・デ・スーザ、製作はチャールズ・M・リッピンコット、ボウ・E・L・マークス、製作協力はトニー・ムナフォ&スーザン・ ニコレッティー、製作総指揮はアンドリュー・G・バイナ&エドワード・R・プレスマン、撮影はエイドリアン・ビドル、編集はアレックス・マッキー&ハリー・ケラミダス、美術はナイジェル・フェルプス、 衣装はエマ・ポーテウス、特殊視覚効果製作はダイアン・パールマン、特殊視覚効果監督はジョエル・ ハイネック、音楽はアラン・シルヴェストリ。
主演はシルベスター・スタローン、共演はアーマンド・アサンテ、ダイアン・レイン、マックス・フォン・シドー、ロブ・シュナイダー、 ジョアン・チェン、ユルゲン・プロホノフ、ジョアンナ・マイルズ、バルサザール・ゲティー、 モーリス・ローヴス、イアン・デュリー、クリス・アダムソン、ユエン・ブレマー、ピーター・マリンカー、マーティン・マクドゥーガル 、アンガス・マッキネス、ルイーズ・デラメア、フィル・スミートン、スティーヴ・トゥーサント、ブラッドリー・サヴェル他。


人気コミックを映画化した作品。ジャッジ・ドレッドのコスチューム・デザインはジャンニ・ヴェルサーチが担当。オープニングでは原作コミックのイラストが映し出されるが、全くデザインが違う。ややオモチャっぽくなりすぎているような気もするが、それは許そう。

特撮や美術はかなり頑張っている。
そこだけを見れば、充分に優れた作品と言えるかもしれない。
しかしストーリーは芯が通っておらず、突き進んで行くパワーに欠けている。例えばドレッドが放射能汚染地区でミュータントと戦う場面があるが、それが果たして必要だったのかどうか。

ヒロインのはずのハーシーは、あんまり活躍することが無い。演じるのがダイアン・レインというのもミスキャストのような気はするが、それは許そう。
しかし、終盤でジョアン・チェン演じるイルサとのキャット・ファイトは見せるものの、それ以外ではデクノボーに近い扱いだ。

ジャッジ・ドレッドは特殊なコスチュームを身に付け、専用ヘルメットを着用し、素顔は見せない。と思ったら、序盤であっさりヘルメットを脱いでしまう。中盤では刑務所に送られるためにコスチュームを脱がされ、そのまま普通の格好で物語は進む。
で、クライマックスの直前にようやくコスチュームを身に付けたのはいいが、すぐにヘルメットもコスチュームも脱いでしまうドレッド。それじゃ着た意味が無いだろ。タンクトップ姿で戦うその姿は、ほとんどランボー状態になってしまっている。

戦いが全て終わり、エンディングでコスチュームを身に付けて去っていくドレッド。それじゃ遅いってば。頼むから、コスチュームを全て装着して戦ってくれ。何のためのジャッジ・ドレッドなのさ。演じるのがスタローンじゃなかったら、最後までコスチューム姿で戦ってくれたのかなあ。まあ、それだけで作品のレベルが上がるわけではないが。


第16回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低最低主演男優賞[シルヴェスター・スタローン]
<*『暗殺者』『ジャッジ・ドレッド』の2作でのノミネート>


第18回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の男優】部門[シルヴェスター・スタローン]
<*『暗殺者』『ジャッジ・ドレッド』の2作での受賞>

 

*ポンコツ映画愛護協会