『13日の金曜日』:1980、アメリカ

ニュージャージー州のブレアーズタウンから少し離れた場所に、クリスタル・レイクという湖がある。1957年には、そこで少年が溺れ死んだ。1958年6月13日金曜日には、湖のキャンプ場に来ていた若い男女が何者かに惨殺された。他に何度か放火騒ぎもあり、周辺に住む人々はクリスタル・レイクを呪われた場所だと考えるようになった。
1980年、スティーヴは長く閉鎖されていたキャンプ場を再開するため、若者達を雇うことにした。アリス、ビル、ブレンダ、マーシー、ジャック、ネッドがキャンプ場に駆け付け、準備作業に取り掛かる。そしてもう1人、アニーもキャンプ場に向かっていた。
だが、遅れて到着するはずだったアニーは、ヒッチハイクした車を運転していた人物に殺害される。やがてキャンプ場でも、ネッド、ジャック、マーシーが次々と殺害される。残された者達が惨劇に気付かない内に、犠牲者は増え続けていく…。

監督&製作はショーン・S・カニンガム、脚本はヴィクター・ミラー、製作協力はスティーヴン・マイナー、製作総指揮はアルヴィン・ゲイラー、撮影はバリー・エイブラムス、編集はビル・フリーダ、美術はヴァージニア・フィールド、特殊メイクアップ効果はトム・サヴィーニ、音楽はハリー・マンフレディーニ。
出演はベッツィ・パーマー、エイドリアン・キング、ハリー・クロスビー、ローリー・バートラム、ジャニーン・テイラー、ケヴィン・ベーコン、マーク・ネルソン、ロビー・モーガン、ピーター・ブロウアー、レックス・エヴァーハート、ロン・キャロル、ロン・ミルキー、ウォルト・ゴーニー、ウィリー・アダムス、デブラ・S・ヘイズ、ドロシー・コブス、サリー・アン・ゴールデン他。


後にシリーズ化され、多くの亜流作品を生むことになった、ショッカー映画の記念碑的な作品。
余談になるが、『十三日の金曜日』というタイトル(原題は今作品と同じ)のイギリス映画が、1933年にヴィクター・サヴィル監督によって作られている。

『13日の金曜日』といえば、超有名なホッケーマスクの殺人鬼ジェイソンを生み出したシリーズだが、この作品では終盤に少し登場するだけであり、しかもホッケーマスク姿ではない。
イメージとは恐ろしいもので、このシリーズは全てジェイソンが登場するように思いがちなのだが、実は1作目の殺人鬼はジェイソンではないのだ。

出てくるティーンエイジャー達は、みんなバカである。
だから、アニーが全く到着しなくても心配する様子も無い。
次々に仲間達が殺されるのに、残された面々は全く気付かない。
気付いていないのだから、もちろん見知らぬ殺人鬼への恐怖も感じていない。

内容を簡単に言うと、「逆恨みオバサンの殺人ショー」である。
そう、ここにあるのは恐怖の惨劇ではなく、残虐な見世物である。
様々な状況、様々な方法でティーンエイジャーが殺される場面を用意して、エロやバカ騒ぎなどを入れつつ、繋ぎ合わせていく。

一応は犯人探しを観客にさせようという意識もあったのか、ラルフという怪しい老人を登場させたりしているが、ミスリードになっていない。彼は殺されないというのも甘い。
で、犯人は終盤になって唐突に現れる、見た目は普通のクレイジーなオバサンだ。

殺人シーンに、恐怖を生み出す効果はほとんど無い。
そこにあるのは、「ティーンエイジャーが殺されました」という残酷描写だけだ。
トム・サヴィーニが特殊メイキャッパーとしての手腕を発揮した死体は幾つも転がるが、酷さはあっても怖さは薄い。

この映画で恐怖を生み出しているのは、急に何かが現れるという部分だ。
それは例えば、後ろから急に「ワッ!」と叫ばれた時と同じようなモノだ。
そこにあるのは“突然の驚き”による恐怖であり、誰だってビックリするのは当たり前なのである。

この映画は、脚本を書く才能が無くても、恐怖演出のセンスが無くても、それなりに客の入るホラー映画が作れるということを実証してみせた。そのことは、映画製作を夢見る多くの人々を、「あれがヒットするなら、俺でも」と勇気付けたはずだ。
やったもん勝ちの世界ではあるが、最初にやった奴には、その権利が与えられる。
ただし、やったもん勝ちというのは、一度だけだから通用する。
同じことを2度続ければ効果は薄くなるし、それでも続けていれば、どんどん効果は薄くなっていくだけだ。


第1回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低助演女優賞[ベッツィ・パーマー]

 

*ポンコツ映画愛護協会