『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』:2016、アメリカ

バージニア州モリスタウン。かつて大統領として地球侵略を狙う宇宙人の軍勢と戦ったトーマス・J・ホイットモアは、自宅で療養生活を送っている。現在の大統領であるエリザベス・ランフォードは、「1996年の戦いで失われた数多くの命は、無駄ではなかった。20年間、世界では武力紛争が起きなかった。宇宙人のテクノロジーとの融合により、地球は発展した」というスピーチ原稿を確認する。この原稿を書いたのは、大統領補佐官のパトリシアだ。
ディラン・ヒラー大尉はホワイトハウスを訪れ、ランフォードやタナー国防長官に挨拶する。彼は1996年の戦いで活躍したスティーヴン・ヒラーの息子であり、パトリシアの友人だ。ディランは「ジェイクと会ったら優しくしてね」とパトリシアに頼まれるが、顔を強張らせる。月面基地の輸送機「ムーンタグ」で操縦士を務めるジェイク・モリソンは、相棒のチャーリー・ミラーと共に武器を運ぶ作業を行う。しかしドッキングの際にタグが衝突し、武器が倒れて月面基地が潰れそうになる。ジェイクはフュージョンドライブによって問題を解決するが、激怒したジャン司令官から謹慎を命じられた。
ネバダ州の防衛司令部エリア51を訪れたジョシュア・T・アダムズ将軍は、刑務所に収監されているエイリアンが2時間前から異常な行動を始めたと知らされる。アダムズはESD(地球防衛司令部)部長のデイヴィッド・レヴィンソンを呼ぼうとするが、すぐには来られない状況だった。デイヴィッドは会計検査官のフロイド・ローゼンバーグらと共に、特命調査団としてアフリカを訪れていた。デイヴィッドがディケンベ・ウブントゥーの率いる反乱軍と対話しようとすると、エイリアンの武器を突き付けられた。
反乱軍の中からデイヴィッドとは旧知の中である精神科医のキャサリン・マルソーが現れ、自分も同じように呼ばれたのだと話す。彼女は反乱軍が10年に渡ってエイリアンと戦って来たことを説明し、まるで乗り移ったかのように潜在意識へ入っていると告げる。デイヴィッドが1996年に飛来した宇宙船を確認すると、ディケンベは2日前から光を放っていることを教えた。デイヴィッドはエイリアンの掘った穴を調べ、20年前に母船を破壊した時と同じ信号が宇宙へ向けて発せられていることを知る。
ジェイクは恋人のパトリシアと通信し、2日前から強い波長があるので調べてほしいと依頼する。パトリシアはディランと仲直りするよう促し、「殺しそうになった借りを返してあげて」と言う。月へ向かうレガシー飛行部隊がお披露目され、隊長のディランはテスト飛行で死んだ父のことを記者から質問される。ジャンの姪であるレイン・ラオ中尉を含む6名が、レガシー飛行部隊のメンバーだ。ディランは電話で心配する母のジャスミンに、大丈夫だと告げる。
月面基地に到着したディランはジェイクを見つけ、いきなり殴り掛かった。ジェイクはチャーリーから訓練中の事故について擁護されるが、「やり過ぎた。俺は目立ちたかった」と責任を口にした。エリア51のマリリン・ホイットモア病院では、昏睡状態にあったブラキッシュ・オーキン博士が元助手であるミルトン・アイザック博士の前で急に目を覚ました。アダムズは土星の輪が何らかの力で引っ張られていること、防衛基地が消えたことを知り、緊急事態だと認識する。
デイヴィッドはディケンベと話し、彼がエイリアンの言葉を理解していると知った。月面には巨大宇宙船が出現するが、モニターを通じて確認したデイヴィッドは以前の敵とは異なることをランフォードに告げる。決断を迫られたランフォードは、攻撃指令を下した。宇宙船は攻撃を受けて弾き飛ばされ、生命反応は消えた。デイヴィッドが残骸の調査を要請すると、ランフォードは式典の後でチームを編成するよう指示した。ジェイクはタグを操縦し、チャーリーと共にデイヴィッドの元へ向かう。
ホイットモアは娘であるパトリシアに、「奴らが戻って来た。今度は止められない」と漏らす。デイヴィッドがジェイクのタグに乗り込むと、キャサリン、フロイド、ディケンベも同行する。デイヴィッドの父であるジュリアスは老人ホームで自伝を宣伝するが、まるで相手にされなかった。パトリシアは父を起こそうとするが、寝室には誰もいなかった。式典が始まり、ランフォードは20年前の戦いで活躍したウィリアム・グレイ将軍を集まった聴衆に紹介した。
ジェイクたちは宇宙船の墜落現場に到着し、調査を開始する。式典に参加したホイットモアと病室のオーキンは、信号を感知して頭痛に見舞われる。墜落現場には前回より巨大な宇宙船が飛来し、ディケンベは頭痛に見舞われる。ジェイクは慌ててタグを発進させ、式典は中止となった。タグは宇宙船の引力で動きを封じられ、月面基地は攻撃を受けて壊滅した。レガシー飛行部隊は全く歯が立たず、撤退を余儀なくされた。ランフォードは軌道防衛システムを作動させようとするが、あっけなく破壊された。
中国やロンドンなど、世界各地が宇宙船の引力によって次々に壊滅状態へと陥った。軍用ヘリを飛ばしていたディランは病院の避難者を発見し、屋上へ近付く。彼は赤ん坊を抱えた母親を救助するが、ジャスミンは崩壊する病院に飲み込まれた。ホイットモアはエリア51を訪れ、オーキンと再会する。エイリアンはデイヴィッドたちに、「彼女が来た」と告げる。両親を亡くして車で避難していた少年のボビーは、瓦礫に突っ込んだ状態のクルーザーにいるジュリアスを発見する。彼は運転している姉のサムに車を停めてもらい、気を失っているジュリアスを救助した。
デイヴィッドは赤外線映像で敵の巨大宇宙船を確認し、中に女王がいることを確信する。宇宙船によるプラズマ・ドリルの映像を見た彼は、敵が地球のコアを抜き取って人類を全滅させようと目論んでいることをランフォードたちに説明した。対策を問われたデイヴィッドは、女王を叩けば敵を倒せるはずだと告げる。ジェイクはジャスミンを救えず落ち込んでいるディランに声を掛け、「俺も同じ経験をした。その辛さは痛いほど分かる」と告げる。「彼女はお前が諦めると思っていない。部隊を指揮するんだ」と言われたディランは、「向こうで会おう」と告げて立ち去る。
作戦本部に集められた兵士たちに対し、ディランは覚悟を決めて戦うよう説いた。女王を倒すため、部隊は一斉に出撃する。意識を取り戻したジュリアスは、サムたちが祖父母のいるフロリダへ向かっていることを知る。どこへ行くべきか問われたジュリアスは、「最も安全なのはデイヴィッドの所だ」と告げた。宇宙船に接近した戦闘機部隊は、激しい攻撃を受ける。ジェイクとディランを含む編隊が内部へ突入すると、医務室で起き上がったホイットモアは「彼らに警告してくれ。女王に知られている」とパトリシアに告げる。
編隊は爆弾を投下しようとするが、操縦不能に陥って次々に墜落する。ランフォードは遠隔操作で爆弾を起動させるが、シールドで跳ね返されてしまう。編隊との通信が途絶え、デイヴィッドは「女王が罠を仕掛けた」と呟く。通信衛星は全滅し、エイリアンはランフォードたちのいる防衛司令部を破壊した。エリア51のデイヴィッドたちは、政府閣僚が全滅したことを知らされる。無力感に打ちひしがれるデイヴィッドたちに、ホイットモアは「我々は全ての人々に、勝てる戦いだと信じさせた。信じてくれた人々を失望させることは出来ない。前回の勝利は幸運ではない。我々の決意だ。死ぬまで戦えば、必ず勝利に導かれる」と語る…。

