『インデペンデンス・デイ』:1996、アメリカ

7月2日、SETIは地球外生命体による月からの信号をキャッチした。その発信源は巨大な宇宙船で、そこから無数の宇宙船が地球に向かって飛来してきた。アメリカ合衆国大統領ホイットモアは、宇宙船への対処方法を決めあぐねていた。
政府は電光掲示板を接続したヘリコプターによって宇宙船とのコンタクトを試みることにした。だが大統領補佐官コンスタンスの前夫で科学者のデイヴィッドは宇宙船の通信を傍受し、そこに地球攻撃のカウントダウンを示す信号が隠されていることを見抜く。
父のジュリアスと共にホワイトハウスに駆け付けたデイヴィッドはホイットモアに危険だと進言。彼らが政府高官達と共にその場を去った時、宇宙船による地球攻撃が開始された。世界中の大都市は完全に崩壊し、数え切れないほどの人間が犠牲になっていく。
あらゆる攻撃を跳ね返す宇宙船に対して、有効な攻撃方法を打ち出せないホイットモア達。ジュリアスはロズウェル事件を持ち出し、周囲から失笑がもれるが、国防長官ニムジキはそれがゴシップなどではなく、実際にあった事件だと告白する。
秘密基地エリア51に向かったホイットモア達は、そこで修復された宇宙船を見て驚く。そこへ、海兵隊パイロットのヒラー大尉がやって来た。彼は空中戦の末に宇宙船を撃墜し、エイリアンを捕まえることに成功したのだ。
エイリアン対策に頭を悩ませるホイットモアに、悲しい出来事が待っていた。宇宙船の攻撃で重傷を負った妻マリリンが死亡したのだ。エイリアンのテレパシーによって、彼らが侵略を繰り返す狂暴な種族だと知ったホイットモアは、核による攻撃を命令する。
しかし、宇宙船はシールドで守られており、核爆弾でさえも無力だった。荒れていたデイヴィッドは、ジュリアスの「風邪をひく」という言葉を聞いて、あることを思い付く。宇宙船に風邪をひかせるのだ。コンピュータウィルスでシールドを無力化するのだ…。

監督はローランド・エメリッヒ、脚本はローランド・エメリッヒ&ディーン・デブリン、製作はディーン・デブリン、製作総指揮はローランド・エメリッヒ&ウテ・エメリッヒ&ウィリアム・フェイ、撮影はカール・ウォルター・リンデンラウブ、編集はデイヴィッド・ブレナー、プロダクション・デザイナーはオリバー・スコール&パトリック・タトポロス、衣装はジョセフ・ポロ、音楽はデイヴィッド・アーノルド。
視覚効果スーパーバイザーはフォルカー・エンゲル&ダグラス・スミス、デジタル効果スーパーバイザーはトリシア・アシュフォード、エイリアンデザイン&スーパーバイザーはパトリック・タトポロス、視覚効果プロデューサーはテリー・クロティオー、メイクアップはゾルタン(カタリン・エリーク、マイケル・F・ブレーク、クレイグ・スミス)、デジタル・マット・ペインターはマイケル・ロイド。
出演はウィル・スミス、ビル・プルマン、ジェフ・ゴールドブラム、メアリー・マクドネル、ジャド・ハーシュ、ロバート・ロッジア、ランディ・クエイド、マーガレット・コリン、ジェームズ・レブホーン、アダム・ボールドウィン、ブレント・スパイナー、ジェームス・デュバル、ヴィヴィカ・フォックス他。


昔、「大きいことはいいことだ」というCMがあった。
ジャイアント馬場は「大きい奴が強い」と言った。
ローランド・エメリッヒという人は、とにかく「デカイ」のが好きな人だ。この映画でも、空を覆い隠すほどの超巨大な宇宙船を登場させる。そのインパクト。大きくて、悪趣味なほど派手。

戦う大統領が登場する。人種を超えて世界の人々が協力する場面がある。でも、強いアメリカとか、人間の尊厳とか、そんな大それたメッセージは無い。
エメリッヒにとっては「バカみたいにデカイ宇宙船が派手に暴れるんだぜ。SFXがドッサリ詰まってるんだぜ。凄いだろ」というのが大事(たぶん)。

ヒラー大尉の恋人がストリッパーということに深い意味は無い。酔いどれオヤジが宇宙船に特攻するけど、父親の威厳なんて関係無い。
エメリッヒにとっては「色々なSF映画のオイシイ部分とか、日本のアニメのカッコイイ部分を集めて、派手な映画を作ったぜ。凄いだろ」というのが大事(たぶん)。

なぜかエイリアンの宇宙船のコクピットが人間用に作られていたり、地球のコンピューターが搭載されていたり、飛行機のパイロットが操縦中に酸素マスクを外したりする。
でも、「細かいことは気にするな。それより、大金掛けた特撮が凄いだろ」とエメリッヒは思っている(たぶん)。

というわけで、ハッタリ大作映画の帝王エメリッヒの本領が発揮された、見世物小屋感覚の作品だ。人間の心理を描くとか、ストーリーの面白さを追及しようとか、そんな考えはエメリッヒには必要無いのだ。
とにかく見た目のインパクトで勝負する、それがローランド・“具が大きい”・エメリッヒなのだ。


第17回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:ジョー・エスターハス最低脚本賞


第19回スティンカーズ最悪映画賞

ノミネート:【最悪の作品】部門
ノミネート:【最悪な総収益1億ドル以上の作品の脚本】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会