『クロスゲージ』:1997、アメリカ

ジェームズ・ダンは湾岸戦争の際に上官を撃ち、軍法会議で死刑を宣告された。死刑囚監房へ移送される途中、彼はケイシー中佐率いる軍の秘密部隊“ブラック・シープ”に救出される。ブラック・シープは合衆国に敵対する者を暗殺するための組織だった。
死刑と引き替えに、ブラック・シープの一員として働くことになったダン。彼は任務を与えられ、退役軍人病院の開設式に向かった。出席する大統領夫人を出迎える大手製薬会社社長ビッカートを狙うダンだが、何者かが大統領夫人を射殺する。
ダンは犯人として指名手配されてしまい、逃亡することに。彼は女医ヴィクトリアの撮影したビデオテープを公表して無実を証明しようとするが、ケイシー中佐の妨害を受ける。ケイシーの正体はウッドワード将軍で、軍の秘密を守るために大統領夫人を抹殺したのだ…。

監督はデヴィッド・グレン・ホーガン、脚本はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ、製作はエリック・L・ゴールド、製作総指揮はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ&トニー・マーク、撮影はマーク・レショヴスキー、編集はマイケル・J・デューシー&マーク・ヘルフリッチ、美術はジャン=フィリップ・カープ、衣装はイリーネ・メルツァー、音楽はポール・バックマスター。
出演はキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ、ジョン・ヴォイト、エリック・ロバーツ、ジル・ヘネシー、ポール・ソルヴィーノ、ロバート・カルプ、ウォルフガング・ボディソン、サイモン・ベイカー・デニー、マイケル・ミルホーン、リー・デ・ブロー、デヴィッド・グロー、ジョン・ディール、トーマス・G・ウェイツ、マイケル・マリッチ、デイヴ・オリヴァー、エディー・ヴェレツ他。


主演のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズが脚本と製作総指揮も担当した作品。
様々なヒット映画のオイシイ部分を寄せ集め、上手く組み合せることによって優れたB級映画が完成した。
観客を退屈させることなく、最後までスリルを持続させようとする工夫が見られる。

サスペンス・アクションのツボをきっちり抑えたシナリオと演出で、観客をハラハラさせ、ワクワクさせる。
派手なカークラッシュ、派手な大爆発、派手な銃撃戦、高層ビルからの大ジャンプ、暗殺劇、逃走劇。
上手いタイミングで見せ場を作るサービス精神も忘れない。

ピザが上手そうだと言うダンの言葉を自分の体を狙っているとヴィクトリアが勘違いする場面や、コンピュータのパスワードで難しい人物名を入力できない場面などは、元々はコメディ俳優のキーネンが持つお笑い精神から来ているのかもしれない。
恋愛の要素を重視しなかったのは正解だろう。
ジョン・ヴォイトやロバート・カルプが悪役というのは、定番ではあるがナイス・キャスティング。
どこかで見たような作品かもしれないが、B級映画としては非常に質の高い映画である。


第18回ゴールデン・ラズベリー賞(1997年)

ノミネート:最低助演男優賞[ジョン・ヴォイト]
<*『クロスゲージ』『Uターン』の2作でのノミネート>

 

*ポンコツ映画愛護協会