『硝子の塔』:1993、アメリカ

ニューヨークの出版社に務める女性編集者のカーリー・ノリスは、離婚を機に高層マンションへと引っ越した。マンションに住んでいる大学講師のガスや隣人となったヴァイダは、カーリーの顔を見て、自殺した前の住人・ナオミに似ていると口にする。後日、ガスは死体で発見される。マンションでは、住人の不審な死が頻発していた。
カーリーは社長のパーソンズの紹介で、作家のジャックと出会う。カーリーはジャックに迫られるが、あまり乗り気ではない。カーリーはゲームソフトのプログラマーをしているマンションの住人ジークと出会い、彼に惹かれるようになっていく。
カーリーはジークとセックスした後、彼がマンションのオーナーだと聞かされる。やがてカーリーはジャックから、ジークは頭のイカれた男で、ナオミと付き合っていたと聞かされる。だが、ジークはヴァイダから聞いた話として、ジャックがナオミと付き合っていたと語る。やがてヴァイダが殺害され、現場にいたジャックが犯人として逮捕される…。

監督はフィリップ・ノイス、原作はアイラ・レヴィン、脚本はジョー・エスターハス、製作はロバート・エヴァンス、共同製作はウィリアム・J・マクドナルド、製作協力はローラ・ヴィーダーマン、製作総指揮はハワード・W・コッチJr.&ジョー・エスターハス、撮影はヴィルモス・ジグモンド、編集はリチャード・フランシス=ブルース&ウィリアム・ホイ、美術はポール・シルバート、衣装はデボラ・L・スコット、音楽はハワード・ショア、音楽監修はティム・セクストン、主題歌はUB40。
出演はシャロン・ストーン、ウィリアム・ボールドウィン、トム・ベレンジャー、マーティン・ランドー、ポリー・ウォーカー、ニナ・フォック、CCH・パウンダー、コリーン・キャンプ、キーン・カーティス、ニコラス・プライヤー、アマンダ・フォアマン、アン・ベタンコート、トニー・ペック、フランツ・ターナー、ドクター・メルヴィン・キンダー、ラドゥ・ゲイヴァー、アリソン・マッキー他。


アイラ・レヴィンの小説を基にした作品。
カーリーをシャロン・ストーン、ジークをウィリアム・ボールドウィン、ジャックをトム・ベレンジャー、パーソンズをマーティン・ランドー、ヴァイダをポリー・ウォーカー、ガスをキーン・カーティスが演じている。脚本を担当したジョー・エスターハスが、製作総指揮にも携わっている。

『氷の微笑』が大ヒットを記録した時、きっと脚本を手掛けたジョー・エスターハスは思ったのだろう。
「もう1本、シャロン・ストーンのエロを売りにした映画を作れば、またヒットするはずだ」と。
そして彼は、2匹目のドジョウを狙うことにしたのだろう。

そこでジョー・エスターハスは、『氷の微笑』と同じようなサイコ・スリラーのシナリオを用意した。しかも、結末を曖昧な表現にするという辺りまで、『氷の微笑』を真似てみせた。
『氷の微笑』よりも中身がスカスカになってしまったが、その分はシャロン・ストーンの人気が取り返してくれる。
少なくとも、ジョー・エスターハスはそう考えたのだろう。

ドラマとしての盛り上がりがどうとか、謎解きがどうとか、そんなことは二の次だということを、もちろんジョー・エスターハスは良く分かっているのだ。
内容としてはヘンタイ男とキチガイ男に振り回されるスケベ女の話だが、そんなことはどうでもいい。

この映画で大切なのは、いかにシャロン・ストーンのエロを見せるか、いかにエロが引き立つような官能的なムードを醸し出すかである。
どうやらフィリップ・ノイス監督も、そのことを良く分かっていたようで、ちゃんとエロだけを意識した演出をしている。
あるいは、エロ以外は何も無いことに気付いて、半ば開き直ったのかのかもしれないが。

しかし、さすがのジョー・エスターハスやフィリップ・ノイスも、ただ単にシャロン・ストーンを脱がせるだけでは、あまりに芸が無いと思ったのだろう。
そこで、ウィリアム・ボールドウィンにもヌードを披露させている。
これで女性の観客もゲットしようという算段だろうか。

さあ、映画は完成した。
誰が観ても一目瞭然、エロのみを売りにした作品である。
面白いか面白くないか、そんな考え方は間違っている。
エロいかエロくないか、それが判断の基準である。
それが映画として正しいのか正しくないのかは、勝手に判断してください。


第14回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[フィリップ・ノイス]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[ウィリアム・ボールドウィン]
ノミネート:最低主演女優賞[シャロン・ストーン]
ノミネート:最低助演男優賞[トム・ベレンジャー]
ノミネート:最低助演女優賞[コリーン・キャンプ]


第16回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪の作品】部門
受賞:【最悪の女優】部門[シャロン・ストーン]

 

*ポンコツ映画愛護協会