監督はローランド・エメリッヒ、キャラクター創作はディーン・デヴリン&ローランド・エメリッヒ、原案はディーン・デヴリン&ローランド・エメリッヒ&ニコラス・ライト&ジェームズ・A・ウッズ、脚本はニコラス・ライト&ジェームズ・A・ウッズ&ディーン・デヴリン&ローランド・エメリッヒ&ジェームズ・ヴァンダービルト、製作はディーン・デヴリン&ハラルド・クローサー&ローランド・エメリッヒ、、製作総指揮はラリー・フランコ&ウテ・エメリッヒ&カーステン・ロレンツ、共同製作はフォルカー・エンゲル&マルコ・シェパード&K・C・ホーデンフイールド、製作協力はジェフリー・ハーラッカー、撮影はマルクス・フェーデラー、美術はバリー・チューシッド、編集はアダム・ウルフ、衣装はリジー・クリストル、音楽はトーマス・ワンダー&ハラルド・クローサー。
出演はリアム・ヘムズワース、ジェフ・ゴールドブラム、ビル・プルマン、マイカ・モンロー、ジェシー・T・アッシャー、トラヴィス・トープ、ウィリアム・フィクトナー、シャルロット・ゲンズブール、ジャド・ハーシュ、ブレント・スパイナー、セーラ・ウォード、アンジェラベイビー、ジョーイ・キング、ヴィヴィカ・A・フォックス、ロバート・ロッジア、ニコラス・ライト、デオビア・オパレイ、チン・ハン、パトリック・セント・エスプリト、ベンガ・アキナベ、ジョン・ストーリー他。


