『沈黙のジェラシー』:1998、アメリカ

クリスマスシーズン。ヘレンは恋人ジャクソンと共に、彼の故郷であるケンタッキー州キルローナンを訪れた。ジャクソンの実家は、大農場を経営している。ジャクソンが幼い頃に父は階段から転落死しており、実家には母マーサが1人で暮らしている。
マーサは未だに子離れしていない様子で、ジャクソンにベッタリという態度を取った。彼女はヘレンに対して小さな嫌味を言うことはあったものの、優しく接した。ヘレンは息子に大農場を引き継いでほしいと願っていたが、ジャクソンはニューヨークでの仕事を辞める気は無かった。ヘレンとジャクソンは、新年を過ごしてキルローナンを離れた。
ヘレンは会社で嘔吐したため、クビになった。彼女は妊娠していたのだ。避妊はしていたが、ペッサリーに穴が開いていたらしい。ヘレンはジャクソンからプロポーズされ、キルローナンで結婚式を挙げた。ヘレンは式に来ていたジャクソンの父方の祖母アリスから、マーサは腹黒いので用心するようにとの忠告を受ける。
ニューヨークに戻ったヘレンは、マンションに侵入した覆面強盗に襲われ、怪我を負う。ニューヨークに来たマーサは、ジャクソンに対し、大農場を手伝えないのであれば、土地の売却を承知してほしいと告げた。土地の権利はジャクソンが所有しているのだ。ヘレンはジャクソンに、一緒に大農場を立て直そうと告げた。
ヘレンはジャクソンと共にキルローナンへ行き、マーサとの同居生活を始めた。だが、マーサが周囲の人々に「ヘレンは弱っている」と歪んだ情報を流したり、医師に対して「自宅で出産する」と勝手なことを言ったりするため、ヘレンは嫌悪感を抱くようになる。
マーサとの同居生活に耐え切れなくなったヘレンは、ジャクソンの同意を得てニューヨークに戻ることを決めた。だが、そのことをジャクソンから聞かされたマーサは、馬の陣痛促進剤をケーキの中に混入し、それをヘレンに食べさせる…。

監督&原案はジョナサン・ダービー、脚本はジョナサン・ダービー&ジェーン・ラスコーニ、製作はダグラス・ウィック、共同製作はジニー・ニュージェント、撮影はアンドリュー・ダン、編集はダン・レイ&リンジー・クリングマン&ロバート・レイトン、美術はトーマス・A・ウォルシュ&マイケル・ジョンストン、衣装はアン・ロス、音楽はクリストファー・ヤング。
出演はジェシカ・ラング、グウィネス・パルトロウ、ジョナサン・シェック、ハル・ホルブルック、ニナ・フォック、デビ・メイザー、リチャード・ラインバック、カイウラニ・リー、デヴィッド・ソーントン、リチャード・コーン、フェイス・ポッツ、トム・ストーリー、ジョリーン・キャロル、ジェイコブ・プレス、ジョー・インスコー、キャサリン・シャフナー、レニー・ステインライン他。


息子を溺愛する姑VS同居する嫁という、「東海テレビ製作で昼間の1時半から放送」みたいな作品。
ジョナサン・ダービーは、これが長編映画監督デヴュー。マーサをジェシカ・ラング、ヘレンをグウィネス・パルトロウ、ジャクソンをジョナサン・シェック、医師フランクリンをハル・ホルブルック、アリスをニナ・フォックが演じている。

「大映ドラマの米国リメイク版なの?」と思ってしまうような内容である。
姑が嫁にネチネチと嫌味を言ったりするという、「観客のターゲットは『渡る世間は鬼ばかり』を欠かさず見ているような専業主婦なの?」と思ってしまうような作品である。

しかし、ハリウッド映画なのだが、そこいらの日本の嫁姑ドラマよりも姑の嫁イビリが地味。周囲の人々に「ヘレンは弱っている」と吹聴したり、医師に対して「ヘレンは自宅で出産する」と勝手なことを言ったりするけど、それって、ものすげえ地味。

ところが、まだ地味すぎる嫌味や陰口の段階で、ヘレンがマーサに対する怒りを思いっきり外に表現してしまうのだ。マーサのやってることは言葉オンリーだし、「ちょっとお節介が過ぎる」という程度。そこは、まだ不信感を抱くことはあっても、我慢しておくべきレヴェルでしょ。イジメがエスカレートした時に、どうするのかと思ってしまう。
マーサのヘレンに対する敵意よりも、ヘレンのマーサに対する敵意の方が早く、強く出てしまうのだ。ヘレンがマーサより先に敵意や憎悪を観客に見せてしまうと、「姑にイジメられる可愛そうな嫁」としての同情票を集めづらくなってしまう

「ヘレンはマーサと馴染もうと努力をするが、マーサがネチネチとイジメを続ける。最初は耐えていたヘレンだが、陰湿なイジメがエスカレートするので我慢できずに逃げ出そうとする。そこでマーサがクレイジーに爆発する」という流れが望ましいのでは。
それと、どうせマーサが嫁イジメをするイヤな女だってのは観客には分かり切っているのだから、早い段階から、ヘレンに隠れてマーサが悪巧みする様子を見せてもいいだろう。そこを強調していくしか、この映画の面白さを出す所は無いのだし。

そもそも、マーサの行動が終盤に入るまで地味すぎるってのが大きな問題だ。終盤に入るまではマーサの怖さが弱いので、ヘレンが必死で逃げ出そうとした時に、彼女の行動が過剰にさえ見えてしまう。嫁イビリなんて、マトモにやっても陳腐なギャグにしかならないだろうし、一周回って笑えるぐらいに誇張してもいいと思う。
最後の最後になって、唐突にヘレンがマーサを追い詰め、急にマーサは自分の罪をベラベラと喋り始める。それまで完全に母親を信じ切っていたはずのジャクソンは、急にヘレンの言葉を信じてマーサを見捨てる。で、そこで遂にマーサが爆発して大暴れするのかと思ったら、何もせずに終わり。
う〜む、ショボショボでんがな。


第19回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低主演女優賞[ジェシカ・ラング]


第21回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の主演女優、あるいは演技の真似事をする英国の歌手グループ】部門[ジェシカ・ラング]

 

*ポンコツ映画愛護協会