1996年の大ヒット映画『インデペンデンス・デイ』の続編。
監督は前作から引き続いてローランド・エメリッヒが担当。
シナリオは俳優で映画初脚本のニコラス・ライト、同じく俳優で脚本家デビューとなるジェームズ・A・ウッズ、前作から続投のディーン・デヴリン、監督のローランド・エメリッヒ、『アメイジング・スパイダーマン』『ホワイトハウス・ダウン』のジェームズ・ヴァンダービルトによる共同。
前後篇の2部作を想定して製作されている。
そのため、物語は完結していない。

前作の主人公を演じていたウィル・スミスは続投せず、同時期に撮影された『スーサイド・スクワッド』に参加している。
前作から続投のキャストは、デイヴィッド役のジェフ・ゴールドブラム、ホイットモア役のビル・プルマン、ジュリアス役のジャド・ハーシュ、オーキン役のブレント・スパイナー、ジャスミン役のヴィヴィカ・A・フォックス、グレイ役のロバート・ロッジア。
前作でメイ・ホイットマンが演じたパトリシアはマイカ・モンロー、ロス・バグリーが演じたディランはジェシー・T・アッシャーに交代している。
他に、ジェイクをリアム・ヘムズワース、チャーリーをトラヴィス・トープ、アダムズをウィリアム・フィクトナー、キャサリンをシャルロット・ゲンズブール、ランフォードをセーラ・ウォード、レインをアンジェラベイビー、サムをジョーイ・キングが演じている。
中国資本が入っているわけではないが、アンジェラベイビーやジャン役のチン・ハンの起用は、間違いなく中国市場での興行収入を意識してのことだ。

いかにもローランド・エメリッヒらしい映画なのだが、彼は本作品の製作に乗り気ではなかった。実際、『インデペンデンス・デイ』の続編を、20年も経ってから公開しようなんて、「それはホントに多くの観客から歓迎されることなのか」と疑念を抱いてしまう。
それに、そもそもエメリッヒは、続編映画を作ることに積極的な考えを持っていない人なのだ。しかも彼は、大きさと派手さとハッタリだけで勝負するような映画は、もう『2012』で打ち止めにしたいと考えていた。
「俺は他にも色んな種類の映画を撮れるんだぜ」ってのをアピールするため、『2012』以降のローランド・エメリッヒは『もうひとりのシェイクスピア』『ホワイトハウス・ダウン』『ストーンウォール』と、デカさをアピールするだけじゃない類の映画を次々に手掛けた。
しかし、全て酷評を浴びたり興行的に失敗したりして、厳しい状況に陥ってしまった。
エメリッヒが本作品に参加したのは2012年だから、『ホワイトハウス・ダウン』の公開前には決まっていたわけだが、ともかく「過去のヒット作に頼ることも仕方がない」という状況だったことは確かなのだ。

久々に得意分野へ戻ったローランド・エメリッヒだが、良くも悪くも全く変わっていない。
それは「ブレていない」という褒め言葉の意味じゃなくて、「何も成長していない」という安西先生の批評だ。
バカみたいにデカい物をCGで作って、派手な映像でハッタリをカマす。それこそがローランド・エメリッヒの持ち味だ。
そして前作と同様、地球を救うためにエイリアンと戦うのはアメリカ合衆国だけ。前述したように、中国市場を意識して中国人は起用されているけど、あくまでも「米軍の一員」としての参加だ。
そして「アメリカの勝利、アメリカ万歳」という、とても分かりやすい着地に至る。

とにかくローランド・エメリッヒは、「宇宙船がデカい」ってことを何度も執拗にアピールする。
でも、あまりにも大きすぎて、何だか良く分からない状態になっている。中国やロンドンが宇宙船の攻撃を受けるシーンなんて、何がどうなっているのかサッパリ分からない。
それと時代の変化によって、観客は「もはや何でもCGで作れる」という事実を知ってしまった。
だから、どれだけ大きな物が登場しても、どれだけ派手な映像が用意されても、「そりゃCGだから何でも出来るでしょ」という冷めた感覚になってしまう。

宇宙船や兵器は超ハイテクだが、操るエイリアンは昆虫の化け物みたいな形状だ。触手を伸ばして人間を襲い、ダメージを受けると緑色の液体を流す。
そこのヴィジュアル・イメージは、何十年も前から全く進化していない。「どこかで見たような」という映像のオンパレードであり、巨額を投じたVFXの物量作戦で派手に飾り付けているだけ。
あえて擁護するならば、「見慣れたモノしか出て来ないから安心できる」ってことになる。
その安心感が、この映画にとってプラスなのかどうかは、皆さんの判断にお任せしよう。

次々に都市が壊滅しているし、あっけなく米国政府の閣僚が全滅しているのだが、なぜだか不思議なぐらい「全く歯が立たない、強すぎる相手だ」という絶望感が伝わって来ない。
理由の一つに、「前回とは人類サイドの兵力が全く違う」ってことが挙げられる。
前作の場合、エイリアンの兵力と人類の兵力には圧倒的な差があった。しかし今回は人類もエイリアンのテクノロジーを融合させて進化しているため、それなりに対抗できる兵力を備えているのよね。
ただし、そのくせ登場する武器は、ちっともエイリアンのテクノロジーを感じさせない物ばかりなんだけどさ。

もちろん、エイリアン側もパワーアップさせているんだけど、基本的には前述したように「前よりデカい」という部分に頼っているわけで。
デカさだけで勝負しても、「それよりも性能の方が遥かに重要でしょ」と言いたくなる。
で、その性能の方は、確かに都市を一瞬で壊滅させるほどの力はあるものの、実は見かけ倒しであることが判明してしまうのよね。
何しろ、人類が何の知恵も使わず、ただ真正面から攻撃しただけなのにシールドを破壊できてしまうほどだ。

ようするに人間もエイリアンも、学習能力が低すぎるのよ。
ローランド・エメリッヒが何も成長していないので、それに伴って人間もエイリアンも全く成長していない状態になっている。
だから人類は1996年の体験があるのに、宇宙船の残骸調査よりも独立記念日の式典を優先しようとする。ちゃんと敵の戦力を分析せずに大編隊で突撃し、罠に落ちて多くの兵力を失ってしまう。
一方のエイリアンも、前作と同じ「女王がコケれば皆コケる」という作戦で簡単に倒せてしまう。

厚みのあるキャラクターを造形するとか、深みのある人間ドラマを描くとか、そういうことをローランド・エメリッヒは得意としていない。
だから当然のことながら、この映画でも彼の不得手な部分は顕著に表れている。
前作のキャラクターは観客側の脳内補完が働くこともあって、それなりに存在感を示しているが、新キャラは総じて薄っぺらい。
それなのに、やたらと主要キャラクターを増やしているもんだから、見事なぐらい手に負えない状態と化している。

主人公であるはずのジェイクでさえ、何の中身も無い空っぽなキャラに留まっている。
パトリシアとは恋人関係で、ディランとは過去の因縁があるという設定が用意されているが、ほとんど機能していない。
「良く使われるパターンだから、とりあえず盛り込んでみた」という程度の扱いだ。
どう考えても死んでないと不自然なジェイクが生き延びたり、一方で簡単に命を落とす奴がいたりというキャラの生死における御都合主義も、苦笑させられる状態になっている。

形式としての人間ドラマは幾つか用意されているが、どれも「エイリアンとの戦い」とは上手く連携できていない。
例えばジュリアスが子供たちに救助され、今度は逆に大勢の孤児を助けてスクールバスでデイヴィッドの元を目指すというサブストーリーがあるが、全く意味が無い要素と化している。
そのくせ、終盤になると、大事な作戦を展開しているエリア51へスクールバスが到着するという、全く要らない筋書きが用意されている。
そして、女王エイリアンが無意味にノコノコと出しゃばって来て、スクールバスを狙うというバカ丸出しな展開に繋がる。
ありがとうローランド・エメリッヒ、これでもかと脱力感を与えてくれて。

(観賞日:2017年9月14日)


第37回ゴールデン・ラズベリー賞(2016年)

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低監督賞[ローランド・エメリッヒ]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低序章&リメイク&盗作&続編賞
ノミネート:最低助演女優賞[セーラ・ウォード]


2016年度 HIHOはくさいアワード:第3位

 

*ポンコツ映画愛護協会